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2022-10-17 50:15

第97回 亡命イラン人作家による魔術的リアリズムの傑作長篇「スモモの木の啓示」ショクーフェ・アーザル 著

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【今回の紹介本】

■『スモモの木の啓示』ショクーフェ・アーザル著 堤幸訳 白水社

村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で母さんは啓示を受けた。

まさにそれと同じ瞬間、兄さんは絞首刑になった。

巧妙な語りで、イスラーム革命に翻弄される一家の姿が、時に生々しく、時に幻想的に描かれる。

亡命イラン人作家による、魔術的リアリズムの傑作長篇。

是非お聞きください!

【番組内で紹介したトピック】

■『スモモの木の啓示』ショクーフェ・アーザル著 堤幸訳 白水社

https://www.hakusuisha.co.jp/book/b597070.html

【文学ラジオ空飛び猫たちを初めて聞く人向けのnote記事】

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https://note.com/cafecatwings/n/nab636ad54a35

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【文学ラジオ空飛び猫たちとは】

硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

京都の祇園で本の話ができるカフェを運営する「羊をめぐるカフェ」のミエ

文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

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文学ラジオ 空飛び猫たち
村を見下ろす丘にある一番背の高いスモモの木の上で、母さんは啓示を受けた。
まさにそれと同じ瞬間、兄さんは公主刑になった。
巧妙な語りで、イスラム革命に翻弄される一家の姿が、時に生々しく、時に幻想的に描かれる。
亡命イラン人作家による魔術的リアリズムの傑作長篇 スモモの木の啓示をご紹介します。
どうも皆さんこんにちは。文学ラジオ 空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。
お相手は、私小説が好きの海の大地と、羊を巡るカフェの三重の二人でご送りします。
文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
番組概要欄に詳細情報を記載しているので、初めてお聞きになる方などそちらを見ていただけるとありがたいです。
はい、ありがとうございます。本編入る前にですね、ちょっとお話ししたいことがあるんですけれども、ちょっと話したいことが多いので、
これはメルマガを我々やっているので、登録してくれている人たちに別途、音源を作って送りたいと思っています。
詳しいことは番組の最後にちょっとご案内しますけれども、概要欄なんかにメルマガのことは書いているのでご確認ください。
話したいことがですね、これ収録しているのが10月9日か日曜日なんですけど、先週私はポッドキャストウィークエンドという下北沢にやっていたイベントに行ってきたのと、
10月6日はですね、ノーベル文学賞の発表のことがあって、ノーベル文学賞見守る会ということもちょっとやっていたので、その辺りのこと。
あと三枝さんもね、先週ね。
京都の文学イベントでラジオで以前に紹介した渋谷で目覚めてのアンナ千真さんとマレーソビュー州のアルフィアンサートさん、他にも作家さんが来ていたんですけども、
そのお二方に直接会って会うことができたので、その話したいなと思っています。
なので完全にちっちゃな番外編みたいになると思うので、それは別途ちょっと作ってアップロードして、メールマガ登録してくれている人にはちょっとお届けしたいと思っております。
もしご興味ある方はご登録ください。無料でそれは登録できますのでよろしくお願いします。
じゃあ今日の紹介もいきましょうか。
はい、やっていきましょうか。
これイランの小説で、今回取り上げようとなったのはちょっと三枝さんと話して、今まで扱ったことのない国の作品をちょっと一つ入れたいよねってなったので、
03:04
イランやってないねってことになって、しかもこれ今年発売してちょっと話題だった本なんで、
このタイミングあるかなと思って、またとんでもない一冊に私は出会ってしまったなと思っております。
そうですよね。
感覚としては、結構マジックリアリズム満載の話なんで、ガルシアマルケスの百年の孤独を読んだ後の感覚に非常に近いんですけれども、
ガルシアマルケス読んだのが私も大学生の頃、社会人の初めの頃で、
まあおそらくまだそんなに読書経験が浅かった頃に読んでいるので、ちょっとマジわかんねえなみたいな感じで終わっちゃった感じはあるんですけど、
これもその感じはあるんだけれども、読み終わった後に描かれている切実さというか、ちょっとポップな部分もあるんですけど、
マジックリアリズム的なポップさみたいなのもあるんですけど、結構やられてますね。
なんか名作であるのは間違いないんですけど、うまく話せるか自信がない一冊ではあるし、まだつかみきれてない感じはありますね。
僕も同じで、去年百年の孤独を読んだんですけども、同じぐらい読みにくいなって思ってですね、話自体すごく面白いんですけども、
一体これ今何の話してるのかすぐに見失ってしまうぐらいですね、ちょっとね、わかりにくいんですけど。
ただ百年の孤独とか、アルビアンナイトの千夜一夜物語とかですね、そういうのがミックスされたような、すごく味わい深い作品で、すごい面白いんですけど、
あとはやっぱり大地さんと同じように最後、終盤ですね、読んでいった時に、これは百年の孤独とは違うんだってちょっと思って、
このスモモの木の啓示はやっぱりこの作品ならではというか、やっぱりあの今回知らんむけんの作品初めて取り上げたんですけども、
