2021-11-10 13:48

#43 覗き

他人の私生活を覗き見てみたい、誰しも一度はそんなことを思ったことがあるでしょう。しかし、当然のことながらそういった行為は法律で禁止されていますし、それ以前に、社会通念の上からもそのような行為は認められるものではありません。だからこそ人は余計にそのような行為に後ろめたい魅力を感じてしまうのかもしれません。
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世にも奇妙な体験をされた方のお話をお届けします。
他人の私生活を覗き見てみたい。
誰しも一度はそんなことを思ったことがあるでしょう。
しかし、当然のことながら、そういった行為は法律で禁止されていますし、
それ以前に社会通念の上からもそのような行為は認められるものではありません。
だからこそ、人は余計にそのような行為に後ろめたい魅力を感じてしまうのかもしれません。
昔ちょっと1回だけ怖い思いして、
10何年前に免許取り立ての頃、
お友達とドライブしてたんですね、夜。
でも行くとこないなあって言って、
っていう港があるんですよ。
車でエッチした奴がおるっていう噂があって、
夜中の12時ぐらいに、それを友達と見に行こうって言って、
で、なんかプーッと車走らして行ったんですね。
で、その海辺の港のところに1台ワゴン車がポツンと止まっとって、
あ、多分あれやなあっていうことで、
その車をギリギリすれ違うように車を走らせたんですよ。
で、私が運転席で友達側のすれ違うように、
助手席側がすれ違うように走ったら、
パーッとゆっくりゆっくり走ったら、
その車の方になんか髪の毛のうねうねっとした、
女性がムンクの叫びみたいな顔で、
私の車を目で追うように見てきたんですね。
で、うわーっと思ったんですけど、
自分にその霊感とかがない方なんで、
きっと気のせいやろうなと思って、
見間違い見間違いと思って気にせんと走ったんですよ。ゆっくり。
友達がもうその車すれ違い終わった後にすぐ、
ちょっと俺も見てもたかもしれへんみたいな。
え、何?って言って。
髪の毛のうねうねのムンクの叫びみたいな女が、
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今俺らの方を見とってんって言って、
僕も、あ、お前も?言って。
俺もやねーんって言って、
車でビヤッと走ったんですよ。
それが夜中の12時で、僕の車で行ってたんで、
友達下ろした後に一人で帰るの怖いなと思って、
明るなるまで一緒におってくれーって。
6時半、7時くらいまで一緒におったんですね。
で、7時になって、
いや、もしかしたら車にステッカーとか貼っとっただけかもしれんし、
中に人形とか置いとっただけかもしれんから、
気のせいやでーって。
もう一回見に行こうって言って戻ったんですよ。
で、その車明るくなってから見たら、
車の窓ガラスが全部フルスモークで、
絶対12時なんかに、中の女性が見えることなんか絶対ないんですね。
今回のお話では、そこに現れた綾香氏の姿は、
ムンクの叫びのようだったと語られました。
そこでここでは、幽霊の姿について考えてみたいと思います。
幽霊といえば、昔は白装束に長い髪、
額には三角の布をつけ、両手をだらりと前に垂らして、
やや前傾姿勢でうつむきがちにこちらを見あり、
うらめしやとつぶやくというのが定番でした。
現在でもこのような姿の人物を見れば、
誰でも幽霊だと思うことでしょう。
しかし、それを見て本物の幽霊だと思う人はおそらくいないと思われます。
この場合の幽霊だをもっと正確に言うと、
幽霊の格好をした人だになります。
本物の幽霊だとは思えないが、それが幽霊を模したものであることはわかる。
つまりこれは幽霊を表した姿、幽霊を記号化したものであるということです。
しがらき焼きの狸を見れば、ほとんどの人が狸だと判断しますが、
あのような姿の狸は、自然界にも動物園にもいないことは誰もが知っています。
それと同じなのです。
実際、幽霊の場合も、
額に三角の布をつけた白小族の幽霊を見た、という話を私はついぞ聞いたことがありません。
では、実際に目撃される幽霊がどのような姿をしているのかといえば、
近年特に増えているのは、
白いワンピースに長い髪を顔の前に垂らしているという女性、
いわゆるサダコのスタイルです。
映画という映像メディアが、現実の怪異体験に影響を及ぼしたのです。
サダコがなぜ現代の幽霊の姿の定番として受け入れられたのかというと、
それが昔の記号化された幽霊の姿を、
現代風にアレンジしたという点が大きいのではないでしょうか。
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長い髪という点は同じですし、
死に小族としての白い着物は、白いワンピースに置き換えられています。
また、長い髪で顔を隠している点は、
実際の幽霊目撃事例を元にしていると思われます。
幽霊を見た人の多くが語るに、
髪型も服の模様もはっきりと覚えているのに、
顔だけがどうしても思い出せないというものがあります。
それを映像的に再現するために、
ただ単に顔をピンボケにするのではなく、
髪で隠すということにしたのでしょう。
また、髪で顔を隠すというのは、
