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2021-03-29 40:19

第35回 孤独を優しく照らす韓国SF 「わたしたちが光の速さで進めないなら」キム・チョヨプ著

spotify

【今回の紹介本】

■『わたしたちが光の速さで進めないなら』キム・チョヨプ著、カン・バンファ、ユン・ジヨン

今回紹介するのは韓国でベストセラーになっているSFです!

若い作家のSF短編集です。現代的な感覚から紡がれる、孤独に寄り添う7編の物語。

その中から3つの短編を中心に今回ご紹介させて頂ていおります。

ぜひお聴きください!

【番組内で紹介したトピック】

■ 『わたしたちが光の速さで進めないなら』キム・チョヨプ著、カン・バンファ、ユン・ジヨン 早川書房

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014710/

【文学ラジオ空飛び猫たちとは】

硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

京都の祇園で本の話ができるカフェを運営する「羊をめぐるカフェ」のミエ

文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

毎週月曜日朝7時に配信しています。

【SNSでご投稿ください】

番組の感想・リクエスト・本を読むきっかけになったなど、 #空飛び猫たち をつけて、ぜひSNSに投稿してください!

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

00:03
どうもみなさん、こんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。お相手は、わたくし小説が好きのカイのダイチと、
羊を巡るカフェのミエの二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。お互いの紹介に関しては、2021年、最初の回で話しているので、そちらを聞きください。
今回ですね、先週に引き続きSF作品を紹介したいと思っています。韓国の方ですね。早速ですけど、作品も言っちゃいますか。
そうですね。今回紹介するのは、韓国の作家のキム・チョヨプさんが書いた、私たちが光の速さで進めないなら、になります。
カン・バンファさん、ユン・ジオンさんが役をしていて、早川書法から2020年12月に発行されています。
読んでめちゃくちゃ面白かったので、これから紹介しますけど、これ結構私、ハマったんで。
いいですよね、これ。ちょっと今日話せるのですね。昨日の夜から楽しみで。
じゃあちょっと具体的な話、私の方からいきたいと思います。
今回は短編集ですね。
最も韓国の女性たちの共感を集める、新世代作家のデビュー作にしてベストセラー。
生きるとは、愛せるとは、優しくどこか懐かしい、心の片隅に残り続けるSF短編7作となってますね。
若い作家さんなんですよね。
そうですね。1993年生まれ。だから、いくつだろう?28?
あ、でも28ぐらいになってるのか。
でもね、デビューしたと確か23とか4とか。
うん、そうですよね。
学生の時に書いていたと。確かに書いてあったので。
で、もともとこれ、今回名前を私は知ったのは、昨年まずリスナーの方々からのリクエストで私は知ったんですけれども、
その後すぐ見た、今年の1月にやってた不死テレビ系の番組で、世界SF会議っていう大森臨さんとか出てる番組があるんですけど、
それの第2回が今年の1月にやってて、それで海外からインタビュー形式があったかな?で、出演されてたんですよね。
03:07
で、私それを見て、めちゃくちゃ読みたいなって思いました。
その話を聞いて、面白い感覚というか結構鋭い感覚を持ってらっしゃる方だなって思ったんですよ。
めちゃめちゃアナレーションがすごい良いですね。
今回、僕、韓国のSF小説っていうのは読むのが初めてでしたね。
私もそうですね。中国は最近めちゃくちゃ聞くけど。
最近増えてきてますけど。
韓国初めてか。初めてですね。
本当すごいなって思いましたね。
じゃあちょっと具体的に話していきますが、まず今回ちょっと最初に全般どんな感じだったかちょっと話したいなと思うんですけど。