そこの現代社会というのが現れてきて、これすごい作品だなって最後の方思っていましたね。
ラストやばかったっすよね。そこまで話さないと思うけど。
これも本当ね、読んでみないとなかなかわからない作品の代表画かもしれないですよね。
確かに。これ我々収録するにあたって台本というか構成を書くんですけど、
なんとなくこういう内容をこのあたりで言って、こういうふうにしよう。
その後2人で打ち合わせて組み合わせて、じゃあ収録しようかみたいな流れなんですけど、
今書いてあることがね、まだなんかね、自分で昨日書きながらね、なんかこれじゃないんだよなとか思いながらちょっと書いてるんで、
台本と違うことを言い出すかもしれない。
そうですね。これ多分ね、2回目とか読んだら全然また違う印象。
うん、違うと思う。
そうなんで本当。
確かに読んでないから、うん。それは絶対ありますね。
という感じなんで、なんかこれ今聞いてる段階で、え、ちょっとどうなの?みたいな感じに聞いてる人になっちゃうかもしれないけど、
06:00
多分そうなっちゃうけど、面白い作品なんですよね。
やっぱりこの作品の持つ読ませる力みたいのはあるので、その辺りちょっとうまく今日は伝えられたらなと思ってます。
そうですね。頑張りたいところなんですけど。
半分ぐらいしかないけど。
まずは作者についてで、植部アーザルさんは1972年イラン生まれの女性で、イランでジャーナリストとして活躍された人で、
百科事典の編集とかですね、シルクロードにまつわる本とかっていうのをもともと発表されていた方なんですけども、
2011年に政治難民としてオーストラリアに移住して、そこからはオーストラリアの方で創作活動を行っていらっしゃって、
で、著作自体はプリシャ語で書いていらっしゃいます。
ただそれがですね、アーザルさんの作品が英語訳されてですね、この本集ですけども、
それがオーストラリアで賞を取ってすごい話題になって、
2020年にアメリカとかイギリスとかそっちの方でも発売されて、国際物価賞とかですね、全米図書賞とかですね、
翻訳部分とかすごい輝かしい賞があるんですけども、その2つの翻訳文学の最終候補になったというですね、
そういうすごく実績のある方になります。
そうですね。で、ちょっとこの本について補足というかしていきたいんですけど、ちょっと政治的な話になるんですが、
英語版の翻訳者はですね、安全上の理由から匿名という形になっています。名前が明かされていません。
この本の内容がイラン革命とフォメイニシ、イラン革命後の指導者フォメイニシに対して結構親烈な内容が書かれているというところで、
ちょっと安全上の理由からですね、翻訳者の名前を伏せるという事情があるみたいです。
同じ理由でプレシア語版はイランで非公式な形しか手に入らないとなっており、
なかなかこのイランの表現の自由というか独裁政権のもとにある厳しさのようなものが伺える一冊でございます。
ですけどこの作品はですね、くしくもそれ上にですね、国境と文化を超える文学作品の重要性を私たちに密接けると同時に、
現代における翻訳の重要性を示すことになったと役者後書きで書かれていました。
実際2020年10月現在なんですけど、先週ぐらいだったかな、
イランで女性が、イランって紙を覆う布みたいのを女性は絶対しなきゃいけないっていうルールなんなんですかね、
法律なのかな、そういう強制的なものがあるんですけれども、
それがちょっと微妙に守られてないということで捕まってしまった女性が拘留されてそのまま死んでしまったという事件がありました。
これは政府側は治病のため死亡したと発表してるんですけれども、
どう考えても撲殺して殺したんだろうということで、今かなり国際的な問題になっていますね。
日本でもイラン大使館のとこに抗議のデモなんかが行われて、
09:03
在日イラン人による抗議のデモなんかが行われていますけれども、
かなりこの辺りの事情とこの小説の内容はリンクしますし、
かなりこの本も出版された時にだいぶ気を使われたんだろうなというのは伺えるところもあります。
だからちょっとこういうのをすると重い話になっちゃうんですけど、
でもやっぱりこういう背景を少し理解していると、
この本の表現の自由さんのようなところっていうのは非常に尊いものだなと感じることができるんじゃないかなと思います。
と、思い入りになってしまいましたけど。
そうですね。でもそれだけすごく重要な一冊であるというのはね、やっぱり言われているのかなと思いますね。
今回なんですけど、いつもは最近割と全体的な魅力を先に伝えてストーリー話して、
そのストーリーのことを深掘っていくみたいな流れだったと思うんですけれども、
結構話が細かい話でも伝わらないし、あまり意味がないかなと思っていまして、
この話が持つ雰囲気っていうのをまずは掴んでもらいたいので、
最初にストーリーをざっくり触れていきます。
その後この本から感じた魅力っていうのを、我々が感じた魅力っていうのをちょっとお話しして、
スマモの木の啓示という作品をしてもらいたいなと思っております。
なのでちょっといつもとスタイル違うんですけど、そういう意図があってやってますんで、
ご理解の上お聞きいただければなと思います。
じゃあちょっと私の方からストーリーを話していきます。
これはですね、語り手である主人公は13歳の少女、バハールという女の子になります。
基本1,2章で語られます。
これ白水社のエクスリブリスっていうシリーズ、レベルなのかな?
よく見るやつなんですけど、それなので結構裏拍子にストーリーが書いてあるので、
ちょっとそれを読み上げたいと思います。
これだけ割と端的にこの話を表しているので、やっぱりここから始めたいと思います。
1988年8月18日午後2時35分に村を見下ろす丘にある一番背の高いスマモの木の上で、母さんは啓示を受けた。
まさにそれと同じ瞬間、兄さんのソフラブは公主権になった。
それを遡ること9年、イスラムの革命の最中にテヘランで幸せに暮らしていた私たち一家は、
熱狂した革命支持者たちによって家に火を放たれ、かけがえのないものを失った。
私たちは道なき道を分け入り、ようやく外界から隔絶された村、ラーザーンに辿り着く。
そこはくしくも1400年前、アラブ人の来襲から逃れたゾロアスター教徒が隠れ住んだ土地だった。
