CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)の開発元が、クリスタに画像生成AI機能を搭載しないと謝罪したことを話題にしました。批判の声は画像生成AIに対する誤解が原因かも/日本だけ遅れちゃうという懸念はちょっと違うんじゃないかといった話をしています。
=== 目次 ===
クリスタに画像生成AI機能を搭載しないと謝罪
批判の理由はわからないでもないけど
批判は画像生成AIに対する誤解が原因かも
生成画像の著作権は自分で判断しろの意味
日本だけ遅れちゃうという懸念もちょっと違う
画像生成AIはアーティストをサポートするツール
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アシカガキャスト。
クリスタこと、クリップスタジオペイントに画像生成AIを搭載しませんと作っている会社が宣言しました。
クリップスタジオペイントは、日本の企業のセルシスが提供するペイントソフト、漫画作成ソフトです。
漫画を描くソフトの事実上のスタンダードで、プロも使っているツールです。
カラーの一枚絵のイラストを描くのに使っている人も多くて、フィクシブとかツイッターなどのSNSでイラストを発表している絵師と呼ばれるような人たちの間でもスタンダードなソフトウェアだと思います。
このクリップスタジオペイントに、試験的に画像生成AIを使った機能を導入予定と発表したんですが、それに対してすごく反発があったみたいで、画像生成AI機能を搭載しませんと発表して、しかも謝罪をしていました。
そもそも画像生成AIは、絵師と呼ばれているようなイラスト作品を作っているクリエイターの人たちからの印象がすこぶる悪いですよね。そこで画像生成AIなんか搭載するなよと、ヒステリックな反応もあったんだと思いますが、
こういう意見が寄せられましたとセルシスが発表している内容には、わからないでもない批判の理由もありました。まず、そもそも画像生成AIの学習データが元の絵の作者の権利を得たものではないよねという批判がありました。
あと、生成された画像が著作権的にokかどうかは、最終的にはユーザーが自分で判断しろというセルシスが書いていた正しがきに対するツッコミ的な批判ですね。
そういう正しがきをセルシスが入れていたんですが、これは確かにユーザーが不安になるというのもわかりますよね。でもこれに関しても、画像生成AIの学習データのことに関しても正しく意味が伝わっていない。
画像生成AIに対する誤解というものが大きいんじゃないかなと私は感じています。
03:04
まず画像生成AIがたくさんの画像から学習して画像を生成しているというのは確かなんですけども、生成している画像には元の学習した画像というものの要素は含まれてはいないんですね。
なんとなくイメージ的にいろんな画像をデータベースとしてため込んでコラージュして作品を作っているような印象を持っている人がいるんじゃないかなと思うんですが、そうではないんですね。
画像生成AIは学習した画像そのものをデータベースとして持ってすらいないですし、覚えてもいません。
この例えはまたちょっと誤解を招くかもしれないんですが、人間で例えると、いろんな作家の作品を見て影響は受けているけど、トレースしたりコピーしたりしているわけではなく、参考に人の作品を見ながらとかではなく、自分で絵を描いているというイメージだと思います。
絵を描くとか何かクリエイティブなものを作るにおいて、全く誰の影響も受けていないという人はほぼいないですよね。
人間に今まで見てきたいろんなものの中で、これとこれからは絶対影響を受けるなと、影響を受けるのは許可を得ているこれとこれだけにしろとかいうことはできないですよね。
なのでAIに関しても同じだよねと、この画像は学習していいけどこれはダメだと、そうやって分けることはもうできないよねと私は思っています。
法律的な面でいうと、アメリカではフェアユースという考え方があるので、AIがいろんな絵を学習するということが著作権侵害になる可能性は低く、それを使ったユーザーが侵害を問われる可能性も低いと言われています。
日本では2018年に著作権法が改正されて、AIに学習させるために著作物を利用することは法律的にOKとなっています。
それらを踏まえた上で、セルシスが言っていた画像生成AIで生成した画像が著作権的にOKかどうかは自分で判断しろということについて説明します。
これは、AIが生成した画像が結果として誰が見てもミッキーマウスだった場合、これは普通に発表したら著作権侵害だと言われるケースはあるよねと。