10話もめちゃくちゃ面白かったです。今回。
全部が全部本当に面白かったんで、全部もう詳しく紹介したいぐらいなんですけど。
そうですね。
時間がないんで、今回3作取り上げる予定ですけど。
個人的には、SFって色々あるけど、キム・チョープさんが描いてるSFは優しくてすごく好きでした。
孤独とか優しさっていうのにすごく焦点を与えてるなって思いましたね。
そうですね。優しさとか愛とかそういったのをすごい感じて。
SF小説ですけど、感情にすごく訴えかけてくるような。そこもまたメインディッシュとしてあるような。
本当ですよね。設定としてSF使ってるけど、表現したいのは愛とか優しさとか孤独だったりするなってすごく思いましたね。
そこの組み合わせがすごい上手く小説になっててよかったですよね。
あと、僕も個人的に思ったのは、すごく現代の感覚というか、それをすごい持っている作家さんかなと思っていて。
分かる。
本当まさに2021年ですけど、2000年代というか2010年代というか、その感覚で現在と未来とか書かれてて、そういったところがすごい共感できるところもたくさんありましたね。
そうですよね。その辺りすごく上手い作家だなと今回は思ったんで。
今の時代を象徴しているような作家さんかもしれないなって思いましたね。
結構私はまっちゃったね、多分。個人的には本当にベスト10入りすると思います。
この人の書いた試作品とかだったら、早く次のが出てほしいなって思いましたね。
本当ですよね。最後感想で言おうと思ったけど、マジで長編読みたいですね。
すげー面白かった。
具体的に話す前に盛り上がりすぎちゃってるけど、ちょっといきますか。
06:12
今回紹介するのは7編の1から3つに主に絞っています。
まず、「巡礼者たちはなぜ帰らない?」という作品と、
強制仮説、最後に私のスペースヒーローについてというこの3作品の順番に話していこうと思います。
じゃあまず、「巡礼者たちはなぜ帰らない?」という作品なんですけど、
これ一番最初に来ている作品ですね、短編集の。
頭に来ている作品です。
ちょっとあらすじを、ちょっと長くなるんですけど、お伝えします。
語り手のデイジーは争いのない幸福な村で過ごしていた。
村では、成人になると宇宙船に乗って地球に巡礼に旅立つ掟がある。
村では地球は始まりの地と呼ばれていた。
毎年巡礼から帰ってこない機関車がいることを不思議に思っていたデイジーは、
始まりの地の誕生にまつわる秘密を探ることになる。
そしてこの村を作ったリリーとオリーブの物語を知ることになる。
リリーは2035年、コロンビアで生まれたエリート科学者だったが、
ある時姿を消してバイオハッカーのディエンとして再び現れた。
リリーは人肺のデザインを成功させ、その治療を受けて生まれた子供たちは美しく有能で、
病気を持たず、寿命の長い新人類となった。
しかし、新人類として改造された人間と改造されていない人間の間のヒラルキーを生む結果となってしまっていた。
リリーこそヒラルキーが深刻化した悪夢のような世界を作った情報人とされている。
リリーの娘オリーブは謎に包まれたまま姿を消したリリーを探す中で、
リリーが地球の外に村を作った真相を知る。
という話になってまして、構造がちょっと複雑ではありますね。
語り手はデイジーという村の女の子なんですけど、
でも実際主人公はこのオリーブというリリーの娘さんの物語というのが結構長く書かれているという話で、
確かにちょっと複雑で最初どういう話かなってわからないところあるかもしれないんですけど、
読んでいくと結構全体像が見えてくるかなと。
そうですね。構造がそうなんですよね。
デイジーという村に住んでいる女の子が、なんでこの村がこんなになったんだろうみたいなことを探っていくうちに、
リリーという村を作った存在を知り、その娘のオリーブの話を知りみたいな感じになっていくんです。
それは日記とかいろいろ記述が残っていて、知っていくっていう作りになってますね。
ちょっと構造が最初ちょっと複雑ですね。
2つの世界があるというような感じで、
すごいこの小説ってユートピアの話、本当にSFらしい話かなと。
09:07
やっぱりあれですよね、完璧な人間を作ろうとして作ってしまうと、どうしても完璧じゃない人間との間に溝ができてしまって、
完璧じゃない人は迫害されていくっていう、
