1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #372 「言語の系統が同じ」っ..
2021-10-13 09:45

#372 「言語の系統が同じ」ってどういうこと?(比較言語学) from Radiotalk

「変わっている」ではなく「対応している」ですね。

PIE PGmc
*b *d *g > *p *t *k
*p *t *k > *f *θ *x
*bh *dh *gh > *b *d *g

関連トーク
「グリム兄弟とペディキュア」
https://radiotalk.jp/talk/643392

参考文献
『比較言語学入門』 (高津春繁、岩波文庫)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:01
始まりました。志賀十五の壺。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
今回のトークは、言語が同系統であるっていうのはどういうことか、
それってどうやって確かめられるんだっていうことをお話ししていこうと思います。
言語が同系統であるっていうのは、もともと一つの言語だったものが、
今では別個の言語になってしまっているっていうことなんですね。
逆に言えば、現代では別個の言語であるものが、歴史を遡れば一つの共通の祖先の言語に至ると、こういうことなんですね。
日本語の場合は、同系統の言語は琉球諸語しか今のところなくて、
例えば近隣の韓国朝鮮語なんかと同系統であると主張する人もいますけど、
今のところ定説にはいたってないという感じなんですね。
こういうふうに日本語みたいなね、同系統の言語があまりわかってない言語もたくさんありますけど、
逆に英語みたいな言語は同系統の言語がいっぱいあるんですね。
英語に近いもので言えば、ドイツ語とかオランダ語とか、あるいはフランス語、ポルトガル語、イタリア語、
もうちょっと東の方行けばポーランド語、チェコ語、ロシア語とかね、
こういうヨーロッパで話されている言語はすべて同系統の言語ということになります。
ということは、もともと一つの共通の言語にね、遡れるっていうことなんですね。
で、これがインドヨーロッパ祖語と言われるものです。
このインドヨーロッパ祖語という名前からわかるようにですね、もっと東まで行ってインドの方の言語まで含まれるんですね。
ペルシャ語とか、あとはヒンディウルドゥ語とか、ベンガル語とか、
こういった言語もぐーっと歴史を遡っていけば、インドヨーロッパ祖語、祖先の言語、祖語まで想定することができるということです。
これってなかなかロマンがある話ですよね。
今では当然別個の言語になっていて、一見全く似てないように見える言語でも、
もともと一つの言語であったものが、今ではここまで多種多様な言語になっているということです。
03:05
では、ある言語とある言語が同系統である、つまり一つの共通の祖語まで遡れるっていうことを言うのに何が必要かっていうと、
規則的な音対応っていうものなんですね。
こっちの言語ではこういう音で、こっちの言語ではこういう音になっているっていうのが規則的に対応していれば、
同系統であるということができます。
これは大事なのはね、音が対応しているっていうことで、必ずしも2つの音が似ていなきゃいけないっていうわけではないんですね。
似てる場合もあるんですけど、
もし言語と言語の間で規則的な音対応があれば、どっちかの言語でそういった音の変化があったということなんですね。
今回のトークのサムネイルがそういうことを表しているんですけど、
記号というか略語の説明をしとくとですね、
PIEっていうのはプロトインドヨーロピアンなので、これはインドヨーロッパソ語という親玉ですね。
祖先の言語の音です。
PGMCってなってるのはプロトジャーマニックなので、ゲルマンソ語というもので、
英語やドイツ語を含む言語のグループのソ語ということになります。
だからまあ祖先の言語って言ってもいくつか段階があるっていうことですね。
英語っていうのがインドヨーロッパソ語からいきなり派生したわけではなくて、
インドヨーロッパソ語からまずゲルマンソ語っていうのに分かれて、
その後英語やドイツ語とかね、段階を踏んで派生していったということです。
このサムネイルの画像が表しているのは、
インドヨーロッパソ語でブードゥグっていうような、
専門的には有声破裂音って言うんですけど、
濁音みたいな音ですね。
これがゲルマンソ語ではプートゥクに変化したと。
あるいはインドヨーロッパソ語でプートゥクっていう声音みたいな音ですね。
無声の破裂音がゲルマンソ語ではフーフーフーっていう摩擦音に変わったと考えられています。
もう1個変化があって、ブードゥグっていう、ちょっとこれ発音難しいんですけど、
これは有声有気破裂音って言って、気流の乱れみたいなのが伴う破裂音なんですけど、
06:02
これが気流の乱れを伴わないブードゥグっていう発音にゲルマンソ語ではなったというふうに、
こういう3つの音の変化があったと考えられています。
こういう音の変化の法則を発見したのがグリム兄弟の兄の方なんですね。
こちら関連トークがありまして、シャープ359でグリム兄弟とペディキュアっていうトークがあるので、
そちらも合わせて聞いていただけたらと思います。
こういうふうな変化がゲルマンソ語であったので、
例えば英語のトゥっていうTで書くような音が、他の言語ではドゥっていうDで書くような音に対応する場合がございます。
ハっていう単語はトゥースです。
ただデンタルっていうのもハノっていう意味ですけど、これは語源としては一緒なんですけど、
ゲルマンソ語ではトゥースっていうTの音に変わっちゃって、
他の言語ではデンタルみたいにDの音で残っているということなんですね。
だからデンタルの方は釈用であるということになります。
あるいはそのシャープ359のトークの方でお話ししたのは、
フットっていう足っていう単語とペディキュアっていう単語はもともと語源が一緒なんですけど、
今言ったようにゲルマン系の言語ではプっていう破裂音はフっていう摩擦音に変わっているので、
英語ではフットですけど、釈用語であるペディキュアとかあるいはペダルっていうのはプっていう破裂音になっていると。
こういうふうに規則的な音の対応があると同系統であると言えるんですね。
なかなかこういうヨーロッパの言語の話ばかりされてもピンとこないかもしれませんが、
日本語にもこのような音対応っていうのはあって、
日本語と琉球諸語にも同じような音対応があるんですね。
現代日本語のハヒフヘホのHの音が、琉球語のアマミオシマ方言ではパピプペポに対応しています。
これは北琉球の言語なんですけど、例えば花っていうのはパナだし、
ヒルっていうのはピル、ホシっていうのはプシっていうふうに、
母音もちょっと変わっているものもありますけど、
現代日本語のHの音が規則的に北琉球のアマミオシマ方言ではPの音に変わっているんですね。
09:00
これはまさにグリムの法則と一緒で、
本土の方の日本語の方はパピプペポっていう破裂音がファヒフペポっていう唇を使う摩擦音になって、
現代ではさらにハヒフヘホっていう唇を使わない摩擦音に変わってしまったんですね。
このような音対応があるので、日本語と琉球書語っていうのは同系統であると証明されています。
というわけで今回のトークは、広く言えばね、比較言語学という学問のお話でございました。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
お相手は志賀十五でした。
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