静かな暮らしを取り戻したと思ったのもつかの間、ラーザーンにも革命の波が押し寄せる。
ある日、ソフラブが連行されると、母さんのロザー、父さんのフーシャング、姉さんのビーターの身にも次々と試練が降りかかる。
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13歳の末娘、バハールの目を通して、イスラーム革命に翻弄される一家の姿が、時に生々しく、時に幻想的に描かれる。
千夜一夜物語的な相は、死者や人、これ幽霊の鬼と書いて、幽鬼と読むのかな、日本語では幽鬼と読むんですけど、人と読みますね。
死者や人との関わり、SNSなどの現代世界が融合した魔術的リアリズムの傑作長編となっております。
舞台がテヘランとラーザーンという村が2つあるというのと、面白いのが現代社会なので、SNSとかも出てくるところとか、なかなか設定としては面白いところですね。
そうですね。俺でもあれなんだよね、SNSさ、結構これ、最初この裏表紙読んでから入ったから割と結構サクサク出てくるかなと思ったら、結構後半にならないと出てこなかったから、
ちょっとそこは印象と、このあらすじ読んだ印象とちょっと違ったなと思って、ここの展開ちょっともっと濃いかなと思って期待してた部分はありますが。
魔術的リアリズムが結構中心ではあるんで、最後の方とか、現代社会が融合していくところがあったりというところですよね。
もうちょっとだけ話を読んだ後、我々の感想じゃないですけど、読んだ上でのこの話っていうのを補足していきますと、これは語り手である主人公の女性、少女か。
バハールの話ではあるんですけれども、この一家の話ですね。父のフーシャング、母ロザー、兄ソフラーヴ、姉ビータ、この5人の家族の話が中心になります。
もともとこの家族はイランの首都テヘランで、家族5人で、しかも割と豊かに暮らしていました。
1979年に起きたイラン・イスラーム革命というものに巻き込まれて、もう北の敵地にあるラザーンという村に移り住むことになります。
この村もあらすじになっており、首都から離れてはいるんですけれども、徐々に徐々に革命の手というのが迫ってきて、結構な年月ですね。
情報が入ってこなかったり、急に入ってきたりとか、そういう流れもあったりして、かなり急にこの首都の政権の流れですね、政権の力というのが村にも入ってきます。
この一家はですね、それだけじゃないんですけど、いろんなことがあって、じわじわと追い詰められていくという話になっています。
この家族の運命のようなものを描いている作品だとは思うんですけれども、そこに絡めて様々な登場人物、登場人物めちゃめちゃ多いですね、いろんな人の物語が語られていきます。
結構現実的な痛みを持った話ではあるんですけれども、内容がマジックリアリズムが満載なので、聞きそご天外ながらもその辺りで読み入ってしまうような話になっています。
単純なストーリーとしての道筋っていうのは結構ないというか、いろいろ発生して物語は先へ先へ進んでいくんですけれども、結構いろいろ別個な話っていうのが展開されます。
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ただやっぱりそこをですね、作者の巧みな表現力と、あと章と章を繋ぐ繋ぎ方ですね、かなり上手くてグイグイ読ませる、そして内容としては結構切実な物語になっているなと思います。
これで伝わるのか?
そうですね。
どうだろうね。
かなりザクッと。では具体的にどういう話なのかっていうと、曲を語りだすと本当に時間がいくらかもかけないというか、難しくてなかなか説明しづらいというところがあったりするんですけど。
じゃあちょっとこの話の感じを掴んでもらった上で、前提的な魅力でマジックリアリズムのこととか捕索していきたいなと思います。
そうですね。
じゃあここからですね、この作品が持つ魅力についてお話ししたいんですけど、まずですね、話さなければならない部分はマジックリアリズムの部分です。
これ本当にファンタジー要素、マジックリアリズムの要素が非常に強くて、本当に不可解なことばかりが起きます。
登場人物というか物語自体がそれを受け入れているような感じなので、不思議なことをですね、不思議なことを捉えることなく物語が展開していきます。
で、出てくるのは幽霊。
で、ジンという名前の妖怪なのかな?みたいなのが結構な感じで出てくるんですけど、これはちょっと幽霊も出てくるから幽霊でもないんだなっていうところで、扱いが出てくるたびにどういう扱いなんだろうと思ったんだけど。
でも妖怪っすね。日本で言うと妖怪っすよね。
そんなイメージが近いですね。
あとなんか西洋で言うとゴブリンみたいな感じで、森とかどっかにいて、なんか悪さするわけじゃないけれども、何かあったら人間を罰したりとか敵対したりとか、逆に人間がこのジンの力を利用したりとかしようとするシーンもありますね。
ただ呪いとか受けちゃったりもします。
やっぱりジンがある意味神様とは違うんですけど、すごく力を持っていて、それを人間に与えることもできたりするけど、そこには投下効果というか呪われるものもあったりとか、面白い設定があって。
僕もやっぱりこれすごいもうたくさんそういうマジックリアリズムとか出てきて、結構面白いなって思ったところがいっぱいあるんですけど、
例えばこの作中で政治犯とか宗教犯が5000人処刑されるっていうですね、すごい数なんですけども、そういう一幕があってですね。
で、その後何が起きたかっていうと、この5000人の政治犯、宗教犯の幽霊が一乱となって、この街を練り歩くというですね、という描写があって、
しかもその幽霊たちは生きている人たちというか、そういう人たちを見て、やっぱりそれに羨ましさというかね、やっぱりそんな気持ちもあって泣いてしまうんですけども、
5000人の涙がやがてすごい溜まっていって洪水になっていくとかですね、こんなもうはちゃめちゃな話があったりとか。
あとは作中で、やっぱりこの文化圏的に文学作品が燃やされるっていうシーンがあってですね。
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文学作品を中心にいろんな書物が、ここではそんな本は読んではいけないというですね、禁止されている本がいっぱいあって、
