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こんにちは、イワシです。普段は通信事業者で人材開発や組織開発を進めたり、また部分的にソフトウェアエンジニアとして働いています。
この番組では、スタートアップ企業や誰もが知っている有名企業で活躍するエンジニアの方々にインタビューを行い、彼らのサクセスストーリーや人生を変えた出来事など、キャリア形成に役立つ情報を配信していきます。
今回インタビューするのは、前回に引き続き、株式会社10X、取締役CTO、石川洋介さん。前回は、石川さんのキャリアや10Xを創業するまでのお話を伺いました。
まだお聞きになっていない方は、前回の放送から聞いてもらうとより楽しめると思います。今回のテーマは、スタートアップにおけるプロダクトピボットです。
初めて作ったプロダクトは、必ずしもスケールするものではありません。10Xでは、TablyからStaylerにプロダクトをピボットしています。まずは、10Xのサービス、Tablyを始めた当初の思いを聞きました。
Tablyとは?
Tablyのサービスは、サイトプロジェクトで実装を始めたんですか?
本当に最初の最初だけで、その後すぐ、サイトプロジェクトではなくて、ちゃんと起業してやろうということになりました。
この時、石川さんの観点では、初めてベンチャーを創業するじゃないですか、スタートアップを。この辺の心の中の印象、思いとか、やっぱり怖いなとかいろいろな気持ちがあると思うんですけど、どうだったんですか?
自分のキャリア上は、そんなにリスクはないかなと思っていて、自分のiOSのスキルもありますし、サーバーサイトの経験もあるし、別に会社が潰れても自分は就職できるから問題ないだろうなと思っていて、
むしろ、創業メンバーとしてあれこれやってみたりとか、会社の経営者として組織に関わるという経験のほうがキャリア上はプラスだろうなと思っていて、そのキャリア上とか将来を考えたときに、怖いというような感覚はなかったですね。
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なるほど。じゃあ基本的にはプラスの思いしかない状態で突入していった感じですね。
そうですね。ただ唯一不安というかわからないなと思っていることはあって、授業ってどうやって作るんだっけっていうのはありましたね。
それめっちゃ面白いですね。授業はどうやって作るんだっけって思いつつも授業作っていかないといけないじゃないですか。どうしていったんですか?
ベースはそこの部分はヤモトさんに任せていて、ただそのヤモトさんに任せきりってわけにはいかないんで、自分がどうやって彼が考えていることをサポートするかっていうのは気にしてはいたんですけど、ちょっとあんまり役に立ちたかどうかはわからないですね。
2人で創業を始めた段階って最初はどんな感じで企業は成長するというか、典型的に進んでいったんですか?
そうですね。最初はとにかくプロダクトをプロトタイプしていって、それを潜在的なユーザーになるであろう人たち、十何人かぐらいに実際に触ってみてもらって、これ使えそうだねみたいな感覚が持てるところまではひたすら作っては壊して渡してみたいな感じでプロダクトの形を模索してましたね。
それが商用にリリースしたプロダクトたちにリリースされているTablyってことですよね?
はい、そうです。
なるほど。Tablyはその後どんな感じになっていたんですか?
そうですね。Tablyは最初はコンダテを作るアプリとしてリリースしていて、コンダテを作ったときにマネタイズってどうするのっていうのがスタートアップルの始動目台というかあると思うんですけど、
そう考えたときにマネタイズの筋っていくつかあると思っていて、一つはユーザーに見せる広告で取るっていうのが一つ、もう一つはメーカーさんとかから広告を出報してもらって、そこから収入を得るっていうのももう一つ、もう一個は利用料を取るっていうものがありました。
最初はその三ついずれも少し小規模ながらも試したりとかして、感覚としてはこれが大きくなることはないなっていうような結論に最終的にはなりました。
その後に最後の一個の収益の柱として、コンダテが決まってるんでそのまま食材を注文するはずだっていうところがあって、そこに着目して、それでネットスーパーにコンダテのデータを流し込んでそのまま注文するっていうものを最後に開発しました。
ネットスーパーにもいくつかアフリリエイトを提供している会社があったんで、まずは最初そこからスタートして、ゆくゆくはそのトラフィックを作った上で正式な提携とかできたらいいかなみたいな話を最初はしてましたね。
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ネットスーパーにコンダテの内容を発注するっていうときは、裏では何をしているんですか?
