1. 真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜
  2. 外の世界はいつだって生きづら..
2021-11-17 11:17

外の世界はいつだって生きづらくて。早くお家に帰りたい【第83夜】

「『もう死にたいなぁ』と毎日のように言う夫が心配」というお便りをいただきました。今日ご紹介するのは、宮西真冬さんの最新刊『毎日世界か生きづらい』。ある日、妻の美影(みかげ)が「家の売り方」を調べていることを偶然知ってしまった夫・雄大(ゆうだい)。大量にあった本もいつの間にか処分されています。妻はひそかにこの家を売り、自分を置いて出ていく準備をしているのか……。”生きづらさ”が流行語の一つになりそうな昨今。はたして”生きやすい”と感じている人はどのくらいいるのでしょうか。

00:04
みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、ナビゲーターのKODANSHAウェブマガジン、みもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるをテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第83夜を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。
ペネル・カオポンさんからいただいたお便りをお読みしたいと思います。
もう死にたいなぁと毎日のように言う夫。うつっぽさは感じなく、職場は私と同じ。家にいるのが好きなので、一緒にいる時間が長いです。
二十歳の息子と二人で夫の口癖をいつも軽く受け流していますが、それでいいのか少し心配になります。といただきました。
こちらのお便り少し前にいただいてまして、ぜひ何か本をご紹介したいなぁと思っていたんですが、ちょうどこの週末に読んでいた本で、
カオポンさんって思い出したのでご紹介したいと思います。今夜の勝手に貸し出しカードは宮西真冬さんの最新刊、毎日世界が生きづらいにしました。
どんな本かというと、ある30代後半の夫婦のお話なんですね。まず冒頭からぐっと引き込まれるんですが、ある日夫の雄大は妻の三陰さんの部屋のゴミ箱に子立ての売り方のコツっていうのを検索してプリントアウトして捨ててあるのを見つけちゃうんですよ。
夫婦さんは駆け出しの小説家で、書斎があるんですね。そこに大量にあった本もいつの間にか処分されているということに気づきます。怖いでしょう。ちょっとドキドキしますよね。
夫婦さんは密かにこの家を売って、自分を置いて出ていく準備をしてるんだろうかと。でも怖いお話ではないんです。どんな話か後半ご紹介していきたいと思います。
冒頭からシーンは切り替わって、2人の結婚式の日に遡ります。とにかく今日が無事に終わりますようにって思っている2人なんですね。
幸せの絶頂っていうよりは、とにかく無事に今日をなんとか終えたいって思っているのは、なぜかというと三陰の方の家族、親戚が不仲で仲が悪いからなんですね。
03:13
そういうことってきっとありますよね。どの2人の結婚式も、ハッピーラブラブな2人っていうよりは、とにかく今日が無事に終わりますようにって思っている人の方が多いんじゃないかと思うくらい。
三陰は小説家になりたいという夢があるんですけど、なかなか目が出ずで、でも旦那さんは人気のゲーム会社に勤めてるから安心だよねって友達に言われるみたいなシーンがあって。
ただ養われてるだけっていうのも尺だなと思って、三陰さんはテーマパークのハンバーガー屋さんのアルバイトを探してくるんですよ。
でバイトすることになるんですけど、でもちょっと三陰さんはどうも容量があんまり良くないタイプというか失敗ばかりで怒られてばっかりなんですね。
家に帰って夫の雄大さんにバイト先でこんなことがあってこんな人がいてって話すんですけど、その話いつまで続くのって言われるの怖いでしょう。
旦那さんにそんな言い方されたらもうショックすぎて一緒にいられないって思っちゃいそうですけど、これが前兆というかきっかけになって、雄大さんはもともとそういう高圧的なタイプの男性じゃなかったんだけど、
最近どうもちょっとイライラしていることが増えてきていて、そんな風にこの話いつまで続くんだよみたいに言うってちょっとおかしいなって思うのかな。
