イラストレーターの生成再配色の機能
イラストレーターの新機能の生成再配色の記事を書きました。
生成再配色は、生成AIの技術を使った機能で、Adobe Fireflyでも使うことができます。
記事は技術評論者の技表JPに掲載されているので、見ていただけると嬉しいです。
今回は、イラストレーターの生成再配色の機能を紹介するというより、その記事を書くにあたっての考え方的な話をしたいと思います。
Photoshopの生成AIを使った生成塗りつぶし機能について、技表JPに書いた記事がそこそこ読まれたので、次はイラストレーターの生成再配色の記事をという話になっていたんですね。
ところが、英語版のイラストレーターのβ版にはこの生成再配色の機能が搭載されていたんですが、日本語版にはなかなか入ってこなかったんですね。
結局先日、Adobe Fireflyが正式版になりましたというタイミングで、イラストレーターのβ版ではなくて正式版にこの生成再配色の機能が搭載されました。
Photoshopの生成塗りつぶし機能について書いた記事は、羊毛フェルト作家・立体造形作家のハットリミドリさんの作品写真を元にしたところがポイントだったんですね。
もちろん本人の許可を取って掲載しました。
ハットリさんの作品は羊毛フェルトで作ったキャラクターだけをただ写真に撮ってるのではなく、セットを組んでミニチュアなども使って世界観を作った上でカメラマンの人が撮影してるんですね。
セット作りにハットリさん以外のスタッフもいたりとかチームで作ってるんですね。
その作品が生成AIとの相性が良くて、ちゃんと羊毛フェルトっぽかったりミニチュアっぽかったりする画像をAIが生成してくれるところが面白いんですね。
なのでハットリさんの作品をお借りして、作品っていうのは写真、画像ですね、をお借りして生成AIでいろいろ実験してみたというところで他にはないような独自性の高い記事に仕上がったと。
ある程度手応えもありましたし、それなりに見ていただけた記事になりました。
なのでまずはイラストレーターの生成再配色でも同じようなことができるかを考えました。
生成再配色はイラストレーターで扱えるベクターデータの色をまとめて変える機能です。
写真のようなビットマップデータではなくベクトルデータなので、もちろんハットリさんの写真は使えないです。
イラストや漫画を書く人はビットマップのペイント系のアプリで書く人が多いんですが、ベクターデータでイラストレーターなどで書く人もいます。
ベクターデータで作品を作っているイラストレーターの人の知り合いで思い当たる人はいたんですが、
その人の作品の色を生成再配色で変えたところでネタとしてのバリエーションはそんなになさそうですよね。
またその人が作品作りの中でAIによる配色を使っていると誤解されたり、色を変えるのは簡単なんだと思われるのもその人にとっては良くないなとも考えたりしました。
なのでイラストレーターの作家さんの作品ありきで考えると、ただ素材を借りてきてこちらでいじるよりも、作品を作る過程においてこの生成再配色がどう使えるかを記事にするといったアプローチじゃないとダメなんだろうなという結論に至りました。
そこまでお願いするのはどうかなというのと、うまくいかなかった場合のリスクも考えるとそれはないなと思いました。
そこで以前あるイベントで聞いて以来、情報発信する上で気をつけようと思っていることに立ち返りました。
それは機能紹介より使うシーンを伝える方が記憶に残るという言葉です。
これはオートマジックというポッドキャストもやっている長谷川康彦さんの言葉で、以前アフィニティのユーザーグループミーティングに行ったときに聞いた言葉です。
他にも自分の好きより相手の興味という言葉と聞き手がメリットを感じる利用シーンという言葉が3つセットでメモしてあります。
生成再配色の利用シーンの考察
この3つ同じようなことを言っていると思うんですが、いろんなツールを使ってみて、この機能すごいと思ったときに、
こっちはこの機能面白いと思って相手に伝えても意外と同じ熱量で面白がってもらえないということはありがちかもしれません。
やっぱりその相手が興味を持ってくれるような内容、相手の人がメリットを感じるような使い方、利用シーンを伝えてあげる方がいいよねというような内容を言ってるんだと思うんですが、
全くその通りだなと。今の私の情報発信でできてない部分も多いと思うんですが、この考え方に立ち返るようにはしているつもりです。
そこでイラストレーターの生成再配色の利用シーンを自分なりに考えていくと結構すんなりネタができました。
ベクターデータはビットマップデータに比べて後からの編集がしやすいメリットがあります。
ビットマップでお絵かきをした場合、元データでちゃんとレイヤー分けしていれば、ある程度後から色を変えていくことはできるんですが、基本面倒な作業になります。
ベクターデータならば、例えばイラストレーターには同じ色の部分をまとめて選択する機能があるので、そうやって同じ色の部分を選んでまとめて色を変えたりもできるんですね。
イラストレーターにはすでに前から再配色の機能があって、まとめて全体の色の感じを別なトーンの配色に変えることはできたんですね。
新機能のAIを使った生成再配色は、その再配色機能に生成AIの言葉によって指示して変えるという機能が追加されたようなものになっています。
その言葉による指示、プロンプトとして最初からサンプルとして用意されているものは、ダークブルーの真夜中、イエローサブマリン、海辺の夏、色あせたエメラルドの街などがありました。
そうやって言葉で配色を、色の組み合わせを変えていけるんですね。
じゃあこの言葉による再配色をどうやってみんな使うかなと想像して、大きく6つの利用シーンを考えました。
自分で作るのではなくて、素材集的なサイトからダウンロードして使える素材にもベクター形式のイラストも結構多いんですね。
そういうデータをダウンロードしてきて、利用したい場面に合わせて配色を変える。
そういうオーソドックスな利用シーンから始めて、グレーで作った素材に生成再配色で色をつけたら、あっという間にいい感じに色をつけてくれるのかと。
これはあんまりうまくいかなかったんですが、そういう利用シーン。
あと風景のベクトルデータの季節や時間帯をプロンプトによって変えていく。
これは結構うまくいくんですね。
あと、流行りの配色にする。Z世代と相性のいいペイパーウェーブというデザインのジャンルみたいなのがあるんですが、
このペイパーウェーブという言葉を使って配色を変える実験もしました。
他にダブルトーンという2色のインクを使って印刷するような配色に変換するとか、
カラーパレットのベクトルデータを元に配色を変えることで別なカラーパレットを作るというようなこともやって、
それなりのボリュームがある、いろんな利用シーンが想像できるような記事を書くことができました。
今回は以上です。足利浩二がお届けしました。