2025-11-21 45:40

#78 かつてのパソコン少年が達成した半導体研究【UJA論文賞2025受賞 伊藤さん 前編】

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2025年11月のアメゴーは「UJA論文賞コラボ」の1ヶ月。海外日本人研究者ネットワーク(UJA) が企画する「UJA論文賞」(@uja_award)に関連したゲストをお迎えします。


第3週目は、UJA論文賞2025で特別賞を受賞された「伊藤剛輝」さん(https://sites.google.com/prod/view/takeki-itoh/home

)をお招きし、受賞された半導体開発に関する研究を1から解説していただきました。


受賞研究の詳細はこちら


UJA論文賞【2025/11/30〆切】

https://cheironinitiative.wixsite.com/uja-award


UJA

https://www.uja-info.org/


🗽トピック🗽 

科学への興味の原点/半導体の基礎知識/ UJA受賞研究/結晶生成の難易度/ブレイクスルー/応用と実生活への影響/ UJA論文賞の意義

サマリー

このエピソードでは、伊藤さんが半導体研究の重要性や、長いキャリアを経てUJA論文賞を受賞するまでの過程について話しています。また、半導体の基本概念やその応用についても詳しく説明しています。伊藤さんは、彼の少年時代からのパソコンへの情熱が、半導体研究の道につながった経緯について語ります。特に、酸化ガリウムと質感ガリウムという材料に焦点を当て、これらが半導体技術にどのように貢献しているかを解説しています。このエピソードでは、伊藤さんが半導体研究で達成した業績と、ガリウムやシリコンの役割についても触れています。特に酸化ガリウムを使用した新しいトランジスタの開発が、軽量化や効率化に大きく寄与することが強調されています。かつてパソコン少年だった伊藤さんが、半導体研究の重要性について言及し、UJ論文賞を受賞するまでの道のりを共有しています。特に、自動車業界における半導体の不可欠な役割と、国際的な研究者ネットワークUJAの影響についても言及しています。