そういうのがちょっとね、その辺はSFらしいって言えばらしいんですけど、
むなしくなるような現実かなって思っちゃいましたね。
これもユートピアと捉え方もいろいろ、この短い話の中でもいくつか出てきて面白いのが、
体に欠陥がないユートピアっていうのが地球であって、
その中でも欠陥があるまま生きてる人たちというか、抱えたまま生きてる人たちの層と、抱えないで生きてる層ってそれも分かれて断絶があるんですけど、
そのユートピア、一種のユートピアじゃないですか、欠陥がないっていう。
でもリリーはいろいろ思うとこがあって、いわゆるそういう欠陥を抱えたままでも生きていける世界っていう村を作ったんですよね。
そこの中では、それもユートピアでなんですけど、
ユートピアに住んでいる人たちがなぜ巡礼者たちが帰らないのかっていう理由があって、
最初結構怖いなって思ってたんですよ、ずっと。
絶対地球に行った時に何かあって帰れなくなっちゃう人がいるんだろう、悪い理由があって。
生贄とか分かんないけど、そういうことがもう考えちゃったし、
いろんなことを最初、全く条件が分からないところから話が始まって、その真実が紐を解いていく作りになってるんですけど、
最後の真実、巡礼者たちがなぜ帰ってこないかっていう真実が、自分はすごく優しさに満ちてるなと思って、すごく好きになりましたね。
あんまり言っちゃうと、このあれを楽しめなくなっちゃうかなと思うんで、あれなんですけど、すごく自分は好きでした、そこをこの。
うまいなって思いましたね。
大地さん言われていたのと同じく、結構最初の方を読むと、本当、カズオイシグロの私を離さないでみたいな、自分たちは本当にピュアな世界にいるけど、
でも本当にここはピュアなんだろうかって、ちょっとその、なんだろう、ユートピアの影を感じるような。
でもやっぱり、本当、最後のところ、すごい優しさ感じるっていうか、すごい新鮮でしたね。
言い方ですけど、今の時代の答えだなって思いました、すごく。
このいろんな選択肢があってみたいな。
で、本当は、なんだろう、自分たちがやっぱ決めなきゃいけないっていう、与えられれば決めなきゃいけないっていう感覚を今みんな持ってるんだと思うんですよ。
12:00
世界のどこもそうなんじゃないかなってちょっと思えたので、すごく自分はいいなって思いましたね。
話しとしてもすごく壮大ですし。
本当最後のところとかもね、なんかすごい現代的な、これがそういうものかなって思いましたし。
1作目からこれをすごい好きになりましたね。
ね、つかみがめちゃめちゃいいですよね。
次に紹介するのは強制仮説という作品で、これのあらすじを紹介しますと、
モスクワのとある保育園で育ったリュウドミラー・マルコフは、5歳の時から幻想的で美しい惑星の絵を描いて世界的に注目されます。
リュウドミラーが描いた惑星は、リュウドミラーの惑星と呼ばれて、世界中の人々から奇妙なほど愛されることになります。
一方で赤ちゃんの脳を解析していたスビンとハンナ、この2人の研究者は赤ちゃんの心の声というのを解析して、赤ちゃんが何を心の中で発言しているかというのを突き止めていったんですけれども、
この答えというのが予想していた眠いとかお腹が空いたとか、そういう欲求的なものじゃなくて、意外と哲学的な会話を交わしていたということを突き止めます。
数学的な会話というか、大人な会話ですね。これは赤ちゃんが実はしていたと。その頃、リュウドミラーの惑星と呼ばれる絵と同じ特徴を持った惑星というのが実際に宇宙の中で発見されます。
そのリュウドミラーの惑星が発見された日に、赤ちゃんたちが心の中で懐かしいと言って反応すると、そういう現象が起きてしまいます。
そこで研究者のスビンとハンナは、リュウドミラーの惑星から地球にやってきた、地球外生命体の存在というのを推測して、さらに人間の心というのは何なのかという、そこの真実というのもだんだん知っていくことになります。
なんかすごく壮大な話なんですけど、リュウドミラーの話が最初入ってきて、リュウドミラーはもう亡くなっちゃうんですよね。亡くなった後なんですけど、その後に研究者たちが赤ちゃんの声を、赤ちゃんの思考を解析するというか、研究をしててみたいな。
そこで赤ちゃんなのにめちゃくちゃ難しいことを考えてるぞみたいな、なんなんだってなっていく話ですね。
15:02
