1. 100円で買い取った怪談話
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2022-03-09 19:01

#59 飲んだら乗るな【プロの怪談】

※今週の怪談には1部不適切な表現がありますのでご注意ください※

今週はプロの怪談をお送りします。
今週お話しいただくのは朱雀門出さんです 。当番組のために、まだどこにも出していない実話を語ってくださいました。その軽妙な語り口をお楽しみください。

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次に、怪談作家の宇鶴氏家太郎です。
今回は、特別企画としまして、プロの怪談作家から買い取った怪談話をお送りいたします。
ご登場いただくのは、鈴木文二鶴さんです。
鈴木文さんは、2009年、第16回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞され、
門川から観光の《混雀機械録》でデビューされました。
その後も、精力的に執筆を続けられ、実話と創作の両方の分野で活躍されています。
代表的な著作としては、実話怪談の農程怪談シリーズがあり、
昨年観光された最新刊にして6作目の第6農程怪談が好評を博しています。
また、鈴木文さんは、語りにも力を入れておられ、
怪談ライブやテレビ等でご自身で取材した実話怪談を披露されています。
今回も当番組のために、まだどこにも出していない怪談を語ってくださいました。
その軽妙な語り口をお楽しみください。
お話の中に、
絶対うだかんねーというようなことを言われたんですけども、
誰ってわからなかったらいいんちゃうかと思うので話そうかなと思う、
そういう話なんですけども、
ある方に一意を置きます。
イニシャルでもなんかちょっと蹴取られたらいかんかなというのをちょっと僕思ったので、
もうある方としておきますけども、
そのある方なんですけども、
お酒飲みなんです。めっちゃお酒好きで。
で、住んでおられるのが郊外なんですね。
車があるじゃないと行き帰りできへんような、そういう場所で。
で、周りにコンビニとかもないんですよね。
だから買って家飲みとかもやりにくいと。
なんかちょっと足りひんから買い足すとかそんなのがもうできひんようなところやから、
家で飲むの割と不便なんやと。
で、家で飲んでてもなんかしょうもないって言われるんですよね。
だから店で飲むのがもうそもそも好きなんです。
だから店で飲んであるんですけども、
でもさっき言ったように車じゃないと外に出らへんようなところに住んであるから、
車で行くあるんですよ。
で、今はもう代行運転っていうのを知ったから使ってるけど、
当時知らんかったから飲酒運転したかったんですよ。
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行って飲んで、で車で行って車で帰ってたんです。
だからこれ言うとあかんという話なんですけどね。
でもあのある日ですね。
もうさすがにその人でも運転できへんわっていうぐらいに飲んだ時があったんですよ。
もうなんかものすごく調子良かったんですね。
で、楽しくてもうめちゃくちゃ飲んだと。
で、これはもう無理やろと。
歩くも無理やでんから操作できへんわと。
なんかそういう判断ができたんですよ。
で、というかね、それよりね、横になりたいと思ったから。
だから車のとこまで行ってね、
もう後ろの後部座席に入って、
なんかね、すごい開けにくかったんですけどね。
なんかもうそれは酔ってるからやろうなと思うけども、
なんかぐっとベリベリみたいな感じで後ろに入って、
で、寝たんです。
で、ずっとぐっと寝てたんですけどね。
で、なんかもう蒸し暑い感じで、
もうわが車だからなんかちょっと臭いし、
もう言って足でボーンってもうドアを蹴ってですね、
もう開けたんですね。
で、もう開けっぱなしで、
なんかちょっと気持ちいいやんと外の空気があって思いながら、
で、いつしかこのほんと寝たかったんです。
で、まあ酔いも覚める頃というか、
もう朝なって起きたんですよ。
起きたら運転席に人が座ってるんですよ。
で、うわーと。
で、もう見たらそれ自分の車と違ったんですよ。
何これと。
すいません、すいませんって言うんですけど、
何の反応もなくて。
で、もう2日で頭痛い感じもあり、
寝ぼけてる感じもあるけども、
でも、もうその一方からかなりね、
アドレナリンが回ってちょっとはっきりしてきたんですけど、
それね、死んであるんですよ。
実は。
で、え?
これ何やと。
で、よう考えたらなんかね、
窓のところなんかね、
粘りというかね、貼ってあるんですよ。
で、自分も後ろのとこですけど、
なんか貼ってガムテープか何かそういうので貼ってあって、
ところを履いてて、
それね、なんかガス自殺というかレンタル自殺というかしてて、
で、うわぁと。
これ外出てみたら、
もう全然知らん人の車なんですよ。
に間違えて乗ってて。
で、もちろん警察でやっぱりね、
読んだって言ってました。
で、自殺屋というのは分かったけど、
お前なんでこんなとこ入って寝ててんの?