伊藤さんのキャリアの概要
アメリカンナイトGOLD。 アメリカからこんばんは、NAKAMURAです。この番組では、アメリカ研究留学4年目を迎えた私、NAKAMURAが、ゲストとお話ししながら、アメリカ留学の魅力を再発見し、大きな新たにおすわけすることを目指しています。
ラジオネーム、ADAM30さんからお便りをいただきました。ありがとうございます。 こんにちは、古川大井さんの回、前、中、編配置をしました。
古川さんの波乱万丈な人生や生き方のスタンス、とても面白く聞かせていただきました。 検索してみたら、チーム未来の方、そういえば、選挙の時にホームページでお顔を拝見した記憶があります。
行政実務や法制、法案作成、データ分析やシステム開発、金融機関での波乱万丈、必ずしも順風満々とは言えない状況を行動力で突破してきたお話は、とても痛快でした。
次の後編もとても楽しみにしています。 さて、聞きながら印象的だったこと、それはコロナの記憶です。
あの頃、医療現場の状況はある程度報じられていましたが、もう一つの最前線である厚労省で何が起きていたかは、ほぼ見聞きすることはなかったと思います。
まさに戦場のような当時の厚労省の話に、コロナ禍の日々を思い出しながら、とても興味深く聞かせていただきました。
とはいえ、100年に一度の大きなパンデミックの記憶も時間とともに薄れていきます。
僕らが体験したバブル時代が実態とかけ離れた伝え方をしていますし、二つの震災の記憶も次第に遠くなっていきます。
コロナ期の記憶も体験した一人一人が正しく伝えていかなければ、当時よく見た大げさなコロナ対策のネタ動画が当時を象徴してしまうかもしれません。
バブル後のディスコ・ジュリアナがバブルの象徴になってしまったように、今が時代の大きな流れのどこにいるかはわかりませんが、
今を生きているから、どんな形でも経験と教訓を後世に語り続けていかなければならないと改めて感じました。
脈絡なく長くなりました。
精のフィードバックになっているといいのですか。
では、これからの配信も楽しみにしています。
アダムサーティさん、ありがとうございました。
今回僕はLAにいたということは出てないんですけども、僕も前中半は聞いたんですよ。後半はまだ聞けてないなと。
で、古川さん僕も知ってて、好み焼きパーティーしたのかな、一緒に。
好み焼きパーティー。
アジア圏のスーパーに一緒に車で連れて行ってもらって。
Hマート行って。
Hマートだ。確かその時、古川さんすごいフレンドリーな方で、僕あれだったんですよね、理系だと思ってたんですよ、ずっと勝手に。
で、そもそも第1話で確か東大邦楽部って言ってて、この人文系だったと思いながら、全然知らなかった、この人のこと知らなかったなと思いつつ。
だけどすごいフレンドリーで、本当に親しみやすい人だったんで、そういう人だからこそ多分個人的にはやっぱ政治家とか、一般市民って言っちゃ悪いですけど、僕らみたいな一般市民の人が意見を言いやすかったり、親しみやすい人っていうのがそういう政治家になっていってくれたらなっていうのはすごい思ってました。
まあやっぱり同世代っていうのもありますけど、あと厚労省であんなに、正直想像はできてないんですけど、寝る間を惜しまずというか、すごいストレスだったんでしょうし、そういうのがパンデミックの裏にあったんだなっていうのは、いつかドラマにしてもいいんじゃないかなっていうくらいの内容だと思いますけど。
すごい後半もまだちょっと聞けてないですけど、後半も楽しみにして聞いてみようかなというふうに思います。
この1ヶ月面白かったですね。クレイジーキャリアっていう感じで、すごいネーミングが良かったです。
なかなかクレイジーキャリアの人がアメリカにいるっていうのは、それもアメリカの面白さかなっていうのは思いますね。
11月の雨後はUJA論文賞コラボ。私も所属する海外日本人研究者ネットワークUJAが企画するUJA論文賞とのコラボで、この賞に関連したゲストをお迎えする1ヶ月です。
3週目は学年UJA論文賞を受賞された伊藤さんをお迎えして、UJA論文賞首相研究について伺っていきます。
今週もよろしくお願いします。
アメリカンナイトGOLD
改めましてNAKAMURAです。
それでは今回のゲスト伊藤さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まず簡単に伊藤さんの自己紹介をお願いします。
半導体の基本的な理解
私フルネームは伊藤武貴と申します。学位はPhDインマテリアル、材料科学の研究をしていました。
神奈川県出身で東院学園という、大阪東院ではない東院があるんですけど、高校を卒業して東大理科1類、その後専攻は応用科学ですね。
その後に東大修士も同じ応用科学専攻を卒業して、その後はソニー、当時はソニー株式会社と言いますかね、今ソニーグループ株式会社になりましたけども、
半導体研究開発本部、R&Dの仕事をしていました。
その時はディスプレイの研究開発を、半導体とかプロセス開発などをして、3年後にUCサンタバーバラの博士校に入学をしました。
早いことに5年間経って博士校を通って、今シュリコンバレーにあるApplied Materialsという会社で半導体装置の開発をしています。
