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2023-07-25 22:36

#039 「テクノロジーによって創造性が均一化される時代の生き残り方」

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第39回は、簡単にウェブサイトが作れるツールを提供しているSquarespaceという会社でチーフ・クリエイティブ・オフィサーをしているデイビット・リーさんがゲストで登場。AIより人間の方が優れていることは?AI時代にクリエイティブになるためにすべきことは?今回は、デイビットさんにテクノロジーによってクリエイティビティが均一化される時代の生き残り方とは?についてお話を伺いました。


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サマリー

テクノロジーによってクリエイティビティが均一化される時代の生き残り方について語られました。機械が作ったものでも特別なものにするためには、人間のクリエイティビティが必要であり、ビジネスの世界においてクリエイティブな人たちが上流に進むことが重要だというデイビッド・リーさんのアドバイスです。

クリエイティビティの重要性
This is Reina Moro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考
Hi, everyone. This is Reina Moro. 皆さん、こんにちは。
ニューヨークと東京を拠点にするグローバルイノベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのReina Moroです。
この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回のゲストは、韓国人のご両親を持つフランス語圏に住んでいらっしゃったカナダ人のクリエイティブディレクター、David Leeさんです。
Davidさんは、現在、スクエースペースというデザイナーでなくても簡単にウェブサイトが作れるツールを提供している会社で、チーフクリエイティブオフィサーをしています。
アメリカでは、スーパーボールの試合の間に流れるCMが毎回その都市の世相を反映しているとかなり注目されるんですが、
Davidさんは、なんと8回もスーパーボールでスクエースペースのCMキャンペーンを指揮して、その年の最も優れたコマーシャルとして、エミー賞を受賞された経験もあるんです。
Davidさんは、僕ともうずいぶん昔に会っていて、Davidさんというのがちょっと不自然なくらい、結構長い付き合いで、僕の弟分のような存在でもあるんですが、
2004年ですね、僕がモントリオールでスピーチをした時に、RGAという会社で仕事をしていて、デジタルを駆使してブランディングをするとかマーケティングをするとかということをやっていたんですが、
その当時は結構珍しくて、どうやらそれに共感を覚えてくれたらしくて、その後声をかけてくれたというのがDavidです。
もう17、8年くらいの付き合いになります。
今回はそんなDavidさんに、テクノロジーによってクリエイティビティが均一化される時代の生き残り方について語っていただきました。
So, let's get started.
なぜクリエイティビティがこれからの仕事に唯一残る仕事だと考えているんですか?
Logic is actually really easy to automate.
However, imagination, that's really a hard thing to replicate.
これからの時代、論理的であるかどうかということが大切な仕事というのは、簡単に自動化されていくと思っています。
知識量では機械にかないませんし、データ解析に関しても機械の方が圧倒的に早くて正確ですからね。
ただ、想像力に関しては機械が人間の真似をすることはできません。
クリエイティビティは人間だけが生まれ持った能力なんです。
クリエイティブ業界で仕事をしているかどうかに関わらず、どんな人でも様々なアイデアを持っています。
しかし、これまではほとんどの人が頭の中にあるアイデアをどうやって形にするかを知りませんでした。
それがAIによって大きく変わろうとしています。
誰もがAIで簡単に自分のアイデアを形にできるようになったんです。
だからこそ、センスを磨いて人間にしかできないことをすることがこれまでよりも重要になってきたんです。
デザイナーがしているような仕事が完全に機械に奪われるとは考えていません。
ただ、機械ができること以上の付加価値を追い求めていかないと、これからの時代を生き残っていくことは難しいと思います。
例えば、ちょっとした言い間違いが逆に魅力的に感じられたりとか、完璧でないからこそ逆に価値が上がるということもあると思うんですね。