いや、めちゃ酔っ払ってたんです。
という散々でも事情聞かれて、
散々疑われたけど、
でもこれは自殺で間違えて酔っ払って入ったというのが
分かってもらえたみたいで。
だから、犯罪者にはなってへんのですけども、
でもですね、そこ、その場所ですけども、
自分が車止めたとこと全然違うんですよ。
店を離んでむしろ反対側の河川敷で、
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なんでわざわざそこに行ったんかっていう。
で、多分もうそこに入らんかったら、
もうそこ何日も放置されるような、
結構ヤフーみたいなところだったから、
その自殺した人が自分の死体発揮してほしかったんかな、
とちょっと思ったんですけど、
でもですよ、よく考えたら、
それガス自殺ですからね。
それたまたま扉を開けて寝たけど、
もう一回ちゃんと閉めて寝てたら、
その人も死んでたかもしれないですよね。
でもこれ、見つけてほしかったというより、
道連れほしかったんちゃうかと思うと、
ゾッとしたっていう。
今回語っていただいた、
すざくもんいずるさんは、
ご自身で様々な怪異体験を収集されているのですが、
発表されるその話は、
不気味さが際立つものが多く、
今回のお話もそんな一辺だったと思います。
酔っていたとはいえ、
一晩の間、狭い車中で自殺死体とともに過ごしたという体験者の、
それに気づいたときの驚きはどれほどだったでしょう。
しかも、一歩間違えれば、
自分もそのまま命を落としていたかもしれないのです。
語りの中で、自殺者が自身の死体を見つけてもらいたいがために
彼を呼んだのではないかという推測と、
道連れにするために呼んだのではないかという推測の
2つが提示されていましたが、
私は後者、道連れにするためという意見を取ります。
自ら死を選ぶ人の精神状態は、
普通の人のものとは全く違います。
悲しみや絶望、無力感にとらわれ、
生を放棄したその状態は、
私たち常人には理解の及ばぬものです。
そういった人は、
自分本位な考えに陥りがちのように感じます。
電車への飛び込みにしろ、
自宅での首吊りにしろ、
どこでどのようにしのうと、
多かれ少なかれ、
全く無関係の人を巻き込んでしまうことは避けられません。
その人がそうすることで、
誰かが何らかの迷惑をこむるのです。
しかし、死ぬと決めた本人は、
それを気にすることはありません。
いや、気にしないというよりも、
気にしている余裕がないと言ったほうがいいでしょう。
それどころではないのです。
死を選ばざるを得ないくらいに、
心身ともに追い詰められているのですから。
そのような心理状態は、
命を絶った後も続くのかもしれません。
死は先のわからぬ道への旅です。
一人より二人のほうが心強いというもの。
だからこそ、その自殺者は、
死での旅路の道連れを求めて、
誰かを呼んだのでしょう。
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それにたまたま幸をしてしまったのが、
この話の体験者である彼だったというわけです。
彼はその時、極度の命停状態でした。
歩くのもままならないほどだったと言います。
ここに、彼が死者の声にならない声を聞き、
言われるがまま、自覚のないままに、
その車に乗り込んでしまった理由があります。
この番組の解説でも何度かお話ししていますが、
酒に酔っている時というのは、見えない世界と、
頭の中の回線がつながりやすくなっている状態にあることは間違いないでしょう。
酒を飲むと、死者が見えるようになったり、
霊死ができるようになったり、
未来を予知したり、
といった経験談は、さまざまな方から聞いたことがあります。
また、シャーマニズムにおける巫女や鬼闘士らは、
特殊な植物や菌類から生成した幻覚剤を摂取することにより、
トランス状態に陥ります。
いわゆる、神がかりというものです。
そうすることで、別の世界と更新するのです。
このトランス状態と酒による命定状態は、非常によく似ています。
文化人類学者で薬学博士でもある、
古吉田周二先生は、酒の起源をたどると、
幻覚剤に行き着くとおっしゃっています。
つまり酒は、古代のシャーマニズム文化の中から生まれたのです。
今回のお話の体験者は、たまたまその場所で、
その時間に命定状態になっていたために、
自殺者の呼びかけに体が反応してしまったのでしょう。
タイミングがピタリとあってしまったわけです。
これが、その言葉通り、死者が誰かを呼んだことにより、
それを脳で受信した人が、何となく呼びかけに応じてしまったのか。
それとも、命定することにより、普段とは全く違う感覚が働いて、
死者が死ぬ直前に抱いた強烈な感情を鋭敏に感じ取って、
それに惹かれていってしまったということなのか。
そのあたりの流れはわかりません。
いずれにしても、彼が迷うことなく、
その車に乗り込んだことは確かなのです。
みなさんも、お酒を飲む際は、くれぐれもお気をつけて。
ところで、今回のお話は、本来は公の場では語られないお話でした。
津作文さんは、体験者から、誰にも言うなと言われていたのです。
実話としての会談を集めていると、
表には出せない話というのが入ってくることがあります。
あまりに恐ろしいからとか、語ると恐ろしいことが起きるからといった理由で語れない、
書けないというものももちろんないわけではありませんが、それはごくごく稀です。
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表に出せない理由で最も多いものの一つに、
体験された方自身がそう希望されたからというものがあります。
私たちが集めている簡易な体験談のほとんどは、ごくごく詩的な話になります。