もともとやっぱり科学に興味があったんですか?
科学、主に理科ですね。科学に進んだのは、科学に興味があるんですけども、でも科学のどこに興味があるかというと、
半導体というか、趣味はPC。自作PCみたいな、非常にやる人が少ない趣味なんですけども、
パソコンの部品を買ってきて自分で組み立てるのが好きだったんですけど、実はお金があまりないとできないので、
学位自体はやらなかったんですよね。社会人になってから自分でPCを注文したりはしていました。
へー、すげーな。なんかゲーマーの人とかよくやるイメージがありますけどね。
ゲーマーのPCを、ゲームもすごい工具圧縮でできるPCを組んでるんですけど、特にゲームはしてなくて。
ベンチマークだったり、このパソコンはすごいですというのを追求してるだけで。
たまに最近、運がいいのか、GPUがAI回せたりするので、AIやるという面目でまた部品を買い集めたりしてますね。
そうか、自分で作ればGPUとかCPUどんどん乗っけられるんですね。
そうです。特に今はすごいマニアックな話になってくるんですけど、最初に電源ユニットみたいなのがあって、それが1000Wぐらい、電子レンジぐらいの電源なんですけど。
ちゃんとした品質の電源を買うと、GPUでも今最高ランクのNVIDIAのRTX5090とかに詰めます。
ガチ勢ですね。
まだちょっと触りのくらいしか話してないんですけど。
確かにお金かかりそうな趣味ですね。
そうですね。お金はかかるんですけど、逆にGPUとかはかなり値段が持つ。価値が保たれるというか。古くなってもそんなに価値が落ちないので。
そうなんだ。
そういうのを売っちゃって、また新しいの買っても大丈夫みたいな。
金みたいな感じなんですね。
金よりは金並みみたいに値上がりはしてないんですけど、そんなに値上がりもしないです。
面白いな。
需要が高くて。
じゃあ結構リユースもできるんですね。
そうですね。自分があまり酷使しなければリユースは可能です。
GPUとかがんがんAIの学習させたりすると、またGPU自体も悪くなる。
消耗するみたいな。
消耗するって感じですね。
そういうパソコン系と応用科学っていうのは何か関係があるんですか。
科学とパソコンってなんだろう。
パソコンをつなぐのは半導体と思ってたんですけど、
科学の専攻に入ると大体大きく分かれると2つなんですけど、
我々が高校生の時にやる無機化学と有機化学なんですよね。
有機化学が薬であったり鉱物子ポリマーであったりとかですね、
素材の開発とかになりますけど、無機の場合は2つは方向としては半導体があります。
無機化学というよりは半導体材料の合成であったり、
作るプロセスを最適化したり、あるいは新しい半導体材料を追求したりするのは、
ある意味無機化学の分野で、
さらに日本の旧世代にありがちなんですけども、かなり奥深い研究を追い求めていて、
そこは結構アメリカと違うなと思っているところなんですけども、
半導体材料というのは追い求めると固体物理にたどり着いたり、
非常に半導体が作動する原理であったり、新しい半導体の使い方というのは、
今は私の指導教官が教えているのは物性論ですね。
固体物理物性に近い部位になります。
難しいな。
科学といって物理寄りの科学をやっていた人たちになります。
そもそも半導体って何なんですかね。
そうですよね。
いや、俺もよくわかってないですけど。
世の中には導体と絶縁体がありますけども、
導体は我々がよく知る銀とか銅とかですね。
電気をよく流すものが導体で、
絶縁体というのは一般的には電気を流さないものを指していて、
それが何かというと、
実の周りにあるプラスチックであったり木材とかコンクリートとかですね。
それは電気を流さないということにはなっています。
ゴブとかもですかね。
そうです。
ワンピースとかのイメージだとなんか。
情報処理とその仕組み
プラスチックとか有機系のものは結構電気を流さないということになってるんですけども、
でも実はですね、決して電気を流さないものというのは存在しなくて、
雷というのをご想像していただくとわかるんですけど、
雷というのは天空の雲の間と地面の間に非常に高い電圧がかかった状態で、
その時に電気が通しやすい場所を探して、
勝手に車に例えば金属だったから雷が落ちてきたり、
あるいは濡れた木のところに雷が落ちてきて、
そこにたまたま電気を通しやすいパスで、
そのパスとは湿った空気。
通常では電気を流さないと考えられたものに電気が通るようになりますと。
その半導体というのは普段は電気を通さないんですけども、
ちょっと電圧かける。
例えば1ボルトとか2ボルトとか電圧をかけると電気が通るようになって、
しかもこれはノベル賞になってるアメリカ人、
ショックレイさんとかが発明したトランジスタという、
21世紀最大の発明になりますが、
半導体と絶縁膜と電極を組み合わせると、
引火した電圧に応じて電流を制御できるようになります。
イメージとしては我々が蛇口をひねったりすると、
流れる水が多くなったり少なかったりすることを電流で、
電子阻止でできるようになりましたと。