三陰さん何かあったのかと聞いたら彼の方のプロジェクトからどうも外されかけている。
なんだか自分があまり会社の部内で認められてないっていうことが発覚して、それを彼が話し出すんですね。
会社にだんだん行けなくなってしまって、診療内科に行ってみて鬱病と診断されて、3ヶ月ほど会社を休みましょうっていうことになるんですよ。
会社を休む雄大さんとアルバイトをしながら小説を続けていこうとする三陰さんっていう2人の日常の話に展開していくんですけど、
この小説、この後雄大さんが例えば自殺しようとしたりとか三陰さんが誰かと不倫したりとか、そういうドラマは起こらないんです。大きな事件は起こらなくて、
ただただ2人の日常の会話を見届けるという感じの小説で、でも300ページ以上あって結構長編小説なんですけど、
2人の行く末を見届けたいという気持ちで最後までぐんぐんと一気に読んでしまいました。
06:07
今日はこの本から紙フレーズをご紹介したいと思います。
他人から見たらつまらなそうに見えるかもしれない こんな人生を送りたくないと思うかもしれない だけどいい俺はそれがいいと言っているんだ だからあなたも思ってよ
と雄大は泣きたくなる 俺にいてくれたらいいって思ってよ 楽しそうじゃなくても不機嫌な時があっても充実してないように見えても
それでもいてくれたらいいって思ってよ というほとんど最後数ページのところに出てくるシーンなんですけど
いやー結構ぐっと来て泣きそうになっちゃいましたね この雄大さん最初の奥さんの書斎に家の振り方の検索を見つけた時も
自分は何が外であっても家に帰りたい早く帰りたいと思っているっていうことを書いてあるんですけど
すごく雄大さんは三陰さんのことが好きでお家のことが好きなんですよね
それがまた温かい気持ちになる本だったんですけど
この間少し前に本屋ゆき子さんと長浜ねるさんの対談を見漏れのインタビューコーナーでねさせていただいたんですけど
長浜さんはよく無理しないでねって無理しないでっていう言葉を使うっておっしゃっていて
自分に聞かせるのもあるしファンの方に向けてもあるっていうことだったんですけど
無理しないでって言ったらファンの方が無理しないでは嬉しいけど頑張っててたまには言って
葉っぱをかけてほしいって言われてハッとしたっておっしゃってたんですよ長浜さんが
しんどい時に無理しないでに代わるいい言葉なんかないですかって本屋さんに聞いたら
本屋さんは何とかごまかしていこうってよし何とかごまかそうって思ってますって言ってて
今日何とか無事にやり過ごしたいっていう最初の結婚式の話じゃないけど
何とかやり過ごそう何とかごまかして生きていこうっていい言葉だなと思って
今日も何とかごまかせたと思ってね
家に帰れたらそれはそれでいいですよね無理してるっていうのともちょっとまた違うのかな
無理しないでごまかすのもあるでしょうし
なんかそんな風にみんなきっと外では多少無理はしていて何とか今日やり過ごしたい
09:03
無事に終えたいって思って帰ってきたらほっとするっていうことは一番幸せなんじゃないかなと思ったりして
逆よりいいですよね
だからご相談のお便りを送ってくださったかなぽんさんの旦那さんはもう死にたいなって言ってるけど
でも家にいる時間が好きで
一緒にいる時間が長いならそれをきっと楽しみにしてらっしゃるんでしょうし
そうやって外でいろいろあったりするのを
死にたいとかしんどいとかまたトロしてくれる方がいいかもしれないと思いました
この三陰さんもね途中で気づいて何でこの人こんなにイライラしてるんだろうって話を早い段階で聞いてあげたから
彼も休むことができて
そして外で辛いことがあっても家にいるっていうことが幸せだっていうことに気づけたっていうところは
素敵なお話でした
今家中にいる河本さんがどんな風に感じながらお読みになるかちょっと不安ですけれども
あの決して暗いお話ではなくて温かい気持ちになる物語なのでぜひ読んでみていただけたらと思います
リクエストありがとうございました
皆さんも最後までお付き合いいただきありがとうございます
さてそろそろ時間になってしまいました
真夜中の読書会おしゃべりなと出出はこんな感じで
皆さんからのお便りをもとにしながらいろいろなテーマでお話ししたり本を紹介したりしています
日漏れのサイトからお便り募集しているのでぜひご投稿ください
また来週水曜日の夜にお会いしましょう
おやすみなさい
おやすみ
11:17

コメント

スクロール