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第2位、怪談作家の宇津隆忠です。
この番組では、私が行っている怪談売買所で買い取った、世にも奇妙な体験をされた方のお話をお届けします。
今回も、私が主催した怪談イベント、1話100円100物語で語られたお話をお送りします。
語られたのは、ユウさんという男性。
ユウさんは以前、いわく月の家に住まわれていました。
そのあたり一帯は、かつてある自然災害に見舞われ、多くの犠牲者が出たところなのです。
ユウさんが住み始めたのは、災害があってしばらく経ってからのことなのですが、
ユウさん一家がそこで生活されていた期間、奇妙なことはずっと起きていたのだそうです。
自滑りがあって39人亡くなって、その中で残ったのがうちの家だけだったのです。
その時はうちの兄が住んでいて、兄の一家もびっくりして、ヨウもこの家のヨウらんに出て行って、
それで一見どうすることもできないし、もったいないから積むかい話になって、
別にここは気にならないから住んだのですが、やっぱり変なことが多かったのです。
動物みたいな、部屋の外でズルズルと音がするんですよ。
ずっと音がして、それでパッと出てみたら別に何もいない。
猫が入ってきたら違うかとか言っていたのですが、実際に猫は見たことがないんですよね、動物も。
そういうのは全然見えずに、ただもうしょっちゅう音がして。
ちょうど自滑りしたところの一軒残ったところなので、向かい側の自滑りしたところの下のところで埋もれた家があって、
そこのところの家族がうちの僕の知り合いのお姉さんの家族で、そこの子供がバーッと土で流されてうちの壁にひっついていたんですよ。
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土をバーッと出していったら。
そういうこともあって、一回あったのが3階建てで一番下の部屋でお風呂があるところなんですけど、
そこで本を整理して、整理していたら自然と読んでしまって、
ずっとしょっちゅう時間をかけてその部屋にいていたんですけど、
風呂場のところから音がするんですよ。
水を使っているような音もするし。
それで、え?と思ったらもう夜中だったから、もう本当に夜中の3時くらいの時間かな、それくらいなので、
誰もこんな地下に風呂は入れないだろうと思って、
子供の部屋とか見に行ったら、みんな普通に寝ているんですよ。
それで、もう一回見に行こうかなと思うんだけど、
誰かいてそうな感じの音がするんですよ。
音がするし、思い切ってパッと開けたら、やっぱり誰もいていないんですよ。
水も流れていないんですよ。
ただでも電気はついているんですよ。
誰がつけたのかわからないけど、電気を消してそのまま帰ってきたけど、
またしばらく本をずっと読んでいたら、また音がするんですよ。
カーンとひびくような音がして。
それで、これなんかあるのかな、あるような感じの音を聞いていたから、
そういうふうに予感はあったんやけど、前兆はあったんやけど、
そういうことばかりがいろいろ続く家でした。
地震、台風、津波など、日本はこれまでさまざまな災害に見舞われてきました。
まだ記憶に新しい平成23年の東日本大震災、
平成2年の雲前富賢田家の噴火、
昭和34年の伊勢湾台風など、数え上げれば霧がありません。
このような災害は天災もあれば人災もあります。
また、その両方が重なることも少なくありません。
これからもさまざまな災害が私たちの社会を襲うことでしょう。
多くの人がそれを理解しており、それに備えてはいるかと思います。
しかし、想定外のことは起こるものですし、
また中にはそのことがわかっていても、なかなか被災するという実感がわかず、
準備をなおざりにしている方もおられるかもしれません。
災害は実際に経験しなければ、その恐ろしさを実感することができないという面もあるでしょう。
私自身もそうでした。
テレビなどで世界各国の災害のニュースを見るたびに恐ろしいと思いつつも、
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心の中ではどこか他人事のように感じていたのです。
その後、私は阪神淡路大震災を経験しました。
明け方に襲った大きな揺れ、あの恐怖とその後に続く不便な生活、
家族が全員無事だったのと、かろうじて避難所に移ることなく自宅で生活できたのは幸いというほかはありませんが、
その時、つくづく地震をはじめとしたあらゆる災害の恐ろしさを痛感しました。
災害は決して対岸の火事ではないのです。
さて、今回お送りしたお話は、地滑りで多くの尊い命が失われた地に立つ一家の家にまつわるお話でした。
いつ、どこであった災害なのかはここでは伏せましたが、
優さんの語られた内容からも、それが大規模な災害だったことは容易に想像できることでしょう。
そのような場所でいかなる怪異が起きようと、それは不思議なことではありません。
そしてそれがどれほど小さな、些細な怪異であろうとも、その一つ一つに説得力と重みが感じられるのです。
ここで怪談そのものについてお話ししたいと思います。
怪談は夏の風物詩です。
なぜそうなったのかについてはきちんとした理由があります。
それについては説明が長くなるので別の機会に譲ることとしますが、
