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#124 「悪魔の銅」と呼ばれた金属|ニッケルの世界
2026-09-06 20:19

#124 「悪魔の銅」と呼ばれた金属|ニッケルの世界

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今回は #科学系ポッドキャストの日 の共通テーマ「悪」関連して、悪魔の銅と呼ばれたニッケルについて話しました!様々なポテンシャルを秘めています。

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サマリー

今回のエピソードでは、「悪魔の銅」と呼ばれた金属ニッケルに焦点を当てました。元々は銅と間違えられ、精錬しても銅が得られないことからその名がついたニッケルは、原子番号28で、地球のコアに多く存在する元素です。100円玉や50円玉の白銅、錆びにくいステンレス、電熱線のニクロム、耐食性のハステロイなど、身近なものから産業まで幅広い合金として利用されています。また、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の材料、さらには水素化反応や水蒸気改質、メタネーションといった化学反応の触媒としても重要な役割を担っており、その多岐にわたるポテンシャルと環境問題への貢献が語られました。

ニッケルの紹介と「悪魔の銅」の由来
こんにちは、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。
今回は、「化学系ポッドキャストの日」という企画に参加しています。 化学系番組も、そうでない番組も含めて、共通テーマに沿って話す企画です。
毎月、ホスト番組が決まっておりまして、今回のホストが、理系団研考論さん。 設定いただいた共通テーマは、「悪」。
悪って何だろう?人はなぜそれを悪と呼ぶのだろう? もしかすると必要な悪と呼ばれるものもあるかもしれない。
そんな一筋縄ではいかないテーマを、ぜひあなたの番組で掘り下げてみてください。 とのことです。
いきなりなんですけど、皆さん財布の中に悪魔の名前がついた金属が入っているんです。 100円玉と50円玉。
あれ、白銅っていう合金でできておりまして、 75%の銅と25%のニッケルでできています。
このニッケル、悪魔の銅とも言われます。 今回は共通テーマ悪にちなんで、悪魔の銅と呼ばれた金属、ニッケルについて話をしていきます。
化け学の話をするこの番組、実は珍しく、元素の話っていうのは今回が初めてです。
それでは行ってみましょう。まずはニッケルの名前の由来なんですけど、もともとはクプフェルニッケルという言葉から来ています。
クプフェルっていうのは銅のことで、ニッケルの方はいたずら好きの妖精とか悪魔みたいなあだ名のような言葉で、悪魔の銅とか偽物の銅って訳されるわけです。
ドイツで見た目が銅そっくりの鉱石を見つけたことが始まりです。
色が赤い銅のあの色でピカピカ光る感じです。
いい銅の鉱石を見つけたと思って精錬するんですけど、銅が全然出てこない。
それどころかなんか煙が出てくるということで、これはコーヒニッケル鉱っていう鉱石だったようで、磯が入っていたんです。
磯とニッケルの鉱石でした。
当然銅の入っていない鉱石から銅なんて手に入ることもなく、このコーヒニッケル鉱は悪魔の銅と言われるようになったんです。
そしてその鉱石の中に入っている金属が神種のものだと分かって、悪魔の銅クプフェルニッケルから名前を取ってニッケルとされました。
ニッケルの元素としての特徴と地球上の存在
そんなニッケルの原子番号は28です。
元素記号はNI。周期表で言うと結構ど真ん中くらいの場所にいます。
第4周期、10属の元素です。
4行10列目みたいな感じですかね。
ニッケルの原子番号28、そして29は銅なんです。
ニッケルは銅のお隣です。
ニッケルの近くで言うと鉄、コバルト、ニッケル、銅っていう順番で横に並んでいます。
ニッケルは鉄の近くでもあるんですね。
鉄とコバルトとニッケル、この3つの横並びの元素たちは結構性質が似てて鉄属と呼ばれる場合もあります。
常温で磁石にくっつく金属って、身の回りだとこの鉄、コバルト、ニッケルの3つが主です。
だから純粋なニッケルの板っていうのは磁石にくっつきます。
とは言っても、100円玉はニッケルと銅でできているものの磁石にくっつきません。
そうやって合金って特性が変わってくるんだなっていうのもイメージがつきます。