発想がすごい面白かったですね。
これは面白いですね。この発想すごいですよね。
人間とは何かっていうのがね、本当に結構ストレートに問われている気がして、これもちょっと読んでいくと、なんでそんな人間とは何かが問われているのかっていうのがですね、本当に読んでいくとわかるかなと思います。発想、アイディアが本当に面白かったなというのがありますね。
要はこれ、リュウドミラーの惑星っていうのが昔、地球外にあって、その影響を人間が受けていたっていう話なんですけど、自分がこの話すごく趣味だなと思ったのは、結局その人間が発展したこと、人間がこう発達したことって、思考を手に入れたりとか、そういうとこなんですけど、
この話の中では、リュウドミラー、地球外の惑星からの影響を受けて人間が進化できたみたいな、人間性というものを持つことができたっていう話なんです。
幼い頃に、リュウドミラーが、地球外の惑星の知的生命体の影響をずっと受けていて、それが7歳くらいまであるんですよね、影響が受けて、人間が成長することでいろんなことを獲得できたっていう話で、個人的にすごくいいなと思ったのは、やっぱり人間が特別じゃなくて、誰かに力をもらったんだよっていう発想とか、
人間がすごいっていうわけじゃないよみたいなとこを考えるのもすごく楽しかったし、面白かったなと思いましたし、このリュウドミラーになぜ彼らは7歳を、これ7歳を過ぎてもリュウドミラーの中に凍り続けたんで、リュウドミラーはその絵を描くことができたんですけど、その美しい惑星の絵を描くことができたんですけど、
それの理由がいいですよね、このリュウドミラーが表現してくれたからっていう、彼らにとってリュウドミラーが救いだったんですけど、その惑星で実は亡くなってしまったりとか、そういういろんな作りがあって、すごく面白い話だなと思いましたね。
なんかそのリュウドミラーの背景もそうかもしれないですけど、結構その発想自体すごい面白いと思うんですけど、それだけじゃなくて、結構その哀愁のあるストーリーになっていて、やっぱりそこの組み合わせがすごい好きでしたね。
うまいっすよね、これね。
これも結構な名作だね。
名作ですね。
最初に紹介したのもすごい名作だって、最初に読んだことですけど、同じくらい名作なのがあったんでね。
じゃあ次にですね、ご紹介する作品、これ一番最後の作品で、これなんか書き下ろしみたいですね、なんですけど、
18:00
私のスペースヒーローについてという書数をご紹介します。
ちょっとあらすじを読ませてもらいますと、宇宙飛行士のガユンは人類が宇宙のトンネルを抜ける初のプロジェクト候補に選ばれる。
しかし、身体検査が進んでいく中で、ガユンの調査が進んでいく中で、トンネルを抜けるプロジェクトの前任の宇宙飛行士、ジェ・ギオンさんという方がいたんですけど、
この方との関係、直接的な関係はないんですけど、一緒に暮らしたんですよね。
その関係を指摘されるようになります。
ガユンはジェギオンおばさんと本当の家族のように暮らしていたんですけれども、宇宙飛行士を目指していたのも、もちろんこのジェギオンおばさんの影響が強いというところがあります。
ガユンは知らなかったんですけど、ジェギオンおばさんはシングルマザーの東洋人の女性で、マイノリティの代表として世界的に応援されていました。
その中で、トンネルを抜けるプロジェクトの中では、白人男性を押さえて選ばれたということからもバッシングを受けていた。
でもこのジェギオンおばさんなんですけど、ジェギオンおばさんのトンネルを抜けるプロジェクトは失敗してしまいました。
途中でカプセルがトンネルに入る前に爆発してしまったためです。
でもこの失敗の真実は他にもあって、それをガユンは今回聞かされることになります。
実はジェギオンおばさんはトンネルを抜けるプロジェクトに参加する直前に逃げ出してしまったんですね。
消息は不明のままです。
ガユンはそのことも聞いたんですけど、ジェギオンおばさんの気持ちを自分がこの訓練の中でちょっとずつ理解していくという構成になっています。
ちょっと長かったけどこんな感じですかね。
これ面白いのは、ヒーローだと信じたおばさんがヒーローじゃなかったっていうところで、
自分が憧れててこの人すごいなと思ってて、同じようなポジションを目指したんだけど、実はその人が直前で逃亡してて、しかも華麗に逃亡したんですよね。
