新年早々、ワコムが広告にAIイラストを使ったということで騒ぎになっていました。ワコムからの声明にあった経緯の解説やわたしが思ったことを話しました。
=== 目次 ===
米ワコムがAIイラストを使ったと騒ぎに
ワコムからの経緯の説明
Adobe Stockのイラスト素材だった
日本では詳細知らずに批判した人が多そう
謝罪文にあればよかったと思う要素
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新年早々、ワコムが広告にAIイラストを使ってるんじゃないかということで、騒ぎになっていました。
ワコムは、ペンタブレット、液晶タブレットのトップメーカーです。
日本のメーカーなんですが、アメリカのワコムのX公式アカウントで、新年のペンタブレットの100ドルオフセールをPRする文言と画像を投稿していたんですが、
その画像に使われていた竜のイラストが、生成AIで作られたものに違いないと海外のクリエイターが指摘して、それで英語圏で騒ぎになったようで、
日本にもその騒動が伝わった頃には、その投稿はもう消されていました。
Xのヘッダー画像もそのイラストが使われたものに変えていたらしいんですが、それも今は違うものになっています。
ワコムはペンタブレット、液晶タブレットのシェアをほぼ独占しているようなメーカーで、
プロのクリエイター、イラストレーターが使うツールを提供している会社なだけに、画像生成AIで生成したそのまんまな感じのイラストを使用したことで批判が高まっていました。
で、その後ワコムが声明を発表しました。
アメリカのアカウントが英文で出していたものは謝罪文っぽかったんですけど、日本語で出していたものは調査報告書という感じのものでした。
英語の文面の方が大元で、それを翻訳しつつ日本側からのお知らせという形にしたんだと思うんですが、日本語の方はちょっと説明不足なところも多くて分かりにくいなと思いました。
英文の方が経緯としての説明とかは分かりやすかったので、それをDPLで翻訳したものと簡単な解説をつけて、ワコムの投稿にコメントしたところ、たくさんいいねやリポストされました。
インプレッション数が28.7万件、リポストが650くらい、いいねが770くらい、保存が80くらいです。
それは余談なんですが、ワコムによると直接イラストレーターに頼んで書いてもらったわけじゃなく、画像素材サイトなどから素材を購入して使用したと。
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サードパーティーベンダーを通じて購入と書いてありました。
そしてその素材を購入するときに、AIが作成したものではないと明記されているものを購入していると。
でも、完全に制作過程が明らかになっているわけではないので、使用を中止しましたということでした。
日本語の文章にはなかったんですが、英語の方では皆さんの指摘のおかげで気づくことができてありがとう的なニュアンスが入っていました。
私たちはクリエイティブコミュニティの一員であることに非常に感謝しており、
皆様からのフィードバックとこの分野における集合的な知識、集合値を評価しておりますといった内容が書かれていたんですね。
じゃあ、あの竜のイラストが本当にAI作かどうかですが、私もAIの可能性が非常に高いと感じています。
人間が意思を持って書いたとしたら、こうはならないよねというような箇所がたくさん見受けられたからです。
なので、この騒動でみんながAIだと決めつけていることへの違和感は全くありませんでした。
Wacomが投稿に使った画像というのが、タブレットの写真があって、それにちょっと被るくらいに竜のイラストが入っていて、
あと文字がシンプルなフォントで入っているというものだったんですが、そんなに立派なものではなくて、
社内でデザイナーじゃないマーケティング担当者とかが作っているんだろうなというようなクオリティだったんですね。
特に竜のイラストを切り抜いて合成しているわけですが、その切り抜きが結構雑だったので、
AIで作ったのか、あるいはフリー素材だろうなと、Wacomからの声明がある前に私は思っていました。
Wacomからの声明が出る前にフリー素材を使ったら、それがたまたまAI生成だった可能性もあるかもしれませんと、私Xに投稿してたんですが、
その後いくつか素材サイトで探してみたんですが、見つけられなかったんですね。
でも海外の人の投稿でわかったんですが、素材はアドビストックのものでした。
アドビがやってる素材サイトですね。
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私もアドビストックで探してみてはいたんですが、見つけられなくて悔しいなと思いました。
チャイニーズドラゴンカートゥーンが検索ワードの正解だったようです。
で、アドビストックで見つけた人によると、アドビストックでのAI生成かどうかのラベルがWacomの主張通りそのイラストにはついていなかったと、
AI生成じゃない画像として検索して出てくるということがわかっています。
で、多分日本の多くの人はWacomが広告にAIイラストを使ったらしいという情報しか知らないで、
どういう画像かも見ることなく批判している人も多いんじゃないかと思います。
Wacomからの声明が出る前ですが、不買運動みたいなことにもなっていましたよね。
AI生成イラストといえば日本では美少女イラストみたいなものを連想する人が多いので、
WacomがそういうイラストをAIで生成したものを使ったと思っている人もいるんじゃないかなと思います。
で、一部の人、AI推進派の人からは、生成AIを使ったことにWacomからのメッセージが込められているんじゃないかと深読みしている人もいました。
生成AIを使うときにも画像から画像をAIで生成させる、いわゆるイメージトゥイメージとか、
今流行りのリアルタイム生成とかは、タブレットを使って絵を描けたら便利なので、そういうユーザーを取り込んでいくよというようなメッセージ性ということですね。
で、Adobeの声明が出た後では、Wacomも悪いし、ツッコミどころはいっぱいあるけど、
Adobeの方が悪いよねといった意見が一般的かなと感じています。
Wacomに対しての悪い点、ツッコミどころとしては、
自分たちの顧客であるイラストレーターに直接仕事を頼まずに素材イラストを使うなよと、
イラストレーターに頼む金くらいあるだろうといった声が多いですね。
他にも、クリエイティブ業界にいながらAIイラストを見抜けないのもいかがなものかという声や、
自分の会社のタブレットを使ったかどうかわからないイラストを広告に使うのってどうなのと、そういう声もありますね。
なので、私が思うに、ペンタブレット、液晶タブレットをPRするためのビジュアルに、
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ペンタブレット、液晶タブレットを使っていないイラストを使用することで誤解を与える可能性を考慮できてなかったということを、
Wacomがお詫びしておいたらもっとよかったんでしょうね。
あとこれ、製作したのが外部のデザインプロダクションなのか、社内のデザインチームなのか、社内のデザイナーではないスタッフなのかをちゃんと説明したら、
多分社内のデザイナーじゃない人だと私は思っているので、そこを明らかにしたらまたちょっと印象が変わったんじゃないかなと思います。
アドビーストックがAI画像かどうかのチェックがちゃんとできてないよねとか、お絵かきツールのIbisPaintに生成AIの機能が搭載されたら、
批判が殺到してすぐにその機能を開発元が使えなくした話などもしたいんですが、今回の話はここまでとします。
アシカガコウジがお届けしました。
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