クリエイティビティの力
AIはパターンを分析するのが得意なんですが、パターンを壊すことは人間にしかできません。
ラグジュアリーブランドでは、製品をハンドメイドで生産することで、
例えば、イタリアの職人が手縫いをしました、といったストーリーを加えて付加価値を高めているわけですけども、
これからはこうした人間にしかできない付加価値を作っていくことがこれまで以上に重要になっていくと思います。
AIによって作られて、似たようなものが溢れていく時代になると、逆に完璧ではない人間味が再評価されるようになるんです。
AIが作ったものでも、そこに人間の手が加えられているかどうかが、評価を分けるポイントになってくるでしょう。
クリエイティブになるためには、AIが作ったものを作った後に、その人間味を再評価する必要があります。
クリエイティブになるためには、AIに対抗して何か特別なことをしなくてはいけないとか、そういうことではありませんよね。
そうです。人間はもともと誰だってクリエイティブなんです。
筋トレをすればうまく運動ができるようになるみたいに、クリエイティビティだって鍛えることができます。
AIに真似できないような素晴らしい作品を作るためには、センスを磨いて、人間にしか生み出せない魅力を加えることが不可欠です。
だからこそ、クリエイティビティがこれからの時代に唯一残る仕事だと言っているんです。
彼と出会った時は、僕がまだ多分20代後半ぐらいで、彼は20代半ば、25歳ぐらいだったと思うんですが、結構背が高くて、そして雰囲気としては真面目な感じなんですよね。
パッと見は真面目な感じな人間です。
このエピソードを聞いていただくと、皆さんも感じられると思うんですが、すごく話し方がしっかりしていて、真面目な感じはするんですが、かといってすごくお堅いというわけでもなくて、
彼と実際に会ったのがイベントだったんですが、カンヌに行った時に、夜中のそうですね、3時とか4時ぐらいまで彼は飲んでて、僕はお酒を飲まないのでずっとシラフでいたんですが、飲みながら話して、そして最終的にはそこで僕はヘッドハンティングをして、その時僕が働いていた会社に誘うことになったんですが、
酔っても酔っているのがわかんないような、すごく性格的にも強いというか、そんなのがデビトリです。
彼が働いているスクエスペースという会社は、テクノロジーをデザイナーの人たち、そしてデザイナーでない人たちにも提供して、そしてデザインが手軽に気軽にできる、そういうサービス、そういうツールを提供している会社でもあるので、今後そのAIがどうやって人間の仕事の大役になっていくかということもすごく課題になっていると思うんですね。
ここで彼が言っていたことですごくいいなと思ったのは、Humans are creative in natureということを言っていたんですが、人間としてその人間が持っているクリエイティブを解き放つ、彼はunlock the muscleというふうに言っているんですが、
人間が持っているクリエイティビティの筋肉を解き放つことによって、機械がずっと自動化できるようなことを人間の手を加えること、そして人間の知恵を加えることによって新しいもの、そして他には違うものにしていくということが大事です。
ここでもHumanity has to move upstream, not downstreamという言い方をしていて、このupstream、上流、人間、そして人類はどんどん上流に行っていかないと、下流の方に行くと下流に行けば行くほど機械がそれは奪ってしまう仕事になる。
下流の仕事の方が正直簡単でやりやすくて、それをサービスとして提供する、そしてそれを安価な値段で提供するということはやりやすいことではあるんですが、近い将来、機械に奪われてしまうことなので、それは競争として負けが見えてしまうところなんですよね。
そういうところではなくて、常にどんどんどんどん上に上っていくということを人間として、そして人類として意識していかなければいけないということを彼が言っていて、それはすごく僕も共感できました。
クリエイティビティを鍛える
毎日の生活や経験の中で情報が蓄積されていって、その中で生まれたアイデアがアウトプットにつながります。デザインやコピーライティングだけがクリエイティビティではありません。
クリエイティビティというのは、ユニークな発想で問題を解決する能力です。どんな業界、どんな部署、どんな分野、これからAIによって自動化される仕事が増えていくと思います。しかし、クリエイティビティで問題を解決できるかどうかが大切だと思います。
人間にしかできないことは何か。より良いものはどうしたら生まれるのか。どんな仕事をしていても、センスを磨いてそれを追求してください。AI時代の到来は、逆に人間の価値を証明する黄金時代なんですから。