それが燃やされていくときに本から指名が聞こえてくるっていうですね。
それも読んでいるとね、ちょっとコミカルな部分はあったりするんですけど、ただ燃やされるだけじゃなくてね、ちゃんとそこに人の声、指名が入っているというところとかはね、
描き方としてすごく面白いなと。ちょっとそういうマジックリアリズムの要素がふんだんに入っているというところが確かに面白いところではあります。
なんかほんとこのあたりはガルシャマルエクス読んでいるような感じになりますね。
殺された政治犯、悪いことをしたわけじゃないんだけど彼ら、ただ生きてただけなんだけど、
彼らが流した涙が、幽霊が流した涙が川になり洪水になり街を追うっていうシーンはかなり印象に残りますね。
で今ちょっと話を聞いていると結構デタラメだなとか何でもありだなみたいな印象を持たれるかと思うんですけども、
これなんか展開にリアリティがあるんですよ。このリアリティを支えているものは一体何なんだろうなって読みながら私はずっと思ってたんですけど、
これかなと思うのはどのシーンというかですね、全てのシーンに共通するわけではないんですけれども、
主人公側が略奪されるということが多いです。というか略奪みたいなのが結構描かれますね。
何かを奪われたり何かを失ったり取られてしまったりということですね。
例えばさっき三枝さんが話した本を燃やされるところと、
あとこの政治犯たちの幽霊なんですけども、もともとは彼らは何もしないけれども捕まってしまって死刑に遭ってしまっていうことなんですけれども、
この奪われるっていう感覚が多分この作者に強いんじゃないかなと思っていて、
多分これはイランに住んでた時の作者が体験したことはおそらくベースになってるんだろうなと思います。
やたらこの辺りは非常に切実というか真に迫っているところで、
マジックリアリズムを使いながらも、やたらこの辺りがグサグサ来るのはきっとこういうところにリアリティがあるからだろうなとちょっと私は思いました。
略奪と言われてましたけども、やっぱり基本的に何かを失われていくっていう話だと思うので、
これがここにリアリティがあるというところがやっぱりちょっと悲しいところではありますよね。
ちょっとそこからまた関連するかもしれないんですけども、
魅力として挙げれる一つと思っていて、人物それぞれの物語がどれも豊かであるというのが感じています。
主人公の家族5人の物語ももちろん一人一人のがあるんですけども、周辺の人たちにもやはり物語があってですね、
結構それが読ませられます。
読んでいると人物がすごくたくさん出てくるんで、これは誰だって思ったりするときあるんですけども、
ただ読んでいくと、家族のこの人の恋人のお母さんだったとかですね。
21:06
そういうだんだん後で絡んできて面白くなってくるというところはありました。
すごく豊かな物語が多いんですけども、ちょっと誤解のないように言うと、
さっきの略奪という話と同じく、やはり失われていく物語が基本的には多いのかなと思っていて、
すごく魅力的でもあるし、悲しくて。
物語性というところで役者跡書きでも書かれていて、物語の中では登場人物たちが身の上話を語る場面が多い。
そこにはシヘラザードが毎晩王に聞かせた物語のような優秀正しき交渉文学の面影があるというので、
すごくいろんな話が散りばめられているんですけども、
本当に千夜一夜物語を読んでいるかのようなアジア絵部家さんもあるなというところですね。
この一家と関係ない人たち、関係なくはないんだけど、繋がれがないっていうのはいないんで、
黒い愛。
あれとかすごい印象に残ったな。
この作品に描かれる愛って何なんだろうって、結構考えてしまう部分もあったし。
本筋5人の家族の愛情っていうところもあるからあれなんだけど、
結構この愛の話みたいなのが出てきた気がしますね。
最後にですね、ちょっと話したいのはですね、
もうちょっとここはお手上げだなというところを話したいんですけれども、
読んでて、これはここマジで分かりにくかったよっていうところをですね、
ちょっと正直に話したいと思います。
これはですね、読んでたら絶対ぶち当たるというか、
マジックリアリズム、ガルシアマルクスとかもそうなんですけど、ぶち当たるところで、
ここをですね、カッコつけて分かったふりはもうちょっとできないので、
ちょっと話したいなと思っているのが、
ちょっと私のほうからいくと、これ時系列がぐちゃぐちゃなんですよ。
章が結構細かく分かれているんですけど、
この章が今一体この物語の時系列の中でどこにあるかっていうのが、
結構分かんなくて、何で言ったらいいんだろうな。
とにかく時間の流れが急に進んだりするし、
と思ったらいきなり具体的な何年の何月みたいな話になったりするんで、
そこでまたその章の中でもいつの間にか時間が写ってるし、
いつの間にかと、もう細かく細かく読んでおけば掴めるのかもしれないですけど、
ちょっとその掴みが結構上手くいかなくて、
あれ一瞬、あれこれって、
あれこの家族ああなっちゃった後の話?
いやその前の話?みたいな、
あの事件が起きる前の話?後の話?みたいな、
ちょっと混乱することが私は多かったですね。
本当にそこは苦労しましたね。
正直章によっては、ちょっと分かんない章が本当にあってですね。
そう、いまだに分かんないね。
そうそうそう。細かいエピソードとかでは印象残っているんですけど、
それがどういう文脈でそういう話になったかとか、
何のためにそういう話になっているのかとか、
24:00
全然分かんないところがですね、
ちょっと確かに何個もあってですね。
難しかったですね、これは。
自分が分かんないなと思ったのは、
本も燃やされるじゃないですか、本を。
で、本も燃やされちゃって、悲しみに暮れて、
まあ、ちょっとすごい明治になってちょっと後で話したいんですけど、
その後、また本出てくるじゃないですか。
あれ本また読んでよってなかったのか?みたいな、
あれ?みたいな、うん?みたいになったりするんで、
やっぱりその辺の時系列が本当に分かんなくなってくるなと思ってましたね。
そうですね。
あと僕がちょっと読むの苦労したのは、
あとこの語り口の部分かもしれないんですけど、
12章でですね、川の幽霊の男っていうのが出てくるんですけども、
