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  2. #072 注目のクリエイティブ 〜..
2024-04-02 34:22

#072 注目のクリエイティブ 〜海外進出を成功させるためのプレゼン術〜

第72回は、レイ・イナモトが日本企業が海外で成功するために必要不可欠なプレゼン術について解説します。日米のプレゼンテーション教育の違いとは?スティーブ・ジョブズのプレゼンになぜ人は惹きつけられるのか?日本のクールジャパン戦略がうまくいかない理由など、クリエイティブ思考を武器に21世紀を生き抜くヒントを紹介します。


◆スティーブ・ジョブズ氏による初代iPhoneのプレゼン

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This is Reina Moro's Podcast 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is Reina Moro.
みなさんこんにちは、ニューヨークと東京を拠点にするグローバルイノベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのReina Moroです。
この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回は、僕が気になったクリエイティブ作品を紹介する、注目のクリエイティブをお届けします。
今日は本番組のプロデューサー、竹村由紀子さんと一緒にお届けしたいと思います。
はい、レイさんよろしくお願いします。
今回は、海外進出を成功させるためのプレゼン術をテーマに、レイさんのお話を伺っていこうと思います。
そうですね、日本企業が海外進出する場合、一番苦戦するのがプレゼンテーションなんですよね。
その会社の製品の品質がすごく良くても、なかなかその良さを伝えきれていないというケースはたくさんあります。
確かに、昔はいい製品さえ作っていれば、みんながその良さに気が付いてくれて、ビジネスもうまくいくっていう時代もあったかもしれないんですけど、
今はSNSもありますし、見せ方っていうのはすごく重要になってきますよね。
はい、そうなんです。
そこで今回は、海外進出を成功するためのプレゼン術についてお届けします。
では早速行きましょう。
So, let's get started.
アメリカではプレゼンテーションって学校の授業にも結構自然に取り入れられていて、
子どもたちはかなり早いうちから人に何かを伝えるっていうことを自然に教わってるなっていうのが、
僕も子どもが何人かいて子育てを違う世代の子たちを今しているんですけども、そういうのを新たに気づかされているんですね。
確かに日本ではそういうのを発表する機会自体はあっても、
どうやって発表したらいいですよとか、そういうプレゼンのやり方を教わるっていうことはあんまりないかもしれませんね。
アメリカではどんな授業をしてるんですか?
あのですね、そのプレゼンテーションのやり方っていうことを教える授業っていうのはもちろんあって、
それはそうですね、その中学生、高校生ぐらいから、そして大学生の時にそういう授業があったりするんですけども、
それ以前にそのプレゼンテーションっていう言葉を使わなくても、
他の形で、何らかの形で自分の思っていることだったりとか自分の持っているものを周りの人に見せるっていうことをかなり早い世代からやるんですね。
そしてこれを気づいたの実は最近で、僕の妻が以前は日本に住んでいて、ニューヨークに来て、我々の間に今3歳半弱の子供がいるんですけども、その子の子育てをしていて、保育園、幼稚園に行かせてますと。
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それでですね、妻が学校でこんなことやってるのが結構驚きだって言っていて、それで僕も確かにそうなんだって気づいたことがいくつかあるんですね。
その一つが、こちらの言葉で言うとショー&テルって言うんですけども、何かを見せて何かを話すっていう会を3歳ぐらいの頃からやっていて、それ何かと言うと毎週金曜日に何か自分の持っているものを持ってきて、それをクラスの子たちに見せて、
そしてそれがなぜ特別なのかとか、なぜ好きなのかってことを話すっていうことを毎週金曜日にやってるんですよ。