クリエイティビティというのは、才能というふうにとらわれるところも少なくないとは思います。ある意味、そういうところもないとは言えないのですが、でも、これは筋肉であって、やっぱり人間にとらわれることが大切だと思います。
脳みそもある意味筋肉だとは思うんですが、逆に使っていないと、そしてそれは衰えてしまうというところもあるので、クリエイティビティは才能だけではなくて筋肉であって、やっぱり筋肉を鍛えていくことによって、どんどんどんどんそれが強くなっていく。
僕も日米のいろんな会社とお付き合いさせていただいて、いわゆるボードルームだったりとか社長室だったりとか経営会議みたいなところに顔を出させていただくこともあるんですが、
クリエイティブな会社とクリエイティブではない会社というとちょっと上から目線にはなってしまうと思うんですが、例えば、いわゆるクリエイティブな会社というのは、
物を作るとか絵にするとか言葉にするということを専門にしている部署だったりとか職業ではないので、クリエイティブっていうイメージが少ないと思うんですね。
特に日本の場合はクリエイティブということがあがめられているという感じの風潮も少なくないので、これは私たちにはできない、僕らにはできないみたいな雰囲気になることも少なくありません。
ただ、一つ企業の文化として違うのは、クリエイティブという部署はもちろんある会社もたくさんあってそれはそれで大事なんですが、自分はクリエイティブじゃないからっていう風に言わない人たちがいる会社の方があえてクリエイティビティが高いのかなと思います。
つまりクリエイティブであること、そしてクリエイティビティを持つことの重要性を特別化していなくて、部署にクリエイティビティっていうことを押し付けてないこと、そしてそこでくくっていないことっていうのが大事なんじゃないかなと思います。
もちろん会社の中にそういう部署があって全然それはいいんですが、でもクリエイティビティというのは全ての人の責任でもあり、そして役職でもあり、会社として全体的にクリエイティビティを高めていくかっていうところが重要なポイントになると思います。
クリエイティブになるには特別な教育を受けなくても、今は学びたいことがあれば何でもYouTubeで勉強できます。
どこの学校で学んだかとか、世界のどこに住んでいるのか、そういったことに関係なく、子供でも簡単にアイデアを形にできるなんてある意味平等な時代かもしれません。だからこそセンスを磨いて人間にしかできないことを追求し続けてください。
ここまでお送りしてきました、レイナモトの世界のクリエイティブ思考。今回はクリエイティブディレクターのデイビット・リーさんに、テクノロジーによってクリエイティビティが均一化される時代の生き残り方についてお話を伺いました。
このスクエスペースというテクノロジーの会社の中で、チーフクリエイトオフィサーというリーダーの役を担っているデイビットなんですが、今となってはこうやって簡単にウェブサイトが作れるツールというのは日本でも日本語でもあるとは思うんですが、スクエスペースはもうかなり老舗というか長い間このツールを提供しています。
テンプレートがたくさんあり、例えばフォントだったりとか色だったりとかフォン&マナーというのをいろいろ選べて、あたかもプロが作るようなウェブサイトをコーディングをしなくても、そしてデザインの知識があまりなくてもとてもきれいなウェブサイトが作れるというそういうツールなんですね。
僕も個人的にこのスクエスペースというツールは何回も使ったことがありまして、例えば自分のポートフォリオを作るときにこのスクエスペースのツールを使って、そしてフォントはちゃんとしたものを選んで、レイアウトもちゃんとしたものを選んでという、そういうのが気軽にそして手軽にできるツールです。
そうですね、もう10年もしかしたら20年ぐらいある会社で、Davidはそこで10年ぐらい働いていて、他にも英語でも日本語でもこういうツールはあるとは思うんですが、僕はDavidが友達ということもあるのでエコヒーキーをしているように聞こえちゃうかもしれないんですが、他とやっぱりちょっと違うのは、まずそもそもデザイナー、クリエイターのためのウェブサイトのツールということで始まった会社で、
やっぱりその細かいところも本当に目に見えないぐらい細かいところだったりとか気づかないところの精度だったりとか質が他のツールより全然違うんですよね。ある意味、その彼がやっていることがクリエイティブの人たちの仕事をなくすと言っても言い過ぎではないと思うんですよね。
彼との会話の中でも3つのキーテーカウェイがありました。
ちょっとこれ日本語で簡単に説明しますと、
このアップストリームというのは会社の中でもっともっと上流の高いレベルでの話をするところをアップストリームと言うんですが、いわゆるクリエイティブだったりとかデザイナー人たちもそこにどんどんどんどん参加していくべきだ。
というのはクリエイティビティがこれから残っていく唯一の仕事だということです。