そうですね。裏ではネットスーパー上の商品データをまずクローリングで収集してデータを集めますと。コンダテとかレシピにどういう食材が含まれているかっていうのを把握してますと。
そこの商品と材料のデータを突合していって、このレシピを作るにはこの商品が必要っていうものを作り上げますと。
最終的にそのレシピに必要な食材をネットスーパー上でカートに追加する必要があるんですけど、そこはウェブサイトの自動操作をJavaScriptでして、それでカートに追加するっていう形を取ってましたね。
ネットスーパーのデータベースを持っておくって言ったじゃないですか。
あまりにもサラッとするんですけど、これ想像するに超大変だと思うんですけど。
超大変です。
何をして集めてるんですか?
クローリングですね。商品の数も結構あるので、すごいゆっくりと、それこそ1日かけてゆっくりクローリングしていって、それで最終的にネットスーパー上にある商品を全て収集するというような形を取ってました。
テクノロジーの力を活用して、これまでは難しいと考えられていた既存業界のDXを進められており、企業として社会にも貢献されている印象です。
タベリーを運用する中で、石川さんはネットスーパーの課題に気がつきました。
タベリーの注文機能をリリースしてしばらく経って、確かにその機能を使ってくれる人は確実にいて、1回注文してくれると割と多くの人が繰り返し使ってくれるというのがあったんですけど、そもそもアプリ上でこんだけを決めて、材料をそのままネットで注文するというのは、全体で見たときにメジャーなケースではないなというのが僕らの結論でした。
それに回答する人にとってはいいプロダクトなんですけど、そのほか大多数の人にとってはいいプロダクトになれないんじゃないかというのが最終的な僕らの結論ですね。
その結論を踏まえた上で、どうしようかというのを考えていたんですけど、ネットスーパーに触っていく中で、そもそもネットスーパーってすごい問題あるなということにだんだん気づくようになってきたので、そこのイシューに着目するようになりました。
そもそもネットスーパー自体を変えないとここの体験で変わり得ないよねというのを思っていたところに、Tablyの伊東洋稼働版を出さないかという話を伊東洋稼働さんのほうからいただいていて、そこからその事業の方法が変わってきたという形になりましたね。
そのTablyを伊東洋稼働さんが注目されていたりとか見ていたんですね。
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やっぱり食品小売の方々はいろんなことは考えていて、当然その一つとして本立てをそのまま注文できたらいいんじゃないかって結構多くの方が考えてはいたんですよね。
なんですけど、それをなかなか技術的にできなかったというところが多くて、それを我々がいきなり実現してたんで、それってどうやってるのっていろんな会社の方に問い合わせをいただいたりしてたんですね。
伊東洋稼働さんのほうが結構早く進めたいという形で話が進み始めたという感じですね。
なるほど、この辺がまさにプロダクトというかTenXとしての一個の転機ですね。
そうですね、このタイミングがまさに転機ですね。
TenXの転機になったと語る伊東洋稼働版のTablyをつくるというプロジェクト。そこで生まれたのが革新的なネットスーパー立ち上げプラットフォームStaylerでした。
Staylerというのはネットスーパーを開発不要で立ち上げられるためのサービスです。
ターゲットとしては2種類の業者の方を想定してまして、一つはすでにネットスーパーを持っている会社ですね。
ここに対してはネットスーパーを持っていてもアプリまで提供しているところは少ないので、そこに対して我々がアプリをフロントエンドとして提供して、既存のネットスーパーとのつなぎ込みは開発不要でできますよというのが一つ。
もう一つはネットスーパーをまだ持っていないところですね。
まだ持っていないところに関しては、ネットスーパーって結構裏側の配送システムとかも大変で、注文が20点ぐらい入ったりするんで、注文入ったら売り場から商品20点取ってきて、それを注文ごとにパッキングして最終的にお届けしたりするんですけど、
これを結構見せないようにやるのって大変で、それもシステムが必要だったりして、こちらの方だとそういうシステムも含めてフルセットで提供しますよっていうものですね。
これはどういうタイミングで生まれていったんですか?
