訳上手いからな、これ。
これ、木村さんの役がめっちゃ多いですよね。
すごい文章力だなと思うんですよね。
でも確かにこの文章ってすごい、本当に詩を書いているような感覚の小説かなと思うんですけど、
そういったところで比喩とかもたくさん出てくるし、でもやっぱり淡々と書いてますよね。
劇的に書こうとしないというか、落ち着いたテンポで書いていて、
そういったところではすごい読み心地がいいというか。
どこから読んでも結構なんていうか、話の流れはあるからあれなんですけど、
割と途中から、一回読んじゃった後だったらどこから読んでもなんかいいなって思います。
文章を味わうっていう意味では。
私みたいだから、途中どっか開いて読んでもなんとなくこの黄色闇の中に浸れるような感じがしますよね。
そうですね。本当にその情景がすごく綺麗に描かれてはいますし、
あとはこの文章というところでは、やっぱり主人公の人の思想というのは結構一人称で語られているなと思っていて、
自分にとっての死とはどういうことかとか、
孤独について主人公が考えていることとかっていうのがところどころに書かれていて、
特に後半、そういったところではすごい美学というのも描かれている小説かなと思う。
そうですね。美学はわかるな。確かにユーリアム・サーレスさんの美学でしょうね。
そうですね。主人公も村も亡くなって消えてしまうというのは目に見えていて、
その中で誰でもいいから思い出してほしいというか、そういう思いを持って述べられている小説だなというのは結構最後の方を読んでいくと思ったりするんで。
賞は当たってるんですけど、その中でもなんかちょっと自分は読んでて結構混乱するところもあったんですけど、
時系列みたいなのが見方あれだけどめちゃくちゃになっちゃったりとかもあって。
そうですよね。
なんかそれもまあ面白いっちゃ面白いんだけど、結局結構わかんなくなるのが、
サビーナって妻がいるんだけど、この妻が結局途中で死ぬんですけど、
生きてた時と死んだ後の時、亡霊になって出てきた時とか、結構ごちゃごちゃになってきますよね、途中で。
時間もなんか、主人公の私の時間の感覚が狂っていくっていうか、なくなっていく。
どっかの夜からもう一切時間経ってないんじゃないかみたいな。
だから難しくて、それでなんかそこで主人公は死んだのかみたいな。
その後のことは魂が感じたことなんじゃないかみたいな、捉えることもできるから、
頭の中で整理しきれなかったんですけど私は。
そうですね、そこを全部整理できていなくてもできる一つってあるんですけど、確かにね。
僕はメモしながら読んでたんですけど、それでなんとか読めたっていうのがあるんですけども、
ちょっとどこがどの時代なのかって分かりづらいところはあるかなと思います。
最初と最後に彼らっていうのが出てくるんですね。
最初は彼らって出てくるんですけど、最後までそんな出てこないって結構最後、
主人公がもう死ぬかもしれないみたいな話のところで、彼らがやってくるだろうと。
この彼らって誰だろうと思って、彼らっていうのは何かの象徴なのかなと思いきや、
メモを見直すと最初に彼らってあって、最初に戻ってきたんだっていう。
なるほど、そういうとか。
そうですね。
もちろんそこ整理できてなくても読めるものかなと思うんですけども、
結構そういうふうに繋がって。
確かに。
遠いところと遠いところが繋がっている感じっていうのはあるかなと思うんですけども。
最初の1ページ見て気づきましたけど、彼らって出てきてるんですね、ここで。
そうですね。
名前全員名を入れるような。
そうそうそう。
最後の2回読んでるのに気づかなかったけど、最後の彼らって一番最初に出てきた彼らじゃなくて、
なんかもっと大きい何かだと思ってました。
そうそうそう。僕は最初はそう思ったんですよね。
これ、黄色い雨っていうタイトルついてる通りで、黄色い雨って単語結構頻繁に出てくるんですよね。
それが枯葉を指してるときもあれば、いや多分違うだろうっていうところもあって、
これは何かを象徴はしてるんだろうなと思うんですけど、
これは何だろうな、忘却なのか死なのかみたいな、そんな感じなのかなとはちょっと思ったりはしてますね。
そもそも黄色っていう色も頻繁に出てくる。
例えば、妻のサビーナをリンゴの木の下に埋めるんですけど枯れてた。
そしたら埋めたら、そのリンゴの木が久しぶりに実をならすんですけど、そのリンゴが黄色かったりとか、
ある朝ペットから湧き上がって窓を開けると村全体が黄色く染まっていたとか、
これは黄色い雨が降ったのもあるだろうけど、なんか象徴的な意味合いも含めてるんだろうなみたいなのはちょっと感じてて、
個人的にはこの黄色は終わっていく瞬間なのかなっていう、終わりじゃなくて終わりに向かうこのサインみたいな、
私は枯れ果てるのもそういう意味なのかなと思ったんですけど。
そうですね、僕もそれは思いますね。
この小説の中に出てくる黄色って哀愁を感じるような文脈で思えてしまうんですよね。
この辺すごく上手いし、明治喚起のところで言うとね。
そうですね、そういったところではある意味世界観がしっかりしている小説だなと思いますよね。
そうですね、狙わそうなことになっちゃうからだけど完成度が高いですよね。
そうそう、それはめっちゃ思いますね。
そうですね、たぶんこのラジオで取り上げたっていうところもそこの要素が大きいかなと思うんですよね。
物語性とかってあんまりなくて、小説として荒筋だけとか紹介するとこれどうかなって思っちゃうんですけど、
やっぱり完成度のところではすごい敷かれるものがあるし、
今回ラジオで取り上げるっていうのって2回目読んでメモとか取って読むと、
作者のすべてを終わろうとしているものだけども、それを言葉にしてこういうのが世の中に存在していたんだっていうのを、
そういう声というか、そんなのが聞こえてくるような気がして、
やっぱりいい小説だなって最終的には思いましたね。
そうですね、やっぱり誰かにこれっていい小説だよねって言いたくなるような。
ちょっと思ったより上手く話さなかったなっていう感じがあるんですけど。
じゃあちょっと全体的な感想を言って終わりにしましょうか。
はい。
じゃあちょっと私からいきますか。
今話してきてなんとなくこの終わりに向かっていく小説あって、
これなんだろうな、今日ラジオで話す前までは独特の悲しさがあるなと思ってたんですけど、
今話してみて多分これって結構いろんなことに共通する悲しみなのかなとちょっと思いましたね。
だからなんか結構自分の中で響いたのかなって、今改めて思いました。
そういうことを感じることができる小説。
死とか終わりに関して思いを馳せることができる、読むと思いを馳せることができる小説だなと思います。
ちょっと話しづらさにもつながってたのかもしれないんですけど、
なんかね、自分はこの私っていう主人公、感情移入があんまりできなかったんですね。
僕も一緒ですね。
うん、ですよね。
そうですね。
ちょっと私の読書スタイルだと思うんですけど、基本的には割と感情移入をして読むタイプの人間だと思ってるんですよ。
だからちょっと読みにくさはすごく最初ありました。
だからちょっと苦労はしたとこはあるんですけど、
でもそれでも読んでいくとやっぱりこの詩的な表現とか、
雰囲気とか全体を漂う雰囲気とか、
なんか主人公っていうよりは村とか、
この状況とか、空気感っていうのを味わうことができたので、