文学ラジオ空飛び猫たち。これが最後の9ストーリー。
サリンジャーを読んだことがある人も、読んだことがない人も、ぜひとも知ってほしい、
爽やかで切なくもある、サリンジャーが20代で書いた初期短編集
彼女の思い出、逆さまの森をご紹介します。 どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、
文学と猫が好きな2人がゆるーくトークするラジオ番組です。 お相手は、私小説が好きの会のダイチと、
羊を巡るカフェのミエの2人でお送りします。 文学のプロダイナー2人ですが、東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
番組概要欄に詳細情報を記載しているので、初めてお聞きになる方など、そちらを見ていただけるとありがたいです。
今回紹介するのは、J.D.サリンジャー長の彼女の思い出、逆さまの森になります。
金原瑞彦さん役で、新庁舎から2022年7月に出版された本になりまして、
サリンジャーというよく知られた作家をラジオでは初めて紹介するんですけども、実は僕、サリンジャーを読むのは今回が初めてでした。
やはり代表作のキャッチャー・イン・ザ・ライが青春の作家のイメージが強くあって、その20代の青春時代にサリンジャーを読めなかったので、
ずっと読むタイミングを逃して、今まで来たんですけども、ちょっと今回ですね、ようやく初めて読みましたという感じですね。
私はキャッチャー・イン・ザ・ライは読んでますし、あとナイン・ストーリーズは読んでますね。サリンジャーは。
これも多分20代か10代終わりか20代前半で読んでます。なんですけど、結構サリンジャーってファンが多い印象があって、
サリンジャー好きっていうのはね、結構多分前作品読んでいて、出来合いしているような印象があるので、正直今回サリンジャーやりましょうみたいな話になった時、結構ビビってましたね。
マジかって思いながら実はサリンジャーかと思って、ちょっとビビってました。で、なんかやっぱり時間も今は30代になってしまって、
自分の中の若々しさみたいな、サリンジャーが表現している若々しさからはちょっと遠ざかってしまったんじゃないかなと思っていたんですけど、今回読んでみて
めっちゃいいなぁと思って。何がいいかというと、この30代に入ってから読むサリンジャーっていうのがこんなにも刺さるものなんだっていうのはちょっと思わなかったので、
結構ですね、今回この短編集読んでだいぶいろんなところが刺さって、文体とか表現とか語られていることとかがですね、
なんかこうフレッシュというか、なんかもうちょっと異様があるんですけど、まあ端的に言っちゃうとフレッシュで、なんかこうちょっと若返ったような気持ちに、この10代の終わりぐらいの気持ちを取り戻したような
感覚になれて、ちょっとですね、良かったなーって思ってますね、サリンジャー。 そうですね、僕、あの今回サリンジャーの作品なんで読むかなって思ったのがですね、
一つがあの翻訳、金原水人さんがやってるので、僕の中のもう勝手なイメージですけど、金原さんの翻訳ってすごい読みやすくてですね、
式が全然ないというかですね、初めて読む人にもわかりやすく書いてくれているなって、すごい親切な翻訳のイメージがあってですね、
サリンジャー、今までちょっと読めてこなかったんですけど、入門書として実はこれはすごくいいんじゃないかなと思ってですね、
そこで今回読んでみようと思いまして、本当すごいフレッシュで、すごい良かったですね、
なんか思った以上に独特さというか読みにくさみたいなものってなくてですね、すごい良い短編集読めたなーっていうのがまず第一印象でしたね。
確かにこれ名作だなと思いますね、個人的にはもうキャッチャーインザラインをもう一回読み返したくなるぐらい良かったんで、
サリンジャー、ちょっとハマっちゃいそうだなって、この年になって思ってます。
僕もそうです、ほんと他の作品がね、これで読みたくなりましたね。
じゃあそんな誰もが知っているサリンジャーなんですが、一応著者について少し話させていただきたいと思います。