そうですね。やっぱり僕らの中では、タベリーのいとよか銅板を出すっていうだけでは、タベリーの内部でやっていたことと状況は変わらないなとは思ってたんで、順序を逆にしなきゃいけないなと思ってたんですね。
なので、最初タベリーのときは、こんだてがあって買い物があるっていう感じだったんですけど、多くの人にとっては、買い物で売り場を見ながらこんだてを考えながら、商品を買いながら、こんだてをちょっと買いながらみたいな、何度もこんだてと買い物っていうものを行き来しながら、実際の買うものを決めたりとか、こんだてを決めたりっていうプロセスがあると思うんですよね。
それをできる形に最終的に着地しないと、我々がもともとやろうとしていたこともできないし、いとよか銅板にとってもいいものにならないっていう結論に従いでなりまして、その話をいとよか銅板のほうともお話しさせていただいて、最初にまずネットスーパー自体をきちんとできる形を目指しましょう。
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そして、こんだての機能っていうのはあくまで買い物をサポートするものとして位置づけましょうっていう結論になったということですね。
今途中でお話しされていたスーパーでこんだてをある程度思い描きつつも、売ってる材料とかを見ながらしょちょい変えていくっていうのを、あれなんか普通のプロダクト開発だなと思って聞いてました。
まさにそうですね。カレー作ろうかなと思ってスーパーに行ってみたら、坂村の丸物がめっちゃ安いみたいな。そうなってくるともうカレーじゃねえなって感じになったりすると思うんで、その事実を知ることによって徐々に方向変わるっていうのは、やっぱり組み込まなきゃいけないなっていうのがありましたね。
あとこの話を聞くと、やっぱりどうしても頭の中にショッピーハイが思い浮かんでくるんですけど、その辺の差分みたいなところってどういうところが一番大きいんですか?
そうですね。やっぱりネットスーパーっていう業態自体が結構特殊性があるかなと思っていて、普通のECって1点買うのにそこそこ時間かかると思いますし、1回の買い物で3点も買えば結構多い方じゃないですか。
温度帯も基本は常温だと思うんですけど、ネットスーパーの場合って1回の注文で普通に20点、30点とか買うっていう違いがあって、それはそれに特化した形が必要だと思うんですよね。
そこがネットスーパーに特化できてるっていうのが1個違いですね。
あと商品の陳列上も、例えばスーパーって入ると野菜が肉があって魚があって、最後の方にソース材とか卵とか、あと乳製品とか豆腐とかあって真ん中の方に調味料があってっていう、その商品の幅が非常に広いっていうのはあるけど、その全てをちゃんと早期できるように作らないと買い忘れが生じたりとかするんですね。
そういうネットスーパーのコンテキストを組めてるっていうのは結構大きな違いにはなるんじゃないかなと思ってますね。
今のところの話って、プロダクションに起こすまでのデザインというか仮説検証めちゃくちゃ大変だと思ったんですけど、どういうふうにされていたんですか?