その中には、世間に開示されたくはないようなものも当然含まれてきます。
例えば、大切な人を亡くした悲しい記憶にまつわる話。
このような話の場合、それを他人に触れられたくはないと思うのは無理からぬことでしょう。
体験された方の悲しみがまだ癒えていないのであれば、それは当然のことであり、
その体験談を赤の他人である私たちがどうこうすべきではありません。
また、その人の他人には知られたくはないはずべき過去についての話も、
後悔を差し控えるよう頼まれることがあります。
それも最もな話です。
そういった理由で、書けない、話せない話を私もいくつか持っています。
たまに人から、テレビやライブなどでは話せない会談を聞かせてくださいと言われることがあります。
テレビやライブで語れないほど恐ろしい話を期待しての言葉なのでしょうが、
そういう話は滅多にあるものではありません。
テレビやライブで語れない話は、どこであろうと語ることはできないのです。
そしてもう一つ、その話を披露できない理由があります。
取材した怪異な体験を会談として語るかどうかを判断する際は、
その話自体が持つインパクトだけではなく、
その話の周辺にある事情も考慮に入れておく必要があると私は考えています。
つまり、その話の中に社会通念上好ましからざる部分が含まれている場合は、
本人からの許可を得たとしても、こちらで自主規制して公開を差し控えるということです。
何かを盗もうと忍び込んだ建物の中で体験した怪異とか、
誰かを車で引き逃げした後に怪異に見舞われた話とか、
そういったものはまず使うことはないでしょう。
もっとも、今までそこまで悪質な行為が含まれる話を取材したことはありません。
もしそのような話を聞かされたときは、相手に自主することを勧めるかもしれません。
ただし、そういった話の場合、そこで行われている問題行為が何年も前のことであり、
法的にも既に事項を迎えているのであれば、個人を特定できない形で披露することはあります。
今回の話の場合、もう過去の話であること、
体験者本人が今では代行運転を使っており、今後は飲酒運転をしないであろうことを考えれば、
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個人を特定できない形で公開しても構わないと私も判断します。
飲酒運転の場合、アルコールの血中濃度と呼気濃度が明確に基準化されています。
時間が経ってしまうとそれを測れなくなり、飲酒運転の事実を証明することはできません。
事故を起こしていればともかく、それがない場合、
たとえ本人が過去の飲酒運転を悔いて警察に出頭したとしても、
それを裏付ける証拠がないため立憲は難しく、検挙されることはまずないでしょう。
その点も、この話を開示して良いと判断する一つの要件となります。
もちろんこれは飲酒運転を正当化しているのではありません。
検挙される可能性が限りなく低いとはいえ、事故さえ起こさなければ酒に酔って運転しても良いということでは決してないのです。
この話の体験者が事故を起こさなかったのは、ただ単に運が良かっただけです。
酒に酔っていなくても事故を起こしてしまうことはあります。
酒に酔っていればその可能性が格段に上がることは言うまでもないでしょう。
この話の体験者は酒酔い運転による事故こそ起こしませんでしたが、
ぐでんぐでんに酔った結果、自殺者に誘われて自身の命を危険に晒しました。
飲んだら飲るな、飲るなら飲むな。酒は飲んでも飲まれるな。酒は諸悪のもと。
お酒を飲む人はこれらの言葉を常に頭に置いておく必要があると、私は常に考えています。
さて、今回のお話ですが、冒頭ですざくもんさんはこうおっしゃっていました。
体験者から、「絶対言うたらあかんで。」と言われたが、個人を特定できないようにして語りますと。
体験者本人からは、絶対に誰にも言ってはいけないと言われていたのに語ってしまっている。これは良いのでしょうか。
結論から言うと、私は語っても良いと思います。
絶対誰にも言うたらあかんで、というこの関西弁は、絶対誰にも言うたらあかんけど、話の最初に
絶対誰にも言うたらあかんで、という言葉をつけたら、誰に言うてもええで、という意味なのです。
だから、この配信を聞いている皆さんも、この話は、絶対に誰にも言うたらあかんで。
今回のスザクモン・イズルさんのお話はいかがだったでしょうか。
もっとスザクモンさんの怪談を聞きたいという方は、YouTubeで聞くことができます。
YouTubeチャンネルスザクモンコレクションをぜひチェックしてみてください。
当番組も配信開始より丸1年が経ちました。
これも一重に常日頃から聞いてくださっているリスナーの皆さんのおかげです。
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心からお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
これからも100円で買い取った怪談話をどうぞよろしくお願いいたします。
この番組ではあなたの体験した怪談をオンラインで買い取っています。
番組概要欄の一番上にある怪談応募のリンクからご応募ください。
怪談はメールでの募集も行っています。
話すことが苦手な方や声での出演が難しい方は、メールでのご応募をお待ちしています。
また、体験談以外にも怪談に関する疑問や質問がありましたら、
同じく番組概要欄の一番上のリンクから投稿してください。
来週も水曜日の18時に最新話を更新します。
それではまた次回お会いしましょう。
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