ベテランイラストレーターに生成AI使用疑惑があり、制作過程がわかる動画を公開したことで騒ぎが収まるという騒動について話しました。A4同人誌の表紙に使われるほど高解像度で背景透明のイラストという点だけでもAIで生成するのはむずかしいと思うのがわたしの認識です。
=== 目次 ===
ベテランイラストレーターへのAI使用疑惑
背景透明な画像を生成AIで生成できるの?
高解像度な画像も生成AIは苦手なはず
疑惑に対して大人の対応だったあらいずみさん
批判してた人が悪びれてないのにモヤっとする
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アシカガキャスト。
最近、AI疑惑というキーワードが、旧TwitterのXでトレンド入りしていました。
著名なイラストレーターの方が、作品にAIで生成してるんじゃないかと疑惑をかけられたんですが、
製作過程がわかるデータを公開することで、その疑いは晴れましたといった出来事が起きていました。
そのAI疑惑をかけられたのは、荒泉瑠衣さんという方で、ベテランの漫画家兼イラストレーターの方です。
スレイヤーズの差し絵や漫画版を担当していたことで有名なんですね。
その荒泉さんが先日のコミックマーケットで出していた新刊のイラストが生成AIを使ってると、一部の人から批判されたんですね。
その疑惑の声が上がった理由としては、これまでの荒泉さんの作風と変わっていること、そして絵柄が生成AIっぽいこと。
さらに、以前荒泉さんが生成AIを使って遊んでいたことがあること。生成AIをお遊びで使ってみて、SNSに投稿とかしてたんでしょうね。
これらの理由から疑惑の目を向けられたわけですが、絵柄がAI生成イラストっぽいという理由だけで、推測に過ぎないのになぜか多くの人が信じて、AI生成だと断言してる人も多くて驚きました。
それに対して荒泉さんは、お絵かきツールのClip Studioの元データをこういう風にレイヤー分けして描いてますよと動画を公開したんですね。
こういう風に描いてますよという裏側を、制作過程を公開してくれたので、絵を描く人にとってはすごく参考になると喜んでる人も見受けられたんですが。
ともかくそれでAI疑惑は晴れましたと、AIじゃなかったですねという流れになりました。
この荒泉さんが制作過程がわかる動画を公開して、疑惑が晴れましたという段階で、この騒動を知った人も多いと思います。私もそうでした。
それでも一部の人はレイヤー分けのデータなんて後からいくらでも偽装できるとか、みんな簡単に騙されてるけど俺の目はごまかせないみたいな信じてない人も見受けられました。
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私としてはこの疑惑の絵を見てもAIが描いたようには全く見えなかったですし、細かくレイヤーに分けられたあのデータの動画を見て偽装のためにあれを後から作ったと考えるのはあまりにも無理があるなと思いました。
このAI疑惑について、まず私が思ったシンプルな疑問としては、今の画像生成AIがキャラクター部分だけがあって背景が透明になっていて後から合成したりして使いやすい背景透明のデータを生成できるのかというのと、
今回A4サイズの本の表紙だったらしいんですが、A4サイズで使われるような高解像度のイラストを画像生成AIで作れるのかという2つの疑問です。
1つ目の背景透明については、たぶん今のところあの手のアニメっぽいけど結構細かい書き込みのイラストで背景透明で生成できるものはないと思います。
ただ背景単色というのはできるみたいなので、Photoshopとかのツールを使えば背景をきれいに抜くことはできるとは思います。
とはいえやっぱり背景と隣接している線には背景の色の影響が出てしまうので、それを合成時に調整するとか色々ありますが、
新泉さんの元データみたいに輪郭線がパキッときれいな線で背景が完全に透明というだけでもAIじゃないだろうなと感じるには十分かなと思いました。
新泉さんの動画の中には、塗りがない線画だけの状態の絵も見られたんですが、疑ってる人は後から線画だけの部分だって作れるとやろうと思ったらできると言い張りそうですが、
あれを見たら人間が手でちゃんと書いてると思うに十分な説得力だと感じました。
あと解像度の件ですが、画像生成AIでイラスト制作に多く使われているステーブルディフュージョンの場合、基本的にはサイズが512x512ピクセルです。
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でも最近8月の頭に最新のXLモデルというのが実装されたそうで、そこで解像度が2倍の1024x1024に向上したらしいんですね。
それでもA4サイズ一杯一杯のイラストだとすると、カラー画像の場合350dpiが印刷物には推奨なので、2894x4098ピクセルくらいのデータが必要になります。
イラストのサイズはA4一杯一杯ではないにしても1024でも全然足りないんですね。
AIで生成させたイラストを、これまたAI技術を使ったアップスケーラーというツールを使って高解像度化するという手順はよく使われています。
イラストは結構綺麗に高解像度化できるらしいんですが、それでも2倍とかに拡大するとAIで拡大したことによる違和感みたいなところが細かく見ると出てきたりするんですね。
なので高解像度であれだけパキッとした綺麗なデータという時点で、これはAIで書いてるんじゃないですよとアピールできると思いました。
なお新泉さんは自分で書いてるよという証拠の動画をあげるにあたっても、AIを使ってませんとは言っていなくて、あえてAIという言葉を使わずにAIの話に持っていかなかった対応が素晴らしかったと思います。
軽い感じで同人誌の表紙ちゃんと書いてるんよ、ラフからレイヤー分け、わかりやすい動画あげるねーというのが投稿しているテキストの内容だったんですね。
例えば、AIなんか使ってません、今後も使いませんと宣言するとか、今回の作品にAIは使ってないけどAIを使うこと自体は悪いことじゃないと思いますとか、自分のAIに対するスタンスとか主張を語り出したとしたらややこしいことになっていたんじゃないかと思うんですね。
多分、アンチAIな人たちはそういう議論になることを求めていたんじゃないかなとも思います。
新泉さんが一枚上手だったというか、大人な対応だったなと感心しました。
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一方で批判をしていた人が全く悪びれてないところに非常におやっとしました。
こんな騒動が今後起きないようにAIを規制すべきだとか、AIを使った作品には表示義務をとか、そういう流れになっているのももやっとしています。怖い流れだと思います。
映画にCGが使われ始めた当時に、CGを使ってるなら必ずそう表記するように義務付けろとか騒いでた人たちっていたのかなと思ったりしました。
そもそもの話として、AI疑惑とか画像生成AIを使うこと自体が悪みたいな流れになっていることがもやっとしますよね。
今回は以上です。アシカガコウジがお届けしました。
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