あのですね、男が自分の身の上話をするんですけども、
もうそれが苦闘典とか使われずに、
延々とですね、もうめちゃめちゃ長い話が続くと。
一文で8ページぐらい、もう点も空白も丸もなく、
一文で8ページ分語られるんですけど、
それとかもうね、途中でちょっと読むの若干諦めて、
ちょっとね、斜め読みしたりとかね、してしまいましたね。
正直斜め読みでも大丈夫かもしれないし、
私逆にそこはもう一気に読もうと思って、
あ、これヤバいやつだと思って読み始めて、
もう苦闘でなくなった時に、あ、これヤバいやつだと思って。
それはきついなと思いますね。
そこだけ一気に読むスピード上げましたね。
もう集中しました。
まあ、うんうん、というとこありますよね。
あとやっぱ分かりにくいなと私が思ったポイントは名前ですね。
登場人物の名前です。
これはまあ、ロシアとかでもありがちなんですけど、
馴染みのない地域の名前って、
まずそれだけで頭に入ってきにくいのに、
ちょっと私、父の名前とか最初多分見逃したのかな。
あらすじもあるのに。
え、フーシャングって一体誰だろうみたいな。
一瞬思っちゃったりとかしてて。
これ文明からお父さんだなと思ってたんですけど、
結構最初の方にちゃんと父フーシャングって書いてあって、
読み返すと。
そういうの見逃すと結構大変で。
で、私の視点から語られるんで、
娘の私の視点から語られるんで、
父として表記されることが多いんですけど、
何故か急にフーシャングって表記されたり、
母もロザーなんですけど、
急にロザーっていう名前になったり、
父さん母さんで呼んでたのに、
急になんで名前で呼ぶんだよみたいなのがあったり、
結構わかんなくなりますね。
僕も読んでるとき、
途中からやっぱり人物名をメモするようにしましたね。
誰が誰かって本当にわかんなくなってしまうんで。
あと性別が一発でわかんないよね。
はいはい。
名前が出るときに馴染みがなすぎて。
そうですね。
これどっちだみたいな。
それはあります。
姉の名前がビーターって言うんですけど、
ビーター、俺最初出てきたとき男だと思ってたの。
ビーターってだけ出てくるから、
これ男性かなと思って、
あ、姉さんなんだみたいな。
あとさっき大地さんがノートの話をして思い出したんですけど、
この小説の中にちょくちょくノートに書くシーンがあるんですけど、
だいたいそれが400ページか500ページのどっちかなんですね。
1人がノートを書くとかじゃなくて、
結構登場人物何人かがノートに書くシーンがあるんですけど、
27:03
それぞれ違う話を。
それがなぜか400か500ページっていうですね。
親子棚は400ページで、
お姉さん500ページで、
お父さんが400か500かどっちかだったんですけど、
この辺も若干ややこしいところかなと思います。
面白いんですけど。
あとはですね、やっぱりちょっと気を抜くとですね、
読んでるとなんか頭入ってこない部分がちょっとあったりとかして、
ふと気づくと、あれ今これ誰の話をしてる箇所なんだろうってなっちゃって、
結構読み返したりとかする時があって、
結構この辺りは集中力を使う本だったなと思ってますね。
そうですね。
1章は多分3回ぐらい読み直しましたね。
ああ、うん。
入ってこなかった。
入ってこなかった。
っていうところで、
なんでこんな分かりにくい本を読んだんだみたいなことを思われるかもしれないですけど、
でもやっぱり読むと面白かったんで。
そうですね。
特にやっぱ後半になって、
来るにつれて僕はやっぱもうね、
だいぶんなんか乗っていきましたね。
そうだね、後半すごいよね。
読み始める時に、
いや分かんない分かんないになるかもしれないんですけど、
人によっては。
結構そこ耐えると、
ちょっとすごい世界が見えてきた小説はあるので、
このすごさを体験したいなと思った人は、
最初ちょっと我慢して、
あとこの辺りのポイントはですね、
ちょっと最悪無視してもいいかなと。
そうですよね。
次に小説の中で印象的だったシーンっていうのを、
独当第一さんでそれぞれ言っていこうと思うんですけども、
今ですね、後半すごいって言ってたんですけども、
実はですね、個人的に第2章ですね、
ページで言うともう最初の16ページぐらいのところから、
もうすでにめちゃくちゃ面白いところとかあってですね、
それが印象的だったんですけども、
人物としてはタクシー運転手のシャフリヤールという人の話になるんですけども、
シャフリヤールっていうのがお父さんの父方のまたいとこにあたるという、
遠い親戚みたいな人になるのかな。
結構学歴もすごいある人なんですけど、
文化革命の時にちょっと追い出されてしまって、
今では長距離タクシーの運転手をやっているっていう人なんですけども、
その人の話が語られていくんですけども、
面白いのがそんな彼、彼っていうのがシャフリヤールですね。
彼がいつものように事故を起こし乗客4人が即死したらしいっていう、
いきなり語り始めの一発目がそれでですね、
いつものように事故を起こしっていうところが面白いのに、
しかも乗客4人即死ってどういうことなんだってね。
そしたら話はそうじゃなくて、
タクシーの後ろに死神が乗っていて、
シャフリヤールと喋って、
シャフリヤールも気づくんですね。
これ死神が乗ってると。
自分ってもう死ぬんだってね、分かって。
シャフリヤールと死神、2人で車に乗っていたんですけども、
死ぬまでせっかくなんでっていう感じで、
30:01
いろいろ喋って行ったり、
あと一緒に飲んだりもしたのかな。
あとちょっとハイになったりとかして、
ツレションとかして、めっちゃ仲良くなって、
最後仲良くなりすぎて死神が
お前は死なないみたいなことを言って去っていって、
結局生き延びてしまうっていうですね。
この辺のくだりが何ページか語られているんですけど、
すごい面白かったです。
これなんかもう飲酒運転とかしたらしい。
そうそうそう。
ヤバいですよね。
いや、僕は第2章めっちゃ好きになりましたね。
ここ、私もすごい印象に残ってますね。
この死神のシーンが面白いっていう意味で。
もう一つちょっと印象に残ったとことして、
次の3章もですね、またこれもすごく印象深い章で、
3章に悲しげな目をした旅人っていう人が出てくるんですけども、
この人が自分の身の上話をするんですけども、