で、うちの子供は今3歳なんですけども、言葉もですね、うちでは日本語で話してまして、幼稚園では英語で喋ってるので、かなりまだ言葉が正直遅い方で、いろんなことはずっと何か言葉を発してはいるんですけど、僕らも半分もわかんないぐらいの言語レベルで、
そんな子がって言うとちょっと言葉が間違ってるかもしれないんですけども、そのレベルの子にさえショー&テル、何かを見せて何かを話すってことをしてもらうっていうことを幼稚園の先生たちがやっているわけなんです。
ショー&テルって言葉はその幼稚園レベルの言葉ではなくて、実は僕も仕事場で何かその自分のやってるそのプロジェクトを見せるとか、社内で紹介するっていう時もショー&テルっていう会を作って、全職でもそういう会があったりとか、今の僕の会社の中でもそういうことをやったりとかする言葉なので、
全くその幼稚園3歳児がやってるから、それは子供のことだっていうことでもないんですよ。
へー、大人になってもやるんですね。
だからその見せて話すっていうことは結構早い段階から、そのプレゼンテーションっていう言葉は使わないかもしれないけども、自分の持ってるものだったりとか、自分のしていること、そしてそれがなぜ特別なのかだとか、なぜすごいのかとか、なぜ素晴らしいのかっていうことを周りにアピールするっていうことが自然に教育3歳レベルぐらいから、
そして社会人レベルでも、全ての会社がこういうことをやってるかっていうとそうではないかもしれないんですが、そういうことが自然に行われてるっていうのは事実としてあるので、これをやってれば、その妻の言葉を変えて言うと、これはプレゼンテーション上手くなるわなっていうのは、冗談半分真剣に言ってます。
確かに大人になってやるようなことを3歳からやり始めてたら、それは差がついちゃいますよね、やってない人とはやっぱり。
そう、だから、それで教育の場でもう一つ思い出したのが、うちの子は今下の子が3歳で上の子が14歳中学生なんですけども、14歳になるとアメリカって高校生が日本の中学3年生から始まるんですけども、公立の高校に行くにしてもいろんな選択肢があって、どこの高校に行くかっていうのをまず学校に訪問をして、その学校のツアーっていうのがあるんですね。
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それを見て、ここの高校これこれこういう考えだからとか、こういうあれだから行きたいっていうのを決めるんですけど、もちろん先生とかがプレゼンをしたりとかして、うちの高校がどうして他と違うのかとか、どうして優れるかっていうことをアピールするんですよ。
パンデミック中、実際に訪問できなかったことがあるので、Zoomでもそういうのがすごく行われたりとか、今だともう実際に行けるんですけど、先生も出るんですけど、生徒もそこに出て、うちの学校がなぜ素晴らしいのか、どういうところがいいのか、どうしてこの学校を愛してるのかっていうことを真剣に語るんですね。
それもZoom上でもあれば、実際にその学校に来てくれた、次高校生になる子供たちだったりとか、その保護者の人たちに向けて、16歳、17歳、18歳の子たちがプレゼンするわけですよ。
それも別にプレゼンテーションとかスライドがあってプレゼンテーションする場合じゃなくても、ただ話すだけでも話し方がすごくしっかりしていて、これなんか少なくとも僕が日本に住んでいた頃には、僕が中学生、高校生の頃こんな話ができたかって考えると思うとゾッとするほどできなかったと思うので、
これもこういう子供の若い頃から自然と自分たちが持っている良いところだったりとか、自分がいる環境、自分がいる学校がどれだけ素晴らしいところかっていうところを他の人に伝えるっていう癖が、そうやって自然についてきているっていうのは、これはやっぱり社会人になった時に、それだけではもちろんないですし、その後にもたくさんいろいろ経験を積んでプレゼンテーションがうまくなるっていうのはあるんですが、
そういうのってすごく環境がそういう技術を身につけているっていうのは見逃せないところかなと思います。
今のお話を伺っていると、それは負けちゃうよっていうのが納得というか、私たちそういう授業とかも全く受けてないですし、ショー&テルをする機会なんて社会人になってプレゼンやってみてって言われて初めてやる、もうなんだかわからないけど手探りでやるっていう感じなので、それはやっぱり勝てないですね。
