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こんにちは。のびやか四葉カフェをお届けします。公認心理師の四葉さわこです。
今回は前回の続きです。
カラダ視点シリーズの第5回、神経状態というモノサシを持とう、の後編です。
前編で、自律神経について、車のアクセルとブレーキに例えて、そのイメージを説明しましたね。
そして、神経状態は大きく分けて3つあるとお伝えしました。
まずは大まかに、この3つの状態のどこにあるかを見極められるようになること。
それが大事だとお伝えしました。
3つのうちの2つは、適度な範囲を超えて、高ぶり状態、あるいは落ちこみ状態、この2つでした。
そして、適度な範囲に収まっているのを、安定範囲という言い方しましたね。この3つです。
前回は、高ぶり状態について、高ぶりにもいろいろなバリエーションがあるというところまでお話ししました。
今回の後編では、落ちこみ状態と安定範囲について、詳しくお話ししますね。
落ちこみ状態
では、神経の落ちこみ状態ですね。
落ちこむときは、ブレーキが効いたというときです。
そして、なぜブレーキが効くのかというと、その前に高ぶりすぎて疲れちゃったからです。消耗したからです。
ダメージを受けたり、消耗したりして、カラダを今度は休ませる、少し落ち着かせる必要があるから、ブレーキ神経が効くという仕組みになっていますね。
このブレーキが効いたときにどういう状態になるか。
車の例えを前回しましたけど、ブレーキが効くとまずスピードが落ちるわけです。
だから人間としては、何か動きがゆっくりになる、あるいは動きにくい、なんてことになるわけです。
そして、エネルギーも落ちた感じ。
だから、なんかこうやる気が出ないな、なんかめんどくさいな、あと眠い、疲れた、うつっぽい、休みたい、そういうエネルギーが落ちたような感じになります。
テンションも落ちますね。
なんか元気ないように見えるとか、おとなしい感じ、もの静か。
テンション高い、低いかって言ったら、低い、落ちる感じになるわけです。
あと思考力、頭の働き方も、ちょっとこう働かないなとか、ぼーっとするって感じになったりするのも、ブレーキ神経の方が、副交感神経の方が強く効いている状態ですね。
あと、コミュニケーションの方も、なんて言うんでしょうね、活性具合が落ちるというか、人と関わるよりは、一人でいたい、引きこもりたい、なんかそんなモードになるんですね。
そういうような状態の時は、安定範囲を超えて、ちょっとブレーキが強く効いて、落ちこみ状態の方にいってると考えます。
これら全部に共通するのが、消耗して休息を求めているとか、ちょっとエネルギーを使わない省エネモードになっているっていうのが共通するところですね。
ちなみに、このブレーキ神経で言い方してきましたけど、副交感神経ね、それが効いている時って、食べ物を消化する時にもそういうモードになるんですよ。
食べ物の消化って結構内臓の方は動いて、そちらにエネルギーが必要なんですね。
その分、消化するために他のところのエネルギーは落とすわけです。
よく食べると少し休みたくなる、眠くなるって言いますけど、それもそういう関係があるんですね。
食べ物の消化もそうですけれど、最近は猛暑、暑いですよね。
この暑い中にいると、それだけで自律神経も汗をかいたりして、カラダの体温が上がりすぎないように調整するのに疲れています。
それから外は暑いんだけど、中はエアコンなどが効いて涼しい。
そうすると屋内と屋外の気温差、アップダウンの激しさで、その時の室温とか気温に合わせてカラダの状態も調整しなきゃいけないから、アップダウンが激しくなるわけですよね、自律神経も。
今度はこう調整、今度はこう調整みたいな、それでも自律神経疲れちゃうんですよね。
これって季節の変わり目みたいな時も起きることです。
あと気圧の差とか、そういうので自律神経が別の方で一生懸命働かなきゃいけない状態になっていると、それだけで疲れているので、他の行動したりとか思考力とか、そっちの方はちょっと節約して落とし気味になるっていうこともありますね。
こういう神経が落ちこみ状態になっている、つまり休息とか省エネモードになっているという時は、やっぱり覚えておきたいのは、こういう時はカラダが求めている必要な休息やケアをちゃんと取ってあげた方がいいってことですね。
だってカラダの声というかね、カラダや神経が疲れている休みが欲しいって言ってるわけですから。
こういう時の対処法については、以前困った時の応急ケアシリーズのところで、うつ気力落ち状態の説明でしています。
