エジプト考古学の謎
いちです。おはようございます。今回のエピソードは、エジプト考古学の未解決な問題たちについてお届けをします。
このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
スティームニュースは、スティームボート乗り組みのご協力でお送りしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年11月3日に収録しています。
今週のSTEAM.fmは、科学系ポッドキャストの日という企画に沿ってお届けします。
科学系ポッドキャストの日というのは、僕たち科学系ポッドキャスターが共通テーマについて様々な視点で語る企画です。
科学系ポッドキャストの日は、今回で10回目になります。毎回ホストが変わりまして、今回のホストはサイエントークさんです。
番組概要欄からリンクしている特設ホームページには、参加番組のまとめやプレイリストがあるので、ぜひ覗いてみてください。
さて、この科学系ポッドキャストの日、今回の共通テーマは未解決です。
というわけで、このエピソードでは、スティームニュース第153号からエジプト考古学の未解決な問題たちについてお話をしていきたいと思います。
番組内では3つの未解決問題をご紹介しますが、この問題解決に臨むための科学的アプローチについても
ポッドキャストのこのエピソードの中で触れていこうと思っています。 今週もどうぞ25分間お付き合いください。
僕たちエジプト調査隊のリーダー、河合ゆきのり先生が、「未だ解明されていないピラミッドの謎とは?」というYouTube動画をアップしています。
こちらもですね、概要欄にリンクを貼っておきますので、よかったら覗いてみてください。
タイトルに建築編というふうなタグが入っているんですね。 建築編となっているのは、今後
なぜピラミッドが建築されたのかという思想編、あるいは宗教編というようなものがアップされるからだと、僕は解釈をしています。
この動画ではピラミッドの構造の謎について、写真や図を交えてわかりやすく紹介しているので、ぜひご覧になってください。
さて、このYouTube動画ではピラミッドに関する7個の未解決問題を紹介しているのですが、
詳しくは動画を見ていただくとして、その中の一つをこのエピソードの中でご紹介したいと思います。
その一つに選ばせていただくのが、ピラミッドの表面が実はつるんとしていたんじゃないかというお話なんですね。
ピラミッドの表面、つるつるだったはずなんです。 ギザの3大ピラミッド、まっすぐ思い浮かべられる方は今、脳内にイメージしておいて欲しいのですが、
あれ、どんなんだっけという方は今ですね、ちょっとこのエピソードを聞きながら画像検索してみていただきたいのですが、
3大ピラミッド、ギザのピラミッドというふうに検索すると3大ピラミッドが出てきます。
おそらくですね、写真の角度によって前後関係は変わってしまうんですが、真ん中に映っていると思います。
カフラーウォーのピラミッド、多分ね、どちら側から写真を撮ってもだいたい真ん中に収める構図の写真が一般的なので、真ん中にいると思います。
てっぺんがほんのちょっとだけつるんとしているピラミッドがあるはずです。 これ不思議じゃありませんか?
