00:09
ビルドアップローカル、番組ナビゲーターの常田幸永です。
この番組は、30年のスポーツ界でのキャリアを経て、現在は地域金融機関に勤務している私が、
これまでの経験とゲストの皆様とともに、スポーツを通じて街を豊かにしようという番組です。
さて、今週もJリーグ・鹿島アントラーズの社長、鈴木秀樹さんにお越しいただきました。
鈴木さん、どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
では早速なんですが、今週は、鈴木さんに鹿島アントラーズが取り組むスタジアムビジネスについてお話を伺いたいと思っています。
まずスタジアムビジネス、これを推奨しているきっかけですとか、またなぜスタジアムビジネスが今、クラブにとって必要なのか、
この辺りをお話を伺いたいんですが、よろしいでしょうか。
これはですね、2006年に国の制度が変わったんですね。
公共施設が自ら運営する、あるいは第三セクターで運営するというものから、民間事業者にお任せしてきちんと収益を上げて、
その代わりかかっているコストを少し削減しようじゃないかという目的で始まった制度なんですが、
なかなか大規模のスタジアム系は、指定管理者ってなかなか手を挙げるところがなくて、
当初、初年度から手を挙げたのが、Jリーグで鹿島アントラーズ、プロ野球で千葉ロッテマリーズ。
よくこの2つはいろんなところに事例紹介で呼ばれていって、話させてもらっています。
なるほど。スタジアムの指定管理を獲得するというのは、サッカー界ではアントラーズが先駆けであったということですね。
そうですね。
今ここで取り組まれているスタジアムビジネスということの具体的な話をお伺いしたいんですけれども、
フィットネス事業ですとか、それから医療、クリニック、この辺がメインで2つ取り組まれているということをお伺いしました。
そうですね。まずは基本的にサッカー専用スタジアムというのはですね、非常に日常の使い勝手が必ずしも良くないですよね。
多機能にできているわけではないので、そういう意味で我々は一つ考え方として、
我々にとって一番大事なものはフットボールだよねっていう、このフットボールを支えるために他のことをやるんだっていう、ちょっと逆説的な言い方なんですが、
大事なものを守るために他をやってフットボールビジネスを支えるために、一つノンフットボールビジネスという考え方で、
スタジアムを使ってフットボール以外のビジネスでフットボールを支えましょうという考え方に立ったんですね。
03:00
その時にいろんな事業は考えられるんですが、やはり地域貢献型、前回先週もお話ししたように地域との関わりって非常に大事なので、
一つは地域医療だとか地域の健康だとかに資するものが一番フィットするんではないかということで、
いろいろ研究したりいろんな助言をいただいたりして、まずはフィットネス事業、地域の健康で、
ご存知の通り鹿島って凄く街灯が無かったりですね。
夜中歩いている人たちにウォーキングするにもあまり適していない地域、車社会、危険だしというところで安全に歩ける場所を提供したり、
ジムを作ったりということでスタジアムの一角にそういう整備をしたところ、意外にニーズがあったと。
今やウォーキングスタジアムのコンコースを歩くウォーキングのメンバーが2万人を超えてますので、
会員登録がですね。ということはやっぱり健康に対する意識って非常に高いんだなということが分かったので、
その方々の意見を聞いているうちにやはり医療、メディカルに対する要望が非常に強くなったというところがあったんですね。
そこが二つ目の理由かなというところと、
皆さんこれチームドクターって抱えてます。
チームドクターって日本の医療制度の中でなかなか簡単じゃないんですよね。
常駐で雇用するというのが難しい。毎日毎日ドクターがいるわけではない。
非常に大変な中でプロクラブって運営していくんですけども、
そこの中で常駐のドクターを特に我々鹿島から、
筑波田とか東京のドクターのところに通うという作業は非常に大変だったので、
クラブのドクターのリソースを地域の人たちに提供する場所を作ればいいんじゃないかというところで、
我々がドクターを複数雇用して地域医療を提供しながら、
クラブの選手もきちんと見れるという、今まで莫大なコストをかかっていたものを、
コストをそこで稼ぎ出す仕組みを作ってみよう。
それが結果地域医療に貢献できればいいなというところでスタートしたんですけども、
最初は結構大変でした。
でも7年経って非常にうまく回ってきていて、
特に地域のクラブ活動をやっている子どもたちが、
スポーツドクターの視点で回復させて競技に復帰させるというところが一番の目的なので、
普通の正規外科のドクターの皆さんとは少し考え方が違うので、
特に3年間で答えを出さなきゃいけない部活をやっている中学校、高校の子どもたちって、
そこに欠ける思いが非常に強い。
少し怪我したから休みなさいってザクッと言われてしまうと、
今まで詰め上げてきたものは何だったんだろうということになってしまうので、
少しでもやっぱり大会に出られる環境を作ってあげるということで、
ドクターの診断があって、
PTですね、フィジオセラピストの献身的なリハビリというのをやって復帰させるという、
06:00
いわゆるプロスポーツ選手がやっていることを地域の皆さんにどう還元できるかというところが、
うまくはまったのかなと思いました。
アントラーズが保有するメディカルのノウハウ、
それが地域医療に対してすごく貢献しているということですね。
なるほど、素晴らしいですね。
そのクリニックには選手も通ったりとかしているんですか?
