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#123 結局は人頼み|化学プラントの手仕込み
2026-09-02 22:36

#123 結局は人頼み|化学プラントの手仕込み

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#ものづくり系ポッドキャストの日 の共通テーマ「手作業」に関連して、タンクへの粉体・ドラム缶の手仕込み作業について話しました。大変なら自動化すればいいじゃん!と言われても、どうしても難しいんです……

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サマリー

今回のエピソードでは、「ものづくり系ポッドキャストの日」の共通テーマ「手作業」に沿って、化学プラントにおける「手仕込み」作業に焦点を当てています。粉体やドラム缶の原料を人の手で投入する作業は、想像以上に重労働であり、加熱されたタンクや危険な薬品を扱うため、安全対策も必須です。自動化が難しい理由として、既存設備に自動化装置を導入するスペースの不足、人間の作業速度に追いつけないこと、そして粉塵爆発などを防ぐための高価な防爆設備が必要となる点が挙げられます。結果として人手に頼らざるを得ない現状があり、作業者の負担軽減策が模索されています。

化学プラントにおける手仕込み作業の現状
こんにちは、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。
今回は、「ものづくり系ポッドキャストの日」という企画に参加しております。
ものづくり系ポッドキャスト番組が、共通テーマに沿って話す企画です。
今回のテーマが、手作業。
自動化が進む昨今だからこそ大切にしたい手作業の話。
自動化しづらい人間の作業,最近自動化した手作業などなど,
手作業を軸にものづくりの話しちゃいましょう.
とのことで,だいたいこういう手作業っていうと,職人さんみたいな,
削ったり組み立てたりするイメージ多いですよね。
それに対して化学プラントっていうのは,原料を反応させて製品を作る,
比較的自動化された設備が多いです。
装置産業と呼ばれるくらい,基本的には人の手を介さず,
介するとしても,制御室とか完成室みたいな,
どこか部屋から指示を送るタイプが多いです。
現場に出るとしても,巡回して異常がないか見に行ったりとか,
サンプルを回収したり,装置を直したり,そういう方が多いです。
ただし,化学プラントでもどうしても手作業になりがちなものあるんです。
それが仕込みというもの。原料を装置に投入するような作業は,
人の手が介しやすいです。
今回はそんな手仕込みというものに対して焦点を当てて話していきます。
実は私,この手仕込み,もっと言うと,
人の手による重点作業も含めてかなり悩んできました。
まずは化学プラントで行われる手仕込みっていうものがどういうものかっていうのを紹介していきます。
化学プラントって巨大なタンクと配管だらけで,
全自動で動いているっぽく見えるんですけど,
実は今でも,人が袋を担いで,手で原料をタンクに入れている場面が結構あります。
つまり手仕込みっていうのは,文字通り,原料を人の手でタンクの中に入れる作業のことです。
タンクの形状っていうのは,薬のカプセルみたいな,
寸胴で上下が球体になっているようなものですとか,
上だけフラットになっているものなどいくつかあります。
そこにマンホールっていう名前の蓋がついておりまして,
そのマンホールを開けると投入口になります。
投入口へ紙袋に入った粉の原料を担いでもってきて,
袋を開けて流し込みます。
丸亀製麺って言ったことありますか?
だいたいお店のどこかに粉の袋が置いてあります。
その袋と見た目はほぼ一緒です。
一袋が20キロもしくは25キロのものが多いです。
お米よりも断然重いやつを,
指定の量になるまで何袋も入れ続けていきます。
粉や粒の原料だとこうした紙袋になることが多いんですけど,
もっと量が多い場合はフレコンバックっていうものが使われたりもします。
500キロから1トン,1000キロぐらいまでの範囲で,
巨大な袋状になった容器です。
これをクレーンで釣って投入口のところに入れていく場合もあります。
そして液体の原料だと,
だいたいタンクローリーで運んできて,
とても大きなタンクの中に貯蔵しておきます。
そこからポンプで送るので,だいたい自動化されています。
とは言っても,種類がとても多かったり,
あまり量を使わなかったりする場合はドラム缶が主に使われます。
容量は200リットルです。
ドラム缶自体も鉄とかステンレスが多いので,
だいたい全体の重量でいうと220キロくらいになりますかね。
こうなるとさすがに人では持ち上げられないので転がしたり,
実際に仕込むときは専用の台車とかリフターで運んだりして,
ドラム缶の口を開けて傾けて入れたり,
ポンプでノズルを差し込んで吸い込んで入れたりします。
このような形で材料を投入する,仕込むっていう場合は,
人の手がかなり入っていて,想像以上に重労働になります。
化学反応したり,何かを溶かしたりする場合っていうのは,
加熱をしますので,タンクの温度を上げている場合も多々あります。