この小説、ジェギオンおばさんと主人公のガユンのお母さんというのがどちらもシングルマザーで、
最初そういうコミュニティがシングルマザー同士が出会うような、そこがきっかけで家族同然に同じところに住むようになったっていうのが背景にあるんですけど、
世間一般からするとマイノリティに当たるかもしれないんですけど、そういった人たちが当たり前のように出てきて、自分はマイノリティだからとかっていうところとかは全然そういう話じゃなくて、
普通に活躍しているというか、生活していて何かに立ち向かっていくというようなのが書かれていて、この辺の感覚っていうのはすごい好きでしたね。
ジェギオンおばさんは活躍している当時、いろんな方に勇気を与えたとされてますからね。
彼女の活躍がいろんな方々の励ましになったと、マイノリティの方々の励ましになったとなってますけれども、でも真実はっていうところは面白い。
21:04
一方で、メディアのことも書かれていて、このジェギオンおばさんとか、主人公のガユンとか、
やっぱり人類の一大プロジェクトの家中にいる人たちなんで、注目を浴びるんですけど、同時にやっぱり何かあるとすぐバッシングされてしまうというか、
で、この航空宇宙局ですかね、というのがあるんですけど、プロジェクト、そういったところとかは結構世間体とか、やっぱり気にしているところっていうのはやっぱりあって、
なんかこういうところとか、ここも結構面白いところで、個人とやっぱり組織っていうところの、ちょっと乖離してるところっていうのがやっぱり上手く絵が描かれているなって思いましたね。
そうですね。なんか最初、ガユンが宇宙飛行士になれないかもしれないという話が出てきたりとして、結構面白かった。
そう、真実を知らないガユンは、事業おばさんと関係があるとダメなの?なんで?むしろいいじゃん、みたいな。
そうですよね。
あったけど、かつてそういう逃亡したっていう可能性があるから、ガユンも逃亡するんじゃないかみたいな、目に晒されるってことですもんね。
これ私一番ポイントだなと思ったっていうか、引かれたのは、主人公のアイデンティティの崩壊と再生の話だなと思ったんですよ。
最初はやっぱり宇宙飛行士を目指してきて、憧れた人を目指して、宇宙飛行士になったじゃないですか。
なって、よしと思ったら、急にその憧れた人が直前に逃げ出すような人物だったと告げられて、少なからずショックを受けるわけじゃないですか。
チェケンおばさんの実の娘はこのことを実は知ってて、ずっとガユンと連絡を取り合ってるとか仲のいいチェケンおばさんの実の娘はこのことを知ってて、
ずっと連絡を取りながら、なんであんな行動をしたんだろうみたいなのを話してくるじゃないですか。
そことか、やっぱりガユンがチェケンおばさんの気持ちを知ろうとするところとかすごく良かったし、
最後、ラストの1ページ、最後の行だっけ?すごく良くて、ここで状況が自分の中でひっくり返るっていうか、
すごく面白かったなって思いましたね。ちょっと感動しました。
そうですね、感動は。ガユンが最初は真実を知らないままのイメージでチェケンおばさんを崇拝していたんですけども、
なぜチェケンおばさんが逃げたのかっていう、そこの真実を知っていくところとか、
あともう一つが、このガユンがトンネルを抜けるために体を改造されていくんですよね。
体の中の成分とかをちょっと入れ替えていかないと、トンネルを抜けるのに耐えれないというのがあって、
24:04
そうやって改造人間にだんだんなっていくと、だんだんその心境の変化が出てきて、
ちょっと普通の人間とは違う感覚っていうか、そこでチェケンおばさんの、チェケンおばさんも同じ訓練っていうのをもともと受けていたんで、
だんだん気持ちが追いついていくっていうか、そこのところとかもすごい読んでて、結構良かったですね。
やっぱりこの小説ちょっと気になったところは、チェケンおばさんがプロジェクト前日に逃げ出してたんですけど、
なんでそれでもカプセルを打ち上げるっていうプロジェクトが中止にならなかったのか。
本当に訓練されてたチェケンおばさんっていうのがいないと成立しないプロジェクトだと思うんですけど、
なんで実行してしまったのかっていうところは、そこの理由っていうのは明かされていないんですけども、
そこはちょっと謎の残るところかなと思いました。