これが結構すごい話で、
その旅人が暮らしていた家っていうのが、
もうすごい貧しくて、
お母さんが鶏肉を食べたいって言った時に、
鶏肉を盗みに行って、それで捕まってしまうんですね。
ただ結果お母さんが鶏肉が食べられて、
それで良かったって思って、
すごい本人としては親孝行したつもりで、
ただ捕まってしまって、
そこで刑務所に入れてるんですけども、
ただ15歳の時もね、
仕事場の給料を滞納した親方を殺したりしてね、
処刑されそうになるんですけど、
なんとか生き延びていく、助かっていくっていうね。
そんな旅人が、弟が同じ刑務所に入ってきたんですね。
この弟っていうのが、なんで入ってきたかっていうと、
家族ですね、兄弟と両親を皆殺しにしたという。
旅人はね、すごい家族思いでの人なんで、
その弟をですね、殺すんですね。
そこでね、弟もなんというかね、
それもすごく安堵しながら殺されていくっていうね、
そんな情景があって、
その後ですね、真実っていうのが語られて、
それは旅人は、弟を殺した後に知るんですけど、
実は弟も家族のために、
自分がタバコ売りに行こうと思って、
夜というか朝かな、
家族にぐっすり寝てもらうために、
学校で習ったエイペルを使って人を眠らせるというですね、
ちょっとその方法をしようとしたら、
それが学校の教え方がまずくて、
かなり危険なことをやってしまって、
間違えて殺してしまったっていうですね。
本当に弟も家族、親孝行しようと思ってやったことが
悲劇になってしまって、
旅人はその弟の真実を後で知って、
自分の手首を切って自殺をするんですけども、
死んだはずが死んでいなくて、そのまま生きていて、
旅人は弟に間違った知識を教えた教師を殺そうと
思ってはいたんですけど、
ただ夢に現れたお母さんが指差した方向に向かって
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旅をしているっていうですね、
そんな旅人の話があって、
その旅人っていうのがまた後々で、
また違う人物と絡んで、
村人っていう人と絡んで、
またもう一個のエピソードが出てくるんですけども、
こういう身の上話、
悲しすぎる話とかすごい読んでて、
心にグサッと来るものがありましたね。
で、私の方ですね、ちょっと印象に残ったのは、
第7章のシーンで、
シーンとしては指導者のホメイニーか、
ホメイニーという指導者がいるんですけど、
これはもう歴史上の人物というか、
実際に実在した人物です。
彼が子供とちょっと会話することがあって、
なんだっけな、どういう流れだっけな、
あ、そうか、鏡か、
鏡を見てると子供が出てくるんですよ、
その鏡の中に。
子供があなたは誰って聞くと、
ホメイニーは私は私である、
数百万人が投票で選んだ人物、
八年生成を切り抜けた人間、
イスラムを地の果てまで広げた人間だ、
どうして?って聞かれて、
イスラムは普遍的にならねばならないと答えて、
また子供がどうして?と聞くと、
イスラムは最後の最も完璧な宗教だからだと答えるんですけど、
子供がどうして?と聞くと、
どうしてもヘッタクレもあるものか、
お前の頭はまだ成熟してない、
大人になればこの問いに答えがないことがわかるだろうと答えて、
最後に子供がだからそれってどうして?と聞くシーンがあるんですけど、
ここ結構なんか印象的というか、
ホメーニーという独裁者を描いているんですけど、
大人になればこの問いに答えがないことがわかるだろうとか、
結構なんか真に迫った、
もちろん現実の彼が言う言葉ではないと思うんですけど、
そういう言葉があったりして、
ここはなかなか結構印象に残りましたね。
これショーンの最後がね、彼が死ぬところか、
ホメーニーが死ぬところの話になるんですけど、
彼は人生最後の瞬間に一つの文章を囁いた、
モノローグ・独り言とダイアログ・対話の知性で合理的な決まりは、
基本的に異なっていることを理解するのに87年の年月がかかった。
彼はずっと対話というものをしてこなかったということなんですけど、
そこが語られる部分で、
ここはかなりイランの何かを示しているなと思っていて。
僕もここは付箋を張っているところですね。
そうですね。ホメーニーが自分で理解するんですよね。
独り言はね、さっき大事な点で、独り言は喋ってきたけど、
ただその対話ですね。
対話する時には自分はただの強情張りで気取った理不尽な子供だったってね。
そこに最後の瞬間に気づくっていうところ。
いろいろ考えちゃうよね。だってホメーニー自体は多分こういうことにならなかったから、
作者の願望なのかなとかね。ちょっといろいろ考えてしまいますよね。
あと私やっぱ印象的な次の章の、ちょっと三枝さんもさっき言ったけど、
本を燃やされるシーンがあるんですよ。
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この家族が持っている本をことごとく燃やされるシーンがあるんですけれども、
ここで結構ね、このお父さんがね、結構いいこと言うんですよね。
元々この本に関しては、
本っていうのは、人間にとって他人の暴力と無知と抑圧から逃れるかくれんぴかなんだっていう話があって、
ここはちょっと多分読書家からするとかなり刺さる名言なんですけど、
その後に本が燃やされてしまって、
一週間経った時ですね、100ページある白紙のノート4冊と、
そういうのをちょっと持ってきて、お父さんが言ったことは、
私たちは書くことから始めなければならない。書け。覚えていることを全部書け。
小説に出てきた登場人物、霊暗関係、戦争、平和の孤島、彼らの冒険、憎しみ、裏切り、
本を読んで覚えていることは何でもいいから書くんだって言って、
みんな言われた通りに朝から晩まで書き続けるっていうことをするんですけど、
結構これはなんていうか、奪われても奪われきれないものみたいな象徴な気がして、
ちょっとすげー感動しちゃった。
いやいや、この描写すごい良いですよね。
小説を書いているときに、やっぱり冒険とか人物とかね、
そういうのが蘇ってきて、その人物たちの歌とか声で、
家の中がね、また光と死で満たされていったっていう、
そういうような描写もあって、すごい良いところですよね。
こういう強さみたいなのも、この小説は結構描かれるから、
