たけしさんも好きでしょ、自分の仕事。
そうですね。好きというか、もう自分の人生になっちゃってるんで。
自分の人生で生まれて、このお茶に関われるっていうことと、この茶道具がそばにあるっていうことって、すごく僕の人生の中では幸せだなって思うんですよ。
それは何かっていうと、毎年毎年何か出会うんですよ、お道具に。
つい最近もちょっと出会ったお道具があるんですけど、手に入ったんですけど、そういうことが毎年あるので、一生懸命調べるじゃないですか。
そうするといろんな資料が出てきたりして、これもともとうちにあったんじゃないとか、もともとあの人が持ってたんだとか、そういうものに出会える感動が常にあるので、なかなかこれあと僕何年生きるか知らないけど、足りないですね。
JOITO'S PODCAST
今週も青春に引き続き、大阪の清見瀬道具ショー、谷松屋戸田商店の14代目当主、戸田隆さんをお迎えしています。
谷松屋戸田商店は、代々松江藩の藩主、松平不舞子や藤田伝三郎、平瀬老公といった歴史的なビッグコレクターを支えてきた茶道具ショー。
数多ある茶道具の中から、本物か偽物かを見極め、優れたものを選ぶメキキが求められるお仕事です。
ジョイさんはこのメキキの力に、現代に必要なセンシビリティが潜んでいると思っているみたい。
そもそもそのメキキをどうやって伸ばすかっていうのと、58歳で始めるとあんまり時間ないなとも思って、
戸田さんにいろんなとこ連れて行ってもらって、いろんな道具を見てだんだんわかってきたんだけども、
でもこれってバカずだけじゃなくて、メキキを磨く方法とか考え方とかって何かあるんですか?
まあ、買うことっすね。やっぱり買う。
僕らお道具屋さんがこう言うと、なんかセールストークみたいになってすごい嫌なんですけど、
でもやっぱり買わないと勉強にならない。っていうか僕自身がまずそうでしたし、
お茶道具屋として生まれてるけれども決してちゃんとした目を持ってお道具屋として生まれたわけではないので、
やっぱり何で培ったかっていうとやっぱ買うこと。
で、はじめは20万円、30万円のものを買って、すごい緊張して東京で買い物したんですけど、
やっぱりの新幹線の中、何回も何回も開けるんですよ。大丈夫かなと思って。
その時おじいちゃんがいたので、おじいちゃんにこれ見せたら、
おお、たかしえもん買ったなって言われたらホッとする。
それ未だに大事にしてるものなんですけれども、
だからやっぱりそれを何度か繰り返していくうちに少しずつ自分の何が好きかっていうのと、
物の見るものっていうのはわかる。
でも戸田さんの資料とか見てても、
あんまり高い安い値段考えないで買ってるとか言ってるけど、
でも関係なくはないよね。
だから僕なんかはベンチャー投資の時は、
いい会社とかいい社長、CEOにファウンダーに投資したいっていうのはあるんだけども、
安く買って高く売るから回るのであって、
必ず高く買って安く売ってたら回らないわけだよね。
だからこれはすごい面白い会社ですごい楽しいし一緒にやりたいけれども、
今買うっていう時と今も高くて買えないなっていうのは、
そのぐらいは。
感じます感じます。
心の中でこれっていくらぐらいなのかなっていうのはもう直感的に持ってるわけですよね。
ある程度僕らだいたい月に言うと、
2、3000点ぐらいのオークション見てるので、
それが年間通して見てますから、
もう下は1万円から上はトップまで、値段はある程度見てる。
でもそんだけ数見てると、
一個ずつ愛してるかなって触る時間ないよね。
ないです。
うわーっと見て。
うわーっと見て前にね、東京美術クラブのああいう会行くと、
僕の歩き方ってそうですよ。
すごい早いよね。
あれ一応見てるのね。
一応見てます。
で、わーっと見ながら、
ちょっと引っかかるなと思ったら第一段階手に取るんですよ。
で、最終的には高台をパッて見るんですよ。
高台って全て答えがあるからコットンの中には。
それを見て、
例えばどういう答えが書いてあるの?