つまり何度にするかによりますけど,
温められた容器に近づいて,
20キロないし25キロの粉体を入れ続ける,
もしくはドラム缶で入れる.
そんなことをしていたら,
今まさに夏の暑い時期なんかは大変です。
正直私もそういう現場経験したことがあるんですけど,
冬場も暖かいです。
聞いた感じだと,粉入れる方が20キロとか持つから重たそうなんですけど,
ドラム缶はドラム缶で大変です。
ドロドロの液体,もしくは常温で固体になるような液体も多いです。
そうした場合,どうするでしょうか?
温めるんです。
ドラム缶そのものを加熱できる部屋みたいなところに入れて,
しばらく置いておきます。
熱くなった金属製のドラム缶を取り扱って仕込んでいきます。
例えば100度まで温めたとします。
そんな容器の近くで作業なんて熱すぎてできないですよね。
もちろん丸腰ではいきません。
安全対策のために,当然長袖長ズボン,作業着です。
薬品による怪我を防ぐために,かなり厚手の手袋もつけます。
そして忘れちゃいけないのが保護眼鏡。
つけたことない方はわかんないかもしれないです。
保護眼鏡って結構こもるんです。
熱いんですよね。
実験室でよく見る眼鏡型の保護眼鏡ではなくて,
海で泳ぐときにつけるシュノーケリングの眼鏡みたいな,
楕円形の形のものを使うことが多いです。
これは会社の安全対策の方針とか扱う薬品によりますね。
このような形で重たい粉体を扱うか,
熱いドラムを扱うか,
どちらにしても手仕込みっていうのはとても大変な作業なんです。
自動化を阻むスペースの壁
手仕込みの作業がわかっていただいたところで,
言いたいことはわかります。
なんで今時手でやるんですかっていう話ですよね。
これを今日一番話したかったところなんですけど,
私もたくさん考えてきました。
ただ,手仕込みしないとどうにもならないような理由っていうのがいっぱいあるんですよね。
技術者としてはここから言い訳の時間になってしまいます。
ちょっと情けない話ではあるんですけど,
基本的に大変な作業がある場合に考えられるのが,
自動化できないかっていう話です。
でも,自動化するにもお金がかかります。
ここは頑張り次第でなんとかなる場合があります。
もっとネックになるのがスペースの話です。
場所がないんです。
私が働いていたところっていうのは,
なんとか今あるスペースにたくさん製造装置を詰め込んでいって,
可能な限り生産できる量を増やしてきました。
そんな中に自動化設備なんて入れるスペースがないんですよね。
何かを自動化するとき,
人よりも何倍もスペースを取ります。
人がする作業ってものすごく小スペースで融通も効きますので,
とてもいいんですよね。
ただ長時間働けないっていうデメリットがあります。
せっかくなので,
スペースを取るっていう話の例で,
私が好きなもの1個を紹介したいと思います。
ドラム缶の置き場所の話です。
空のドラム缶がだいたい20キロくらいなんですけど,
それくらいだったら人でも触れますよね。
空のドラム缶の置き場所を考えてみます。
限られたスペースに置くために,
人で作業するんだったら,
ドラム缶の上にもう1個ドラム缶を置いて,
場所を稼ぎます。
ドラム缶同士を密集させて,
とにかく詰め込むことで,
効率的にドラム缶がストックできます。
ただし,もっとストックを持とうと思ったら,
横方向にスペースがない場合,
縦にどんどん積み上げていくっていうことになりますね。
ドラム缶1本の高さが90センチくらいでして,
これを2本重ねても180センチで,
まあ人が扱えるぐらいの高さです。
3本だったら270センチ,
2メーター70っていうのはさすがに危ないですし,
20キロのものを3段目から下ろすなんて当然できません。
人が扱う場合は2段目までが限界です。
こういう時に3段目以上をやろうとしたら,
自動化設備が求められます。
名前を付けるなら,空ドラムストッカーですかね。
せっかくものづくり系ポッドキャストの日ということで,
ものづくり系番組さんも多いですので,
この空ドラムストッカーの設計を教えていただきたいです。
おそらく建物みたいな感じでフレームを組んでいって,
最終的に自動販売機みたいな感じになりますかね。
簡単なものでいくと,ドラム缶を横に乗せて,
傾斜で転がして出していくような感じでしょうか。
もっと自動的になっていくと,
エレベーターみたいな感じになるんでしょうかね。
どういう形にしたとしても,
フレームを組んだりすると,
どんどん無駄なスペースが増えてきます。
結局,高さを稼いで,
ごっつい設備を入れたところで,
床にドラム缶2段重ねてギュッて詰め込んだ方が,
たくさん保管できるなんてこともありえます。
私もいくつか自動化の設備って携わったことあるんですけど,
この作業ひとつでこんなにスペース取るのっていう話が多々ありました。
こんな形で自動化するっていうのは,
結構スペースありきなところがあります。
それほど土地が潤沢でないような工場については,
かなりスペースで悩んでいる会社さん多いと思います。
そういう時に人が入るんですよね。
速度と防爆がもたらす自動化の課題
あともうひとつ,
スペースにも関わるんですけど,
作業速度が結構速いことです。
