第百十一話『震える弱いアンテナを大切にする』-【大阪篇】詩人 茨木のり子-
2017-10-14 13:42

第百十一話『震える弱いアンテナを大切にする』-【大阪篇】詩人 茨木のり子-

1926年、大正15年に大阪で生まれた詩人、茨木のり子(いばらぎ・のりこ)は、マスコミ嫌いで、ラジオやテレビへの出演をほとんど断っていました。
当時、NHKのアナウンサーだった山根基世は、自らが担当していた『土曜ほっとタイム』というラジオ番組の最終回に、茨木のり子に出てほしいと思いました。
山根は憧れのひとに手紙を書きました。
「詩の朗読をはさみつつ、ぜひ、お話を聞かせていただきたい」。
茨木は、出演を快諾しました。
書いた本人を目の前に、詩の朗読。
「詩を読むのではなく、言葉を音声化させていただきます」
山根は緊張して、そう言ったそうです。
朗読した詩の中に『汲む-Y・Yに-』という作品がありました。
この詩には、作者と思われる主人公が、ある素敵な女性に出会い、感じたことが書かれています。
その女性のイニシャルは、Y・Y。
彼女は茨木さんに、こんなことを教えます。
何よりも大切なのは、初々しさ。
だから、大人になってもどきまぎしても、いい。
顔が赤くなっても、かまわない。
頼りない生牡蠣のような感受性は、そのままでいい。
そうして詩は、こんなふうに結ばれます。
「あらゆる仕事 すべてのいい仕事の核には 震える弱いアンテナが隠されている きっと…」
震える弱いアンテナは、現代社会を生き抜くためには必要ない、そんな風潮を感じる昨今、彼女が山根の出演依頼に応えたのも、山根の震える弱いアンテナに触れたからだと思えてなりません。
感受性は人間が生きる証であると訴えた詩人・茨木のり子が、その生涯でつかんだ明日へのyes!とは?

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