実はこの3つのピラミッド、もともとは表面が全部つるつる、これ建築用語でいうところのつらい地だった可能性がかなり高いんです。
今は真ん中のカフラーウォーのピラミッドのてっぺんだけ残っているんですが、
これ足元の方にも化粧板、我々このつるんとした板のところ化粧板と呼んでいるんですが、化粧板が残されています。
ということは真ん中だけギザギザにしたということは、エジプト人の、古代エジプト人のセンスから考えてもちょっと考えにくいので、おそらく
ピラミッドは全面をつらい地にしていた、全面がつるんつるんだったというふうに考えられるんですね。
この想像図、僕が毎週メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの153号に引用させていただいているので、
どんなふうに見えたんだろうというふうに気になる方は、ぜひニュースレターの方で読んでいただければと思います。
そしてですね、このピラミッドの謎の一つなのですが、この化粧板をピラミッドにどのように貼り付けていったのか、
そして化粧板がピラミッドからどのようにして失われていったのか、これどちらも未解決の問題です。
ピラミッドはどのようにしてつらい地に仕上げられたのか、そしてどのようにして現在の姿になったのか、
結論は分かりません。未解決です。
実は河合幸典先生を率いる我々ジプト調査隊は、この問題についても科学的なアプローチで謎の解明に取り組んでいます。
ピラミッドの未解決問題
具体的には、ピラミッドの、現在のピラミッドのですね、非常に精密な3次元形状の計測を行っています。
現状を非常に精密に求めることで、ピラミッドのもともとの形からどれだけ石材が失われたのかということを計算で求めることができるわけですね。
それはすなわち、失われた化粧板がどこから来てどこへ消えていったのかということを探るヒントにもなるわけです。
ちなみにですね、ピラミッドの表面がツルツルだったんじゃないかというのは、口頭無形な説ではなくて、ピラミッド、実は100個以上あります。
その中には、表面がツライ地に仕上げられているピラミッドもいくつかあります。
あるので、恐らく最終的な仕上げとしては、この3大ピラミッドもつるんとした表面にしていたというのは、おかしくないということになるわけですね。
ピラミッドの未解決問題、僕が生きている間に1つでも2つでも解明されるといいなと思っていますし、
その解明に少しでも役に立てればもっといいなぁなんてことを思っています。
ぜひね、続きは河合ゆきのり先生のyoutube動画でチェックしてみてください。
義座の真ん中のピラミッドを建てたカフラー王の座位は、紀元前2558年頃から紀元前2532年頃と考えられています。
日本は縄文時代になりますね。
そのずっとあと1200年の時を経て、紀元前1332年から1323年の9年間、エジプトを統治したのが少年王、ツタン・カーメンと考えられています。
ちなみにツタン・カーメンは日本での通称で、学術的にはTutankhamunというふうに呼びます。
日本の感覚だと王朝はずっと続いていくものと思いがちなところではあるのですが、
エジプト皇国の場合というか、まあこちらが世界標準ではあるのですが、王朝は何度も入れ替わっています。
カフラー王は第4王朝、ツタン・カーメン王は第18王朝なので違う王朝なんですね。
日本の歴史だけを見ていると感覚がバグってしまうので、王朝は入れ替わるものと思っておくのが正解です。
ツタン・カーメン王は黄金のマスクで有名ですが、ご本人のミイラも残されています。
それどころか、ミイラのCTスキャンや遺伝子解析まで行われています。
さてこのツタン・カーメン王、16歳から19歳の間に亡くなっています。
いくら3000年前とはいえあまりにも早い死です。
ツタン・カーメンとクレオパトラの謎
彼の死因についてはこれまでの調査結果からいろいろな説が提唱されています。
おそらくは落下による足の複雑骨折、そしてマラリアではないかと、エジプト考古学者ザ・ヒハワス博士は唱えています。
一方で、かまじょう赤血球症ではないかとも言われています。
また足の複雑骨折の原因として戦車に轢かれたのではないかなんていう説までもあります。
少年王ツタン・カーメンの死の理由、こちらも未解決です。
ツタン・カーメン王の死の謎に迫る捜査方法なのですが、これ殺人事件の科学捜査と全く同じ方法が使われています。
紀元前51年から紀元前30年にかけてエジプトを統治した情報、
クレオパトラ7世の死も、また謎に包まれています。
彼女は39歳で亡くなっていますが、彼女の墓はまだ見つかっていません。
もう2000年も見つかっていないんです。
紀元前30年8月29日、クレオパトラは敵将オクタビアヌスの警戒を破って自殺しています。
ゾウトヒの一軸に忍ばせたコブラに自身を噛ませたとも言われています。
エジプト考古学者キャサリン・マルチネス博士は、