今だと、例えば大学のゼミとかでそういう場が徐々にはできてきているとは思うんですが、でも少なくとも大学受験レベルまでは、いかに数学がよくできて、国語がよくできてみたいな、まだ記憶事実みたいなところが試されているわけで、意見を伝えるっていうところではまだまだその辺の教育面だったりとか、教育だけではなくて教育をする環境ですよね。
そういうことがカリキュラムに何らかの形で組み込まれていて、先生たちがそういうことを意識しているか意識していないかっていうのは、やっぱりその3歳4歳5歳からちょこちょこちょこと徐々にあることで、20代30代になったときにそういう力の土台として培われているんだなと思います。
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レイさんはお仕事されていて、プレゼンうまい人ってたぶんいっぱい見てきていると思うんですけど、この人はすごいなって思うようなプレゼンって何か印象に残ったものありますか。
その会社の仕事とかを紹介をしてくれていて、もう本当に心の中からこれが面白いっていうことを思って、そしてすごくわかりやすく簡潔になおかつ魅力的に話してくれたっていうのを今でも覚えてるんですね。
この人のもとで仕事をすれば、こういう面白い仕事もできるし、そしてその仕事について語る力もつくんじゃないかと思って、その当時、RGAという会社に1999年の後半に入って、それが僕のキャリアのスタートにはなるんですが、それがまず一つ。
あともう一つは、これこそ今日紹介したかった作品という部類には入れないかもしれないんですが、僕のキャリアの中で非常に印象に残っていて、そしてクリエイティブのプロとしてやっていく中で、すごく衝撃を受けた出来事、もしくはプレゼンテーションっていうのがあるんですね。
それがですね、あのスティーブ・ジョブズのiPhoneのローンチの時にしたプレゼンテーションなんですよ。それは具体的にいつだったかっていうと、2007年なので、今からそうですね、17年前なので、ほぼ20年近く前のすごく古い出来事ではあるんですが、いまだにはっきり覚えていて、
今見てもその衝撃というか、彼のプレゼンテーションの力、そしてそのプレゼン術っていうのは全然2007年だから古いとかっていうことじゃないじゃないですか。
そうですね。
だからあれがいわゆる僕の中でのキャリアの中での一つの大きな出来事ではありますね。
やっぱり引き付けるってこういうことなんだっていうのをスティーブ・ジョブズのプレゼンを見ていると思いますよね。
1時間以上も一人でずっと喋っている。途中でいろんな人が出てきたりしたりとか、あと映像とかが流れたりするんですけども、1時間以上もある話を最初から見てる人の、聞いてる人の心をつかみ、わくわく、半分ドキドキさせながら引き込んでいくという話術っていうのは、少なくともビジネスの業界では彼に勝る人はいまだに出てきてないと思うんですよね。
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もちろん彼を真似てああいう形で商品発表とかっていうのをする会社はすごく増えてますし、2007年がそこの始まりっていうことではなくて、それこそもう古い話で1980年代から商品の発表とか商品のプレゼンテーションっていうところには彼はすごくこだわっていたんですね。
はい。
っていうことを大げさかもしれないんですけども、それも本当に心から信じ込んで、それを熱く語るので説得力があるわけなんですよね。
それが1980年代から始まって、1990年代にかけては彼がApple社から追い出されてしまうんですけども、また1990年代の後半にAppleが瀕死状態の時に戻ってきて、一番最初に発表したのがiMacなわけです。
その時のiMacって半透明の白と緑の丸っこい、本当に水のしずくみたいな感じのものをモチーフにしたんじゃないかって思わせるようなデザインのものだったわけです。
見かけも他と全然違いますし、そして使い勝手もすごくいいし、それをいかに魅力的に見せるかっていうところをプレゼンテーションの発表の場でスティーブ・ジョブズがやって、それを何回も繰り返してその約10年後にiPhoneというものが登場するわけなんですけども、
