00:04
スピーカー 1
アイテム番号 SCP-1113-JP オブジェクトクラス セーフ
特別収容プロトコル
SCP-1113-JPは、サイト8155の提供イドロッカーに収容されています。
無断で、SCP-1113-JPを使用することは禁止されています。
実験に参加する職員は全員が女性で構成され、男性職員の接触は認められません。
しかし、実験に参加するDクラス職員は例外となります。
SCP-1113-JPの影響下にあるDクラス職員には、専用の居住室が与えられ、内部は24時間耐性で監視されます。
対象の通常業務は継続されるため、Dクラス職員には経過報告を目的とした自己報告用のレコーダーを配布してください。
もし、Dクラス職員が自傷行為や鏡、ガラスなどの破壊を行った場合は、セキュリティ担当者が速やかに対象を拘束し鎮圧してください。
現在、日本支部理事により一部の実験は凍結されています。
実験を行う場合は、サイト管理者に申請してください。
説明
SCP-1113-JPは、日本国内で生産・販売されているセンサーライトと同様の健常をした異常物体です。
オブジェクトの強度や内部構造等には何ら異常性は見られず、非異常性を有する類似物品同様に機能し、かつ損傷します。
SCP-1113-JPの異常性は、対象の前を男性が通過した際に発現します。
男性がSCP-1113-JPの前を通過した場合、1回目は通常のセンサーライト同様に点灯しますが、そのおよそ10秒後に移動する物体や人間がいないにも関わらず再度点灯します。
なお、この時も対象の機構は正常に稼働しており、機械の故障ではないことが判明しています。
これらの明確な原因は未だ判明しておらず、内蔵されているライトを交換した場合も異常性が発現するため、オブジェクト本体に異常性があると予想されます。
そのため、電源となる配線から隔絶した場合は一切の異常性を示さなくなり、内部の部品を交換した場合も異常が観測されなくなります。
しかし、設置場所を変えた場合は問題なく異常は発生します。
これらの異常性に暴露する人間は1人に限定され、2回目の点滅が発生しなかった人間がSCP-1113-JPの前を通過した場合は、通常の物品と同様の反応を示します。
03:03
スピーカー 1
これらの選択理由に関しては未だ明確化されておらず、異常性の拡大を防止するため、収容プロトコルには男性職員による接触の禁止が組み込まれています。
SCP-1113-JPの影響に暴露した男性は、慢性的な倦怠感、無気力感を覚えるようになり、なおかつ長期的な鬱病にも似た症状を見せるようになります。
その後、男性は暴露してからおよそ2ヶ月から1年の間に自殺、もしくは事故等により死亡し、自殺方法などに一貫性は見られませんが、死亡する2日前あたりに突如鏡やガラスといった光を反射する物品を大量に破壊するという共通点が見られます。
その際、周囲にいる人間に何かしらの危害を加える、殺害する場合もあります。
現在、これらの症状の治療法には認識災害やミーム汚染等の影響も観測されないことから、通常のカウンセリングが適当であると予想されています。
しかし、完全に治療が終了する前に大半の人間が死亡するため明確な統計は出されていません。
スピーカー 1
実験記録001日付2008年5月11日
対象D-5744、D-3728、D-7888、D-2525
実施方法SCP-1113-JPの前を通過させる
結果、D-5744、D-3728、D-7888が通過した場合、2回目の転倒は見られなかった。
しかし、D-2525が通過した時のみ2回目の転倒が確認された。
分析
対象の血液型や身長、身体的特徴や宗教、家族構成などの要素と照らし合わせてみたが、選択理由につながる条件は判別できなかった。
選択基準に関しては完全なランダムである可能性もある。今後はD-2525の経過を観察する。
実験記録002日付2008年5月13日
対象D-2525
実施方法再度SCP-1113-JPの前を通過させる
結果、2回目の転倒が確認された。
分析
D-2525が選択された後に他のDクラス職員を起用したが、転倒は起こらなかった。
一度何者かが選択されたら永続的にこの転倒が起こるらしい。
実験記録003日付2008年5月13日
対象D-2525
実施方法SCP-1113-JPの前で停止する
06:04
スピーカー 1
結果、通常の物品同様に転倒した後、合計5回の転倒が確認された。
分析
SCP-1113-JPの前で停止した場合、選択された人間が動いていないにも関わらず複数回の転倒が確認された。