まず、Human Craft is the New Luxuryという言い回しをしていました。
デジタルというツールを使ってでも、そしてチャットGPTやミッドジャーニーみたいなものを使ってでもいいんですが、人間がその残りの5%、10%に手を加えることで機械が作ったものでも特別なものになる。
その残りのほんの5%、10%でどういう手の加え方をするか、そしてどうやって知恵を使って他と違うものにするかっていうのがこれからの人間の役割なのではないかなと。
今回、テクノロジーという業界の中でクリエイティブというリーダーシップのポジションを築き、スクエスペースというブランド、そしてスクエスペースというプロダクトを作っているデイビューさんの話はすごく親近感もあり、ある意味すごく新鮮でもありました。
2つ目は、デザイナーとクリエイティブが上に進むという言い方をしていたんですが、これどういうことかというと、今まではデザイナーだったりクリエイティブという人は専門職という形で見られていて、ビジネスの人だったり経営の人たちは会議室にいる。
そしてクリエイティブだったりとかデザイナーの人たちはスタジオにいて、ビジネスの目標に基づいてこれを作るとかあれを作るとか、こういう作業的な立場に置かれていたりだったりとか、ちょっと突拍子もない、人が思いつかないようなアイデアを考える特別な人たちなんだよねみたいなことをそういう目で見られていて、いわゆる会議室の中ではなくスタジオにいるような人だったのかなと思います。
でも彼の主張していることは、クリエイティブと言われる人たちがもっともっと上流にいかなきゃいけない、ビジネスの世界で上流にいって経営層に近いところで仕事をするのが大事なんだということをおっしゃっていました。
僕もこれはデザイナーとして20代の頃はバリバリとものを作っている立場にいたんですが、ビジネスということがどういうことなのかということをその仕事を通して理解して身につけていくことによって、ただそのクリエイティブのことではなくてビジネスが何を達成しようとしているのか、そしてそこに武器としてクリエイティビティということを付け加えてビジネスを前に進ませていく。
そのためにはビジネスの会話に加わっていって上流のところで会話ができるようにするということがすごく大事なんだということを改めてデイビッドとの会話で思いました。
そして最後に、これも彼の言い方なんですが、クリエイティビティという仕事がこれから残っていく唯一の仕事だということを言っているんですが、
2番目のデザイナーズ&クリエイティブズムーヴアップストリームというのはクリエイティブの人たちに対するメッセージではあるんですが、
クリエイティビティ is the only job leftというのは、そういう役職じゃなくてもクリエイティブ思考を使うことによってクリエイティビティを発揮することによってビジネスもより良くする、そしてビジネスもより楽しくする、よりワクワクさせるようなそういうことをするためにクリエイティビティが必要なんだ。
なのでクリエイティビティ is the only job left。クリエイティビティがこれから唯一残っていく仕事だというふうにおっしゃっています。
日本の文化とクリエイティビティ
これは特に日本でいうと、これも他のエピソードでいろんな人が話していることにもつながるんですが、まだ日本はしきたりだったりとかルールだったりとか文化、そして同調圧力みたいなところが言葉に現れないところで出ているとは思うんですが、
そこからはみ出して、そこから突破口を見つけるためにクリエイティビティを発揮して新しい世界へ連れていく、持っていくというのがすごく大事なんじゃないかなと思います。
それでは今日の3つのキーテークアウエー、まとめです。
Human craft is the new luxury. 人間の手の仕事がこれからの新しいラクジュリーだ。
2つ目、Designers and creatives move upstream. デザイナーそしてクリエイティブたちをもっともっと上流に行け。
そして3つ目のキーテークアウエー、Creativity is the only job left. クリエイティビティがこれから残る唯一の仕事だ。
次回は経営者とクリエイターのこれからの関係について、Davidさんとの対談の続きをお届けします。
どうぞお楽しみに。
世界のクリエイティブ思考、お相手はレイナウドでした。
デジタルガレージは、危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを、創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えた、テクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
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