iMacに始まってその10年後、2007年にiPhoneがローンチされて、これでキャリアで世界を変えるようなことはほんの数回しかないんだけども、今日がその日なんだみたいなことを言って、本当に心からそれを信じ込んで伝えてるので、見てる方も正直大げさなことではあるんですけども、そうなんじゃないかなって思っちゃうわけですよね。
そういうつかみから入るんですけど、これリンクを貼っておくのでぜひ皆さんに見て欲しいんですが、最初に2年間半これずっとかけて、すごく汗を流して作ってきたものがあると。この日がとても待ち遠しかった。
今日は実は発表するのは1つの商品だけじゃない、3つ商品を発表しますっていう風に始めるわけなんですよね。そこから3つの商品はまず音楽を聴けるデバイス、それからインターネットにポケットからアクセスできるもの、そしてAppleが作る電話、この3つの商品を今日発表します。
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音楽のデバイス、インターネットのデバイス、そして電話、音楽のデバイスを何回か繰り返して、そして画面上にはそれのアイコンがくるくる回っていって、皆さんお分かりですが、実はこの3つの商品っていうのは1つの商品なんですっていう風なつかみどころから入るわけなんですよね。
それのその上術というか見せ方で本当に引き込まれる映画もしくは劇場で俳優の人たちが何かを語ってそこに引き込まれていくような感情も込めながら熱湯を込めて話すとどんどん引き込まれていって、でも難しいことを言ってるわけではなくて、分かりやすい口調で分かりやすい内容で伝えていくっていうそこがもう本当に。
これはもう最初のほんと数分の話なんですけど、そこからつかんで、そして1時間ずっと人の集中力が減らないレベルで、もうずっとちゃんと高いレベルで話をできるっていうプレゼンテーションできるっていうのはもう本当あれは僕の中では今までの一番印象に残ってるプレゼンテーションじゃないかなと思います。
いやー、スティーブ・ジョブズが歩き回りながらプレゼンをしていくっていうスタイルもおそらく日本の企業の人とかとは全然違って、日本の企業の人のそれまでの製品発表会って棒立ちでスライドを前になんかもごもごと順番通り喋っていくみたいな、ユーモアとかは特にないみたいな、そういう発表会がそれまで多かったと思うんですけど、
やっぱりスティーブ・ジョブズのプレゼンを見て、こうやってやればいいんだと思って、その歩き回りながら喋ったりとか、身振り手振りを交えたりとか、そういうのを真似した経営者の方っていうのも結構これを機に多かったんじゃないかなっていう印象ありますよね。
そうですね、日本の企業と仕事をしていて、よく思うのは日本の教育、そして日本の企業っていうのは情報を渡すことにすごく力を入れるんですね。
いいところもあって、やっぱり膨大な情報を渡しておくことによって、それこそ日本語の表現で石橋を叩いて渡るとかあるじゃないですか。
だから事前にリスクヘッジをするために、これもある場合もあるし、あれもある場合もあるから、全部情報を渡しておいて、そしてプロジェクトを進めましょうみたいな感じのミーティングがよくあるんですね。
なんですけども、ストーリーテリングっていうところで言うと、もちろん情報っていうのは重要なんですけども、最終的に何が一番大切なのか、何を覚えてほしいのかっていうところを強調する必要があって、もちろん情報で言うと、例えば10個とか20個の情報があるかもしれないんですけども、20個覚えるのって、ほぼ1時間のミーティングとかだと不可能なんですよ。
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そうですね。
で、もちろん20個で大事なことはたくさんあるかもしれないんですけども、やっぱりストーリーテリングで一番まず最初に重要なのは、例えば1時間のプレゼン、もしくは30分のプレゼンでもいいんですけども、何を伝えたいのかっていうのをまず明確にする必要がある。
たった一つ伝えたいことがあるとしたら、それは何なんですかっていうことを自分に対して問いただく必要があるんですね。
僕もこれは、自分の会社のメンバーとやり取りするときとかプレゼンを書いてるときに何回も聞くのが、これで何を伝えたいんですかと。たった一つ伝えるポイントがあるとしたら、何なんですかっていうのを常に問いただくんですね。