やっぱ時代が若いとか、
それ高台で結構分かるところがあって、
高台ってやっぱ魅力ないとダメなんですよ。
なるほど。
で、これ周りはいいけど、高台見た瞬間にひどかったら落ち込むんですよ。
そういう見方して多分回ってたと思うんですよ。
こないだ戸田さんから譲ってもらった夏目を箱に入れてて、
風呂敷がなんかちょっとダサいみたいなこと言われて、
で、僕が持ってる古い生地全部出して戸田さんがこれって選んでくれて、
道具と色とか年齢化とか持って、
どうやってこれがいい?
センスって言われてるのか分かんないよと思うけど、
でもそれってビジュアルなの?
何がセンスです?
この生地とこのお道具が相性がいいっていうのは、
自分の心の中のなんかバイブなの?
まあ決してその自分がセンスいいとは一切思ってもいないんですけど、
ただ今まで見てきた古い道具の中で、
こういうお道具はやっぱこういう風呂敷が合うよねっていう感覚はある程度ありますよね。
それはたくさん見て、
これいいなと思ったものがだんだんこうそれを作っていく。
でもあくまでもそれは自分の見た時の反応から生まれてきてる。
そうですよね。
ありのままの姿、大切にされてきた姿であってほしいっていうのがやっぱあって、
たまに何代も続いたお家、好き者のお家で道具整理に行くじゃないですか。
その方も代々受け継いだ茶碗とかがあるんですけども、
そうすると今の代の人っていまいち締め方もわからない人多いんですよ。
そうするとすごい代名品をティッシュでくるめて箱に入れてたりするんですよ。
それ見ちゃうとこっちはもう落ち込んじゃいますよね。
初代はきっと大事にして扱ってたんだけど、
だんだん何百年かずっとその家が続くと、
やっぱりその次の世代にちゃんと教えるっていう動作をしないので、
だんだんと風呂敷も違ってきたりする。
なるほどね。
でもやっぱそういうのは僕らあまり好まないので、
やっぱり古いまま物に合わせたような風呂敷といわゆる箱。
その人に合う洋服みたいなものなのかな。
そうですね、きっと。
この間秋子殿下がうちの大学で講演したときに、
イギリスの美術館でやっぱり偽物が結構あって、
でも偽物は偽物の面白さがあるよねっていう話、彼女もしてて。
もちろん本当に偽物もあれば、
美術師を愛してコピーするとか、
すごく単純にただの偽物だけじゃないよねみたいな、
怪しい人だけが偽物作ってるわけではないよねとか、
ニュアンスがある偽物に対する面白い話をしてたんだけども、
でもお道具屋さんのすごく重要な一つの役割は、
偽物を見極められるかどうかとか、
そもそもどこのものかっていうのを見ることですよね。
はい、そうです。
前、あるアートコレクターから聞いたのは、
あまりにも偽物がいっぱい出てるから、
全部バレちゃったらアートマーケット潰れちゃうので、
分かっててもみんな言わないとか言ってたんだけど、
それってお道具も同じ?