個人的にはそういったところにも、社会のエゴというか。
もう事業の状況は隠蔽することに決めたわけですもんね、航空宇宙局は。
カプセルが爆発して、結果トンネル行く前に失敗という形に終わったんですけど、
それを最初から失敗というふうにしていなくて、もしかすると何か途中まで実行しておいて、
一応その美しい形で終わらせようとしたのかもしれないとかですね。
そんなですね、ちょっといろいろかんぐってしまうような、そういうのもありましたね。
前日だったからやらざるを得なかったっていうのもいろいろあると思いますけどね。
授業以外、成功させる人がいない状況でやるべきかっていうのは絶対あったと思うんで。
授業優秀だったわけですもんね。
いろんな事故を未然に防いだりとかしたっていうのが出てるし、めちゃくちゃ優秀な方だったんですよね。
これちょっと詳しく話したい3つはこれで終わってしまうんですけども、
他4つもちょっと軽く触れたいなと思います。
2番目に収録されたスペクトラムなんですけど、
これは他の星に不時着してしまい、そこで暮らさざるを得なくなった人の、
惑星探査中に不時着した星で暮らすことになった人の話なんですけど、
そこに人間に似たような形をした生き物が文明を築いててみたいな話で、
なかなかここの交流も優しくてよかったですね。
そうですね。宇宙人とのファーストコンタクトの話ではあるんですけど、
これもやっぱりこの最後の1ページがすごい美しいなと思って、
27:03
本当ですね。
よかったですよね。
本当にすごい壮大な話ではあるんですけど、最後に行き着くと結構感動しましたね。
よかったですよね。
で、氷大作のこの私たちが光の速さで進めないならなんですけども、
個人的には自分はこの作品はめちゃくちゃ好きでした。
本当に紹介したいなと思ったんですけど、
あえてこれは読んでもらいたいなと思ったんで、
何も触れずに言おうかなと思いますが、
これも感情の話なんですよね。
SFの設定を使ってるけど、どうしようもない感情を扱ってて、
そのどうしようもなさっていうのがこのSFで加速してる感じがすごくあって、
すごくよかったな。
やっぱり光の速さで進めないならも、女性科学者が出てくるんですけど、
私のスペースヒーローについてとか、他の作品もそうだと思うんですよね。
巡礼者たちはなぜ帰らないという、そういう女性科学者が結構出てくるんですけども、
やっぱり主役で出てきて、
歴史から消されてしまう存在になってしまうというか、
世の中のエゴによってというか、
そこと相まって泣けてくる話ではありましたね。
良かった、良かったしか言いようがないんだけど。
ちょっと説明したいけど、これ読んでもらいたいですね。
これもすごいロマンチックで、ある意味美しい話かなと思います。
ちなみに多分表題作であるからかもしれないですけど、
これが表紙のイラストはこれを多分イメージしてますね。
私が光の速さで進めないなら。
この見捨てられた宇宙ステーション、結構切ない話なんで、
そういうのが好きな人にはすごいおすすめですね。
次がちょっとこの中でも異色っちゃ異色なんですけど、
感情の物性っていう作品がありまして、
これはもうなかなか、自分もだいぶ、
これも好きだからすごい好きだなと思ってるんですけど、
こういうちょっとSFからちょっと外れてるっちゃ外れてるかなっていう、
SFだけど他のSFとはまたちょっと違う感じですよね。
現代的な話ですよね。
ちょっと面白いのは、感情をポジティブなものもネガティブなものも商品にしてる。
例えば、ときめきチョコレートとかあると食べるとときめいちゃうとか、
落ち着きストープとか使うと落ち着くよみたいなとかあるんですけど、
あと、憂鬱帯とか恐怖帯とかもあったりとかして、
この憂鬱帯が入ってる商品を買うと、どんどん自分が憂鬱になってくっていうもので、
感情を売ってるみたいな感じですね。不思議な。
不思議なことにネガティブな感情もバカ売れするっていう、
不思議な、面白い話で。
そうですね。主人公がネガティブな感情がなんで世の中でこんなに売れるのかっていう、
30:03
消費行動に疑問を持って、最終的に感情の物性っていう商品を売ってる会社の社長にインタビューできるんですけど、主人公が。
そこのやりとりとかすごい面白いですね。ちょっと哲学的っていう感じですね。
そうですね。面白いですよね。
