今回紹介するのは7編の1から3つに主に絞っています。
まず、「巡礼者たちはなぜ帰らない?」という作品と、
強制仮説、最後に私のスペースヒーローについてというこの3作品の順番に話していこうと思います。
じゃあまず、「巡礼者たちはなぜ帰らない?」という作品なんですけど、
これ一番最初に来ている作品ですね、短編集の。
頭に来ている作品です。
ちょっとあらすじを、ちょっと長くなるんですけど、お伝えします。
語り手のデイジーは争いのない幸福な村で過ごしていた。
村では、成人になると宇宙船に乗って地球に巡礼に旅立つ掟がある。
村では地球は始まりの地と呼ばれていた。
毎年巡礼から帰ってこない機関車がいることを不思議に思っていたデイジーは、
始まりの地の誕生にまつわる秘密を探ることになる。
そしてこの村を作ったリリーとオリーブの物語を知ることになる。
リリーは2035年、コロンビアで生まれたエリート科学者だったが、
ある時姿を消してバイオハッカーのディエンとして再び現れた。
リリーは人肺のデザインを成功させ、その治療を受けて生まれた子供たちは美しく有能で、
病気を持たず、寿命の長い新人類となった。
しかし、新人類として改造された人間と改造されていない人間の間のヒラルキーを生む結果となってしまっていた。
リリーこそヒラルキーが深刻化した悪夢のような世界を作った情報人とされている。
リリーの娘オリーブは謎に包まれたまま姿を消したリリーを探す中で、
リリーが地球の外に村を作った真相を知る。
という話になってまして、構造がちょっと複雑ではありますね。
語り手はデイジーという村の女の子なんですけど、
でも実際主人公はこのオリーブというリリーの娘さんの物語というのが結構長く書かれているという話で、
確かにちょっと複雑で最初どういう話かなってわからないところあるかもしれないんですけど、
読んでいくと結構全体像が見えてくるかなと。
そうですね。構造がそうなんですよね。
デイジーという村に住んでいる女の子が、なんでこの村がこんなになったんだろうみたいなことを探っていくうちに、
リリーという村を作った存在を知り、その娘のオリーブの話を知りみたいな感じになっていくんです。
それは日記とかいろいろ記述が残っていて、知っていくっていう作りになってますね。
ちょっと構造が最初ちょっと複雑ですね。
2つの世界があるというような感じで、
すごいこの小説ってユートピアの話、本当にSFらしい話かなと。
私のスペースヒーローについてという書数をご紹介します。
ちょっとあらすじを読ませてもらいますと、宇宙飛行士のガユンは人類が宇宙のトンネルを抜ける初のプロジェクト候補に選ばれる。
しかし、身体検査が進んでいく中で、ガユンの調査が進んでいく中で、トンネルを抜けるプロジェクトの前任の宇宙飛行士、ジェ・ギオンさんという方がいたんですけど、
この方との関係、直接的な関係はないんですけど、一緒に暮らしたんですよね。
その関係を指摘されるようになります。
ガユンはジェギオンおばさんと本当の家族のように暮らしていたんですけれども、宇宙飛行士を目指していたのも、もちろんこのジェギオンおばさんの影響が強いというところがあります。
ガユンは知らなかったんですけど、ジェギオンおばさんはシングルマザーの東洋人の女性で、マイノリティの代表として世界的に応援されていました。
その中で、トンネルを抜けるプロジェクトの中では、白人男性を押さえて選ばれたということからもバッシングを受けていた。
でもこのジェギオンおばさんなんですけど、ジェギオンおばさんのトンネルを抜けるプロジェクトは失敗してしまいました。
途中でカプセルがトンネルに入る前に爆発してしまったためです。
でもこの失敗の真実は他にもあって、それをガユンは今回聞かされることになります。
実はジェギオンおばさんはトンネルを抜けるプロジェクトに参加する直前に逃げ出してしまったんですね。
消息は不明のままです。
ガユンはそのことも聞いたんですけど、ジェギオンおばさんの気持ちを自分がこの訓練の中でちょっとずつ理解していくという構成になっています。
ちょっと長かったけどこんな感じですかね。
これ面白いのは、ヒーローだと信じたおばさんがヒーローじゃなかったっていうところで、