何度奪われてもみたいなところはちょっとあって、
結構この辺りは感動してしまいますね。
そうですね。結構お父さんって感動するところはいっぱいありますよね。
お父さん強いよね。すごい強い人間だなと思う。
さてこんな感じにしますか、今回は。
そうですね。伝わったかな。
まだまだ話していない話が本当にいっぱいあるんですけど、
でも何か雰囲気感じてもらえたらなとは思いますね。
すごい小説であるのは間違いないので、
一人でも多くね、ちょっと手を取ってもらえたらありがたいなと思いますね。
じゃあちょっと最後、この本と密接に関わるテーマトークなんですけど、
刑事について話しましょうか。
そうですね。
この本が言っていた刑事。
これ冒頭すぐ出てくるんですけど、
お母さんが刑事を受けて、その刑事の内容っていうのは、
何か思っていたのとは違うということですね。
おそらくこれは人生が一瞬で全部見えたんだと思うんですよ。
俺が解釈するに、全然値打ちがない。
人生は思っていたようなものと違うっていう刑事っぽくて。
なんかこれ読んでみると分かる部分ではあるんですけど、
この刑事の意味は何なんだみたいな。
ちょっとタイトルにもなってるからね。
確かに何なんだろうって。
読み終わってもよく分かってる。
そうそう。本当に面白い。
これちょっとお題に出てきて、
分かんねーって思ってしまったんですけど。
でもタイトルになってるからリスナーからしても、
刑事って何なんですかってなるよね。
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しかもお母さんが刑事を受けるところから話は始まってくるんで、
ちょっと刑事が何なのか、何であったのかっていうところと、
ちょっとずれてしまうんですけども、
ひとつ思うのは、お母さんが刑事を受けたからこの小説ですね、
この創作っていうのが生まれたんだろうなとは思うんですね。
それが現実とフィクションの入り口になっている、
もしくは境界線になっているっていう境界を作ったのは、
境界を取り払ったのが多分刑事なのかなと思われるっていうのはひとつですね。
この現実サイドってどういうものかっていうと、
ちょっと終盤かなり印象的なシーンがあって、
それはある女性が理不尽に殺害されてしまうという。
その女性の周りには男たちがいて、
性暴力をしたりとかそういうのをしようとしていて、
それを周りみんなやってしまえと言って、
ただ一人だけ止めようとする男の人がいたんですね。
その止めようとしている男の人に映っているのは、
周りがみんなやってしまえと言っている人たちは知り合いなんですね。
小さい村社会なんで、知り合いなのにただそういう、
これもね、モラルとかそういう問題かわからないんですけども、
みんなでいるとそうなってしまうみたいなんで、
止めようとするけど、ただ周り見るとみんな本当に殺してしまおうとしているから、
もうこれ以上止めようがないっていうのを止めようとした男の人は気づいて、
あとは黙ってしまうんですけども、
それがこのイランのもしかするとある一部の現実なのかなと。
あれすごくリアリティありますよね。
その性暴力を働いた後というか、
性暴力的な描写があって、中団での男性のね。
彼らに家族、妻がいるんですけど、
その妻たちがそれをよく思っていないってことも描かれていて、
帰ってきたら彼らのために食事を出すし、
なんならなんだろうな、ちょっとそこはあれですけど、
性暴力だけじゃないかなと思うんですけど、
政権下における、これも想像ですけど、
政権下における正しいと思っている行動。
でも肌から見たら絶対間違ってるよね。
俯瞰で見たら絶対間違ってるよね。
その国の外から見たら間違ってるよねみたいな。
行動したとしてもおそらく誇らしげに帰ってくる夫。
その公表した夫と話すことで、
夫婦関係が良好になったりとかっていう。
ちょっと今、現実によって話しちゃったんですけど、私は。
でもそういうふうな描写というかがあって、
いやここすっごいリアルだなと思って。
怖かったですね。
ちょっと本当どうしようもないなっていう。
なんかね、それ知ってしまうと非常に虚しくなるようなものがあって。
刑事の、本当にこれちょっとね、
もしかしたらっていう話ですけど、
このお母さんが受けた刑事っていうのも、
それくらい知ってしまうと虚しいっていう。
そうそう、それは思ってた。
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それが人とはっていう話なのか、
もしくはこの国というのかな、
イランこうなんだっていう。
それが本来の姿であるっていう。
思ったのは、その知ってしまった刑事を受けてしまったお母さんがいて、
それを知らない父、お父さんがいるけど、
お父さんの方がなんか強いじゃないですか。
やっぱ知らないことによる強さっていうのは絶対あるなってちょっと。
運命を知らないことによる強さみたいな。
状況に、なんだろう、抗っていく強さみたいのは絶対あるなと思って。
そこもうまく描き分けてる感じは、
この小説あるからそこもすごいなって。
思いましたね。
でも刑事の内容よくわかんないっていう。
そうですね。
戻っちゃうんだけどね。
やっぱあれなのかな。
この運命を全部知ってしまったお母さんっていう状況なのかな。
そうですね。
僕は結構やっぱりこの小説の終盤に引っ張られてるところがどうしてもあってですね。
やっぱりこの刑事とは何かっていうのは、
もしこの作者が意図を持ってるとしたら、
やっぱりこのちょっと終盤に重なるところ。
やっぱり知れば知るほど虚しくなっていくような、
この社会性。
個人もそうかもしれないし、社会もそうかもしれないしっていう。
そこかなっていう。
そういう運命のもとにあるっていう。
でもちょっとこれから読む人にとっては、
この刑事っていうのはちょっと何かね、
一個置いておいて。
念頭に置いておくぐらいでいいかもしれないですね。
僕ちょっと見逃してたところが一つあって、
やっぱりさっきのお父さんの話ですね。
やっぱりお父さんすごく本当に強いというか尊い人で、
もしかしてお母さんが思っていたものと全然違うっていうのは、
そこにはお父さんのことも含まれているのかもしれないなと思ってですね。
それがどういうことかというと、