いや、お茶道具に関してはすごく難しい部分があって、
だいたいコサイモンっていう言い方するんですけど、
作られたものをね。
そういったものってすぐ僕らは雰囲気出ちゃうから、
分かっちゃうんで、そういったものをまず扱わないし、
だからそれはまあやっぱり付き合うお道具屋さんによるっていうのはある。
で、僕ら責任持っているので、
必ず売ったものは買い戻す理由はそこにもあって、
まあそれにやっぱりお客さんってだいたいお茶会するでしょ。
そうすると世の中に見せるじゃないですか。
そうすると周りの評判が来るわけですよ。
その時に変なものをもし買ってたら、
どこのお道具屋が入ってんだって言われて、
トダさんですって言ったら、
もうトダさんの評価はガーンと下がっちゃうので、
僕らはだからそういうことは一切触らないし付き合わないし、
責任は必ず持つっていうことを考えてやってる。
なるほど。そうすると根っこのお道具屋さんの有名なものは、
結構本物がまあほとんどだっていうふうにイメージして、
で、こうオンラインで売ってるものは結構偽物はたくさんあるわけだよね、たぶん。
参加してるみんなの世界が本当に広がるよね
多分たくさんのお道具でもっともっと複雑なものをプロはやるんだろうと思うけど
僕らはその花梨一本で全部変わっちゃったんだよね
誰が持ってて次誰持つかっていうのの判断も結構
お茶道具屋さんの仕事っていうかポイントだよね
このお道具が入ってきたらこれどこに行くかっていうのって
考えて手に入れるものもあれば手に入れてから考えるとか
なんかその辺どこまでプロデュースしてる
まず僕たちもちろんお客さんから物が出てくるじゃないですか
古いお客さんから物が出てきて
これは死んじゃったり飽きたり
お茶やらない子供たちがいたりとか
そういうことがあったら買い戻させていただくんですけど
で次今いる新しいお客さんにそれを譲るんですけど
お客さんにもそれぞれの色があって
このお道具はこのお客さんにやっぱりぴったりだとか
この人はこういうものだからすごくいいお茶を
これを使ってやってくれるんじゃないかとかいう考えはやっぱあって
お道具が喜ぶかどうかとか歴史的な背景にこれ合うかどうかとか
だから例えばオークションでもちろん買うこともあるんですけど
まず自分が好きだから買うっていう感じですかね
で自分が好きで買ってそれをそれ以上に好きなお客さんがいた時には
その方に譲るっていう
だからオークションに出て
あの人に向けるっていう買い方はしたことあんまりないですね
でもすごいストックたくさん持ってるわけではないんでしょう
そんなにないですよね
で自分もコレクターみたいに
これちょっと飽きてきたなと思ったら売ったり
あれいいなと思ったら買ったりで
入ったり出たりの流れを
でもそれ何となく何にどこがあってあれいいなみたいなのは常に持ってるっていうこと
持ってます
お道具屋さんの間でもあるんだよね
それが結構多いですね
道具屋との間は僕はまだ若い方なんでこの業界でも
なんか先輩たちが持ってるものを狙っていくんですけど
帰り討ちにあったりとか
そういうお道具の取引って人間のこの欲が出るので
すごいやらしいとこついてくるんですよ
お前これ欲しいだろって
じゃあお前のそれよこすよみたいな
そういうこうやり取りはずっと代々続いてて
もう僕それこそお前のおじいちゃんはなみたいな
うちの親父とみたいな
そういう話はずっと続いてるんですよね
だからお道具も行ったり来たりしてます
この間僕やっと手に入れた好きで好きで欲しかったあるカラツの杯とかあるんですけど
それなんかもともとは僕のおじいさんがその方に売ってたみたいで
そのほんと結局回っちゃってるっていうのは現実はあります
武井さんも好きでしょ自分の仕事
そうですね好きというかもう自分の人生になっちゃってるんで
自分の人生で生まれてこのお茶に関われるっていうことと
この茶道具がそばにあるっていうことって
すごく僕の人生の中では幸せだなって思うんですよ
それは何かっていうと毎年毎年何か出会うんですよお道具に
つい最近もちょっと出会ったお道具があるんですけど手に入ったんですけど
そういうことが毎年あるので一生懸命調べるじゃないですか
そうするといろんな資料が出てきたりして
これもともとうちにあったんじゃないとか
もともとあの人が持ってたんだとか
そういうものに出会える感動が常にあるので
なかなかこれあと僕何年生きるか知らないけど足りないですね
でもやっぱりやればやるほど楽しくなりそうな感じがして
そうですねほんとそうですよね
テクノロジーのポッドキャストからだんだんこう