佐野研二郎氏デザインの東京五輪のエンブレムについて、今さらながら話題にしました。パクリ疑惑に対し、デザイン関係者が感じていたであろう違和感などを話しています。
=== 目次 ===
パクリはありえないと思う理由
デザイナーはアーティストじゃない
誰も見たことない新しいエンブレムという幻想
今でも佐野研二郎さんは活躍している
今回のまとめ
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アシカガキャスト。
東京オリンピックのエンブレムのパクリ問題について、いまさらながら取り上げたいと思います。
一番言いたいこととしては、あれがパクリということはありえないと思うということです。
2015年の7月に、佐野健二郎さんデザインの東京オリンピックのエンブレムが発表されて、
その後、ベルギーの劇場のロゴマークに似ていると、そのロゴを作ったデザイナーが指摘したんですね。
で、その2つを並べて、デザイナーやデザイン関係者で、あれをパクリだと思った人はまずいないと思います。
そもそも佐野さんのデザインしたオリンピックのエンブレムを見て、
これは今まで誰も見たことがないような唯一無二のデザインだとは誰も思わないんですね。
デザインがわかっている人だったら、こういう流れを組んだ、こういうジャンルの中にあるデザインだなと思うんですね。
音楽で言えばロックなのか民謡なのかラップなのかみたいなものです。
そしてそのジャンルの中に似たようなものはすでにもういっぱいあるんですね。
似たようなデザインが世の中に2つしかなかったら、2つ目は1つ目のパクリだと言われてもしょうがないと思うんですが、
もう3つ以上、数多くになったらそれが1つのジャンルと捉えられると思うんですね。
で、ベルギーの劇場のロゴマークですが、あれはジャンルとしては東京オリンピックの佐野さんデザインのエンブレムとは違うジャンルなんですね。
確かに使われている要素とその配置は似ていますけど、それは幾何学的な図形を組み合わせたマークですし、
アルファベットをモチーフにしているので偶然似るということはあり得ますよね。
ただ、そもそものジャンルが違うので、お互いがそれぞれのジャンルのルールみたいなのを踏襲しているので、その根本が違っていますし、
要素を配置する時のその背景にある設計思想というか、配置のルール的なもの、これも違ってるんですね。
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なのでパクリオ指摘されて会見を開いた時に、ベルギーの劇場のロゴと似ていないと主張していたのは、
そういうデザインの背景とか設計思想、プロセスが違うことが出来上がりのものを見てもわかるでしょうと説明したわけですけど、
多くの人には全く響かなくて理解してもらえなかったんですね。
あれは似てないと言い切ったのが良くなかったと思うんですね。
使われた図形の形とその配置が偶然同じになってしまったけど、それはまあよくあることですよとくらいに言っておけば良かったのかなと思います。
じゃあなんで似たロゴがあることを事前にチェックできなかったんだと当時言われていました。
これに関してはロゴが発表される前に世界各地での商標はチェックしているということだったので、
商標登録されているロゴで類似のものがないかは確認しましたと。
ベルギーの劇場のロゴは商標登録されていなかったので、そこまでは事前にチェックしきれないよということだと思います。
ちなみに当時の記事によると、世界各国の商標チェックだけで億単位のお金がかかっているらしいです。
そのお金は日本じゃなくてIOCが負担してくれているとのことです。
とはいえエンブレムを作るにあたってベルギーの劇場のロゴを参考にしてないと言い切れるのかというと、それを証明するのは難しいですね。
オリンピックという大きな一大イベントのエンブレムを作るにあたって、人の作ったロゴを参考にしてほぼ同じものを作るということはありえないと私は信じますが、
それは証明にはならないですね。
なので、じゃあもし参考にしていたらということで考えても、あの2つのロゴはデザインがわかる人が判断すれば当作とは言えないと言えるレベルの違いがあるので、
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仮に裁判とかになっても当作は認められない可能性がすごく高いと思います。
東京オリンピックのあの佐野さんデザインのエンブレムがベルギーの劇場のロゴの著作権侵害ということになったら、もう誰もロゴとかエンブレムとか作れなくなると思います。
劇場のロゴマーク以外にも、あれにも似てる、これにも似てると、佐野デザインのエンブレムに似たデザインのものがいくつか話題に上っていたんですが、
逆に言うとそれだけ似たようなデザインはいっぱいある、そういうジャンルのデザインなんだと、なんでみんな理解できないんだろうなとデザイン関係の人は思ってたんじゃないかなと思います。
当時のツイートでうまいこと言ってる人がいたんですが、それちょっと読みますね。