本当にこの国自体は本当に知れば知るほど虚しいものではあると。
その中で本当に自分らしくというか、
誇りを持って生きていこうとすると、
お父さんのような生き方。
お父さんに限らずですけど、この家族のような生き方。
だけどそこにはやっぱり最初に言っていた略奪とかですね。
その略奪というのはものとしてもそうだし、
命が奪われるっていうのもそうですし、
それが待っていると。
しかも刑務所に入れられることだってあるし。
だから誇りを持って生きていこうとした時の、
この過酷さみたいなものが見えてしまったのかもしれないなという。
すごくいい暮らしをしている人たちだったので。
ちょっとこの刑事の意味というのを最後まで読んで、
もう一回読み返さないと見えてこないものがあるかもしれないですね。
ちょっとね、本当読んでしばらくしないと、
ちょっと降りてこないかもしれないですね。
昨日読んだ直後で話してるからね。
やっぱりね、話にちょっと引っ張られている感じがどうしてもあってしまうけど。
そうだね。
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でもそれくらい結構これラスト印象的なんですよね。
ラストシーンすごい良いんだよな。
でもラストも、あ、もうあれだな。
ネタバレになるよなこれな。
なんかちょっとあんまり言えないな。
結構すごいグサグサくるセリフ文章あったんだよな。
ちょっとそこはやめておこうかな。
ちょっと読んだ人の話だよな。
じゃあ、相撲の木の啓示ご紹介してきました。
最後ですね、感想とどんな人に読んでもらいたいか話して、
いつも通り終わりたいと思います。
私の方から言わせていただきますと、
拍子のポップさとは結構違ってですね、
なかなか通列な小説だったなと思っております。
何だろうな、これ独領した時にたどり着ける境地っていうのは必ずあるんですけれども、
なかなか言語化しにくいし、
これこういうもんですって言いにくい場所ですね。
ただ読んだら多分わかるものと思います。
たぶん理解度を3分の1から2分の1ぐらいでもなんとなくわかる話で、
わかりやすい話ではないし、正解がわかりやすく提示されるものでもないし、
解釈の仕方っていうのもおそらく結構委ねられるものではあるので、
読む時に幅のある小説だと思うので、
そういうのが好きな人にはめちゃめちゃ向いてると思います。
今回思ったのは、本国イランでは発表できなかった小説というのが、
周りに巡って日本でこうして自由に読めるっていうことを非常にかみしめたいなと思いました。
表現の自由って簡単に言ってしまえるけど、
実際にそれが抑圧されていて、それが叶わなかった人がようやく獲得した上で書くものっていうのは、
すごく切実だったし、すごく力強い本だったなと思います。
だからやっぱりそういうのをかみしめられる日本にいてよかったなと今思っています。
そんな感じですかね。
僕もこの作品を読んで、これがイランかっていうのを結構強烈に感じる印象がありました。
特にそれは終盤の方なんですけど、
それまでのマジックリアリズムやファンタジーな部分と現実が融合してきたときに、
だんだん話自体が現実と融合していくにつれて強烈に感じていくっていうのがすごい作品だなと思いました。
あとは人それぞれの物語の豊かさにすごく惹かれましたし、
そこでその土地で生きていく上では避けて通れない悲しさっていうものがあったので、
そことかもすごく読んでいると、いい話ばかりではないんですけど、味合うことができたなと思いました。
読むのが大変で好み分かれると思うんですけども、
アラビアンライト、千夜一夜物語とか、好きな人はすごくこういうまた不思議な話を楽しめると思うので、
結構社会性のある話でもあるし、ファンタジー要素のある話としても非常に面白いので、
48:03
どちらの切り口からでも興味がある人は楽しめるんじゃないかなと思っています。
じゃあ次回を告知で終わりたいと思います。
次回はですね、五名域の歩道橋の魔術師という作品をご紹介します。
番組の最後になりますが、メルマガ会員を募集しております。
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これ冒頭で話しましたけれども、今回ちょっと割と厚めに配布すると思うので、ぜひお楽しみに。
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ちょっと我々の活動というか、文学ラジオ猿飛猫たちを応援したい人のためにご用意しております。
お返しとしては、毎週我々の日記のような編集講義をお届けしております。
そこでしか言えないことを言っています。
もしよろしければ、興味あればご登録ください。
詳しいことは番組概要欄に記載しておりますので、ぜひご確認ください。
ちなみにですね、この回からですね、マイクを新調しまして、
これが結構高いマイクを買いました。
ポッドキャストという名前が付いているマイクなんですけど、
ポッドキャストマイクという名前なんですけど、かなりこれによって音質が良くなったのと、
私の編集の手間がかなり改善されますので、
これをサポーター比から出しておりますので、ありがとうございます。
とともに、ちょっと実はですね、高いマイクで完全に足が出てしまっているので、
この機会にサポートしたいという方はいたら、ぜひご協力いただけるとありがたいです。
何卒よろしくお願いします。
何卒って感じですね。
とはいえ、趣味でやっていることでもあるので、
この日にはちょっとお金かけていくのはいいかなと思っております。
番組の感想やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました。
読み返しがございましたら、
ハッシュタグ空飛猫たちをつけて教えていただけると大変嬉しいです。
TwitterやインスタのDM、投稿などでお待ちしております。
メッセージ本も番組情報欄に載せておりますので、そちらから直接いただいても大丈夫です。
この番組気に入っていただけましたら、積極的に拡散共有していただけると助かります。
それではまた来週。
ありがとうございました。
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