自動化しても速さが追いつけないんです。
もしくはめちゃめちゃ速くしようと思うと,
どんどん設備がごつくなってきて,
結局入らないっていうことになりがちです。
今フィジカルAI,ロボットが話題ですね。
人型も出てきて,
いろんなところで人の代替ができるって話はあるんですけど,
やっぱり私が経験したような現場っていうのは,
まだまだ時間かかるんじゃないかなと思っています。
とても重たいものを扱うっていうのはもちろんのこと,
もっと速く動いてくれないと成り立たないかもしれません。
ロボットのいいところは,
無限に働けることではあるんですけど,
そもそも24時間運転していたら,
ロボットが入る余地なんてありません。
例えば8時間日中で働く現場があって,
それをロボットが夜間にも行えるようにするってなるんだったら,
効果はあると思います。
作業時間3倍に増やせますからね。
ただ,24時間動いていて,
今まさに人がどんどん作業しているところを代替しましょうっていうのは,
ちょっと無理があるかなと思います。
あとはロボットの数をどれだけ入れるかでしょうね。
大量に入れられたら話は別です。
と言いつつも,
ロボットに関してはまた別の問題がありまして,
粉塵爆発って聞いたことありますか?
粉をザーッと入れるとどうしても舞い上がります。
こういう粉,粉塵って条件が揃うと爆発するんです。
特別な薬品ではなくて,
小麦粉が粉塵爆発を起こすっていうのもよく聞く話です。
小麦粉も含めて可燃性の粉っていうのは,
舞い上がっているときにちょっと引火しただけで,
隣に隣に引火が続いていって,
こうした連鎖的な引火が爆発です。
ガソリンなどの液体も同じです。
気化して可燃性のガスを発生するので,
そこで火花や静電気によって引火する場合もあります。
爆発しちゃいます。
それもあって,
粉塵環境とか可燃性ガスが出る環境っていうのは,
電気設備に防爆という特殊な仕様が求められます。
爆発を防ぐと書いて防爆でして,
電気設備由来の火花が出て引火しないように設計された電気設備です。
この防爆が高いんです。
化学プラントはだいたい防爆が求められまして,
照明なんかも防爆です。
Wi-Fiのアクセスポイントなんかもそうです。
そういうちょっとした設備も含めて,
ごつくて値段の高い防爆設備が必要になります。
話をロボットに戻しますと,
当然電気で動いてますよね。
だから防爆じゃないロボットっていうのは入れられません。
車の塗装とかでアーム型のロボットっていうのは使われたりしますので,
そういう場合防爆のロボットが使われます。
もちろん防爆のロボットっていうのもあるんです。
とにかく高いんですけど,
納期も段違いです。
たくさん入れて何とか使えるようにっていうわけにもいかなそうだなーって感じます。
人頼みの現状と作業負荷軽減への取り組み
結局はスペースとか時間の関係で,
自動化は諦められて,
人で対応するって形になりがちです。
ここまで言ってこなかったですけど,
手で仕込むっていう力作業だけじゃなくて,
その材料が正しいのか,
ちゃんと入れたのかっていう記録も称号もいります。
入れ終えた空の袋やドラム缶を片付けたり,
次のものを持ってきたりも必要です。
ただ力作業をしたらいいっていうわけでもなくて,
付帯する作業っていうのもたくさんあるんですよね。
最終的に落ち着くのが,
人の作業負荷を軽減するということです。
空調服とか水冷服とか,
マッスルスーツみたいな感じです。
あとは吊り上げたりするような補助器具ですかね。
この辺も求める作業速度によって変わってきたりはします。
今回は化学プラントにおける手仕込みの話をしてきました。
こんなに大変な作業だったら,
自動化したらいいじゃんとなるかもしれないですけど,
そうもいかない理由がたくさんあるんです。
皆さんの作業環境ってどうでしょう?
手仕込みしているものとかありますか?
私のところはこうやって改善しましたとか,
そういう話をもしいただけると助かります。
エンディングとリスナーへの呼びかけ
今回はここまでです。
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しております。
もし感想いただける場合は概要欄のお便りフォームですとか,
ハッシュタグプラントライフをつけてXで発信していただくとか,
そうやって感想いただけると今後の励みになります。
そしてですね,
Apple PodcastとかSpotifyっていうのは星5段階で評価がつけられます。
これからこのプラントライフを聞こうと思った方のために参考になる情報ですので,
まだつけていない方はよろしければ星5段階で評価をお願いします。
値がいくつなのかってよりはこれぐらいの人に評価されているんだっていう指標も大事ですので,
ぜひよろしくお願いします。
そしてnoteでメンバーシップかねまるのここだけの話というものを公開しています。
オープンな場では言いづらいような本音とか,
技術者としての試行錯誤の模様をお届けしていますので,
もしよろしければ覗いてみてください。
それではお聞きいただきありがとうございました。
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