顔を見せたくないという本人の意思が感じられます。
顔を見せないということは、
私は生きている人間ではありませんという意味であることは、
以前にもこの番組内でお話ししたことがあるかと思いますが、
まさに貞子はそれを自で言っているのです。
このように貞子の格好は、
記号化された伝統的な幽霊の姿を洗練し、
現代的にしたものであり、
幽霊がもともと持っている最も大きな見た目の特徴から逸脱はしていません。
誰もが貞子を一目見て、
それが幽霊であると判断できるようになっているのです。
そこにこそ、貞子のような姿の幽霊が、
大衆に受け入れられた大きな要因を見て取ることができるのです。
幽霊のデザインは、
この誰もが幽霊だとすぐにわかるという点こそが重要です。
例えば、亡くなったおばあちゃんの幽霊が、
身長118.5メートル、太い足と長い尻尾を持ち、
背中にはヒレ、口から放射能を帯びた熱栓を吐く、
二足歩行の爬虫類のような姿をしていたとしたらどうでしょうか。
巨大不明生物だと判断する人はいたとしても、
おばあちゃんの幽霊だと思う人は皆無でしょう。
巨大不明生物は人類の脅威になるため、
それはそれで恐ろしいのですが、
その怖さは幽霊のそれとは全くの別物です。
怪談的な怖さを喪失するには、
まずは見た目が明らかに幽霊であることが大切なのです。
それでは今回語られた幽霊についての話に戻りたいと思います。
今回の体験者は、自身が見た幽霊を、
ムンクの叫びのようだったと表現されていました。
ムンクとはエドバルド・ムンクのことで、ノルウェーの画家です。
叫びは1893年から1910年にかけて描かれた彼の代表作で、
全部で5点あります。
そのどれもが、海辺を行く人物が両手で耳を塞ぎ、
恐怖に顔を歪めている様が描かれています。
それは一度見たら忘れられない強烈な負の印象を見るものに与えます。
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体験者は、自身が目撃した幽霊と母式存在の姿が、
この叫びに描かれた人物のようだったというのです。
念のため、私は彼に、その幽霊が具体的にどのような姿だったのか確認しましたが、
両目と口を大きく開き、両手で耳を塞いだ正気のない女性の顔だったとのことで、
女性であったという点以外は、まさに叫びで描かれた人物だといえます。
実は、私が取材した幽霊の目撃者の中で、
まさにこの叫びの人物のようだったという方は少なくはありません。
叫びの人物は、近年キャラクター化され、様々なグッズのデザインに採用されています。
それほど一般化したということです。
それが叫びの幽霊が増えている一つの要因だと考えられます。
叫びで描かれた人物は、日本で古くからある幽霊像とはかけ離れたものですが、
見た目が限りなく単純化された震えをののく人の姿であり、
そこからは激しい恐怖と絶望が感じられます。
それは衝撃的ですらあります。
この絵の人物の心の中で渦巻く激しい恐怖の感情が、
現代の日本人が持つ幽霊への恐怖心と合致した結果、
叫びの人物は幽霊へと転化したのではないでしょうか。
では、貞子にせよ叫びにせよ、
映画や絵画といった製作物の中に登場する架空の存在が、
現実世界で目撃される幽霊の姿に影響を与えているのはどういうことなのでしょうか。
それは見られる側ではなく、見る側に原因があると言えるでしょう。
人は見たことのないものを見た際、それを理解するために、
見たものと最も近い似通ったものと関連づけようとします。
飛行機を全く見たことのない人がそれを見たとき、
その人は巨大な鉄の鳥を見たと表現することでしょう。
今後、共和国などの人里離れた湖に生息していると言われる未確認生物、モケーレムメンベは、
ブラキオサウルスなどの流脚類と呼ばれる恐竜の一種の生き残りではないかとも言われています。
これは目撃証言から導き出された推測なのですが、
探検家が長年にわたってモケーレムメンベを目撃した先住民に流脚類の絵を見せ続けた結果、
先住民の記憶の中で目撃した対象生物が流脚類のような姿に変質してしまったのではないかとの説もあります。
これと同じように、得意な姿をした何かを見た人が、
無自覚のままそれを記憶の中にある貞子や叫びと結び付け、
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そのまま目撃報告となったのかもしれません。
心霊動画については、そのほとんどがフェイク、
つまり誰かの演出の下に制作された映像作品ですので、
そのような目撃報告を聞いたクリエイターが、
それを恐怖演出の一環として作品に取り入れた、いわば二次創作なのでしょう。
そしてそのような二次創作作品を見て怖いと感じた人が、
何かの体験をした際にまたそれに氾濫や記憶を影響されてしまう、
そんな連鎖が起きていると考えるのが妥当のような気がします。
それを考えると幽霊の姿にも流行りすたりがあるとも言えるでしょう。
怪異体験というのはとても個人的な体験です。
だからこそそこには全く無関係な方面からの影響は少なからずあるはずです。
今回のお話はそれを案に物語ってくれているような気がして、
大変興味深く思えるのです。
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