周期表の横ではなくて縦側を見ていきます。
この辺りよく聞きますね。
周期表の縦に並んでいる元素っていうのは同族。
同じ家族と書いて同族元素と呼ばれまして、性質が似ております。
ニッケルの下がパラジウム、その下が白金、つまり同族元素です。
貴金属の代表ですね。同族だけあって実際よく似てまして、
私の印象だと水素を使う化学反応の時に使われる金属だなっていう印象があります。
この話は最後の方でまたしていきます。
そしてこのニッケル、今回初めて元素解を出したんですけど、
意外とマイナーな部類なんじゃないかなと個人的に思ってまして、
もしかしたらニッケルっていう元素自体を知らない方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただこのニッケル結構地球上にはあるんです。
それが地球の真ん中のコアのところ。
主成分は鉄で、そこにニッケルが混ざった合金だと考えられています。
実際に地球を丸ごと、つまりコアの部分も含めて、
地球上にどれくらい元素が含まれているかって考えると、
ニッケルは地球の中で5番目に多い元素だと推定されています。
上にいるのは鉄や酸素、マグネシウム。
地球表面で見ると全然上位には正直入らないんですけど、
地球の中まで見ていくとかなり上位に入っていきます。
だからニッケル地球上にたくさんあるにはあるんですけど、
山のように使えるか採掘できるかっていうのはまた違う話ではあります。
ニッケルの実用的な合金用途
ではここから実用的なニッケルのお話をしていきます。
ニッケルはニッケルっていう元素単体でも使いますけど、
本領はお金みたいな合金、混ぜて使う金属です。
100円玉や50円玉は白銅、銅にニッケルを混ぜた銀色の錆に強い合金です。
お金についでよく目にするものはステンレス。
ニッケルの使い道で多いのがこれです。
鉄にクロムとニッケルを混ぜたものがSUS304っていう番手のステンレスです。
クロムが18%、ニッケルが8%入ったステンレスです。
ステンレスにも種類があって、先ほど紹介したSUS304っていうのが一番オーソドックスなものです。
そこに中の比率を変えたり、含有する炭素の量を減らしたり、モリブデンという元素を新たに足したり、
そうやって錆びにくさのグレードを調整しています。
化学プラントではこのステンレス、山のように使っています。
そしてもう一つ、比較的身近なニッケル合金がニクロムです。
ニッケルとクロムの合金で、伝熱線に使われます。
つまり、トースターの中で赤く光っているもの、昔ながらの電気ストーブの赤いものもそうです。
ニクロムって銅に比べると全然電気を通さない金属なんですよね。
電気を通さないってことは、抵抗が大きい、オームの値が大きいっていうイメージをしてもらって大丈夫です。
電気が通らないとどうなるか。
電気のエネルギーが熱に変わっちゃうんです。
だから電気ヒーターとかトースターに使えます。
真っ赤になっても酸化して切れたりしないのが強みで、ニッケルは加熱する機器にも使われているんですね。
最後にもう一つ、個人的に有名ではないけど、私の中で好きなハステロイというものを紹介します。
ニッケルが主役の合金です。
ステンレスってサビに強いですよね。
でもそんなステンレスでも溶かされちゃうような腐食性の高い液体っていうのもあるんです。
科学の業界ではそういう腐食性の高いものをよく使います。
ものすごく錆びますし、錆が振興して穴が開くっていうのもザラにあります。
そんな強い腐食性を持つ液体に対して使われるのがハステロイというニッケル合金です。
ニッケルの中にクロムとかモリブデンという元素を入れて作ります。
お金に、加熱源に、錆びにくい材料。
ニッケルにはものすごいポテンシャルが秘められているんです。
電池と持続可能性におけるニッケル
ニッケルは合金以外にも用途があります。
一番は電池です。
ハイブリッド車に長く使われてきたニッケル水素電池は、名前の通りニッケルが主役です。
今の電気自動車で話題のリチウムイオン電池についても、製極材料にニッケルが使われています。
こうして自動車関係で今後も使われていくであろうニッケル。
資源としてはインドネシアが埋蔵量も採掘量もトップです。
その後にオーストラリアですとかブラジルが続きます。
ただしこのニッケルを含む鉱物資源を採掘するっていうのは非常に負担が大きくて環境破壊にもつながっています。
不当な労働環境や契約条件、そして環境破壊。
こうしたことに対して企業は責任を問われています。
こうした観点も相まってリサイクルは進められています。