それが今の我々の情報産業といいますか、
iPhoneであったりAIだったりをなすもの全ての基本になりますね。
そうなんだ。その電流の力を変えることによって情報、何て言うんだろうな。
情報処理です。
情報処理が変わってくるんですか。
簡単に言いますと、今我々が使っているPCとかは、
0と1が並んでいる二神星の数データを使って処理しているんですけど、
それは半導体のデバイスでどうやって処理しているかというと、
電流を流さないときは0、電流を流すときは1というスイッチみたいな役割をしていて、
これによって流れてきた情報が0か1かを判断して、
それで論理回路を組んだり、YESかNOかANDかかつかまたはみたいな、
簡単な論理回路がまずこの4つの要素があって、
それで様々な情報を処理して、その上にまた色々アーキテクチャがあって、
Intelとかが使っているX86アーキテクチャであったり、
iPhoneとかAppleチップM1、M4とかに使われているARMのアーキテクチャであったり、
パソコン少年の成長
そういう命令セットみたいな、こういうふうに仕事をしてくださいというのを電子デバイスに与えて、
それがデータを読み取って、我々に目の前にこういうふうになりましたという結果を表示してくれますね。
難しいな。難しいけど基礎中の基礎なんですね。
そうですね。我々の生活に一つのiPhoneの中に入っているチップ、例えば今のiPhoneの17ですね。
買いましたよ。
買いました。いつもは買ってないです。iPhone16です。
その中に何十億のトランジスタが入っていて、
それで情報を処理しますと。
そうなんですけど。そういうのって大学入ってから興味を持つものなんですか?
私はそういうのを興味を持つのは割と早い段階で、小学生後半ぐらいですね。
もう10歳とか9歳とか。
きっかけは何なんですか?
時期は時期で、私の頃はゲーム機は買ってもらえないんですよね。
勉強しなさいという家だったので。
でもゲーム機を買ってもらえないんですけど、パソコンは勉強するから買ってもらえるんですけど。
パソコンを買ってもらえるんですけど、パソコンでは勉強しなくてパソコンでゲームをします。
パソコンでゲームはするんですけど、ゲームをすごくスムーズにやるとか。
このゲームをやるのにこのソフトウェアパッチが必要であったり。
全ての動機は小さいところだったので、ゲームをスムーズにやりたいから出発して。
その時はパソコンがすごい貧弱の性能だったので、このCPUをもっと早くしたいなとか。
グラフィック表示のGPUをもっといいパッチを当てて、このゲームでスムーズに動けるようになって相手に勝てるとか。
そういうとこからやってる過程がすごい面白くて。
なので当時のパソコンの雑誌とかも買ってですね。
そういうインテルっていうのがかっこいいことしてるなっていう憧れみたいな。
そうなんだ。じゃあ小さい頃からパソコン少年だったわけですね。
パソコン少年だったんですね。
いじくってたんですか?小さい頃から。
小さい頃でやったこととしては、メモリを増設したりするくらいですね。
買うお金はないので、誰かがいらないっていったメモリとかを持ってきてパソコン開けてさせると
別ロージングが速くなったみたいな。
そういうのも当時すごく楽しかったなという思いでありますね。
ちょっと脇道にされるんですけど、当時ハマってたゲームで覚えてるタイトルとかってあったりします?
全部覚えてますよ。
全部覚えてます?何特にやってたんですか?
特にハマったのは、Age of Empiresっていうマイクロソフトが出してるゲームだったんですけど。
Age of Empires 2ですね、一番流行ったのは。
それは中世紀とか、古代の文明を使って、
例えばですね、古代のイギリスのブリテンとか、スペインとか、フランスとかですね、
そういう文明を使って、歴史上の事件を再現したマップで戦ったり、
Age of Empiresに指示を出して、
そのPC時代のゲームなので、キーボードとマウスがメインなんですよね。
あとは、今はスタークラフトというゲームがあるんですけど、
このゲームは今も特に韓国で人気で、
でもですね、韓国でプロリーグの試合が開催されて、
もう多分3十年ぐらい経ってるんですけど。
そうですね、初めに出たのが98年とかみたいですもんね。
そうです、そうです。ちょうど僕は小学生ぐらいなんですけど、
このゲームもかなり私に影響を与えてるのは、このゲームとにかく難しいんですよ。
昔、PCと対戦するって、
大昔ってPCはすごく弱いっていうか、
プログラムされた動きしかしてこないので、すごく勝ちやすいんですけど、
このゲームは一番簡単な、イージーなレベルで、
もう小学生の私はどうしても勝てなかったんですよ。
なので、おどたになってからまたやり直したり、
プロリーグの試合を見ると分かるんですけど、
1分間の操作は200から300個必要で、
試合開始から10秒以内にやることと、
20秒までにやらなきゃいけないこととか全部決まってて。
じゃあもうスピード勝負ですね。
そうですね、スピード勝負ですし、戦略とかもかなり必要で、
このゲームのすごい難しいものが、