えっとですね、1919年1月1日ニューヨーク市で生まれています。
これちょっと本当かなっていう1月1日っていうところなんですけど、
2019年が生誕100周年だったのかな?ちょっと一時期盛り上がってましたね。
映画が作られたりとかしてて盛り上がってます。盛り上がったの覚えてます。
経歴はですね、作家としては1940年に短編、若者たちでデビューしまして、その後戦争、
42年には陸軍に入隊して、44年にはノルマンディ上陸作戦に参加なんかしたりして、戦争をちょっと経験しています。
その間もですね、多くの短編を執筆しました。基本的なサリンジャーは短編を書く作家です。
1951年に長編小説、キャッチャー・イン・ザ・ライが発売になり、これがですね、世界中大ベストセラーとなりました。
2022年7月現在までに全世界で6500万部を超えるベストセラーとなっているという、とんでもない作品ですね。
誰もが名前を知っている作品なので。1953年のナインストーリーズを完工した後に、ニューハンプシャーのコーディシュ化に院頭しました。
その後はですね、作品はいくつか書いてはいるんですけれども、最後に書いたのが65年かなの発表最後に、
2010年1月27日、91歳にして浪水により死去しております。人生の最後の方は作品を発表せずに過ごしていた、ニューハンプシャー州で過ごしていたという形ですね。
1年以上同じクラスだったんですけど、最初はラドフォードとペギーのこと全然印象残ってなかったんですけど、
ある時ペギーがですね、チューインガムを自分の喉の下のくぼみに貼り付けて、顎を引くような動きをしてたんですけど、
ラドフォードが偶然それが目に入って、なんかかっこいいと思ったんですよね。
で、ペギーに声をかけて、あのさ、いつもそこにガムを挟むのって、どういう状況だって思うんですけども、
最初のきっかけとかシーンとしては印象的で、すごくこういうのもちょっと青春なのかと思いながら読んでて、
でも好きなシーンでしたね。
ではですね、ちょっと次の2つ目の作品を紹介しようと思います。
で、次は逆さまの森という作品で、この短編集の中で一番最後に収録されているんですけども、
結構ボリュームがあって、確か100ページ近くあったと思います。
まあ中編小説ぐらいのボリュームかなと思います。
これがですね、どんな話かというと、天才詩人と結婚した女性の繁盛が描かれているというですね、
そういう話で、主人公はコリーンという女性になります。
彼女はニューヨーク州ロングアイランドに住む裕福な家の女の子なんですけども、
お父さんがドイツ人でドイツ系アメリカ人です。
小説の始まりとしてはコリーンが11歳の誕生日パーティーを迎えるところから始まって、
当時コリーンは転校生のレイモンド・フォードという男の子が好きでした。
ただこのフォード少年というのは全然冴えなくて、どっちかというと周りからは馬鹿にされるような存在ではありました。
で、誕生日に、誕生日パーティーにその当のフォード少年が来なかったというので、
ちょっとコリーンは秘書と一緒にフォードの家に迎えに行くんですけど、
そこでフォードと彼のお母さんに会って、ちょっと家庭の貧しさとかですね、
ちょっと家庭のちょっと大変な状況とかを知るようになります。
そこからちょっと時代が過ぎ去って、コリーンは大人になります。
ちょっと大人になる前はどういうことがあったかというと、
まず17歳で名門女子大学に進学して、大学卒業してからはヨーロッパに渡って3年過ごして、
コリーンにも恋人ができたりするんですけど、結局ニューヨークに戻ってきます。
元々裕福な人なのでニューヨークの高級マンシャに住むという暮らしをしつつ、
友達の捨てで雑誌の編集者になります。
コリーンが結構仕事ができる人間でキャリアを築いていくんですけど、
天気が30歳の誕生日の時ですね、コリーンは出版社の同僚である友人から婚約指輪と刺繍をプレゼントされるんですけども、
まず婚約指輪の方は受け取り拒否をします。結婚を拒ぶと。
なんかフォード少年っていう変わった人を好きになるようなタイプの女の子なんで、なんか人とは違うところに注目が行ってしまうというか。