もちろん100個の情報があるかもしれないし、20個とか50個の情報があるかもしれないんですけども、それはそれで内容として入れるのはいいかもしれないんだけども、でも最終的には何を伝えたいかっていうことをできるだけ早いうちから決めておかないと、結局情報を羅列するだけになっていて、ストーリーテリングにはならないっていうのがまず根本的にありますね。
たくさんあれもこれもと詰め込みすぎちゃうと、聞いてる人も混乱しちゃいますからね。
いや、混乱しちゃうし、それこそ何が言いたいのってのが分かんないと。それがまず一つありますと。
でですね、二つ目に、そのノウハウの一つとして僕が心がけているのは、プレゼンのタイトルを何にするかってことを考える。
これも結構見落としやすいポイントで、特にそのビジネスのミーティングっていう場で言うと、ストーリーを伝えるとかストーリーテリングをするっていうことはあんまり考えないところがあるので、何々の報告書とか、そういう何々の資料みたいな、そういうすごくドライなタイトルになりがちで、それはそれで悪くはないことなんですけども、
とにかくその何かを伝えたいとか、この人を説得したいとか、この上司を説得したいとかって言ったときに、プレゼンのタイトルが何かっていうことを考えるっていうのは、それこそ本のタイトルだったりとか、映画のタイトルみたいな感じで、僕ができるだけ考えるようにしてるんですね。
それも僕の会社のスタッフに伝えて、まず何が言いたいかっていうことを明確になったら、じゃあタイトルは何なんですかっていうのを、もちろん決めれればいいんですけども、決めたとしても、まず仮に決めといて、内容を書いていくうちに変わる場合も全然あります。それはそれでOKですと。
でもやっぱりタイトルがあることによって、それも印象強いものをタイトルに持ってきて、それを変わるかもしれないんだけども、常に意識する。僕の場合も、本当にクライアントにプレゼンする1時間前に、いやこれちょっと違うでしょって変える場合も実は少なくないです。
それが2つ目。3つ目に、これはですね、それこそストーリーっていうところで言うと、大体どの、例えば2時間とか映画だったりとか小説とか、いわゆるその情報ではなくてストーリーを見るときに共通して言えることが2つあって、
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1つはその主人公が落ちる失敗だったりとか、主人公が落ちちゃう状況っていうピンチの状況だったりとかが、大体最初に出てくるんですね、ストーリーの。
確かにそうかもしれないですね。
そう、映画とか見ると。もしくはそこにそうなったりする原因の壁がいるわけですよ。
だからそのストーリーを組み立てるときに必要なのは、そのまずシチュエーションは何かってどういうコンテクストでどういうところにいるのかっていうのと、どういう状況に落ちちゃってるのかっていうのと、あと敵は誰なのかっていうことを明確にすると、我々の主人公としてその敵とどうやって戦っていって最終的にどう勝つかっていう、そういうバックボーンができるんですね。
だから3つ目に気にする必要があるのは、そのピンチの状況は何かっていうのと、その敵は誰か何かっていうのを少なくとも意識する。
そうすると聞いてる人、見てる人がそこに感情移入をして、その人に勝ってもらいたいと思うようになる。
なので、さっきのスティーブ・ジョブズの話に戻すと、まず古い話、その1984年に彼が発表したマッキン・トッシュ、そのときにプレゼンの中で彼が結構明確に言っていたのは、それまでコンピューターっていうのは企業の人が使っていたと。
企業は、コーポレットアメリカはみんなに同じ道具を使ってもらって、みんなに同じ作業をしてもらって、もう考えずにただ機械のように動くだけなんだと。
それは、そのとき明確に彼はIBMが敵だって言ってたんですね。
IBMってビッグブルーっていうニックネームがあったんですけども、彼らが敵だと。
アップルはその敵を崩すために存在しているわけで、その企業で何も考えずに働いている人ではなくて、自分のクリエイティビティ、自分の考えを持って新しいことを作っていく人たちのための道具なんだっていうことを、その全体的な文脈として、プレゼンの中でももちろんそれを言ってるんですけども、企業のストーリーとして、アップル社というストーリーとして、彼が持っていたんですね。
なるほど。
だから、そういうふうに何が敵かっていうことを明確に意識しておくと、ストーリーが作りやすい。そして共感を得やすい。