自分の今後の人生に結構影響しているのもあります。
半導体研究の概要
すごいな、初めて聞いたな、
化学物理系の人の幼少期の話は初めて聞いたかな。
生物系だったら虫捕りとかして、
生物に興味持ったとかは結構ありきたりですけど。
いやいや、確かに虫捕りとかはしてたんですけど、
生物はあれですか?
いや、生物はやっぱり臓器とかにやるのも怖いので、
高校1,2年くらい一周終わったらもうちょっといいですっていうか。
それでPHDの話はまた後半でお伺いするんですけど、
PHDの時に出された論文が、
今回UJ論文賞で抽象されたということですよね。
ちょっと僕発音ができないんですけど、
そもそもSIシリコンとか。
そうです、シリコンですね。
これのちょっとこの論文、
一応アブストラクター読んだんですよ。
ありがとうございます。
全然わからなかったので、
この概要をめちゃめちゃ簡単に説明してもらってもいいですか?
そうですね、先ほどNAKAMURAさんもおっしゃったように、
私UJの総会で発表させていただいたんですけど、
ありがとうございます。
ちょっとわかりやすい説明を心がけますと、
まずですね、
私はどうしてこの半導体材料をやっているかという話がありますけども、
名前はですね、ベータ酸化ガリウムという。
酸化ガリウム。
ガリウムは今ちょっと話題を浴びているんですけど、
レアアースの一つで、
日本でもかなり貴重に使われているんですが、
ガリウムという元素はですね、
非常に日本にもゆかりが深いと言いますか、
ノーベル賞のちょっと10年前ほどですね、
2014年、物理学賞とNAKAMURA修司先生と赤崎先生と天野先生が受賞された
青色LEDに関してなんですけども、
それはですね、酸化ガリウムではなく、
質感ガリウムをベースに作られています。
そうなんだ。
はい。当時化合物でできる半導体の中で、
有力とされていたのが、また別の元素なんですけど、
ジンクセレンという。
聞いたことないな。
ジンクか。
はい。セレンとは、
亜鉛の化合物がジンクセレンというのが有望とされていたんですけども、
それとは他に別にですね、質感ガリウムという化合物がありまして、
それはそうですね、天野大学であった赤崎先生と天野先生、
あと当時日和科学部だったNAKAMURA修司先生が着目された材料で、
この材料がですね、後で非常に性能がいいことが判明しまして、
後に青色LEDの発明に至りますね。
今回私がやっている材料は、
質感ガリウムのほかにですね、酸化ガリウム。
ちょっと別の材料になるんですけども、
この材料は別の観点で面白くて、
その材料も日本人の研究者の方ですね、
私が卒業したUICサンターバーバルは、
質感ガリウムの研究も非常に盛んだったんですけども、
東脇本高という先生がですね、
当時UICサンターバーバルに留学して、
その後日本に帰国されたすぐぐらいですね、
酸化ガリウムという材料が、
パワー半導体という応用にできるのではないかということを発見しました。
当時はですね、この酸化ガリウムは電気は流さないとみんな思っていたんですけども、
でも実はですね、シリコンを転換すると非常に良いパフォーマンスを示す、
先ほど言ったトランジスタを作れますよということを発見しました。
なのでそこから結構この研究が爆発的に伸びていて、
かつもう一つのアドバンデージとしては、
この酸化ガリウムは我々が日常ではあまり触れないんですけども、
結晶というものを、例えば石英であったり、サファイアであったり、
宝石みたいな感じですね。
綺麗な宝石、ご覧になったことあると思うんですけども、
だいたいですね、この化合物を宝石に、
綺麗な結晶に作ることは非常に難しいことがよくあります。
先ほど例に挙げました、
地化ガリウムというのは単結晶といいますか、
その綺麗な結晶を作ることは非常に難しくて、
今でも何十年、二十年、三十年、この研究がされているんですが、
以前としては安価といいますか、低いコストで、
綺麗な結晶を作ることは未だにまだできていないんです。
ダイヤモンドみたいにいかないものですか?
いかないんですよね。
地化ガリウム、材料化学で層図といいますか、
異なる層がどの状態、どの温度、どの気圧で存在するかを表示する層図というのがありますけれども、
この地化ガリウムの難しい点は、
一般的に我々が想像する、
結晶を作るってまず液体があってですね、
それを冷やせば結晶が作れるんじゃないかという、
水から氷を作るとか、
とりあえず溶かして素人物を除去して、
じゃあ綺麗な結晶できるじゃんというのは我々のイメージなんですけれども、
この地化ガリウムというのは、
普通の大気圧ではですね、液体が存在しないんです。
液体を吸い飛ばしているんですよね。
そうなんだ。
もちろん数万気圧をかけると、
液体は存在するんですけれども、
蒸気圧では、我々が生かす分には、
加熱をすると普通に気化します。
気体になって飛んでいきます。
なので、想像するような液体から結晶を生成することは不可能なんですよね。
でも逆にこの酸化ガリウムというのは、
普通に蒸気圧でも液体として存在できるので、
ちょっと温めてですね、レーザーでして、
