1. 100円で買い取った怪談話
  2. #41 霧の中【沖縄の怪談】
2021-10-27 11:37

#41 霧の中【沖縄の怪談】

今回はEさんという沖縄に住む女性からオンラインで買い取った怪談をお送りします。真夜中、他に走る車もない寂しい道路。街灯もまばらで、仄暗い闇の中を黒いアスファルトの道だけがまっすぐに続いている。どことなく不気味な光景です。そんな中を、車でならまだしも、バイクに乗って突き進んで行かなくてはならないとなると、怖さはさらに増すことでしょう。バイクは自分自身が外気に晒されています。周囲の闇が体に纏わりつき、そこに飲み込まれていくような、そんな感覚に囚われても不思議ではありません。そして、真夜中の暗い道路には、怪異が付き物なのです。   
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第2位、怪談作家の宇鶴仕方朗です。
この番組では、私が行っている怪談売買所で買い取った、
世にも奇妙な体験をされた方のお話をお届けします。
真夜中、他に走る車もない寂しい道路。
街灯もまばらで、炎暗い闇の中を黒いアスファルトの道だけがまっすぐに続いている。
どことなく、不気味な光景です。
そんな中を、車でならまだしも、バイクに乗って突き進んでいかなくてはならないとなると、
怖さはさらに増すことでしょう。
バイクは、自分自身の体が外気に晒されています。
周囲の闇がまとわりつき、そこに飲み込まれていくような、
そんな感覚にとらわれても不思議ではありません。
そして、真夜中の暗い道路には、怪異がつきものなのです。
今回は、イーさんという女性からオンラインで買い取ったお話です。
その時は、だいたい深夜ぐらいだったんですけど、
帰り道だったっていうのが、沖縄で幽霊がよく出るっていう中串区村っていうところの大通りを通ってたんですけど、
その時は、普通にブーンっていつも通り帰ってたんですけど、
急に霧が濃ゆくなってきて、
まあでも冬だったので、その時期は。
だから、急に霧があっても問題ないなぁみたいな感じだったんですけど、
気づいたら、後ろから自分たちバイクを追い越そうとしてくる車があったので、
ちょうどちらってみたら、タクシーだったんですけど、
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全部の窓が割れてて、
車は本当にボロボロで、骨組みが見えてる状態で走ってて、
運転手がいなかったんですよ。
はっ!って思って、また2回見直したら、
おじいちゃんの運転手が乗ってたんですけど、
服はボロボロで、戦争帰りっていうぐらい、
シャツには穴空いてて血まみれで、
でも普通におじいちゃんは運転してる。
で、このフロントの部分もペシャンコなんですけど、
普通に運転できてたんですね。
それを見て、やばいね、やばいねってなって、
追いかけようってなったんですよ。
だけどやっぱり怖いからやめようってなって、
その後やめたんですけど、
ちょうどタクシーが自分たちを追い越したぐらいには、
霧が消えてなくなってて、
その後まだ追いつくだろうなぐらいのスピードで走ってたんですけど、
もうそのタクシーはいなくなってたんですね。
途中のコンビニに寄って、これはやばいぞってなって、
このタクシー会社に電話しようってなったんですよ。
そのタクシーが緑色のジャンボタクシーだったんですけど、
よくよく考えてみたら、タクシーって会社名書かれてるじゃないですか。
その会社にはジャンボタクシーはあるんですけど、
緑のジャンボタクシーがないんですよ。
で、おかしいねってなって、
結局あれはどうだったんだろうっていう感じです。
沖縄といえば、かつて栄えた琉球王国が育んだ文化と、
豊かな自然が残る魅力的で美しい土地であり、
観光地として大変に人気があります。
その反面、第二次世界大戦末期には戦火に晒され、
多くの犠牲者が出た悲しい歴史を持つ場所でもあります。
このように両極端な側面を持つ場所は国内でも他にはありません。
そのような土地柄であることを念頭において、
このEさんのお話を聞くとまた違った雰囲気が感じられることでしょう。
Eさんの体験で興味深いのは、
その戒夷が起きる直前に辺りに濃い霧が発生したという点です。
中ぐすく村は霧が多い土地だとのことで、
それ自体は不思議ではありません。
しかし深い霧に包まれた後にそのタクシーが現れ、
タクシーが視界から消えた途端に霧が晴れたというそのタイミングからは、