今回の五輪エンブレムをパクリだって言ってる人たちは、アニメキャラの顔の見分けがつかないおかんと同じわけで、子供の頃説明しても全然理解してくれないことに意気通りを感じませんでしたか。
今ほとんどのデザイナーはその状態で非常にもやもやしています。という内容でした。
あとそれとはちょっと話が違いますが、似たデザインがイコールすぐパクリという誤解が生まれるのは、一般の人がデザイナーとアーティストを混同してしまってるからじゃないかなと思います。
だからエンブレムを一般公募しようという時に、じゃあ子供たちも参加できるようにしようとか、そういうとんでもなことを言い出した人がいたのも、デザインとアートの違いをわかってないからでしょうね。
子供たちに参加させようというのは、建築の設計コンテストに僕の考えた素敵なビルみたいな手書きの絵を出品するみたいなものだと思います。
あとでプロが手を加えるにしても、そのビルの強度設計はどうするのとか、そういう話ですね。
誰も見たことがないような全く新しい斬新なエンブレムを作るというのは幻想だと思いますが、テクノロジーの進化があれば、例えば立体印刷ができるようになるとかいうことでの変化はあるかもしれないですね。
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佐野健二郎デザインのエンブレムは、オリンピックのエンブレムだけを見ると斬新さはないですが、正方形を縦3つ横3つで9個に分割してそれぞれのブロックに要素を当てはめるというモジュール形式になっていて、
要素を変えることによって展開できるようになっていて、エンブレムが発表された時にその展開するアニメーションがあって、そのアニメーションはすごくかっこいいなと思いました。
あとオリンピックとパラリンピックのマークが同じ要素でできているというところもいいなと思いましたね。
2028年のロサンゼルスオリンピックのエンブレムはちょっと斬新で、LA28の4文字で構成されていて、LAが上の段で下の段に28と入ってるんですが、
Lと28はシンプルなフォントなんですが、Aの部分のデザインが複数種類あると。アーティストやアスリートら26人がそのデザインに関わってるらしいんですが、26種類かどうかはちょっとわからないんですが、多分今のところ10種類ぐらいあるっぽいんですね。
公式サイトを見るとAの部分が一定間隔ごとに違うものに入れ替わるアニメーションになっていました。話は戻りますが、結局サノサンデザインのエンブレムは白紙撤回ということになって、それにはトートバックパクリ問題が大きかったですね。
サントリービールのキャンペーンの景品の30種類ぐらいのトートバックのデザインをサノさんの事務所が手掛けたんですが、その中のいくつかのデザインでネット上の画像を無断でそのまま使ったりトレースしたりしてるものが指摘されたんですね。ネットで誰かが見つけたんですね。
これはサノさん本人ではなくスタッフがやったことらしいですが、どっちにしてもこれが決定打になってサノさんは悪の存在だと叩いてもいい存在だと認識されてしまったんですね。
12:08
オリンピックのエンブレムに関してはパクリを認めたりすることは全くないわけですが、それでもエンブレムを白紙撤回したのはネットでの炎上がリアルにも広がって、たぶんいたずら電話とか自宅とか事務所に人がやってくるとか嫌がらせとかそういうことだと思うんですが、
身の危険とか家族や関係者に危害が及ぶことを恐れてやめますということになってしまったんだと思います。
ネット民の力によってサノケンジロウさんを失墜させたような形になっていましたが、今でもサノさんはちゃんとデザインの世界で仕事をしています。
トートバックパクリ問題が起きたサントリーとも今も仕事をしていて、サントリーの天然水やだからのCMを手掛けているようです。
ホンダツバサが出ているLINEモノCMもサノさんの事務所が作ってるみたいですね。
あと元スマップの3人による新しい地図のロゴをサノさんが手掛けていて、それは当時ちょっとネットニュースとかで話題になりましたね。
サノさんは日光江戸村のニャンマゲとかTBSのブーブ君とかKDDIのリスモとか親しみやすくチャーミングなデザインを得意としていると言われている人なんですね。
それで言うと東京オリンピック用に作ったあのエンブレムのデザインはサノさんらしさはあまりなかったので、その辺もちょっと世間に対する説得力が薄かった部分かなとも思いますね。
結局その後公募されて採用された東京オリンピックのエンブレムを作った所さんは一貫してああいうデザインを作っていた人だったので説得力がありましたよね。
まあいろいろ話してきましたが、あの白紙撤回になったサノケンジロウデザインの東京オリンピックのエンブレムがパクリだというのはデザインに関わっている側の人間からするとありえないと思うし、
15:04
あの二つの間で盗作だというのが成り立ってしまうのであれば今後誰も怖くてロゴデザインとか作れないよねということを多くの人に理解してもらえたらいいなとそういう思いで話しました。
15:27
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