また常温に戻したり冷やしたりすると結晶ができます。
鉄に似たらどうするんだろう。
そうですね。鉄に似たり、他の鉱石、サファイアとかに似ていますね。
サファイアもちなみに酸化物で。
サファイアってあれ何なんですか?
サファイアというのは酸化アルミニウムです。
アルミニウムか。
化学物質としては酸化アルミニウムで、
そこに不純物がちょっと合えるときれいな色を示すようになって、
青だったりとかですね、エメラルド色であったり、
添加する元素によってちょっと変わってきますけども、
実用化と未来の展望
非常にきれいな結晶ができます。
それと似てるものが酸化ガリウム。
酸化ガリウムも同じように結晶ができます。
この結晶に関しても日本の会社が早期に発見したといいますか、
実現をしまして、田村製作所さんだったんですけども、
今は会社名が変わりまして、
ノベルクリスタルテクノロジスという会社が主に開発をしています。
それを使って半導体を作ったことになりますか?
そうですね。
例えば日本の会社さんが提供してくれたきれいな結晶の上に、
新しい結晶マークを作りたいとなったときに、
私たちが使っているのはUCサンダーバブルで、
結構世界一の設備と研究能力を持っている、
ここに書いてあるモニクラービームエビタクシーという、
分子線エピタキシ法の原理
日本では分子線エビタクシーという装置を使います。
原理としてはかなり簡明で、
ガリウムを温めて蒸発みたいな感じで、
なのでその分子線を飛ばします。
酸素は酸素でプラズマを作って、
それをガリウムの分子と反応を出せるとガリウムができます。
なるほど。
めっちゃちっちゃいビームが出せるようなシステムがあるんですね。
はい、そうですね。
半径としても1センチか2センチくらい、
2センチくらいだと思いますけれども、
それくらいの大きさのセルというか、
1000℃くらいに温める。
陽光炉とか想像されるとわかると思うんですけれども、
丸5つの中にガリウムを入れて、
その周りを1000℃くらいまで温めると、
ガリウム分子が飛んで出てきて、
それが先ほど言っていた酸化ガリウム結晶の上に到着すると、
今度は酸素プラズマとくっついて反応して、
ガリウムと酸素がくっつくと酸化ガリウムになるという、
非常に簡単な反応になりますね。
なるほど。
このすごい予算を獲得したというふうに書いてあったんですけど、
それも含めてですけど、
この研究のすごさというのはどこにあるんですか?
ここは装置を立ち上げることにもありまして、
その他に先ほど言った丸5つみたいなセルなんですよね。
最初の論文のシリコンを酸化ガリウムに添加すると、
非常にパフォーマンスのいい電子デバイスができましたという報告があって、
実はこの分子線エピタキシ法でシリコンを添加することは、
やや難しいという観問がありまして、
シリコンは非常に酸化されやすいという特徴があります。
我々がシリコン自体を目にすることはないんですけども、
砂って実は酸化シリコンなんですよね。
地球上のほとんどの土とか砂っていうのは。
そうなんだ。
海でとか行くとちょっとたまに黄色い砂に混じって、
キラキラしてるようなものもあったりと思うんですけど、
そういうのは割と綺麗めな結晶だったりします。
なので酸化シリコンというのは地球上にたくさん存在していて、
シリコン自体も半導体産業の基盤はシリコンなので、
かなり多く出回っていますけども、
特性としては空気に置いておくと、
すぐに表面に酸化シリコンという膜ができます。
空気だけじゃなくて、
もし私がやっているような研究だと、
分子線液タッキ子のチャンバーと言いますか、
非常に大きな容器の中に、その中を真空にして、
真空にすることによって、
他の不純物、半導体、酸化ガリウムにとって
必要ない物質を必要な限り除去します。
その中で酸素を入れますので、
円の筒の中にあるシリコンは、
すぐに表面が酸化膜に覆われていくんですよね。
酸化膜に覆われると、
シリコンという単体としては出てこなくて、
せいぜい酸化シリコンという分子になって飛んでくるぐらいです。
欲しいのはシリコン自体なんですよ。
酸化シリコンはいらないですね。
酸化シリコンに飛んでこられると、
酸化ガリウムの中に、
酸化シリコンのままで存在して、
要はそのシリコンが、
平易に言うとミートというか、
引きこもりみたいな、
何も働かないんですよ。
酸素で塞がれていて、
何もしないし何もできないということになります。
なのでシリコン単体に飛んできてほしいから、
このセルの上にバルブを追加します。
バルブを追加することによって、
容器の中に充満されている酸素を、
できるだけセルに入らないようにします。
そうするとシリコンが、
シリコンのまんまで表面がきれいで、
それで外に出てきてもらって、
酸化ガリウムと反応すると、
ちゃんと連動性を発揮する電子を、
シリコンから出してもらって、
それで電気をよく流すようになります。
働くシリコンがガリウムの中に、
うまく混ざってくれるんですか。
ガリウムの中に混ざるんですか。
酸化ガリウムの中に、
結晶というのは原子と原子の間に、
電子が結合、橋渡しみたいな感じで、
みんな手を組んで結晶を作っている。