これらの転倒の間隔や回数にも何かしらの意図やモールス信号などといったメッセージ性も見られない。本当に意味のない転倒に思える。
実験記録004日付2008年5月15日
対象D-2525
実施方法SCP-1113-JPの前を往復する
結果、1回目の転倒が確認され、消灯してからすぐに振り返り、SCP-1113-JPの前を通過した結果、D-2525が突如転倒し、かつ激しく落とした。
分析
D-2525に関してはすぐさま医療室へと搬送され、命に別状はなかった。再度同じ実験を繰り返すことも検討されたが、D-2525がこれを強く拒んだため一旦保留とした。
これらの現象がなぜ起きたのか未だはっきりとはしていない。非暴露者である他の職員を起用して実験を行ってはみたが、このような症状は一切見られなかった。
やはり2回目の転倒が発生したものにしかこのような現象は起きないようだ。
SCP-1113-JPは2008年3月16日の神奈川県市にある住宅内で発見されました。
当初その家屋には忠勝氏を含めた計3人の家族が入居しており、SCP-1113-JP回収のおよそ1年前に転居してきたと記録されています。
なお当時15歳であった息子の良平氏は転居後に不登校状態となり、氏が以前通っていた学校関係者に聴書を取ったところ、サッカー部に所属していて部のエースだった。
とても明るく高青年だったという肯定的な印象が多数確認されたため、不登校になる要素は見当たらないというのが当時の見解でした。
その後、1ヶ月が経った2007年10月2日の深夜2時に良平氏は自宅内にあった歯当たり15cmの包丁を用いて両親を殺害、家宅内の鏡や窓ガラス等をすべて破壊した後にその場から逃走しました。
事件発生から6日後、警察の調査により現場から10km離れた臓器林にて地震で腹部を切開し、かつ内臓を引きずり出して死亡している良平氏が発見されました。
この事件の報告を受け財団は2名のエージェントを派遣し家屋内部の調査を実施。
09:04
スピーカー 1
調査開始時は何ら異常性のある物品や現象の発見には至りませんでしたが、以前居住していた住人の詳細や担当の不動産業者などに聴取を取った結果、家屋内に備え付けられたセンサーライトに関する問い合わせが多数確認されました。
また、それらを確認し、かつ報告した人間全員がすでに自殺、病気や寿命以外の理由によって死亡していることも発覚したため、対象を異常物体としてマーク。
良平氏に関しても対象家屋に引っ越してきた2日後からSCP-1113-JPに関する異常を認識していたらしく、忠勝氏によって行われたセンサーライトの故障に関する苦情も確認されました。
これにより、財団はその対象物品を異常物体として収容、上記の実験の結果、現在の異常性が確認されました。
以下は実験に参加したDクラス職員によって記録された自己報告用レコーダーの内容です。
D-2525の自己経過報告記録
概要
この項目はD-2525による主観での経過観察を目的とした報告用レコーダーの記録です。
実施記録は、実験が開始された2008年5月11日からD-2525が死亡する3日前にあたる2008年9月30日まで行われ、その日の体調や気分、不審な点などの報告が記録されています。
なお、報告書に記載されているものはそれの抜粋であり、全記録の視聴を希望する際は、
米が?米が?かな?
米に加える。博士に要請してください。
記録001002003
2008年5月12日
再生
訳のわからない実験に参加させられた後、このボイスレコーダーを渡された。
なんでも、あのライトに当たってから何か変なことがあったら、これに記録すればいいそうだ。
今のところ特に問題もないし、いつもの清掃だってこなせた。
明日も実験らしい。
もう寝る。
終了
2008年5月14日
再生
今日も何も問題はなく終わった。
変わったことといえば、実験であのライトが何回も点滅したことぐらいだ。
でも、ちょっと気味が悪くなってきた。
なんで自分の時だけ5回も光ったりしたんだ。
ただの故障にも見えないし、なんだって言うんだ。
終了
2008年5月15日
再生
D2525が咳き込む。
未だに意識が朦朧とする。
最悪の気分だ。
白衣の奴らに一応あの時の状況を残しとけって言われたが、正直もう休みたい。
12:02
スピーカー 1
あの時、急に目の前が真っ暗になって気が付けば胃の中のものを全部戻してた。
無理やり吐かされ続けられているようで、
あのどこからともなく込み上がってくる嫌な感じは一体何なんだ。