気になる方はそちらもぜひ参考にしてください。
これもnoteの方にリンクを貼っておきたいと思います。
あと、神経状態やテンションには個人差やタイプがあるという話も前回しましたね。
神経状態、神経レベルが普段から落ちているというか、低めの人、つまり大人しいタイプ、おっとりしていて、もの静か、活動エネルギーが低めに見える人もいます。
でもそれも個性として認めたいところですね。
個性という話が出たところで、次の内容、安定範囲の説明に入りたいと思います。
安定範囲
この安定範囲こそ個人差があるんですね。
その人にとって安定できる範囲、適度な範囲、ちょうどいい範囲というのがある。
ずっと車の例えをしてきましたが、車にも軽自動車とか大型クラスとか様々なクラスがあって馬力が違かったりしますよね。
人によってどれくらいのスピードが出せるかとか、アクセルブレーキどれくらいまで踏んで大丈夫かっていうところが得意不得意もありますしね。
個人差があります。
生まれ持った個性というか気質みたいなものもありますし、育ちの違いで変わってくるところもあります。
だから自分にとって負担の少ない心地よいテンションとかモードはどれくらいか、それが自分と大きく異なる人もいれば近い人もいると。
体育会系の熱血な人とかそういう集団もあれば、おとなしく控えめだったり、そういう人が多い集団っていうのもありますよね。
あとこの安定範囲っていうのはトラウマを抱えている人とか神経過敏な人はこの範囲が少し狭めだっていうことも言われています。
でもこの範囲も経験とか訓練とか慣れなどから広げることはできるんです。
トラウマがある人だったらトラウマケアとか安心安全の関係とか経験を重ねることで少しずつ安心して落ち着いて生活できるようになるっていうこともあるし、
あと周りの影響を受けるとかね、そういうこともあるわけです。
自分はこれくらいだって決めつける必要はないんだけれども、ただ急激にその神経レベルだったり範囲っていうのを変えることはできない。
変えるにしても少しずつですから、無理はしないで自分の今にとってのちょうどいいっていうのを考慮しながら生活していくことは大事かなと思います。
とにかく車の安全運転と一緒ですね。できるだけアクセルやブレーキを極端に踏まないで滑らかに運転できている状態。
その方が燃費もいいし、車本体にも部品にも無駄な負担をかけない。
だから大事なことは、自分にとってちょうどいいスピード感とかペースっていうのはどれくらいなのかっていうのを知ることですね。
もし何かの活動、誰かと付き合ったり活動した後に何だかものすごく疲れてしまったっていう時は、その時どれくらいの神経レベルで活動していたかなっていうのを振り返ってみるといいと思います。
それを見た上で、自分にとってちょうどいい範囲っていうのはこれぐらいの活動量だなっていうのを踏まえてスケジュールを設けるとか、人付き合いの仕方について調整する、そういう工夫も大事かなと思います。
ではここまで、神経状態というモノサシを持とうという内容でお話ししました。
自分や相手の今の神経状態に気付けるようになることがまず大切です。
それに気付ければ、その後の対応や調整の方針が立てやすくなるからです。
まずは大きく3つに分けて捉えられること。
アクセルが効きすぎている高ぶり状態、ブレーキが効きすぎている落ちこみ状態、そしてアクセルとブレーキが無理ない範囲で効いている安定範囲、この3つの状態を見極められるようになりましょう。
対応策と法則
そこが見極められれば、その後は神経状態には一定のパターンや法則、それから共通した対応策があるので、その対応をしていけばいいわけですね。
次回からは、対応できる、対応するための対処法とか法則などについてお伝えしていけたらと思います。
それを知ることで、自分の状態を調整したり、他者を理解したり、あるいはコミュニケーションに役立ててほしいと思います。
ところで、自律神経について説明するときに、ここまではアクセルとブレーキの2種類で説明しました。
次回からは、これを3種類で説明する新しい自律神経の理論、ポリヴェーガル理論を交えてお話したいと思います。
今回お話した参考記事などのリンクは、noteの記事にまとめておきます。
音声配信でお聞きの方は、概要欄にnoteのリンクを貼っておきますので、ぜひそちらからご覧ください。
ではでは、最近の暑さで、自律神経も体もお疲れモードの人が多いんじゃないでしょうか。
どうぞ、睡眠や栄養をしっかりとってあげて、十分ケアしてあげてください。
ではここまでお聞きいただき、ありがとうございました。