そうですね。もちろん既存のネットスーパーとかもいろいろ参考にしたりはしたんですけど、そこを見ながら店舗との体験とどういうところが違うんだっけっていうのは結構ケアして見ていたところですね。
やっぱりネットスーパーって見ると、とりあえず何かおすすめみたいなやつがトップページに出ていて、普通のスーパーとは何か違うんじゃないかみたいな感覚があって、それを実際の売り場の探索性をなるべく再現できるようにっていうふうには気をつけてはいましたね。
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ユーザーのペインポイントを一つ一つ発見して、また新しいネットスーパーのユーザー体験提供を進めていますね。
2017年にサービスを開始したTABIRIですが、2020年の9月にサービスを終了。立ち上げからメンバーだった石川さんはどんな思いだったのでしょうか。
TABIRIはクローズしていくじゃないですか、TABIRI自体としては。この時のプロダクトクローズする時って、思い的には何かこう、せっかく作り込んできたのにみたいな思いとかどうだったんですかね。
そうですね、せっかく作り込んできたのにっていうのもありますし、やっぱりこうスムーズに扱ってくださっている方々がすごくたくさんいて、実際僕もユーザーインタビューとかに行ったりとかして、
このアプリがあったおかげで、すごいフォンダで作るのが楽になりましたとか、家事が楽になりましたという声を実際に聞いていて、そういう方々に対して非常に申し訳ないなという気持ちがまずありましたね。
開発メンバーに対しても、僕自身もコードを書いて開発してきたんですけど、そこに対してやっぱり名残惜しいところはありましたね。
ただそれよりも、やっぱり多くの人にとってきちんと役に立つプロダクトを会社として目指さなきゃいけないっていう認識は、僕と山本さんの経験もそうですし、他のメンバーもそういうふうに考えていたので、
やはりタベリーを維持しながら、そっちも頑張るっていうのはできないっていうのは、みんな共通認識としてあったんですよね。
なので寂しい思いもありつつも、そういうふうに動いた方がむしろ会社としてはプラスだなというふうに全員考えていたんじゃないかなと思います。
普通に考えちゃうと、やっぱりプロダクトをクローズするときってやる気がなくなるというか、モチベーションがダウンする方が非常に多いと思うんですけど、そもそもの10Xとしての遠い先を見たビジョンとかを考えると、そちらをやったほうが軸としては会社として合ってるだろうということを、みんな認識が合ってたってことですね。
そうだと思います。あと人数が少なくて、普通に会社のお財布事情みたいな危機感をダイレクトに感じやすいというか、6人ぐらいしかメンバーがいなかったんで、これをずっと続けるわけには会社としていかないなという認識はメンバーみんな持ってたんじゃないかなと思いますね。
例えば10Xってこういう、例えば3年ごとくにはこのぐらいのエンジニアリング組織になっているみたいなビジョンってあったりするんですか。
今、明確に描けているわけではないんですけど、やっぱりこう作るものとしてはすごく大きくて、人数が少ないことによってできることが狭まってしまうというのはかなり問題かなと思っているので、そうですね、3年後とかだともしかしたら100人とかいるのかもしれないですし、そうでもないのかもしれないですね。
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100人とすると結構な規模になりますね。
ただ、やっぱりネットスーパーとかネットコーリーを支えるシステムって本当に広大で、10人、20人とかではやっぱりやりきれないところがすごくあって、例えば配送管理とかピッキングのシステムを支える予定になったときに、じゃあロボットを導入しましょうってなったときに、急にソフトウェアのエンジニアだけでは立ち打ちできないとかっていう状況っていっぱいあると思うんですよね。
そういうところにも、あらゆる手段を取れるようにきちんとチームを拡大していくっていうのはやっていきたいと思ってますね。
今回のエピソードでは、プロダクトのピボットについてお伺いしました。
ユーザー、ファンがついているプロダクトをやめるという意思決定は簡単なものではないです。
ですが、10X、石川さんらは実際にタビリをクローズして、ステイラーに注力していました。
プロダクトの今後の意思決定について、貴重な経験談になったのではないでしょうか。
この番組はポッドキャストプロダクション、ピトパのオリジナルコンテンツです。
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それではまた次回お会いしましょう。