第七十一話『影を知って光を愛する』-【神戸篇】 映画評論家 淀川長治-
2017-01-07 11:52

第七十一話『影を知って光を愛する』-【神戸篇】 映画評論家 淀川長治-

「さよなら、さよなら、さよなら」
そんなお決まりの言葉で終わる映画の解説。
およそ32年もの長きにわたり、『日曜洋画劇場』の解説者として人気を博した、映画評論家・淀川長治。
彼は、兵庫県神戸市に生まれました。
神戸という街に生まれたことは、ある意味、淀川の人生に多大な影響を及ぼしたと言えるでしょう。
活動写真から映画への転換期。
神戸にいたたくさんの外国人のために、洋画が次々上映され、それを文字通り、浴びるように幼少期から観続けた経験は、彼ののちの人生を決定づけたに違いありません。
時代は明治から大正へ。それは神戸の街に、いち早く電気が灯ったときでもありました。
街中に拡がっていく、光の結晶たち。
光の記憶は、淀川少年の心に深く刻まれました。
ガスの火がぼうっとつく、音。匂い、そして光と影。
電気に目を近づける、遠ざける、そんな行為を繰り返すことで、彼はそこにできる映像を楽しむようになりました。
汽車に乗っても、車窓から観るのは、レールの流れ、曲がり具合、スピードに合わせて動く線の揺れでした。
それはまるで動く「絵」。そう、映画だったのです。
外国人がふつうに街を歩き、電気やガス、汽車や船など、異国の匂いと文明の香りに包まれた街で、彼は独特な感性を育んでいきます。
彼は映画から生きることを学びました。
何本も何本も映画を観る。
それは好きだけではすまない修行のような日々です。
彼は言いました。
「大切な一日をあくびなんかしてふやけている人。いやですねぇ。人間が生きるということはどういうことかといつも考える。すると死ぬことだということに帰着する。死ぬとわかれば今日この一日を十分に生きねば損だと思う」。
映画評論家・淀川長治が人生でつかんだ明日へのyes!とは?

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