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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと河童です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第44夜になりました。今日のお便りをご紹介します。
ペンネーム超ウルトラスーパーボイルドあかりんさんからいただきました。
バタやんさんこんばんは。こんばんは。初めてレターをお送りします。少し緊張しています。ありがとうございます。緊張しますよね。
最近、昔流行った曲を聞くのが好きで、中でもHYさんの366日は恋愛経験が少ない私でも、さも大恋愛した気になって聞いて、虚しくなったりしました。
そこでリクエストなんですが、恋愛ものの本を紹介いただけないでしょうか。なぜだか恋愛を感じたいんだと思います。といただきました。
HYさんの366日ね。いいですよね。切ない。どういう状況のそれでもいい、なのか気になりますよね。
今夜の勝手に貸し出しカードは、松井レナさんのルイルイにしました。
私のインスタアカウントバタヨムをフォローしてくださっている方は、来ると思ったって気づいちゃったかもしれないんですが、最近読んでわーって思ったらすぐにインスタにあげちゃうからネタバレしてしまうんですが、
超ウルトラスーパーボイルドあかりんさんからのお便りを先に読んでて、これにしようって思って読み返しました。
さてルイルイがどんな話か説明に入る前に、著者の松井レナさんといえば元SKE48名古屋のね、私は実はその頃からすごく好きで、今は卒業されているんですけど、女優さんとして活躍されてますね。
なんで注目したかという話からしますと、AKBの姉妹グループであるSKEの中では、松井ジュリナちゃんと松井レナさんはダブル松井なんて言われて2トップだったんですよ。
松井ジュリナちゃんは当時11歳だったかな。最年少でAKBのシングルの選抜に選ばれたりしてて、天真爛漫、自信満々なような感じっていうんですかね。
一方の松井レナさんはどっちかっていうと大人しい印象で落ち着いてて、ジュリナちゃんより5、6歳年上なのかなぁもあって、奔放さを許しながら影で支えてる感じもして、
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陰と陽で言ったらどっちかっていうと影のある方の女性像が好きなので、松井レナさんは気になる存在だったんですよ。
ドラママジスカ学園っていうので、四天王の劇からっていう激しいちょっとサイコパスな役を松井レナさんが演じられていて、この人は大人しいだけじゃなくて何か僕にそこしれぬ情熱のある人なのかもしれないって急にすごい注目度が上がって、
演技力もそのグループアイドルの子たちの中で頭一つ抜けてるなぁってその時思ったんですよね。
松井レナさんのその意外性とか魅力について語りだすと長くなっちゃうので、この辺にして新刊小説ルイルイはどういう話かっていう話に移りますね。
松井レナさんのルイルイは5つの短編からなる連作短編小説です。
連作短編小説とあっさり言ってしまいましたが、それぞれ独立した短編なのかなと思いきや繋がっているっていうところにこの小説の一つの読みどころがあり、
帯にはたくらみと書かれていますが、そのたくらみがだんだん明らかになっていく面白さがあります。
一つ目の小説は、今年中に席を入れたいと思うっていう彼のプロポーズの言葉で始まります。
今年中に席を入れたいと思うっていう言い方が絶妙だなぁと思って、結婚しようとか結婚したいとかでもなく、
そして今年中に席を入れるのはどうかなっていう提案でもなく、すごく一方的で事務的っていうか、今年中というスケジュールの切り方もなんか仕事っぽいじゃないですか。
それに対して主人公の鞘、小さい夜と書いて鞘と呼ぶんですが、鞘さん23歳は夕食時ですっぴんで色あせたヘア着を着てて、
リップクリームすら塗ってなくて、髪を一つにきつめにしてて、なんで今こんな大事なことをこんな私に言うのかなって思っているわけですよ。
そんなシーンから始まるこの小説は、この出だしだけでも優勝しているっていうか、オタク用語で言うところの優勝してるですね、まさに。
すごいわかるなぁと思って、彼からしたらですよ、多分彼は30歳なんですけど、ものすごく意を決して言ったと思うんですね。