06:17
人間の場合だと、あ、これミッキーマウスになっちゃったからダメだなとか、ミッフィートに過ぎてるからダメだなと判断できますが、AIは良くも悪くもそういう判断もできないので、結果として著作権侵害になり得る画像を生成してしまう可能性がありますよと。
これは著作物の画像をコラージュして作品を作ってるからそうなってしまうという話ではなく、AIが学習していく上でたまたま著作権侵害になり得る絵を覚えてしまったあるいは偶然の組み合わせで著作権侵害になり得る絵を生成してしまうかもという話なんですね。
なのでそこの判断はユーザーが自分でしろというのは当然といえば当然な話だと思います。
これも例えとしてはちょっと強引ですが、Clip Studio Paintを使えば人の作品をベースにしてトレースして描くというのもアナログの時代に比べればデジタルだからやりやすいですよね。
でもトレースがしやすくなったからといってそれはClip Studio Paintが悪いわけではなくてユーザー次第というのと似たような話だと思います。
画像生成AIをクリスタに搭載しませんと発表された後で日本だけがまた遅れちゃうと。
日本のユーザーがAIに反発するせいでアメリカや中国はどんどん先を行ってるのに日本だけが遅れちゃうよねという意見が結構ありました。
ただこれに関してはクリスタが搭載しようとしていた画像生成AI機能はステーブルディフュージョンというアメリカの画像生成AIの技術を使っているだけだったのでオリジナルのAI技術というわけではなかったんですね。
なのでまあ良くも悪くも日本のAIの技術がどうのということとはそんなに関係ないかなと思いました。
あとクリスタは世界で使われていてクリップスタジオペイントの英語のツイッターのアカウントがあるんですが英語でのこのことに関するツイートについていた反響を見ていると
海外の人も画像生成AIを搭載しませんという宣言に対しては嬉しい良かったという反響がほとんどでしたね。やっぱり日本以外でもクリエイター界隈では画像生成AIに対する反発が多いんだなと実感しました。
09:22
クリスタを作っているセリシスとしても絵を描けない人でもテキストで画像を簡単に生成させようぜというアプローチではなくてイラストとか漫画の背景にちょっとAIを使うとかあくまでもクリエイターのための補助的なツールとしての利用を考えていたようなので
そしてどういう使い方がいいのかみんなで考えていきましょうと言っていたのにスタート時点で全否定されたというのは重い十字架を背負ってしまったような印象を持ちました。
電子書籍が世の中に出始めた頃に電子書籍は絶対出しませんと宣言した宝島社をちょっと思い出したりもしましたね。
画像生成AIの機能を搭載することに反対する声としてアーティストのためのツールを名乗っているが画像生成AI機能はむしろアーティストを苦境に追い込みその活動を阻害するというものがありました。
これに反対する意見として海外のARクリエイターとして活動しているルーカスさんという人の言葉を紹介したいと思います。
AIが人間にとって変わることはありませんがAIとの連携を拒否する人はそうでない人にとって変わられます。
これは生産性ツールであり創造性に変わるものではありませんというものです。
この方はAIを利用することによってコンセプトアートをこれまでよりも5倍早く作成できるようになったと言っていて
肉体労働的な時間が減ってほとんどの時間をクリエイティブな作業に費やすことができるようになったということらしいんですね。
まあ仕事の内容にもよりけりだろうと思いますがAIは人間の創造性を補助するツールだということですよね。
またこの方はAIをツールとして仕事することを拒むことはインターネットを使って仕事することを拒むことと同じだと言っていてこれもなるほどなと思いました。
12:07
セリシスは自社で画像生成AIを開発しようとしていたわけではないですが画像生成AIを搭載しませんと宣言してしまったことが今後足枷になることもあるだろうなと思います。
画像生成AIという言い方をしなければいいのかもしれないですね。
アドビは自社でAIの開発をしていてフォトショップにもそのAIの機能がどんどん入ってきているんですが画像生成AI的なものに関してもクリエイターに寄り添った感じでもっとうまいことをやるんじゃないかなと思っています。
今回は以上です。
12:56
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