2023-07-16 09:01

#26 狼の歴史2

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童話や民謡に出てくる「悪役」としての狼は、なぜ悪役としての概念を課されるに至ったのでしょうか。

概念としての狼を補助線としてヨーロッパを俯瞰します。

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Podcast「ストーリーとしての思想哲学」@思想染色(@SSenshoku)/ Twitter

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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
前回からの続きで、
ジェヴォーダンの獣事件の話からです。
ジェヴォーダンの獣事件はね
概要とすると、超巨大な狼が出て
これはベートって、ベートって呼ばれているんですけど
超巨大な狼が出て
それで3年間で犠牲者が101人出たとされている事件です。
これ、当時の人たちはめちゃくちゃ怖かったみたいです。
フランスのルイ15世が介入してくるくらいの騒ぎにはなっていて
王室自ら狼を飼って、狼を200頭飼ったんだけど
それでもベートによる被害は止まりませんでした。
だから、いつまでも終わらないから
すごいその恐怖が恐怖を呼ぶ状態になって
噂にどんどんお尻がついていったようです。
つまり都市伝説と化したわけですね。
その時の言い伝えとすると、
いわくベートっていう狼はものすごく巨大で
人間だけを襲い、女性と子供ばっかりを狙い
頭蓋骨ごと噛み砕いてしまうっていうふうな具合です。
これはおそらく集団ヒステリーのような状態なんじゃないかと思います。
実際のところ、そんなに巨大で力が強い狼というのがいるわけがないですから
これは今となってはもう証明することはできないのかもしれないですけど
おそらくは同時多発的な狼被害だったのだと思われます。
急に狼被害がこの時代になって増えたっていうことですけど
これが意味をするのは
何らかの要因があって
急に各所にいる狼が人間を襲うようになったということだよね
同時多発的な狼による被害が急に起こるようになったって言いましたけど
じゃあどうして急にそんなことが起こるようになったのかという話です。
前回、昔は人間と狼が人工密度とかが低かったから
そもそもあんまり合わなかったっていう話をしたかと思うんですけど
これですね、すごくシンプルな理由があって
この時代、人間がですね、人工爆発して
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人間の人工がすごい増えたっていうのと
あと狼のですね、爆発的な増殖っていうの
これが重なったようです。
この時代、生きてる人にはどうやったって分かりようがない話ですけど
今、こうして見てみると
すごい表紙抜けするようなシンプルな理由なんですけど
この時代、人間がめちゃくちゃ増えて
かつ狼もめちゃくちゃ増えるっていうことがあったと
そうすると人間と狼が接触する機会が急に増えますから
だから結果として狼被害が増えるっていう
それだけの話であったわけですが
当時を生きる人にとっては
急に狼による被害が増えたわけですから
このジェボーダンの獣っていう都市伝説を生み出すほど怖かったということですね
そもそもの話として
人間が増える原理っていうのは結構シンプルなところがあって
食べ物が十分にあれば増えますし
食べ物が足りなければ飢え死にしてしまうので減ります
だから子供がたくさん増えても
みんなが食べていけるだけの食べ物が手に入るようになったということなんですけど
18世紀はノーフォーク農法っていうのが広まって
農業の生産性がめちゃくちゃ上がるっていう出来事があった時代でした
ノーフォーク農法っていうのは
まず最初に株を植えて
その次にオウムギ、その次にクローバー、次に小麦っていう順番で
4年周期で林作をするっていう畑の使い方です
こうやると畑の中の養分がすごい良い感じに保たれて
畑を休ませなくても良くなるから
それで農業生産性が爆上がりするっていう話です
で、今言った1番目と3番目の株とクローバーは家畜に食べさせるようになります
2番目と4番目に言ったオウムギと小麦は人間が食べますけど
株とクローバーは家畜に食わせる
こうやることで穀物生産と家畜の飼育を同時にすることができるんですよ
これは人間だけじゃなくて家畜の数も増えるということを意味します
このようなことが起こったことによって
人間や家畜たちの数が増えたことによって
今まであんまり人が住んでいなかったような住みにくいところにも
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居住場所が拡散していくことになりました
そうして人口が増えたから偏僻なところにも人が住むようになったんだけど
そうやってできた新しい集落を作ったとして
その集落の防衛機能をどれだけ備えることができるかっていうと
そんなにすぐはできるわけがないんですね
特に放牧が必要な家畜を守りきるっていうのは非常に難しいことでした
これは狼側からすれば守りが薄いですから
家畜を食べ放題みたいな状態になるわけです
この辺から狼は家畜を盗む
狼イコール泥棒みたいなイメージも相まって
狼への憎悪が増していくことになります
はい
今言ったように人間の人口が増えるのと同時に起こったのが狼の急激な増加ということでした
これが起こった原理はこの時代に農民が武装解除されたんです
日本でも刀刈りとかありましたけど
あれと同じような感じで領主によって農民が武装解除されて
それと同時に狩猟の権利も貴族だけに制限されました
これによって農民が狼を狩ることが困難になりましたから
事実上狼に天敵がいなくなった状態になりました
さらに重ねてオーストリア継承戦争っていうのと
七年戦争っていうのがありまして
この戦争の後は人喰い狼が急に増えたらしいです
多分なんですけど戦場に死体がたくさん転がってて
それで人間の味を覚えたっていう奴なのだと推測されています
そんなことで狼の個体数っていうのも非常に増えて
家畜や人間が襲撃される頻度が増えましたから
狼へのヘイト、憎悪が高まっていくことになりました
今回はここまでにします
次はヘイトが高まりすぎた結果として
人間は狼を駆逐していくことになるっていう話をします
次回もよろしくお願いします
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