ステンレスにも使われるくらいなのでニッケルはスクラップとして回収されてまた新しいステンレスとして戻ります。
比較的錆に強かったりして品質を落とさずに何度も使えますので割とちゃんと回っている金属です。
日本には使い終わったリチウムイオン電池からニッケルやコバルトを回収しているような工場もあります。
資源を輸入しないといけない日本だからこそリサイクル技術っていうのはとても重要になってきます。
触媒としてのニッケルの役割
最後に化系学として化学反応の話をしましょう。
ニッケルは触媒として働きます。
触媒っていうのは自分はなくならなくて反応を早くする手助けをするような物質です。
厳密に言うと実際は劣化して減ったりするんで定期的に入れ替えたりはするんですけどね。
ニッケル触媒として有名なのがマーガリン。
昔のマーガリンは液体の植物油にニッケル触媒を使って水素を反応させていました。
そうすることで固体の油に変えていったんです。
水素をくっつける反応ということで水素化という反応です。
ただ今はトランス脂肪酸っていう時々健康面で聞くような話が問題になっておりまして
水素化はかなり減っていてパーム油を混ぜたりとか別の生姜が使われているのが主流みたいです。
という感じでニッケルは水素関係で大活躍します。
工業的に大量に作られる水素の多くは天然ガスと水蒸気を高温で反応させる水蒸気改質という方法で作られています。
この水蒸気改質で使われる触媒がニッケル系です。
そしてさらにCO2と水素からメタン、つまり都市ガスの主成分を合成する技術でメタネーションというものがあります。
このメタネーションもニッケル触媒がよく使われます。
水蒸気改質はメタンをばらして水素を作るもの。
メタネーションは水素からメタンを組み立てるもの。
メタンから水素も水素からメタンもニッケル触媒が使われています。
CO2に水素にメタンが絡んでいるということでこれからの環境問題には大事な役割となる金属です。
じゃあなんでニッケルがこんなに触媒として優秀なのかというと、難しい話は抜きにしてちょうどいいんです。
私たちがよく知っている火に近づけてボンと音が鳴るのは水素分子、水素原子が2つ繋がってできたものが水素分子です。
3個繋がることで私たちが知っている水素の特性を発現できます。
これを化学反応するときは水素の分子をばらして原子にする必要があります。
2個を1個にするっていうことなんですけど、この水素の分子を原子にばらす力が強すぎず弱すぎずちょうどいいらしいんです。
実際のところ水素化という水素を反応させてくっつけるだけだったら、冒頭でちょっと話をしたんですけど、同じ俗にあるパラジウムとか白金の方が特性は強いんです。
特にプラチナなんてイメージしている通り長持ちしますよね。
元素としても非常に安定で優秀な金属です。
ニッケルよりはプラチナの方がもちろん長持ちするのはするんですけど、工業的な視点でいうとやっぱり値段です。
プラチナって1gいくらって売られている金属じゃないですか。
指輪1個分の重さで値段の話ができるぐらいの貴重さです。
それに対してニッケルっていうのは1tいくらの世界です。
そもそもの桁が千倍数千倍ことなります。
気がつけば大量に使われるようになっていったんですね。
まとめと番組情報
もともとニッケルの最初っていうのは銅に見えるのに銅が取れない偽物みたいな悪魔みたいな扱いをされておりました。
それが今や環境問題を解決するための重要な金属として大量に取引がされています。
お金にも使われるし、加熱にも使われるし、錆から守るのにも使われています。
まずは100円玉や50円玉に入っているというところから覚えてみてください。
今回はここまでです。
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時です。
番組への質問やご感想は概要欄のお便りフォームからお待ちしております。
もしくはXでハッシュタグプラントライフをつけて発信してもらえるとすぐ見に行けます。
今回のニッケルの話、どこが好きだったか教えてもらえると嬉しいです。
そして最後にnoteでメンバーシップかねまるのここだけの話というものを公開しています。
発信の試行錯誤ですとか、技術者のキャリアの話とか、あまりオープンな場ではしにくいような話をお届けしています。
興味を持っていただきましたらぜひ覗いてみてください。
それではお聞きいただきありがとうございました。
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