自分が憧れててこの人すごいなと思ってて、同じようなポジションを目指したんだけど、実はその人が直前で逃亡してて、しかも華麗に逃亡したんですよね。
この小説、ジェギオンおばさんと主人公のガユンのお母さんというのがどちらもシングルマザーで、
最初そういうコミュニティがシングルマザー同士が出会うような、そこがきっかけで家族同然に同じところに住むようになったっていうのが背景にあるんですけど、
世間一般からするとマイノリティに当たるかもしれないんですけど、そういった人たちが当たり前のように出てきて、自分はマイノリティだからとかっていうところとかは全然そういう話じゃなくて、
普通に活躍しているというか、生活していて何かに立ち向かっていくというようなのが書かれていて、この辺の感覚っていうのはすごい好きでしたね。
ジェギオンおばさんは活躍している当時、いろんな方に勇気を与えたとされてますからね。
彼女の活躍がいろんな方々の励ましになったと、マイノリティの方々の励ましになったとなってますけれども、でも真実はっていうところは面白い。
そうやって改造人間にだんだんなっていくと、だんだんその心境の変化が出てきて、
ちょっと普通の人間とは違う感覚っていうか、そこでチェケンおばさんの、チェケンおばさんも同じ訓練っていうのをもともと受けていたんで、
だんだん気持ちが追いついていくっていうか、そこのところとかもすごい読んでて、結構良かったですね。
やっぱりこの小説ちょっと気になったところは、チェケンおばさんがプロジェクト前日に逃げ出してたんですけど、
なんでそれでもカプセルを打ち上げるっていうプロジェクトが中止にならなかったのか。
本当に訓練されてたチェケンおばさんっていうのがいないと成立しないプロジェクトだと思うんですけど、
なんで実行してしまったのかっていうところは、そこの理由っていうのは明かされていないんですけども、
そこはちょっと謎の残るところかなと思いました。
個人的にはそういったところにも、社会のエゴというか。
もう事業の状況は隠蔽することに決めたわけですもんね、航空宇宙局は。
カプセルが爆発して、結果トンネル行く前に失敗という形に終わったんですけど、
それを最初から失敗というふうにしていなくて、もしかすると何か途中まで実行しておいて、
一応その美しい形で終わらせようとしたのかもしれないとかですね。
そんなですね、ちょっといろいろかんぐってしまうような、そういうのもありましたね。
前日だったからやらざるを得なかったっていうのもいろいろあると思いますけどね。
授業以外、成功させる人がいない状況でやるべきかっていうのは絶対あったと思うんで。
授業優秀だったわけですもんね。
いろんな事故を未然に防いだりとかしたっていうのが出てるし、めちゃくちゃ優秀な方だったんですよね。
これちょっと詳しく話したい3つはこれで終わってしまうんですけども、
他4つもちょっと軽く触れたいなと思います。
2番目に収録されたスペクトラムなんですけど、
これは他の星に不時着してしまい、そこで暮らさざるを得なくなった人の、
惑星探査中に不時着した星で暮らすことになった人の話なんですけど、
そこに人間に似たような形をした生き物が文明を築いててみたいな話で、
なかなかここの交流も優しくてよかったですね。
そうですね。宇宙人とのファーストコンタクトの話ではあるんですけど、
これもやっぱりこの最後の1ページがすごい美しいなと思って、
本当ですね。
よかったですよね。
本当にすごい壮大な話ではあるんですけど、最後に行き着くと結構感動しましたね。
よかったですよね。
で、氷大作のこの私たちが光の速さで進めないならなんですけども、
個人的には自分はこの作品はめちゃくちゃ好きでした。
本当に紹介したいなと思ったんですけど、
あえてこれは読んでもらいたいなと思ったんで、
何も触れずに言おうかなと思いますが、
これも感情の話なんですよね。
SFの設定を使ってるけど、どうしようもない感情を扱ってて、
そのどうしようもなさっていうのがこのSFで加速してる感じがすごくあって、
すごくよかったな。
やっぱり光の速さで進めないならも、女性科学者が出てくるんですけど、
私のスペースヒーローについてとか、他の作品もそうだと思うんですよね。
巡礼者たちはなぜ帰らないという、そういう女性科学者が結構出てくるんですけども、