まるで自分の中に一人一人分が割って入ったようだ。
もう最悪だ。
最悪だ。
クソったらえ。
終了
記録027-048-066
2008年6月17日
再生
今日で、あの実験から1ヶ月経つ。
今でもあの日のことは忘れられない。
まあ、あれからは何も起きてはいないし、
それと言って支障もない。
でも、心なしか疲れが取れにくくなっているような気がする。
息切れも激しいし、
これが単に業務と実験が続いたからなのかはわからないが、
とにかく毎日がきつい。
あのライトに当たってからか、なぜか気分が優れない。
いつもと変わらないはずなのに、何かを犯されているような気分だ。
心なしか不安になる。
それに、この頃部屋のものがちょくちょく動いているような気がするんだ。
置いておいたコップとか歯ブラシとか鉛筆とか。
係の奴に聞いても誰もいじってないって言うし、
奴ら、俺をからかってるのか。
最近、おかしな夢を見る。
気がつけば俺は知らない家の中に一人でずっと立っていて、
俺はここに住んでいて、なおかつ誰かと結婚しているんだって思い込んでる。
一回も来たことのない場所のはずなのに、
どういうわけかそこの間取りとかを全部把握しているんだ。
夢の中の俺はまるで別人で、そんな夢でのルートは毎回決まってる。
玄関から始まってリビングを見回して、
2階にある子供部屋を見て、最後は嫁の部屋の前で終わる。
時間帯は多分昼過ぎぐらいだと思う。
もちろん俺は結婚なんてしてないし、子供だっていない。
だけどそこにいるとなぜかそうだったなって思えてきて、どこか懐かしくなるんだ。
でも起きると決まって異常な量の汗をかいていて、動機も激しく息も上がっている。
正直わけがわからない。あの実験に参加してからおかしなことばかりだ。
体の調子もおかしいし、変な夢も見るし、ただただ気持ちが悪い。
単なる平和な夢ならいいけど、あれだけ鮮明で、
しかも全く同じ夢が何日も何日も続いたとあっちゃ変に思って当たり前だ。
明日あいつらに問い詰めてやる。
奴ら、俺に何しやがったんだ。
終了。
後日、D-2525の要請により、
就寝中に録画映像を本人に視聴させました。
15:03
スピーカー 1
なお、映像にはD-2525が就寝中、
継続して背中をのけぞらせながら大声で叫んでいる様子が記録されていました。
2008年7月8日、再生。
昨日の夜もあの夢を見た。いつもと同じあの家だ。
毎日見るわけじゃないが、だいたい見るだろうなっていう時の感覚がわかってきた。
多分、明日もあの夢だ。クソったれ。
終了。
スピーカー 2
記録091128129
スピーカー 1
2008年7月26日、再生。
最近、あることに気がついた。
以前、俺はあの夢の道順は決まっているとここで言った。
玄関から始まって、嫁の部屋の前で終わる。
それの繰り返しだ。
でも、もし俺がそれに逆らったらどうなるのだろうか。
ルートを無視して、もっとあの家の中を散策したら、
何かわかるんじゃないか。
俺の体に何かが起こっている。
だったら、こっちからそれを確かめに行ってやればいい。
いつあの夢が見れるかはわからないが、
今度あれを見ることができたなら、俺はこれを実行するつもりだ。
一体どうなるかはわからない。
でも、俺は俺の目で原因を確かめたい。
終了。
2008年8月17日、再生。
昨日、例の夢を見た。
早速俺は計画を実行した。
まあ、これといって難はなくて、意外とあっさりしていた。
夢の中では思いのほか自由に行動できたし、まるで現実そのものだった。
5秒間の沈黙。
俺は外に出ようと試みた。
ベランダから出て、庭を見てみようと思って。
でも、無理だった。
理由は簡単だ。
鍵の部分はオロか。窓枠になっている金属部分が、全部が溶接されていた。
一気に鳥肌が立った。
他に出られる場所はないかと家中を探し回った。
でも、全部同じだった。
D-2525の声が震え始める。
それから俺はもう一度2階に上がった。
最後に確かめなきゃならない部屋があったからだ。
けど、俺は自分の目を疑った。
あのライトが、嫁の部屋の前にあった。
今まであんなところにライトなんてなかった。
あったら気がつくし、そもそも普通のドアの真上にあんなライトを取り付けること自体が変だ。
正直、あれには一歩たりとも近づきたくなかった。
あれのせいでこんなことになったんだ。
でも俺は真相が知りたかった。
だから俺はあの部屋の前まで行った。
3秒間の沈黙。
当然ライトは点いた。
俺はドアノブに手をかけてライトが消えるのをずっと待ってた。
でもそこでまたあのライトが点いた。
18:03
スピーカー 1