なので酸化ガリウムの中に、
どこかでシリコンがあると、
シリコンって外角電子が4つあって、
ガリウムは3つなんですよね。
本来3つしかないと思っているところに、
4つ持っているシリコンが入ってくれると、
電子が1個余るようになって、
この電子が自由電子と呼ばれて、
自由電子が電気電力を担うんですよね。
建属が電気をよく流すのは、
自由電子がいっぱい泳いでいるから、
よく電気を流します。
反動体は普通は電気を流さないんですけど、
こういうふうにちょっと不純物、
他の電子をいっぱい持っている原子を連れてくると、
そこに自由電子が現れて、
電気を流すようになります。
まさにサファイアの例を始めされていましたけど、
酸化アルミニウムの中に、
色が付くような不純物が入ることによって、
宝石が出来上がるみたいな感じで、
酸化ガリウムの中に反応性のシリコンが、
働いてくれるシリコンが入ることによって、
反動体が出来上がるみたいな感じですか。
そうですね。
そういうデザインって、
把握から考えてやるんですか、
それとも色々試した状態でやるんですか。
4つで自由電子を生み出すために、
予想が立てた段階で、
こういう実験ってやるものなんですか。
そうですね。
反動体の研究の歴史は、
割と結構長くてですね。
なので、こういうふうに、
ガリウムと何かを、
例えば酸化ガリウムであっても、
地下ガリウムであっても、
ガリウムに置き換わる元素が、
元素使用企業で分かっているので、
3属のガリウムに置き換わる4属のものを、
連れてくれば、
基本的には自由電子が生み出されるようになります。
ただ、ガリウムとサイズが違う原子を連れてきたりとか、
あるいは、原子を引き寄せる力が違う元素を持ってきたりとか、
するとですね、またそれで特性が異なります。
なので各、例えば3属のガリウムだったら、
4属のシリコンでも、
ゲルマニウムでも、
何でもいいというわけでもないんですよね。
ベリリウムも実は4属なんですけども、
ベリリウムが使われることはほぼないですね。
大体、元素使用企業で近いところから持ってくると、
良いことが多いですという、一般的に。
ただ、理想はこういうふうに、
この元素とどこの元素を組み合わせても、
作る方法がなかったりするのも、
我々の研究で、どうやって克服をするかとか、
いかに綺麗に不人物のない、少ない、
あの傾斜を作るか。
私のかなり、東大時代といっても、
このイリシス・サンタパーバルでも、
よくやられていた課題と言いますかね、
研究テーマです。
半導体の特性と役割
じゃあ実際、今回作られた新しい半導体と言いますか、
トランジスタと言いますか、
それを使ったら今後できることがあるんですか?
そうですね。
あの実例が身近にあるので持ってきます。
本当にそんなに身近にあるんだな。
充電器なんですよ。
この中にも実は半導体があります。
この中に半導体があるんですか?
マジか。知らなかった、それは。
これが私のMacBook Airに付いてきた
30Wの充電器なんですよね。
これはですね、半分くらいの大きさなんですけど、
これは65Wなんですよ。
なので半分の体積で性能は2倍のものがあります。
なぜかというと、
こちらはシリコンをベースにできたトランジスタを使っていて、
こちらは名前が見えるかわからないんですけど、
GANって書いてあって、
ガリウムナイトレード、地下ガリウムですね。
地下ガリウムでできた半導体なんですよ。
なので地下ガリウムを使うと、
トランジスタの大きさが小さくても同等の性能であったり、
より高い性能を実現するようになる。
というのがパワー半導体の一番のアドバンテージといいますか、
研究のゴールになります。
どんどん小さくなってくるんだ。
そうです。小さくて軽いもの。
だって我々の充電器結構重いんですよね。
重いですよね。
例えば、私昔がかなりショックだったんですけど、
大学院入学祝いに、
当時はウルトラブックという薄型ノートPCを親に買ってもらったんですよ。
でもそのPCに付いてくる充電器がこれぐらい、
1キロ以上あって、
本体よりも重くて、
なんだこれはと思ったことがありますね。
当時はまだ誰もパワー半導体とかやってなくて、
でも実際にこの十数年、
地下ガリウムを研究されている方が
進歩としてこういう小さな充電器もできるようになります。
面白い。知らなかった。
そんなところに半導体がいるとは。
そうですね。
もうちょっと短ではないんですけど、
電気自動車にもかなり影響していて、
例えばテスラのモデル3とかは、
地下ガリウムではないんですけど、
半可計算のパワー半導体を使っています。
ちょっと値段は高いんですけど、
サイズが小さくて、
重量が軽いんですよね。
しかも効率が良いので、
例えば同じ電池パックを積んだら、
比較したことはあるんですけど、
同じぐらいの電池パックでニッサンリーフよりは、
約20%ぐらい長い距離走れます。
そういうところで、
軽量化であったり効率化であったり、
進めるのがパワー半導体ですね。
そうか。
今後そういうのがどんどん増えていって、
軽量化だったり、
逆に長距離移動ができるようになったりするんですね。