インスタであったりYouTubeであったり。まさに今が舞台の小説なので。
最後にご紹介するとかお話しさせてもらうのが、感内紛失っていう作品が入ってるんですけど、
これ私はかなり、個人的には、私たちが光の速さで進めないならと、感内紛失がですね、めちゃくちゃハマりましたね。
これ設定がまず面白いじゃないですか。
死んだ人のシナプスを記録することができるので、記録みたいのが図書館に保存されてるんですよね。
だけど、保存されてるのは間違いないんだけど、アクセスできなくなっちゃったっていうか、検索に引っかからなくなっちゃった人の話で、
お母さんの記録を会いに行こうとしたら、図書館に行ったら、
そのお母さんが、図書館にあるのは間違いないんだけど、検索できることが不快になってるという状況の話で、
これも主人公と母の話がすごく良くて、面白かったですね。
そうでしたね。
未来の図書館っていうのを想像したら、こういう可能性もあり得るかもしれないっていう、
ちょっとそれが現実的かどうかを置いといて、そういう選択肢として書かれていて、
すごいですことか言ってて、ちょっとワクワクしましたね。
なんかこう、設定としてちょっと踏み込んでるなと思いましたね。
他のSFだったらもう完全に再現できるよみたいな感じになると思うんですよ。
死んだ人たちの記録とか、データを取って、もう何かいつでも会いにできるよみたいになるけど、
そこまでじゃないけど、何か少し触れることができるみたいな。
そうですよね。まだ完成途中の段階かもしれない。
そういうなんか、変にそこがリアリティだって私は好きでしたけどね。
そうですよね。確かに確かに。
面白かったなと思います。という感じですかね。
そうですね。ちなみにやっぱり全部名作だと思います。
間違いなく名作。
この取り上げた3つっていうのは本当にね、たまたま試管で選んだだけで、7個どれも本当にすごい良くて、
人によってね、自分はやっぱこれが一番だっていうのは全部分かれる可能性もありますよね。
良かったですね。
独職やりたいですね、本当これ。
そうですよね。
これは結構持ってこいかもしれない。
ちょっと最後にいつも通り感想とどんな人に読んでもらいたいか、ちょっと話で終わりにしたいと思います。
私はですね、これ久しぶりに夢中になれた本だなと思いました。
33:04
本を読むときって、どこかでこれ読まなきゃなとか、読んどいた方がいいなとか、
あとラジオ最近この1年くらいやってる感覚でいうと、ラジオで紹介するから読まなきゃみたいな感覚が、
なんだろうな、
ありますよね。
そればっかりで読んでるわけじゃないんですよ、もちろん。
そういう義務感ばっかりで読んでるわけじゃないですけど、
純粋なこの自分の読みたいって気持ちに対して、
なんかちょっと濁る瞬間ってのがあって、
言い方すごく難しいんですけど、
皆さんも多分あると思うんですよ。
例えば有名な作品だから読まなきゃなとか、これ読んどかなきゃなとか、
自分の興味の幅100%、
あ、なんだろうな、
関心100%じゃない状況で読んでることって多分多いんじゃないかなと思ってて、
なんて言ったらいいのかちょっとうまく言えないんですけど、
でも小説って結構そういうこと多いんじゃないかなって思うんですよね。
で、それが結果、読んだらめちゃくちゃ面白いってなって、
全然その辺のことは気にならなくなるのが本当だと思うんですけど、
でもこの私たちがヒカルの話で進めないならば、
もう何というか、
純粋にですね、心の底から面白いって思って読みちゃって、
自分はその感覚、すごく久しぶりに味わえたなと。
子供の頃こういうこと多かったんですよ。
本を好きになった時とか、
本当よく覚えてるのは、
本読み出して止まらなくて、
夕方になって夜になって、
部屋が暗くなってきても、
照明のスイッチを押すのさえも、
もどかしくて面倒だなと思って、
極限まで暗い中で読んだ本とかあって、
そういう感覚をちょっと久しぶりに味わえて、
そうなんですけど、すげえ夢中で読んじゃうっていう。
そうやって正直漫画が最近多くて、
そういう感覚を久しぶりに味わえたので、
もうめちゃくちゃ好きです。
冒頭でも話しましたけど、
間違いなく今年のトップ10には入る小説だなと思いました。
でも本当長編読みたいですね。
この孤独と優しさをうまく描ける作家って、
現代的ではあると思うんですけど、