ドクターがスタジアムに常駐しているので、
クラブハウスが部員みたいになっていて、
そこで遠隔医療もできるし、
必要であれば来るしというところで非常に距離が近くなっていて、
もちろん今まで以上に選手のサポートケアもできるようになったということと、
複数のドクターがローテーションで入ってきてくれるので、
メディカルチームの一層もすごく良くなったかなということが言えますね。
地域の人にとってもチームや選手をますます身近に感じることができるという、
そういう施設でもあるわけですね。
そうですね。ですから、我々は医療事業者ではないので、
アスリートメットという別な会社さんと組んで、
医療事業をスタートしているわけですけれども、
やはり非常に他のチームからも注目されていて、
例えば熊谷にあるラグビーのワイルドナイツのパラソニックの、
あそこにも今併設をして動いているし、
今度来年4月にはセーブライオンズのボールパークの中にも、
同じようなメソッドのクリニックができているというので、
とにかくスタジアム、いわゆる箱があって、
チームのメディカルを提供するという仕組みそのものは非常に良い仕組みなので、
多分うまく回せばどこでもできるのではないかな、
ニーズとしてはありかなというふうに思いますね。
鹿島モデルですね。
そうですね。
素晴らしいですね。
分かりました。ありがとうございます。
そしてですね、美樹さん、スタジアムの話が今出ましたけれども、
スタジアムテックという呼び方で、いろんなテクノロジーを導入されて、
デジタル化というのも進められているという、こういう話ですけれども。
そうですね。これは特にコロナによってですね、
急速に進んだのが非接触型の入場方法。
今までもやろうとしてきたんですが、なかなかできなかったですね。
これがやっぱりコロナで急速に皆さんの理解が進んだので、
QRコードで入場するとか、キャッシュベースだとか、
人の手を返さないというところの理解が逆に進んでくれたのかなと思っていて、
地域社会のことを考えると、スタジアムってどうあるべきかというと、
少し先の未来を体験していただく場所だというふうに思っていて、
キャッシュレースだとか、次は顔認証、決済というところに
それが広がっていけばよくって、そこを年に20試合ぐらいあるのかな、
そこでファンの皆さん、地域の皆さんが将来こうなるんだっけっていうところを
体験するっていうことが大事で、
それとあとはそこをお手伝いいただく企業の皆さんも、
そこでPOC回せるっていう実証化に向けて、
いろいろとトライができるっていうことが大事なことかなと思っているので、
スタジアムはテックもそうなんだけども、
09:01
少し将来、先を見せる場所っていうラボ的な位置づけがあるのかなと。
我々も新しいスタジアムを作りますっていう発表はしているんですが、
この新しいスタジアムに向けて、今こんなスタジアムが求められているって、
実験をたくさん重ねられるってメリットもあるので、
今労働力もすごく足りなくなってきて、試合運営ってすごく大変ですよね。
その辺をどう削減していくとか、セキュリティの問題もそうなので、
Wi-Fiの4万人同時接続が可能なような施設も入ってたりするので、
テック、それから非接触であったり、エンタメであったりっていうところが
少し先を見せられるような場所に変わってきつつあるかなっていう、
取り組みをしようと思っていますね。
デジタル化のいわゆる実証実験。
そうですね。
新しいスタジアムに向けてのこの辺の取り組みを今やられていますね。
顔認証までいけるといいかなと思っていて、
特にシルバー層の人たちがどんどんどんどん増えてくるわけであって、
やはり顔認証で一回認証しておくと、後々やっぱり楽なことが多くなってくると思うので、
今、NECさんと我々は顔認証の導入実験をたくさんしていますけれども、
それが早くファン全体に行き渡るような仕組みができると、将来につながるかなという気はしています。
なるほど。わかりました。ありがとうございます。
本当にスポーツだけの施設ではなくて、地域に開かれたコミュニティとしても活用されているということですね。
しかも収益性も兼ね備えた取り組みということで、さすがアントラズだなというふうに思います。
今週はですね、鹿島アントラズの鈴木副社長にスタジアムビジネスについてお聞きしました。
来週も鹿島アントラズのまちづくり会社について、鈴木さんにお話をお伺いしたいと思います。
ひできさん、本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
常田幸永がお送りしているビルドアップローカル、本日はここまでとなります。
次回も鹿島アントラズの鈴木副社長により詳しくお聞きしたいと思いますので、皆さんどうぞお楽しみに。
番組の感想は各媒体のコメント欄か、Xでハッシュタグビルドアップローカルをカタカナでよろしくお願いいたします。
お相手はビルドアップローカル、番組ナビゲーターの常田幸永でした。
それではまた。