確かに応援したくなっちゃいますね。機械みたいに働きたいって思っている人、多分誰もいないと思うので、そのストーリーだとアップルに共感しやすいですし、そういうストーリーがあるからこそ、THINK DIFFERENTみたいなフレーズも生まれてくるっていうことですよね。
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そう。その文脈で言うと、iPhoneをローンチした時のアップル、そしてiPhoneの敵は、それまでも既に出ていたスマートフォンなんですよね。別にアップルがスマートフォンを世界で初めて出したわけでは全くなくて、
そうですね。
2000年前後からいろんな形で、それこそMotorolaっていう会社だったりとか、ブラックベリーっていうデバイスを作っていたResearch in Motionっていう会社があるんですけども、そういう会社だったりとか、もう一つはほぼ破綻しちゃって、もう一つは別の会社に買われたりとかして、全く面影のない存在になってしまいましたけども、
その時、2007年の時のアップルの敵、そしてiPhoneの敵は、使い勝手が非常に悪くて、そしてキーボードがたくさんあって、使いにくいデバイスたちで、我々はその逆を行くっていう。そこでも、さっき言ったストーリーの設定として、文脈の中にiPhoneという主人公があって、その敵がはっきりしてるっていう。
いやー、今の3つのポイントを押さえたら、だいぶ今までこういうプレゼンの内容、原稿を書いたことがない人でもイメージしやすいかもしれないですよね。
1つ目は、まず情報はできるだけそぎ落とす。何を伝えたいか考えるっていうところが1つ目のポイント。そして2つ目のポイントは、タイトルをつけてみる。
この報告書だったら、何を伝えたいのかというところで、年次報告書とかそういうタイトルはつけずに、これを伝えたいんだっていうタイトルを1つ選ぶ。
そして3つ目は、ストーリーとして考えた時に、敵は誰なのか、どんなピンチに陥ってるのかっていうことを考えて、そういったものを早めに持ってきて、ストーリーを組み立てていく。
みんなが応援してくれるようなストーリーを組み立てるっていう、この3つのポイント、すごくわかりやすかったです、レイさん。
一つ修正すると、もちろん情報を削っていいことはすごくあるんですけども、削るだけが大切なのではなくて、伝えたいことが何かを最初に明確にして、それをサポートする情報を集めて資料に入れるっていうことですね。
日本企業とかでよくできていないのは、伝えたいことが何かってわからずに、リスクヘッジのために情報を入れてるばっかりなので、伝えたいことが明確にならずに、ただの情報がずらっと羅列してるっていう状況になっちゃうっていうのが修正点かと思います。
情報をランダムに羅列しても意味がないよっていうところは、やっぱり覚えておかないといけないですね。
そうです。だから言いたいことを明確にしておいて、それに合わせて情報を集めるっていうことですね。
今回のテーマでもある海外に向けてのプレゼンテーションっていうところで考えると、一つ思い当たるのが、日本が今そこまで力を入れて発信してるかわからないんですけど、以前結構発信していたCool Japanというメッセージ。
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もしこのポートキャスを聞いていて携わっている人がいたら申し訳ないんですけど、あれは言葉を選ばずに言うと全然クールじゃなくて残念だなっていうのは、もう当初からずっと思ってましたね。
どんなところがクールじゃないなって思ったんですか。
まずいくつかあって、一つはクールと言わなきゃいけないところ自体がクールじゃないですよね。自分がかっこいいんだからみたいなことって普通自分で言うことじゃないじゃないですか。
確かに。
だからそこが非常にちょっと残念だなっていうのと、あとさっきのプレゼンテーションもしくはストーリーっていうところで、まず言いたいことが何かを明確にするっていうところなんですが、ただ明確にするんじゃなくて、その言いたいことがどうして見てる人とか聞いてる人にとって興味をそそられることなのかっていうことも考えなきゃいけないんですね。
だからその日本がクールだっていうことを一方的に言っても、そうなの?みたいなことになっちゃって、視点がないんですよね。
例えばどういう視点を置けばもうちょっといいキャンペーンになったんだ?