テレもあるからそこはさらっとみたいな戦略もあったかもしれないし、いきなり言っても段取りとかも準備も必要だから、
年内に適限もちょっと余裕を持たせてねっていう、それが彼女にとっては味気ないとか、
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今このリップさえ塗ってないきつめの私に言うかねみたいなね、そういうギャップ、この後鞘さんはプロポーズされたわーいって感じは全然なくて、
ずっとモヤモヤしているんですよ。モヤモヤしているだけの短編とも言えるかもしれない。
友達にはリッチブルーだねって言われたりするんですけど、多くの人が結婚ってわーいって感じのことは、もしかしたら一瞬か、
あまりなくていいのかな、この人でいいのかなって迷ったり、誰に行ってどんな段取りでみたいな、段取りを考えるだけでブルーみたいなね、
どっちかっていうと暗い作業が多かったりするんじゃないかなと思ったりしました。
こういう恋愛のこの人好きだなーっていうキラキラした部分って実は一部分で、
そうじゃないない名を松井レナさんは割と淡々と無駄のない会話と描写で書かれていて、そこがすごく才能ある方だなぁと思いました。
それでこれは連作短編集ですよって言ってしまったんですけど、途中までは繋がった話だと私も気づかず読んでいて、
この人はこの人で、このあだ名がなるほどってなるんですよ。
ぜひそこも楽しみに読んでいただけたらと思うんですが、皆さんも誰でも大抵何種類か呼ばれ方があると思うんですよね。
学生時代の友達か会社関係の人とかそういうこともあると思うし、恋人からとか家族からとかもあるでしょうけど、
私にもバタヤンと呼ぶ人とリエちゃんと呼ぶ人とか、いろんな呼び方をする人がいて、呼ばれる呼び方によっても自分の人格が異なるというか、
平野圭一郎さんでいうところの文人主義ですよね。異なる自分があだ名、呼ばれ方によって顕著だなぁと思ったりしました。
それがこの短編集のちょっと面白い仕掛けのところです。
今日はこの類々の中の5編の中からお気に入りの1編「ちぃから神売れ!」をご紹介したいと思います。
ちょうど良い距離感の、どうとでもなれちゃうが相手って、いるだけで自分に自信が持てて安心できるから。
これはちぃちゃんの女友達の言葉なんですが、ちぃちゃんは、ちぃさんははじめ先輩という好きな人がいて告白をするんですよ。
でも彼には、俺特定の人と付き合わないようにしてるんだよねって言われて振られてしまうんですね。
なのに彼はちぃを家に呼んだりとか頭を撫でたり、いい感じにつかず離れずな関係を続けていこうとするわけです。
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この誰かと深い関係になりたくないってはじめ先輩の言い分はひどいなとは思うけど、わからんでもないというか、
さらにそれを解説したのが先ほどの友達の言葉なんですね。
そうだな、恋愛ってなんでなんでって聞いついつ迷ってしまう感じとか、なんでって聞いてよくわかんない言葉が返ってきたり、
自分自身もなんでと聞かれてもうまく説明できなかったり、そんなことが恋愛だったかもしれないなぁと思ったりしました。
このちぃさんはHYの366日の歌詞にあるような、「それでもいい、それでもいいから、今から来れる?」ってマイルドが来たら嬉しいし、
もう振られてるんだけど今日も会いたいっていうね、ぜひ音楽をかけながら重ねて読んでくださったらいいなと思うんですけど、
ちなみにこの小説の中のちぃと先輩が家にいるシーンでは、スピッツのチェリーがラジオから流れてるんですね。
愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよって、今ちょっと歌おうとしたけどやめときました。
さて今日はそんなところでお時間になってしまったので、また来週お会いできたらと思います。最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、いろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
みもれのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。おやすみなさい。おやすみ。