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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、
皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第59夜となりました今夜のお便りをご紹介します。
ペンネーム、アメリカのミキさんからいただきました。
駐在妻として2人の娘を育てながら、アメリカ暮らしをもう10年している私は34歳です。
娘たちも大きくなり、ようやく自分の時間が少しずつ持てるようになってきたところに、
今まで一度もはまらなかった読書に行き着きました。
日本語の文章の素晴らしいこと、海外暮らししている私には、どの作家さんのお言葉もものすごく響きます。
ガタヤンさん、抽象的なリクエストで申し訳ないのですが、
この方のこの本の日本語が素晴らしいというガタヤンさんが思う書籍をお勧めしていただけたら嬉しいです。
といただきました。ありがとうございます。
海外から聞いてくださって嬉しいです。
実はこのポッドキャスト、世界なんと77カ国から聞いてくださっている方がいらっしゃって、
きっとミキさんのように海外在住の日本人の方も多いのかなと思うんですけれども、
日本語の配信番組はそんなに多くないからでしょうか。
しかしよくぞたどり着いてくださってありがたいことです。
さて、日本語の素晴らしさを実感できる本ということで、
今日の勝手に貸し出しカードはコーノスユキコさんの翻訳教室初めの一歩にしました。
あれ小説じゃないのって思われるかもしれないので、その心はちょっとお話しますね。
私実は文芸の翻訳家を目指そうと思って、目指そうと思ってというか文芸翻訳に興味がありまして、
通信講座を取ってたことがあるんですね。
ベースの英語力の無さに途中で早々に挫折したんですけれども、
しかしこの時に翻訳、特に文芸翻訳の奥深さと翻訳の方の偉大さを知ったわけなんです。
そこから翻訳者が海外ミステリーを読むと、すごい表現に合うと、
英語ではここは何て書いてあったんだろうっていうふうに思いを馳せるようになって、
原文と照らし合わせて読んだりとかまでは最近はできてないですけど、
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でも例えば韻を踏んでいたりとか、日本のことわざに訳されていたりするときは、
元の英語は何て書いてあったのかなって思ったりしますね。
元が違う言語で書かれているからこそ、日本語の表現の繊細さとか、
情緒の豊かさに気づかされるっていうこともあるんですよね。
コーノスユキコさんは私の憧れの翻訳家さんの一人で、
コーノスさんが訳しているから買おうとか、コーノスさんが訳す作家さんなら読んでみようと、
作品選びの基準になったりするぐらいです。
なのでもしこの本を気に入っていただいたら、
コーノスさんが訳されている小説も読んでみていただけたらと思うんですけれども、
翻訳って何だろうとか、翻訳の心など、翻訳の裏話だったり教本、教える本もたくさん書いて出していらっしゃいます。
しかしエッセイも素敵でして、
カーブの隅の本棚というワインと文芸にまつわるエッセイ本が本当に素晴らしくて大好きで、
もうこれは何度読んだかわかんないぐらいなんで、
実は何度かここで見漏れで紹介してしまっていたので、
今日は新しく翻訳教室初めの一歩をご紹介したいと思います。
さてこちらがどんな内容で、
そしてどんなところに日本語の素晴らしさや、
コーノスさんの言葉の感度、精密度を感じるかということについて、
今日は語っていきたいと思います。
翻訳教室初めの一歩はNHKのようこそ先輩課外授業で、
コーノスさんが小学生に翻訳を教えるという授業をされて、
それをもとに収録されているんですね。
The Missing Pieceという有名な絵本を、
アメリカのメキさんはもしかしたらご存知かもしれないですが、
私は知らなかったんですけど、
こちらは世界的にメジャーな名作絵本をね、
小学校6年生の子どもたち、ほとんど英語に馴染みのない子どもたちが、
グループになって一冊訳してみようという授業をやるんですよ。
そしたら、英語の授業みたいになるんじゃないかなと想像するじゃないですか。
それが英語の授業というよりは、読書の授業になっていくんですよね。
メインはどう訳すか、どう読むか、どう読書するかっていう話なんですよ。
私はこんな授業を子どもの頃に受けてみたかったなと思いましたし、
今の子どもたちも英語を小さい頃から習う受験勉強を始めるという前に、
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みんな受けられたらいいのになって思いました。
読書の仕方って習ったことはないじゃないですか。
音読の授業でさせられるとか、そういうのはありますけれども、
日本語をどう読むのか、文章をどう読むのか、
文章の意味やストーリー、セリフの意味をどう読み取るのかとかは習ったことがないですよね。