その理由を知らなくても、多くの人々が夏といえば怪談という認識を共有しています。
それは怪談が日本の文化だからです。
怪談の歴史は平安時代にまで遡り、その後も様々に変容しながら、現代まで人々の身近にあり続けています。
意識しようがすまいが、夏になると日本人は心のどこかで怪談に接しているのです。
それではこれまで時代の流れとともに消えていった多くの文化がある中で、
なぜここまで長きに渡って怪談文化は去れずに残っているのでしょうか。
それは怪談文化を日本人が常に必要としているからなのです。
文芸評論家の東雅夫さんが提唱するふるさと怪談というムーブメントがあります。
これは地域に根差した怪談を集め、まとめることでその土地の歴史や文化を理解し、怪談を有効に活用していこうという文芸運動です。
その中で東さんがおっしゃっていることに、怪談はその土地で起きた出来事を次の世代へと伝えていくための有効なツールであるというものがあります。
例えば大きな津波があった土地があるとします。
今後同じことが起きても被害を最小限に抑えられるようにとの目的もあって、その事実は文献や石碑等に記録として残されます。
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しかし文献は火事等の様々な理由から失われ、石碑は劣化して読めなくなってしまいます。
人々の記憶も世代が変わることで曖昧になり、やがては消えてしまいます。
災害の記憶を何世代にも渡って引き継ぐことは至難の技なのです。
そこで過去の日本人たちはおそらく無自覚のうちに怪談を活用してきました。
怪談は物語です。物語は娯楽性が高いので老若男女問わず誰もが楽しめます。
楽しいことは話題に上りやすく、特に怪談は人々の生活に根差しているものが多く、大変身近に感じられます。
そのため人々が気軽に話題にすることができるのです。
親が子に語って聞かせる。老人が近所に住む子供たちを集めて余興として語る。
子供同士が遊びの中で語り合う。そのような状況で怪談を楽しんだ経験がある方も多いでしょう。
そこで語られる怪談が、例えば過去にそこで起きた災害にまつわる話だったとしたらどうでしょうか。
ここは心霊スポットだ。なぜならここには昔、大きな津波が来て大勢が亡くなったからだ。
そんなふうに語られた怪談はより真に迫って聞こえ、聞く者に強烈なインパクトを与えます。
同時にその場で過去に大きな災害があったという歴史的事実も教えてくれます。
その場所を心霊スポットにしてしまうほどの大きな津波。
その話の中に語られる幽霊たちの恐ろしさは、同時に津波の恐ろしさにもつながります。
その話を聞いた者は災害の恐ろしさを実感できるのです。
そのような経験があれば、そこから防災意識が生まれることでしょう。
こうして災害の記憶と防災意識は、それを知らない次の世代へと継承されていく、そのような構図が成り立つのです。
実例としては、昭和47年の大阪千日前のデパート火災の件があります。
千日前は全国的にも有名な大阪の繁華街ですが、そこにあった千日デパートで火災が起きました。
約9時間燃え続け、死者118人、負傷者81人にも上る大惨事となったのです。
これは後に消防法や建築法が改正されるきっかけにもなりました。
それほど社会に与えた影響は測り知れないのです。
現在、千日デパートの後には別の商業施設が建っています。
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そこは心霊スポットだと言われており、その周辺では今でも様々な回遺が報告されています。
千日前は階段の宝庫になったのです。
そのため、千日前で過去に大きなビル火災があったことは、今の若者の間でもよく知られた事実です。
どれだけ規模が大きくとも、どれほど大勢の方が亡くなっていようとも、災害の記憶は時とともに風化していきます。
しかし、それが物語の中に組み込まれ、身近な恐怖という味付けがなされれば、
多くの人の口から口へとその話が広がることによって、そこであった事実が忘れられることがなくなります。
それは同じ過ちを繰り返さないために、絶対に必要なことなのです。
これは民族学で言う交渉にあたります。
噂話のようなものですが、知識や情報を伝承する一つの有効な方法です。
この交渉が、さらに時間が経つと伝説や昔話になるのです。
ユウさんの体験は、まさに災害の恐ろしさを後世に伝える生々しいものでした。
現在、その場所には新しいこだて住宅が立ち並んでいると聞きます。
あれほどの大きな災害に見舞われた土地です。
現在でも、それらの家々では様々な回遺が体験されているのかもしれません。
それらの体験談が誰かに語られることがあれば、
それは怪談へと昇華し、交渉伝承として多くの字幕を集めることでしょう。
そうすることによって、かのちでまたあのような悲惨な出来事が繰り返されないための対策へとつながるかもしれません。
災害は必ずやってきます。
その時、犠牲となる方々をいかにしてどれだけ減らすことができるか。
それが最も重要です。
そのための一つのツールとして、怪談は活用できるのです。
この番組では、あなたの体験した怪談をオンラインで買い取っています。
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