そうですね。
極端な話、さらに今のデバイスよりも、
例えばこういうチャージャーですね。
でもまだ大きいんですよね。
我々が10年前に買ったiPhoneの、
iPhone5とかiPhone4とかですね。
その時のチャージャーってこれなんですよね。
すごく小さくて、
別に邪魔にならなかったり、
全然気にならなかったんですけども、
そういうものも今後できてくるのが望ましいかなと思います。
なるほど。
今回この発表がUJ論文賞。
UJ論文賞と未来展望
この発表はUJ大会、
4月でシンシナティでやられたやつで発表されたんですよね。
オンサイトで。
自分はもうUJは医学が中心で、
しかもイニアナ州で、
中西部が中心の組織で、
論文賞は今まで自分とは関係なかったという思い込みはあったんですけど、
よく今回この機会を通してですね、
我々JASとしてもこれを機会にですね、
もっとUJ論文賞というものを周知してもらえたら
と思っていましたね。
JASってスタンフォードの日本人コミュニティですけど、
伊藤さんの半導体研究
そこの人たちって生物以外の人多いっすもんね。
やっぱり圧倒的に薬学、医学が多い感じがしましたね。
留学も、
これはこの後のNIVにも関連する話だと思うんですけど、
留学ということに関して、
やっぱり流れができてる分野とできてない分野ってあるんですよね。
例えばUCSFの方は多分、
UCSFに来たら日本人のBIがいて、
日本人のポストブックがたくさんいて、
それで流れがあまりみんなつないでるって言いますか、
先輩がいるとかそこに日本人の方がいるとかで、
そこを拠点というか飛び石みたいな感じでつないでいけるんですけど、
例えば半導体分野でやったりすると、
もう天才しかしてなかったり、
UCサンダーバーバーに関しては、
中川修司先生がいらっしゃるんですけど、
それでも他に日本人のBIの方はいらっしゃらなくて、
半導体分野ですね。
しかも日本人のポストブックの方はいらっしゃるかというと、
いらっしゃる状況だったんですよね。
なので私がUCサンダーバーバーの材料科学という、
非常に半導体が強い専攻団ですけども、
そこに行ったのも8年ぶりとかの日本人ので、
なので流れができない昔ですね。
そこら辺も後半でお伺いしつつ、
これを聞いている、
科学系、物理系、どんな分野の人でも、
あれですね、えってUJの無償ってちょっと打ち込むだけでできるんですかね。
私たちとは3,4時間はかかりました。
でもまあ、
申請書は、
簡単に出ているという感じですね。
この論文がどういう重大さがあるかとかですね。
アメリカで、
私たちの分野は、
論文書というものがあまりなかったんですよね。
論文に対して賞を出すのではなくて、
小学禁とか小霊賞みたいのは、
学会から出るんですけど、
学会に行かないと別途、
充電タワーだとかペーパータワーとかもらえないんですよね。
なので、論文単体に対して賞を出すのは、
かなりいい意味があると思います。
というわけで、
ここまで伊藤さんのUJ論文賞抽象研究について、
伺ってきました。
ありがとうございます。
正直、論文読ましてもらって全然分からなかったんですけど、
この話を聞いて、
分かった気になったのと、
めちゃめちゃ身近に、
半導体ってどこにでもあるんだなっていうのが、
UJA論文賞の紹介
そうですね。
ちょっとびっくりしましたね。
ほぼ身の回りで、
何かの機能をしているもので、
電子機器であれば、
確実に半導体が入っていると思います。
そうなんだ。
よく世間で半導体不足とか言われてますけど、
パソコンとか携帯に使うだけだろうと思ってたんですけど、
確かに、
こんだけ使われてたらもう、
切れないですね、半導体。
実は3年前とか2年前とか、
コロナの時に、
サプライチェーンのコーナーで半導体不足になったんですけど、
実は半導体で、
何が困ったかというと、
車業界ですよね。
車業界で、
USB接続のソケット、
表示のディスプレイだったりが、
足りないんですよね。
でもそれも半導体で、
ちょっとした電源ポットみたいなのも、
全部半導体が入っていて、
振るえないと納車ができなかったり、
USB接続ができない車が出荷されたりとかですね。
そういう風になってました。
そうなんだな。
そういうところにも使われてるって。
意外と細かいところでもかなり使われていて。
頑張ってもらわないといけないですね、伊藤さん達。
最後にUJA論文賞についてお知らせさせてください。
海外日本人研究者ネットワークUJAは、
海外で活躍する若手研究者を支援するため、
UJA論文賞により優れた論文を
発表した日本人研究者の表彰を行っています。
研究分野への貢献度が高く、
専門分野の枠を越えて広く伝わる価値を持ち、
科学的好奇心を強く引き付ける研究に対して重視されます。
分野は取りません。
過去2年間に発表した論文がある方は、
ぜひエントリーしてみてください。
締め切りは11月30日です。
ここまでの相手はNAKAMURAと伊藤でした。
また来週。
45:40

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