なんかクールジャパンっていうこの漠然とした日本を売り込もうっていうところにどんな視点を置くかってちょっとパッと浮かばないなーなんて思って。
ちょっとこれもう一つの例を共有して話すんですけど、もう十何年以上前にイギリスのすごく著名なデザイナーに会ったことがあるんですね。
その人がですね、イギリスのマンチェスターっていう街から依頼をされて、そのマンチェスターって工業都市なんですけど、工業では栄えたんですが、その文化の都市としてなかなか成長ができてないと。
それとしてどうやってその文化的に意味のある街として世の中にアピールしたいんだけどどうしたらいいんですかってことを相談されたそうなんですね。
でマンチェスターってそれこそ80年代とかそのクラブシーンとかがすごく盛んで、その80年代90年代からそっから出てきたDJとかアーティストって結構こう世界的に影響力のある人たちになってたんですよ。
でそのマンチェスターのレコード会社とかのクリエイティブディレクションをしてた人がピーターサビルっていうすごく有名なグラフィックデザイナーなんですけども、その人がいろいろ考えて最終的にたどり着いた答えがマンチェスターはこれ英語の言い方で言うとオリジナルマダンって言い方をしていて、そのモダンなものっていうのはマンチェスターから出てるんだよっていうことでオリジナルマダンっていうことを言ったそうなんです。
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でそれでそれを真似するんですけど、今ちょっと突然聞かれて考えたんですけど、パッと思いついたのはそれにちょっと真似しちゃうと日本ってオリジナルクラシックだと思うんですよ。
世界で最も古い文化の一つでもあるし、いろんなことでオリジナリティがある文化ですし、すごく古典的なものが今もつながってると。だからオリジナルクラシックっていうのが日本の強みなんじゃないかなって今ちょっとパッと思いつきました。
それが正解かちょっとわかんないですけど、なんかその辺にきっかけがありますし、やっぱりその日本から出てるもので世界で通用しているものって文化から出てるもので、20世紀には電子機器とか車とかその技術的なこともあったんですけども、今その国境を越えて世界で尊敬されているものは例えば食事だったりとか、
あとアニメだったりとか、そういうコンテンツのところだったりとか、あと日本で言うとおもてなしみたいな体験だったりとかって、そのやっぱりその古いところから来てて、それが今の時代にすごく浸透してるっていう。だからなんかその辺にちょっときっかけがあるんじゃないかなって今突然聞かれて思いました。
いきなり聞かれて出てきちゃうレイさんもすごいなぁと思うんですが、確かにあの日本も歴史的に見て鎖国をしている時期があったりとか、その他の大陸の国と違っていろんな民族の流入がなかったことによって逆にオリジナルなものしか育たなかったというか、カルチャーがミックスされなかったっていうようなところがあるので、
本当にそのずっとクラシックだよねっていう、オリジナルクラシックっていうのはまさに日本の歴史も反映しているなぁなんていうふうに。
なんかそういうテンションが日本の強みなんじゃないかなと思います。
さてここまでお送りしてきましたレイナウトの世界のクリエイティブ思考。今回の注目のクリエイティブは海外進出を成功させるためのプレゼン術をテーマにお送りしました。
日本の未来っていうことを常にねこの番組で考えてるじゃないですか。
どうしてそもそもこのクリエイティブ思考っていうことをやってるかっていう流れの一つに、まず背景として今日本の人口がどんどん減ってるじゃないですか。
だと日本がいくらものを作っても少なくとも日本の中で売ってても日本の経済は成長しないっていうすごく現実的なシンプルな問題があります。
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そこで考えると今後日本が生き残っていくには日本企業が海外に出ていく。
そして海外で成功しないと日本っていう国はどんどん滅びる道に行っちゃうわけなんですよ残念ながら。
っていうところを踏まえるとやっぱりその海外でプレゼンテーションをしていける力が。
プレゼンテーションっていうのは人の前に立って話すっていうことではなくてそのブランディングとかマーケティングという意味も広めに取られてはいるんですけども。
世界の舞台で日本人そして日本企業が戦っていけないと残念ながら日本には未来がないのでその一つの術としてプレゼンテーションっていうのがあるというのが今日の話の一番大事なところかなと思います。
なのでその伝えたいことを言うと日本の未来はプレゼンテーションにかかっていると大げさですけどもいるんじゃないかなと思います。
では次回もお楽しみに。
世界のクリエイティブ思考お相手は麗奈本と竹村由紀子でした。
デジタルガレージは危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3オープンソース時代を見据えたテクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
番組詳細欄にあるリンクよりぜひご覧ください。
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