でも当たり前のようにそこはできる前提で、読めればできるっていう前提で、
感想文を書けって言われるでしょう。
感想を言うっていう、自分の読んだ感情の動きを言葉にするってすごく難しいことですよね。
それを物語を読むのとセットで共用されるところがあって、
だから嫌いになっちゃうんじゃないかなという気もするんですけど、
例えば音楽なら第一参照を聞いてどう思ったか、感想を述べよとか、
主人公と書き手の意図を述べよとか、別に言わされないのに、
国語だけは必ず感想とセットになるっていうね。
そうすると、ゴーンはかわいそうだなと思いましたとか、共感するか、
私は割と小賢しいタイプの小学生だったので、
私も友達や家族を大切にしようと思いましたとか、
綺麗にまとめるテクニックばっかり身についてしまって、
物語から得たものを書いていい感じにまとめるテクニックが身についてしまいましたが、
コーノスさんは読書は共感がすべてじゃないということを何度も強調されているんですけれども、
確かにAmazonレビューの低い点数をつけているのを見ると、
主人公に全く共感できなかった星一つみたいなコメントが結構多いですね。
共感はすごく読書の感想として大事なものだというふうに認識されているし、
独語感の逆、反感に対して今特に非常にナイームになっているという感じもします。
独語感の悪いもの、反感を買うものを提供しづらいムードにあるというか、
得られたものなど特になく、ただただ不快だったけどすごい映画だったというのはありますし、
とにかくとにかく気持ち悪いゾンビを倒していくゲームとかも存在しえるけれども、
ただなんとなく読書って崇高なものだから得られるものがあって叱るべき、
出てくる誰かや筆者に共感できるべきとか、
テーマがあって伝えたいことがある前提みたいなところはあるなと思ったりしました。
今日はこの読書と作品の評価にまつわる河野さんの記述を紙フレーズとしてご紹介したいと思います。
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作品全体を評価すること、語り手に共感を持つこと、あるいは登場人物に好感を持つことはそれぞれ別なんですよね。
主人公が大好きだから最後に死んでしまう展開には大いに不満であるということもある。
と書いていらっしゃいます。
確かに好き嫌いと作品の評価は別物だし、
作品を評価する、分析する、深く読み解くというのは、
それを能動的な読書と河野さんは言っていらっしゃいますが、
その能動的な読書、文章を分解したり分析したりするやり方を
私たちはあまり習ってこなかったなというふうに思いました。
この本の中で河野さんは小学生に主観と客観について解説していらっしゃいます。
それから一つの英語でもいくつもの訳出の仕方ができることについて、
英作文の英訳だと正解はほぼ一つみたいになっていますけれども、
例えばI love youを題材に愛しているようなこともあれば、
可愛く思うと訳されている例を紹介したり、
気をつけていってらっしゃいという意味で送り出すI love youもあり得るわけで、
日本の方が愛情表現が乏しいと言われがちですけれど、
I love youで全部片付いてしまうことをこんなにいろんな言い方でって、
逆に言えば日本語の奥行かしさ、細やかさを持ったりしました。
ちなみに最後にちょっとネタバレなんですけど、
この名作絵本The Missing Pieceというタイトルを付けてみましょうというのも
子供たちの課題として出るんですが、
日本では倉橋由美子さんのバージョンがあって、
そちらの翻訳本のタイトルは僕を探しになんです。
僕を探しにっていう絵本って言われたら知ってるってなる人もいらっしゃるかもしれません。
丸い横顔みたいな、ピザのひとかけ分かけたみたいな丸い顔が、
いろんな面にあいながらいろんなところをコロコロ転がっていくっていうような話なんですよ。
レコーノスさんが私が付けるならって最後に付けたタイトルは
どこまでもどこまでもでした。
すごいなと思ってすごいでしょ。
ミッシングピースを探しにどこまでもどこまでもというお話であると、
能動的に解釈するとそうだってことでしょうか。
複数の語学を知って言語を知って使って気づくっていうことはきっとすごくあるでしょうし、
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日本語の素晴らしさに改めて奥ゆかしさ細やかさに感動するっていうこともあるのかなと
アメリカのミキさんの文章を読みながらそんなことを思いました。
今日は素敵なリクエストありがとうございました。
皆さんも最後までお付き合いありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室はこんな感じで皆さんからのお便りをもとにしながら
いろいろなテーマでお話ししたり本を紹介したりしています。
ミモレのサイトからお便り募集しているのでぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。