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足首ゲスト
アドビのソフトウェアでPantoneのカラーライブラリーが有料になったとデザイン業界で話題になっています。
アドビのイラストレーターやフォトショップなどでSwatchという色のパレットがあって、そこに標準で入っているPantoneのカラーパレットがあって、そこから色を選べるんですが、このカラーパレットを使うのが有料になったということなんですね。
Pantoneが提供するPantone Connectというプラグインを使ってPantoneに課金するんですね。月額15ドルです。
アドビクリエイティブクラウドのコンプリートプランは月額6480円なので、それにプラス2200円されるのは結構大きいですよね。
これまではアドビがPantoneにライセンス料を払っていたけど、ライセンス料などの折合がつかなくなって交渉決裂してPantoneが個別にユーザーからお金を取る形になったと言われています。
じゃあそのPantoneのカラーパレットってそんなに重要なの?という疑問が出てくると思います。
Pantoneはアメリカの企業でデザインがデジタル化される前からあります。
Pantoneの色見本帳という印刷物があって、その中から色を選んで何番の色と指定すると、印刷屋さんがそのPantoneの何番という色の印記で印刷してくれるわけですね。
そうすると見本帳と同じ狙った通りの色が印刷されるので便利だと。
そういう仕組みを作って標準化したわけですね。
どこの印刷会社でもPantoneの何番で印刷してと言ったら同じ色が出てくると。
この仕組みは印刷物だけでなくファッションや製品デザインにも使われています。
ちなみに日本ではDICというところが同じような仕組みを提供していて、DICの方が一般的です。
正式にはDICなんですが、DICと呼ぶ人も多いです。
DICの色見本帳があって、AdobeのソフトウェアにもDICのカラーパレットが標準で入っています。
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デジタルでデザインする場合、モニターの色と印刷物の色は全く同じにはならないですし、合わせるのも難しいんですが、
PantoneとかDICとかの色見本を、印刷物の色見本を見てこの色を使いたいと。
色見本の数字で選んで、Adobeのイラストレーターとかで色を指定すれば、
モニターで見える色は関係なく、印刷した時には色見本で見ている色と同じ色が印刷されるので、とても便利なんですね。
ちなみにアナログでデザインしていた時代は、印刷屋さんにここはこの色ですと指定するのに、色見本をちぎって貼り付けてたんですね。
なのでPantoneとかの色見本は切り取り線があって、ちぎれるようになっています。
なので消耗品なんですね。
Pantoneのカラーパレットがデザイン業界では重要そうだぞと思ってもらえたかと思います。
でも実は多くのデザイナーにはあまり使われていないと思います。
いわゆるフルカラー印刷というのはCMYK、Cyan, Magenta, Yellow, Blackの4色の印記を使うんですね。
光の三原色のRGBでテレビやパソコンのモニターなどがフルカラーで表示できるのと同じように、
色の三原色のCyan, Magenta, Yellowで印刷物はすべての色を表現できます。
ただCyan, Magenta, Yellowを掛け合わして作った黒は、くっきりした黒ではないので、
黒はだいたい文字に使われたりとか重要な色なので黒は黒色の印記、ブラックの印記で印刷するんですね。
で先ほど説明していたPantoneとかDICのカラーパレットで指定した色は特色と呼ばれて、
その色の別な印記で刷られるわけですね。
なのでフルカラーのデザインにさらにPantoneの色指定をしたらCMYK4判+特色1判で5判刷られる。
5回刷られるということになります。この刷る回数が増えれば当然コストがかかる。
なので通常のフルカラーの印刷物、雑誌などではPantoneなどの特色はあまり使われません。
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じゃあどういう時に特色が使われるかですが、まず多いのは金とか銀みたいなメタリックな色や蛍光色などCMYKのプロセスカラーって言うんですが、
プロセスカラーでは表現できない色を使う時ですね。
あと名刺とかパッケージデザインなどで色数を抑えて2色ずりとか3色ずりにして特色を使うというケースがあります。
カラーの写真とかを使わずにロゴとかイラストだけで構成するんだったらCMYKの4色ですらないで気に入った色2色でするとかすれば仕上がりの色のイメージもつきやすいですし、くっきり綺麗に印刷されるんですね。
CMYKの掛け合わせで色を表現する時は網点と言って小さい点々でそれぞれの色が重なって印刷されてすごーく拡大すると点々の集合体だけど、人間の目で見たレベルでは狙った色に見えるというやり方なので、
文字とか細い線にはあまり掛け合わせの色を使わない方がいいんですね。特色だともうその色の印記なので網点の点々ではなくベタッとその1色ですることができるので文字とか細い線に変わった色を使ってもくっきり綺麗に印刷できるということです。
Pantoneの色見本が有料化されたことで、昔のデータを開いた時にPantoneで色指定しているところが黒で表示されてしまう。お金を払っていない、契約していないユーザーの場合、過去のデータの色が見られないということが問題になっています。
ユーザーにとってはちょっとそれはないだろうと。困ってる、怒ってるということですね。制作する側はお金を払っているユーザーでも、それを出力する側、印刷する側がお金を払ってないとアウトだろうと指摘している人もいました。確かにそういうところからの混乱も起きそうですね。
意図せずに特色を使ってしまっている人もいるよねというのもTwitterで話題になっていました。単に綺麗な色見本の一つとしてPantoneから色を選んでいる人もいたりするようです。
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以前、人からデータを受け取ってそれを仕上げてネット印刷で印刷するという案件があったんですが、その時に受け取ったデータも指定してある色がなぜか全部特色になっていて、ちまちまとプロセスカラーに特色じゃないCMY系ですられる色に変換したということもありました。
あとデザイン素材として配布されているものをダウンロードして使ってみると色が特色で指定してあるというケースは結構ありますね。なんか意味があるんでしょうね。
ただ通常はプリントパックとかネット印刷に頼むときには特色は基本使わないので気をつけましょうということです。
特色の色はカラーパレットの色の右下に黒い丸がついています。その色をダブルクリックして特色からプロセスカラーに変換することができます。
最後にまたパントーンの話に戻りますが、印刷するときにこの色が特色でパントーンの何番だということがわかれば印刷所で対応できるので必ずしもパントーンが提供するカラーライブラリーを使う必要はないようです。
パントーン互換のカラーパレットを配布している人も出てきています。なので過去のデータを開くときにはパントーン純正のパレットがないと困りますが、今後データを作っていく上では必ずしもパントーンの純正のパレットが必要ではないということみたいです。
今回は以上です。