1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-05-24 09:57

#311 「楽しひ」という新しい歴史的仮名遣い from Radiotalk

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀です。
さて、今日のトークはですね、 新しい歴史的仮名遣いということで、トークを進めていこうと思います。
新しい歴史的仮名遣い。 ものすごく矛盾を含んだ表現ですね。
なんかバックトゥーザーフューチャーみたいな感じでいいですね、なんかね。 そうでもねえか。
まあ我々が今扱っている仮名遣いっていうのは、現代仮名遣いって言って、 かなり発音と文字の対応っていうのがスッキリしているものなんですよね。
厳密に言うとちょっと対応してないようなとこもあるんですけど、 ほぼきっちり
音声と文字が対応しているようなものです。 一方、歴史的仮名遣いっていうのは
中学の国語で習うものですよね。古文というものに初めて触れて、 その時一番初めに習うものですね。
あはれと書いてあわれと読みましょうとか、 いふと書いていうと読むとか、
もっと言うとてふてふと書いてちょうちょうと読むとかね、こういったものですよね。 今言ったように歴史的仮名遣いっていうのは
発音と文字の対応っていうのが 1対1対応にはなってないんですね。
これはなぜかというと、 音声言語というか話し言葉の方はどんどんどんどん変化が進んでいくのに対して、
文語というかね、書き言葉の方は古い形を保持する傾向があるからなんですね。
日本は歴史的仮名遣いを思い切って変えて、現代仮名遣いを今使っているので、 そういった
音声と文字の不一致みたいなのは 現代では感じづらいものなんですけど、
それこそ英語みたいな言語だったら、発音と文字の対応って 1対1には対応してないですよね。
例えば abc の c っていう文字は、あるいは複数の 発音の仕方が考えられたりとか、
カーっていう音なのか、チャーっていう音なのか、シャーっていう音なのか、 複数あるんですよね。
これは他の文字との組み合わせとか、いろんな問題が絡んできますけど、
ひとまず英語を見るだけでも文字と発音というのは対応しないことがあるということがわかります。
言ってみれば英語っていうのは歴史的観察会で書いているようなものですね。
これはどんな言語でも言えることですけど、 さっきも言ったように書き言葉というか文語っていうのは古い形を保持するものなので、
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さっき言ったテフテフなんかは、 昔は本当にテフテフっていう発音だったと考えられています。
アハレっていうのはどっちかというとアファレっていうね、唇を使うファっていう音だったと考えられています。
いずれにせよ歴史的観察会っていうのは、昔の日本語の発音を反映したものであるので、
現代の発音とは食い違うこともあるということです。
ツイッターなんかをね見てると、 楽しい日とか悲しい日とか嬉しい日っていう風にこの形容詞の最後の
いを日と書いて古文らしさっていうのを出しているものが結構見つけられるんですよね。
他にも生きた日とかねこのたいっていうものもいを日に書いているものがあったりします。
このことから 現代を生きる我々にとって
まあ歴史的金遣いっていうのは使わないものではありますけど、 なんかそういう古風な雰囲気を出すのに使われているっていうことですよね。
だから全く無縁というわけでもないんですが、もっと面白いのは 日本語史上ですね、楽しい日とか嬉しい日悲しい日っていう風に
形容詞の最後の音が日っていう風に書かれたことはないんですね。 現代だけなんですね。
つまり歴史的な観点から言うと楽しい日嬉しい日悲しい日っていうそういった表記の仕方は間違っているということになります。
もちろん現代語でイの音に対応するものは 歴史的には波行の音の日に対応するっていうのもあります。
ありますが形容詞のイの音は キに対応するものなんですね。
楽しき嬉しき悲しきに 直接の由来を求めることができます。
気がいいになるってちょっと妙に思われるかもしれませんけど 動詞でもイ音便っていうのがあって書きたっていうのが書いたになったり
泣きてっていうのが泣いてになったりするので 気がいいになるっていうのは日本語ではよくあることなんですね。
形容詞も楽しきが楽しいになっています。
これね ひょっとすると楽しいの直接の由来っていうのは 楽しいかと思われているかもしれませんが 楽しいっていうのは修飾形ですね。
実は現代日本語の形容詞の修飾形っていうのは 修飾形由来ではないんですよ 連体形由来なんですね。
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なので 暑いっていうのは暑しから来ているわけじゃなくて 暑きから来ているし
これは 苦活用と言われるやつですね。
いわゆる 至苦活用っていうのは 今言っている楽しきとか嬉しきっていうやつですね。
これも連体形に由来するものです。
こういうふうに日本語史上 修飾形と連体形が合流してしまったっていう一大事件があって
まあそのことについては後日 トークでお話ししようと思うので
お楽しみにということでね。 まあそれはとりあえず置いといて
現代語の楽しい嬉しい悲しいは
歴史的には 楽しき嬉しき悲しきに遡れるものなので
ツイッターなんかで楽しひ嬉しひ悲しひっていうのは ある意味で間違った表現ということになっています。
ここで僕が間違ったって言ってるのは いわゆる間違った表現というか
僕自身は楽しひっていう表現は歴史的にはない だから直せっていうふうに強く主張をしようとは全く思っておりません。
まあこれはねどんな界隈でもそうでしょうけど 良いオタクと悪いオタクっていうのがいて悪いオタクっていうのは
なんていうかなその分野に詳しくない人の間違いとかを やたらめったら批判するものなんですね
ただまあそういうことは僕はしたくないし それに言語学はあまり間違った間違ってないっていうような判断をするものではないので
僕は楽しひ嬉しひ悲しひっていう表現は どんどん使っていけばいいと思うんですよね
それこそトークタイトルにあるように 新しい歴史的金遣いとして使っていけばいいと思います
なんでこういった楽しひっていう 歴史的にはありえない形が現代語では使われているのかというと
やっぱり 語中のハヒフフェフォーの音は
ワイウエオデヨメっていうね まあそういう歴史的金遣いのルールが下地にあるんだと思うんですよね
それこそボーと言ったアハレと書いてアワレと読むみたいなのが 知識としてあるのでそこから逆算して
現代語でワイウエオと書いているものは ハヒフフェフォーに直せば歴史的金遣いとなる
っていうねまあこういった推測が類推という言い方をした方がいいかもしれませんね そういった類推が起こったんだと思います
ただ確かに語中のハヒフフェフォーは現代語でワイウエオに対応しますけど 逆はそうでないっていうことですね
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すべてのワイウエオが 必ず歴史的金遣いでハヒフフェフォーに対応するわけではないということです
そこの行き違いで楽しひ 嬉しひ 悲しひといった表記が現代使われているということですね
皆さんもぜひツイッターで検索したらいいと思います あの楽しひとか
食べたひとかね 形容詞の最後のひをひに置き換えて検索するとかなりヒットするので
それだけこの新しい歴史的金遣いっていうのがね 日本語の新しい表現に一躍勝ってるっていうことですね
というわけで今日のトークは新しい歴史的金遣いっていうことでお話ししてきました 最後まで聞いてくださってありがとうございました
ではまた次回のトークでお会いいたしましょう ごきげんよう
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