まだ私そんなに出会ってないなと思っているので、
いいなと思っていて。
例えば三体とか難しくて挫折したみたいな人いると思う。SFで。
これはめちゃくちゃ読みやすくて、
誰にも届く形にアレンジされているので、
SF苦手な人でも絶対読める作品だと思っています。
めちゃくちゃいいなと思いました。
逆にちょっと言い方あれかもしれませんが、
多分合わない人はいるかもしれないなと思っていますね。
感情にゆったりかけすぎているとか、
その辺をお聞きされる方、もしかしたら合わないかなとか、
ハードSF好きな人とかは合わないかなと思ったんですけど、
ライトなSF好きな人はだいぶハマるんじゃないかと思います。
そんなところですかね。結構ちょっと熱くなっちゃいましたけど。
僕もですね、
36:00
SF小説なんですけど、
人間の愛とか優しさとかっていうのが、
作品の中でも掛け算されていて、
それが面白くてすごく新鮮に読めました。
あとやっぱり読んでいてすごくワクワクするところが何個もあって、
例えば未来の図書館では、
本じゃなくてマインドを管理しているという設定とか、
あと未来の映画に出てくる宇宙人は、
広角類に似たものばっかりになっているとか、
未来だとこういう変化が起きているんじゃないかっていう、
その想定を書いているっていうのがすごい面白かったですね。
あとやっぱり今回読んでいて感じたのは、
すごくSF小説なので、
未来に向かって科学技術というのが進化していくんですけど、
まだそのプロセスの中にある物語を書いているなと思っていて、
そのプロセスの中で実は技術の進歩はあるけど、
その中にはこういう人間の物語があったかもしれないという、
そういうのを書いていて、結構ロマンを感じたりしていました。
あとこの作者の、
キム・チョヨプさんの後書きがすごい面白くてですね、
7作品のネタ元を書いているんですけども、
こういうニュースとか、こういう事実を知って、
それがいろいろ組み合わさって、
作品になっていたんだとかというのが分かって、
小説を読んでから後書きをぜひ読んでほしいなと思いました。
すごい面白く読めるかなと思います。
そうですね、確かに。
あとこの小説、広くお勧めのものにはなってくると思うんですけども、
一応オビには韓国の女性たちの共感を集めているって書いてあるんですけど、
個人的にはもちろん女性だけじゃなくて、
男性でも、あと特に若い人とか特に共感できるところ多いんじゃないかなと思ったりしました。
あとはやっぱり普段海外文学を読まれていない方とか、
ちょっと読み慣れていないなという人でも、
すごく面白く読める作品かなと思ってお勧めできるなと思いました。
面白いですよね、やっぱりね。
確かに幅広い世代に受けそうな。
あと若い世代も趣旨かもしれないですけど。
海外っていう漢字がちょっと違うかなと思っている。
日本の今の本当に若い人が、
日本の人と読む感覚で読んでも読めるんじゃないかなって。
あの人に似てるかなと。
最果てたひさん。
あ、そっか、読んだことないですか。
39:00
読んだことなかった。
でもちょっとずれてたから、もしかしたらと思うんですけど、
最果てたひさんの持ってる感じに似てるかなと。
なんか孤独と優しさと、
私もちょっといろいろ発展させて、
怖い、元谷幸子的な怖さを表現する時もあるんですけど。
まああるかなと。
でもどちらかというと、
そうですね。
キムチワヨプさんは本当に、
人間ってどこまで行っても孤独だから、
だから優しくできるんだろうとか、
そんな感じの孤独だからこそ優しくなれるのかな、
みたいな感じをすごく受けたんで、
すごくいいと思う。
いろんな人に読んでもらいたいと思いますね。
じゃあそんなところしときますか。
はい。
じゃあ次回予告して終わりたいと思います。
次回はですね、
和尾石黒さんのクララとお日様をご紹介したいと思ってます。
今年3月に発売されたばかりの新刊で、
大注目されていると思いますけれども、
ちょっと我々のラジオでも取り上げたいと思っております。
番組の感想やリクエスト、
またこのラジオを聞いて紹介された本も読みました。
読み返しましたのでございましたら、
ハッシュタグ空飛び猫たちをつけて、
押していただけると嬉しいです。
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