5秒間の沈黙。
後ろに誰かがいた。
裸足で俺の背後を歩いて止まって歩いて止まってと繰り返してた。
D-2525のすすり泣く声。
俺はバカだ。
あれは点滅してたんじゃない。
あれは普通に点いてたんだ。
ノイズ音が混じり出す。
後ろだ。
ノイズ音終了。
2008年8月29日。
再生。
5秒間の沈黙。
最近いろいろと気分が乗らない。
これを残すのでさえ億劫だ。
実験にももう参加したくないし、
あのライトを見ただけで気分が悪くなる。
あの夢を見て以来、だんだんとライトの点く間隔が短くなっている気がする。
前までは10秒以上かかっていたのに、
ここ最近はほんの数秒で2回目の点灯がある。
俺はあの時、あの扉を開けた。
もちろん後ろは振り返らなかった。
けど、俺の目の前には地獄があった。
中は血と肉で溢れてた。
いくつも死体が転がってて、生まれる前の赤ん坊で床が埋め尽くされていた。
全部、あの女のやったことなんだろうか。
それとも、あれはあいつとの間にできた子供なのか。
いや、あれはみんな俺と同じ、
あいつに気に入られちまった奴らの成れの果てかもしれない。
木製の扉が開く音がする。
D-2525のいる部屋には木製の扉は一切ない。
すぐ目の前には化粧台があった。
そこには俺が映ってた。
D-2525の皮肉ったような笑い声。
だったらそうだよな。
映ってるに決まってるよな。
見ちまうに決まってるよな。
終了。
この記録終了後、D-2525は突如部屋の中で暴れ出し、
ガラスや鏡などの物品を破壊しました。
なお、事態を察知したセキュリティ担当者が速やかに対象を鎮圧し、事態は収束しました。
記録146
2008年9月26日
再生。
20秒間の沈黙。
もう、嫌だ。
女性の話し声。
D-2525のすすり泣く声。
後ろだ。
終了。
この記録の後、D-2525は自身の舌を噛み切り自殺しました。
追記。
2009年現在もD-2525の証言した夢に関する詳細は明らかとなっていません。
D-2525が死亡した後にも同様の実験を行いましたが、
全員がどこかに閉じ込められている夢を見たと主張し、後に自殺しました。
なお、全ての録音記録内にて詳細不明の女性の声が確認され、これについてもさらなる調査が進められています。
21:05
スピーカー 1
この報告を受け、日本支部理事は一部の実験を凍結することを決定しました。
機械・精神影響・非・実態のタグがついています。
こわ、鳥肌立ったわ。
えー、ライト点灯。
あのー、ホラー映画で
ライトオフ…
だっけな。
ショートムービーでYouTubeに載っけたのが人気になって、実際に映画化したみたいなホラー作品があるんですけど、
従来の、従来のというか、まあベタなホラー映画って電気を消してて、点けたら近づいてくるというか、点けたらそこにいるみたいな演出が多いと思うんですけど、
その私が言ってるやつは、ライトオフかなんか忘れましたけどタイトルは。
電気が消えている間にいる。点けるといないっていう。
逆の発想。
夜ってその、真っ暗じゃないですか。ないじゃないですか。
基本的に月明かりとかで多少は見えるので、その中で電気が消えている中で、部屋の中により暗い人影が見えると。
気になって電気を点けるけど誰もいない。
消すとそこに人影らしき黒いものがある。点けるといない。消すといる。点けるといない。消すといる。
っていうのを何回か繰り返すと、その黒い人影が明らかに近づいてきてる。
っていうようなホラー映画なんですけど、ちょっとYouTubeのショートムービーが多分どっかにあると思うんで、
調べてみてもらって、電気消すホラーとかで調べたら出ると思います。
をちょっと想起しましたね。
実体には映らない、夢の世界にのみ出てくるっていうことかな。
で、このライトはそのお化けじゃないけど、女の人の幽霊らしき人がD1212525についた女の人が
あ、通ったなと察知して電気がついていただけであって、
こいつ自体の異常性ではなかったのかなーってことかな。
これと女の人の幽霊っていうのは何か関連性があるのかな。
か、こいつがそういう幽霊系のやつへの敏感、感度が高いというかセンサーとして唯一なりうるもので、
不調を訴えるっていうことはその幽霊が自分のことを認識してると思っちゃうんじゃないかな。
で、幽霊がエスカレートして夢の中に出てきて、みたいな感じで
24:03
スピーカー 1
直接的な原因じゃなさそうな気はしますけどね、このライトは。
はい、というホラー系のSCPでした。ではまた次回お疲れ様です。
ご視聴ありがとうございました。