ラジオの始まり
年末の12月29日、朝起きまして、ラジオをつけて寝床で聞いていたのですが、そうしましたらば、あるインタビュー番組の再放送をやっていました。
それはラジオ100年プロジェクトというものの100人インタビューというもので、これは来年2025年が日本でラジオ放送が始まってから100周年ということで、それに向けてラジオに関係のある100人にインタビューをするという、そういう趣旨の番組のようでした。
翌日12月30日も聞きましたが、そこでは「ラジオ深夜便」の初期のアンカーである宇田川清江アナウンサーが話をしていました。
そこではラジオ深夜便の3つの約束ごとというものが紹介されていまして、それはまず1つ目、ゆっくり話すということ、2つ目、音楽は最後まで流すということ、3番目、リクエストは募集しないということ。
この3つを約束ごととして番組を作ったというふうに言っていました。
これは今のラジオ深夜便の雰囲気を作る上でとても大事な約束ごとだったと思うんですけれども、それは一言で言えばゆったりとしたラジオを作るというそのための条件だったのではないかと思います。
つまり深夜にゆったりと聞きながらいつでも寝てしまっていいようなそういう番組ですね。
いつまでも聞いていたいような、あるいはいなければならないようなそういう場面を作らないということだと思います。
これはですね、私が今行っていますTanaRadioもですね、そういったゆったりとしたラジオを目指していますので、
私は特に何も原則を設けずにやってきましたけれども、そういう考え方で作った番組とたまたま似たものになったんだなというふうに思いました。
というか、私のこのTanaRadioの一つのイメージはラジオ深夜便だったんですけれども、そのルーツを知ることができたというような気がしました。
ということで、今年初めてのですね、 TanaRadio第26回始めたいと思います。
ラジオの歴史の授業
今回のテーマは、「ラジオ100年の年にラジオの歴史の授業をしたい」というテーマです。
私は科学史を専門としているんですけれども、来年2025年がラジオ100年にあたるということをほとんど意識しないまま、昨年末まで来てしまったんですけれども、
私、ラジオが大好きなので、そのことをなんとか授業に生かせないかと思いまして、この2025年、ラジオ100年の年にラジオの歴史を軸にした授業をやってはどうかということを思いつきました。
これは昨日、元旦の寝床の中で思いついたことなんですけれども、ラジオの歴史というのはそれなりに知られているものだとは思うんですけれども、
いろんな側面から取り上げることができて、私の「科学と技術の社会史」、つまり科学と技術と社会が交差する歴史を扱うにはとても面白いテーマではないかと思いました。
ラジオというと、ラジオ受信機をイメージしまして、その機械の歴史というものを、これは一つの技術史として語ることができると思いますし、そういったことを研究した本もいくつも出ているかと思いますが、
他方で、ラジオというのは文化的な側面が非常に大きいわけで、しかも一般の人々が聞くものですから、この社会史という側面から取り上げてもとても面白いテーマだと思います。
また、ラジオというのは割と専門家だけが扱うようなものではなくて、いわゆるアマチュアがいろんなことをやっているわけです。
例えば、ラジオ受信機を作るなんていうのも、かつては自分たちで作るというそういう文化があったと思います。
また、現在ではラジオ番組を作るというものもごくごく簡単にできるようになりまして、このTanaRadioもそうですけれども、インターネットを使ったラジオ番組というものは今、爆発的に増えているのではないかと思います。
それから歴史を振り返れば、ラジオというのは新聞と並びまして非常に重要なマスメディアとして重要な位置を占めていた時代があります。
そこは、場合によってはプロパガンダの道具として使われるということもありまして、そういう側面からも取り上げると興味深いかもしれません。
さらに言えば、電波というのは遠くまで届きますから、自国だけではなくて外国に対して放送を行うということ、これももちろんプロパガンダもありますけれども、それ以外の文化的な交流という側面でも興味深いかと思います。
私が小さい頃に夢中になりましたBCL、海外短波放送を聞くということも、これはラジオの歴史の一コマとして取り上げてもいいかもしれません。
ということで、いろいろ考えますととても面白そうな気がしてきまして、ある種のワクワク感というか、そういうものを私に起こすものになりました。
これを私はほとんど準備ができていませんので、これから1年かけて2025年の4月に向けて準備をしていくというのも面白いんじゃないかと思いました。
自由な学びの実現
そしてさらにその準備の過程を公開するというのでしょうか、他の人にも知ってもらいながら続けるというのはまた新しい趣向と言いましょうか、楽しみにもなるのかなと思いまして。
早速ですね、昨日私が前から公開しているnoteというブログサービスのようなものがあるんですが、そこで一種の連載を始めました。
結構ですね、読んでくれる人がいるようでですね、もうすでにそれなりの数の、何て言うんでしょうか、読んだですね、少なくともそのページを開いたという痕跡が確認できます。
それから私がですね、これまでこのTanaRadioで考えてきた自由な学びを実現するために私ができることというものをずっと考えていましたけれども、
イリイチがですね、その4つの方法をですね、『脱学校の社会』で提案しているんですけれども、そのうちのですね、2つはこれでできるかなというふうにちょっと思いました。
1つは「教育的事物等のための参考業務」というもので、これは日本語に訳すと非常に分かりにくい堅苦しい訳になっていますけれども、要するに誰かが何かを学ぶときに参考になるようなものということですね。
本などがその典型だと思いますけれども、それ以外にも様々なもの、こういったものをですね、使えるようにする、少なくともそれを案内するというですね、サービスのことで、
例えばラジオの歴史について興味がある人がどうやってそれを学べばいいかということの情報をですね、提供することができるかなというふうに思ったわけです。
それからもう1つはですね、「技能交換」ということで、元の英語はですね、Skill Exchangesというものなんですけれども、要するに私が持っている何らかのスキルをですね、交換する、交換というか提供するということで、
この場合、何のスキルかと言いますと、私長年教員をやっているので、教員が授業の準備をするというスキルですね、これを開示することによって、そういった何か教える準備をしたいと思っている人の参考になるような、
そういうある種のスキルを実際に使っている場面、モデルをですね、提供しまして、それを参考にして実際に自分で何か授業の準備をしてもらう、そんなこともできるかなというふうに思ったわけです。
ということで、いろんな意味でですね、面白いことができるかなというふうに思っているんですが、すみません、もう1つ言うのを忘れていたことがありました。
ラジオというのは、先ほど言ったようにアマチュアが関わるような、そういう場面があると言いましたが、ラジオというのは自分で作ることもできるんですね。
ですから、授業の中で何かラジオを作るという場面も作れたら面白いなと思うんです。
この場合のラジオを作るというのは2つの意味がありまして、1つはラジオ受信機を作るというものづくりの意味があります。
それからもう1つは、今やっているようなラジオ番組を作るという、ある種のソフト的な部分を作るということもあるわけですね。
両面、これは自分で作ってみるということができそうな題材なので、そういったことも授業で学生に、希望者のみということになると思いますが、やってもらうのも面白いかなというふうに思っていまして、
その準備をこの1年間でやってみようかなと。
私自身、ラジオを作ったのもずいぶん昔ですので、今作れるかどうか分かりませんが、久しぶりにそういうことをやってみるのも面白いかなというふうに思っているところです。
ということで、今回のTanaRadio、これで終わりにしたいと思います。
ではまた。