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その霧が普通のものではないという考えにつながります。
霧は異界への入り口です。
怪談実話の中には、深い霧に包まれた中で、
戒夷に見舞われたという話は珍しくありません。
夜、いつも車で通る直線道路で霧が発生し、
どこまで行ってもまっすぐの道路が終わらないというもの。
真夜中、山の中を車で走っていると、
突然霧に包まれ、その中で見慣れない住宅街に迷い込んでしまう。
しかもその街はどこにも明かりがなく、人の気配は全くない、
など霧の中に迷い込んで奇妙な体験をしたという話は多いのです。
欧米のホラー映画でも霧の中に亡霊が潜んでいたり、
そこから怪物が襲ってきたりといったものは昔から定番となっています。
特にゴシックホラーでは霧は欠かせない要素の一つでした。
これは視界が塞がれることから来る不安と、
よく知った場所でも普段とは全く違って見えるために、
そこにいながらにして別の世界に足を踏み入れてしまったような錯覚に陥ることから、
ホラー映画の恐怖場面にはぴったりだという点が大きいでしょう。
しかし、映画の中でこれほどまでに繰り返し使われるということは、
欧米でも現実に霧の中で怪異に見舞われることが多く起きているのかもしれません。
フィクションであっても、実際に起きた出来事が元になっている場合が多くあります。
その方が現実味が出るからです。
深い霧は別の世界、別の次元につながっているのかもしれません。
さて、Eさんがその霧の中で出会った怪異は、
大破したままの状態で走るタクシーでした。
窓は割れ、ボンネットは大きくひしゃげて、
車体のあちこちから骨組みがあらわになっている。
まず走行は不可能でしょう。
しかし、そんなタクシーを血まみれの男性が平然と運転しているのです。
このタクシーはおそらく大きな事故にあったのだと思われます。
運転手も亡くなっています。
怪異な体験では、大きな事故に見舞われて亡くなった方が、
その悲惨な状態のままで現れるという話は少なくありません。
全身は血にまみれ、片腕がちぎれていたり、
頭が欠けていたり、内臓が飛び出していたり、
そのような状態の人が突然目の前に現れるのですから、
それを目撃した人の驚きも相当なものでしょう。
私がこれまで聞き集めた話の中にも、
そのような悲惨な姿で現れた亡霊の目撃報告はかなりの数に上ります。
そのような亡霊は大抵が不良の事故で亡くなった方です。
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一瞬前までまさか自分がそこで死ぬなどとはついほども思っていなかった人たち。
そのような話を聞くたびに考えることがあります。
あなたは怪我をして血が出ているのに、
全く気がつかなかったということはありませんか。
他の人から出血を指摘され、怪我をしているということに気づいた途端猛烈に痛み出す。
そんな経験は誰でも一度はあるかと思います。
ひょっとすると突然の死に見舞われた人も、
自分が死んだことに気がつかず、
魂だけになっても死ぬ直前の行動をそのままやり続けるのかもしれません。
Eさんが見たそのタクシー運転手も、
大きな事故に巻き込まれて亡くなったにもかかわらず、
それに気づかないまま今でも生前の仕事をやり続けている。
もしそうだとしたら同情を禁じ得ません。
また、もし彼に遺族がいるのだとしたら、
彼らにとってもそれは辛いことでしょう。
愛する家族を亡くした悲しみに加え、
個人がそれに気づくこともなく、
未だに無意味なタクシー業務を続けているのです。
遺族にしてみれば、早くそのループから解き放って楽にしてあげたいと思うでしょう。
しかし、それはどうすればよいのでしょうか。
私たちが怪我をしてもそれに気づかなかった場合と同じように、
自分が死んだことに気づいていない死者に、
それを分からせてあげれば、その死者に自由は訪れるのでしょうか。
もしそうなら、どうやって分からせてあげればいいのでしょうか。
そして何よりも、その事実を告げられたとき、
死者はそれを受け入れることができるのでしょうか。
この番組ではEさんのように、
あなたが体験した怪談をオンラインで買い取っています。
詳細は概要欄のリンクよりお待ちしています。
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それではまた次回お会いしましょう。
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