それもすごい純粋なことだと思うんですけども。
そのコリーンがすくすく育って、すごくね、魅力的な女性になっていってっていうね。
そこがあって、しかもフォードと再会して結婚までするっていうね。
そこがあるからやっぱり余計にね、このフォードという謎の多い人物とコリーンのその後の展開っていうのが、
なんか読んでるとね、やっぱりそれまでがすごいいい話だったんでね。
いやなんかすごいいろんな感情がね、なんか渦巻くようななんかね、小説でしたね。
この小説のいいとこって、この語り手が、コリーンの視点ではあるんですけど、語り手が別にいるっていうのは、
途中で明かされるんですけど、ここも結構良かったですね。
そうですね。このね、語り手がまた面白いんですよね、人物として。
じゃあ最後ちょっとテーマトークしたいと思います。
ちょっとサリンジャーなんで、イノセンスっていうのをテーマにしたくて、
イノセンスとはというのをちょっと出してみたんですけど、
ちょっとですね、やっぱり難しい部分は、語るのが難しい部分はあるかなとはちょっと思うんですが、
ちょっと話してみたいと思います。
サリンジャーが描いているイノセンスってやっぱり、
若さゆえというか、
10代のこの自意識が強くなってきて、
自分というものができてきたときに現れるイノセンスだと思うので、
まだこの社会に調整してない。
社会とか世間とかと調整する前の自分みたいなイメージが自分の中にはちょっとあって、
どうしてもそれって大人になっていくと擦り切れてしまうというか、失われてしまう部分ではあるなとは思って、
やっぱりこの本を読んだ時もそれをすごく感じました。
サリンジャーはきっとぐっと語ろうとすると、どうしてもビビってしまう自分がいるんだろう。
大きすぎて有名すぎて。
やっぱりサリンジャーはきっとそういうイノセンスを持ち続けることができた人というか、
自分の中になくても描くことができた作家なんだろうなと思うので、
やっぱりそこに強く惹かれるんだろうなと思いますね。
10代の時とか読むとね、多分ね、共感が強くてね、強烈に残るんだと思うよ。
そうですよね。このサリンジャーの作品は読んでた、思ったのは、
このイノセンスというものが、見方によってはちょっと変わった人間で、
社会では生きづらい人なのかもしれないけども、
かといってじゃあ本当に生きていけないかというと、
万が一そういう人でも楽しく生きていけるような、そういう社会もあったりして。
なんとなくなんですけど、ちょっとすごい微妙な話をすると、ちょっと今私が勤めてる会社結構小さい会社なんであれなんですけど、全職の会社とかはそんなに大きな組織ではなかったんですけど、
新入社員って毎年10人から20人くらい入ってくるんですよ。やっぱ最初入った時のこの何でしょうね、結構その時は発言が結構上手く言えないんだけど、
まあ擦れてないっていうか、なんて言ったらいいのかな。ちょっと上手く言えないんだけど、いい意味で言うと擦れてないんだけど、
まあちょっとうがった言い方をしちゃうと、ちょっとなんか物を知ってないで言ってるみたいなところとかもあって、
なんか割とこう自分っていうのを過度に出そうとしてる感が感じる人が多いなって思ったんですよ。新人、大学出たばっかりの子を見てると。
で、まあこれってでも1年ぐらいするとね、みんなこうちょっとなんかね、そういうのがなくなってって、
なんかそれがいいのか悪いのかちょっとわかんないんだけど、大人しくなっちゃうっていうか。
これってあれなのかな、このやっぱり何かこう失う過程なのかなってちょっと今話しながら思った。
大学から社会人になった時、学生から社会人になった時、大人の社会と関わるようになった時。
ちょっとなんか今うまく言えなかったけど。
考えると本当に難しいです。なんか僕今の、そういうことで思うのはなんか生存本能が働いてるのかなとちょっと思ったりしてですね。
あ、でもそれだったらそうか。なんかまあだんだん人って合理的になっていったりとか、なんかリスク回避していったりとか。
そうですよね。もしくはあれかな、なんか興味がだんだん薄れていったりとか。