2022年11月、クレオパトラの墓の手がかりを見つけたかもしれないと発表しました。
ただし、決定的な証拠がないため、現在に至るまでクレオパトラの墓は未発見です。
クレオパトラを含め、ギリシャ系は古代エジプト系に比べると大きな墓を残していないため、
ピラミッドのような巨大な墓は残さなかったと考えられます。
アレクサンドロス三世、通称アレクサンダー大王でさえ大きな墓は残していません。
僕たちもまたキャサリンの命令の下、クレオパトラの墓を探したことがあります。
詳しくはですね、このsteam.fmのエピソード105を聞いていただきたいのですが、
見つけるにはいたらなかったんですよね。
ただ、クレオパトラの夫でもあったユリウスカエサルもローマの大地に染み込んで祀られたと考えることもできるわけですから、
クレオパトラもまたアレクサンドリアの地に溶け込んでいるのかもしれません。
クレオパトラの時代から名産品だったエジプトの一軸、ヨーロッパ世界を恐れさせた北アフリカ産の一軸は驚くほど甘くみずみずしく現在に至るまで生産され続けています。
クレオパトラの墓の調査の間、地元の一軸農家さんが僕たちにも模擬たての一軸を分けてくれたことがありました。
アダムとイムが手を出した知恵の木が何だったかは未解決問題なのですが、
一軸説はかなり有力です。 僕も知恵を授かったのかなぁなんてことをね、思ってるんですが、これも未解決。
クレオパトラの墓も未解決。
地中探索技術の利用
このクレオパトラの墓を探す方法なのですが、発掘というのは遺跡の破壊と同じ意味でもあるので、できるだけ非破壊で調査を進めたいというところがあるんですね。
そのために地中レーダーという地中探索技術がよく使われています。
またですね、どこにあるのかな、そもそもどこにレーダーを当てたらいいのかなということ、もちろん文献調査であるとか、
様々なですね遺品とかの証拠から積み上げてはいくのですが、 Google Earth のように衛星写真をつなぎ合わせた地図から、これはひょっとしてまだ見つかってないお墓の跡なんじゃないの?
この地形だからここら辺にお墓あるはずだよね、といった推測を重ねていくこともあります。
ぜひね、皆さんもお時間あるときは Google Earth あるいは Google Map の衛星写真モードなんかで世界を見てみてください。
たまにですね、未知の遺跡が見つかったという報告があるので、これいい趣味だと思いますよ。
実用的でもあるし。 宇宙の謎について考えるときに、人間的な要素というのはおそらく無用です。
むしろ邪魔になるでしょう。 しかし人工物、英語で言えばアーティファクトの謎について考えるときには、
人間に関する洞察が役立つこともあります。 古代エジプト人なら、古代ギリシャ人なら、そんな想像が発見の糸口になることもあるんです。
リスナーの皆さんもぜひご意見お聞かせくださいね。 さて、近況のご報告でございます。
先週金曜日、2023年10月27日夜8時から
TEDxデジマ・ウィメンというオンラインイベントを開催させていただきました。 これはアメリカのテッドカンファレンスがこの秋に実施した
TEDxデジマ・ウィメンのデジマバージョンになります。 もちろんアメリカテッドのライセンスを受けて開催をしています。
TEDxデジマ・ウィメンではとても素晴らしい、とても勇気のある3人の女性スピーカーのトークをお届けしました。
こちらもTEDxデジマブログというウェブサイトにまとめを掲載していきますので、
概要欄にリンクを置いておくので、よかったらご覧になってください。 そして今週は悲しい別れもありました。
まだ34歳だった僕たちの仲間、 元宇宙飛行士インストラクターで
無人島コーディネーターもしていた長谷川純一さんが宇宙へと旅立ちました。
僕たちは2018年から長崎でTEDx再会という
対面イベントを実施してきたのですが、 彼と一緒に
世界初のそしておそらく世界最後の 無人島TEDxイベントを実施したんですね。
本当に楽しかったし、 いい思い出になりました。
無人島には女優の木内みどりさんも来てくださって、 熱いトークを残してくださいました。
今頃きっと二人は宇宙で 無人島イベントの思い出も語り合ってくれてるんじゃないかなと
僕は想像をしています。 今週は未解決な問題について科学系ポッドキャストの日
企画の中でお届けしてまいりました。 科学系ポッドキャストの日特設ホームページでは様々なポッドキャストが紹介されていますので、
ぜひsteam.fm 以外も聞いてみてください。 今週はリンのヘッドスペースを聞きながらのお別れとなります。
steam.fm のイチでした。
steam.fm のイチでした。
steam.fm のイチでした。
steam.fm のイチでした。
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