やっぱり主役で出てきて、
歴史から消されてしまう存在になってしまうというか、
世の中のエゴによってというか、
そこと相まって泣けてくる話ではありましたね。
良かった、良かったしか言いようがないんだけど。
ちょっと説明したいけど、これ読んでもらいたいですね。
これもすごいロマンチックで、ある意味美しい話かなと思います。
ちなみに多分表題作であるからかもしれないですけど、
これが表紙のイラストはこれを多分イメージしてますね。
私が光の速さで進めないなら。
この見捨てられた宇宙ステーション、結構切ない話なんで、
そういうのが好きな人にはすごいおすすめですね。
次がちょっとこの中でも異色っちゃ異色なんですけど、
感情の物性っていう作品がありまして、
これはもうなかなか、自分もだいぶ、
これも好きだからすごい好きだなと思ってるんですけど、
こういうちょっとSFからちょっと外れてるっちゃ外れてるかなっていう、
SFだけど他のSFとはまたちょっと違う感じですよね。
現代的な話ですよね。
ちょっと面白いのは、感情をポジティブなものもネガティブなものも商品にしてる。
例えば、ときめきチョコレートとかあると食べるとときめいちゃうとか、
落ち着きストープとか使うと落ち着くよみたいなとかあるんですけど、
あと、憂鬱帯とか恐怖帯とかもあったりとかして、
この憂鬱帯が入ってる商品を買うと、どんどん自分が憂鬱になってくっていうもので、
感情を売ってるみたいな感じですね。不思議な。
不思議なことにネガティブな感情もバカ売れするっていう、
不思議な、面白い話で。
そうですね。主人公がネガティブな感情がなんで世の中でこんなに売れるのかっていう、
消費行動に疑問を持って、最終的に感情の物性っていう商品を売ってる会社の社長にインタビューできるんですけど、主人公が。
そこのやりとりとかすごい面白いですね。ちょっと哲学的っていう感じですね。
そうですね。面白いですよね。
インスタであったりYouTubeであったり。まさに今が舞台の小説なので。
最後にご紹介するとかお話しさせてもらうのが、感内紛失っていう作品が入ってるんですけど、
これ私はかなり、個人的には、私たちが光の速さで進めないならと、感内紛失がですね、めちゃくちゃハマりましたね。
これ設定がまず面白いじゃないですか。
死んだ人のシナプスを記録することができるので、記録みたいのが図書館に保存されてるんですよね。
だけど、保存されてるのは間違いないんだけど、アクセスできなくなっちゃったっていうか、検索に引っかからなくなっちゃった人の話で、
お母さんの記録を会いに行こうとしたら、図書館に行ったら、
そのお母さんが、図書館にあるのは間違いないんだけど、検索できることが不快になってるという状況の話で、
これも主人公と母の話がすごく良くて、面白かったですね。
そうでしたね。
未来の図書館っていうのを想像したら、こういう可能性もあり得るかもしれないっていう、
ちょっとそれが現実的かどうかを置いといて、そういう選択肢として書かれていて、
すごいですことか言ってて、ちょっとワクワクしましたね。
なんかこう、設定としてちょっと踏み込んでるなと思いましたね。
他のSFだったらもう完全に再現できるよみたいな感じになると思うんですよ。
死んだ人たちの記録とか、データを取って、もう何かいつでも会いにできるよみたいになるけど、
そこまでじゃないけど、何か少し触れることができるみたいな。
そうですよね。まだ完成途中の段階かもしれない。
そういうなんか、変にそこがリアリティだって私は好きでしたけどね。
そうですよね。確かに確かに。
面白かったなと思います。という感じですかね。
そうですね。ちなみにやっぱり全部名作だと思います。
間違いなく名作。
この取り上げた3つっていうのは本当にね、たまたま試管で選んだだけで、7個どれも本当にすごい良くて、
人によってね、自分はやっぱこれが一番だっていうのは全部分かれる可能性もありますよね。
良かったですね。
独職やりたいですね、本当これ。
そうですよね。
これは結構持ってこいかもしれない。
ちょっと最後にいつも通り感想とどんな人に読んでもらいたいか、ちょっと話で終わりにしたいと思います。
私はですね、これ久しぶりに夢中になれた本だなと思いました。