まあまあそれもあるね。
まあちょっと話があれだけど、なんかこのサリンジャーの今回読んだ作品に出てくる登場人物たちで過度に自分を出し過ぎちゃってるなっていう感じちゃった登場人物に関しては、
その侵入社員たちを見た時の気持ちをちょっと思い出した。
なんかあれはイノセンスなのかな、みたいな。
そうですね。
まあちょっとまとまらなくなって、毎回最近手間取ってたまにはまとまらなくなるけど。
そうですね。
ちょっと設定が難しかったかな。
今回めっちゃ難しかったですね。なんかイノセンスって、イノセンスってなんとなくこういうものなのかなというイメージはあるんですね。
持っているものの、僕ちょっと気になるのは、そうですよね。
人ってそれを失ってしまう、どこかのタイミングで失ってしまうのか、
本当は持ってるかもしれないけど、それをもう出そうとしなくなるのかとかは考えてしまいましたね。
どっちなんだろうね。ちょっとわかんないな。
フォードの言葉を借りると、やっぱり発見っていう、ちょっとこれイノセンスじゃないけどさ、
死は発見だっていう。
もしかしたら、やっぱり人の中に眠っているイノセンスを見つけるっていうこともあるのかもしれないね。
そうですよね。フォードは死は発明じゃなくて発見だって言ってますからね。
超名言だと思ったけど。
確かに。私が僕はちょっと思うのは、こういう海外文学読んでる時とかは結構純粋なのかなと思っていてですね。
仕事してる時とこうやって文学作品とか読んでる時の自分の状態ってちょっと違うんだろうなとは思ったりしましたね。
いやでもなんだろうな、きっとイノセンスは失われてしまって、失われてしまうものなんだろうなって思う。
だからこのサリンジャーを読んだ時にめっちゃ惹かれるんだと思う。自分が失くしてしまったものが描かれてるから、きっと。
だからやっぱり今回30代になって読んで、サリンジャーめっちゃ刺さるなって思ったのがそこかも。
10代の時に俺こんな刺さんなかった。多分。キャッチャーインザライン今読んだらめっちゃ刺さる気がする。
正直9ストーリーズのキャッチャーインザラインも読んだけど、今回みたいにめちゃめちゃなんか刺さったって感じはしなかった。
その時はやっぱり自分の中にまだイノセンスがあって、共感したのかもしれないけど、やっぱ失ってしまった時の方が響くと思う。こういうものは。
俺にとっては。そんな感じですかね。
なんかあれですね。サリンジャーは大人になって読むのも十分にアリなんだなっていうのが。
そうですね。
なんかわかりましたね。
若者のための文学ではない。ちょっと俺若者のための文学かなってずっと思ってたけど、そうじゃなかった。
僕もね、そうでした。
じゃあちょっと最後、感想とどんな人に読んでもらいたいかお話しして終わりたいと思います。
じゃあ私の方から。
ちょっと本編で話したこと重複しちゃうかもしれませんけど、やっぱり今回感じたのは年齢を重ねてから読むサリンジャーというのはこんなにいいものなんだというのを気づかさせてくれたことが、この本と出会えてよかったなと思ったところです。
結構同じ人いると思うんで、10代20代でサリンジャー読んで、サリンジャーってこういうもんだよなってちょっと止まっちゃってる人とかにはぜひ読んでもらいたいなと思います。
やっぱり私と同じでサリンジャーっていうのは若者が読むという感覚強い人もいるかと思うんですけれども、でもやっぱりこの年齢を重ねてきていろんなことを経験したからこそ刺さる部分っていうのは絶対あるなと思うので、ぜひ読んでもらえたらなと思います。
サリンジャー売れてるってやっぱこういうところなのかなってちょっと今回思いました。
10代の時の自分が持っていたイノセンス、触れたいなって思った人は読んでもらいたいなと思います。
僕は今回初めて読んでサリンジャーこんなに良かったとはとすごく驚きました。
これやったらやっぱりもっと早い時に読んでたらよかったなっていうのを思いましたし、
ただですね、テーマトークで喋っていたことで、大人になってからもサリンジャーの作品読むっていうのもいいんだなっていうのを今回思ったので、