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2022-10-17 06:33

#345 【棚】碓氷峠の写真集を眺める話

本棚の奥を久しぶりに探っていたら、つい見入ってしまう写真集が出てきた話です。

にゃおの考える現代の基礎的なリテラシーは、ITをきちんと使えることが含まれます。

そのためにどのような問題があり、どう解決していったらよいか考えてみるPodcastです。

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をご覧ください。

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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、「うすい峠の写真集を眺める話」というものです。
自宅の本棚にある本を語っていくシリーズです。
先週は、「しばらくアクセスしていない本棚を見て驚いた」という話をしたんですが、
その時に派生的に見つけて、しばらく見入ってしまった本がありました。
レールマガジンという鉄道雑誌がありますが、そこから出た写真集で、
タイトルは、「石別・写真集・うすい峠最後の日々」というものなんです。
うすい峠というのは、長野県の軽井沢に群馬川から向かう時に越える峠ですね。
石別とついているということは何かがなくなったわけですが、
峠自体がなくなるわけはないですよね。なくなったのは線路です。
この写真集はレールマガジンのムックですから、当然そうなるわけですけど。
新越本線の横川から軽井沢の間のうすい峠は、鉄道ファンであれば知らない人はいない大変な急勾配の峠越えだったんです。
それが1997年の北陸新幹線開業で廃止となって、それを記念する写真集ということなんですね。
どんな急勾配だったのかを説明しましょう。
国土交通省が鉄道に関する技術上の基準を定める省令というのを出していて、
新幹線以外の鉄道の場合、機関車が引く列車があるときは25パーミルまで、ないときは35パーミルまでという決まりがあります。
この勾配を超える場合は特別な認可が必要となります。
安全に通行できる線路の設備や車両、運転技術が必要になるわけですね。
なので国鉄の流れを組むJR各社の一般的な線路では、だいたい25パーミルを最急勾配にしていると思います。
パーミルの説明をしていませんでした。
この単位は、1000メートル進んだときに高さで何メートル上り下りするかという単位です。
25パーミルは、1000メートル進んだら25メートル上り下りする坂ということになります。
自動車はもっと急な坂を上ることができるので、道路の場合はパーセントを使います。
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100メートル進んだら何メートル上り下りするかです。
道路を作るときの決まりでは特例で12パーセントという最大勾配がありますので、これをパーミルにすると120パーミルということになります。
鉄道は自動車と比べたらずっと坂に弱いということが想像できると思います。
では碓氷峠がどうだったのかというと、最大66.7パーミルでした。
この勾配では普通の線路を走る列車が上り下りするのは無理なのですね。
それで1966年まではアプト式という線路の真ん中にノコギリのようなレールを敷いて、そこに機関車側にある歯車を組み合わせて走る方式を使っていました。
これだと他の路線の列車が簡単に通行するというわけにはいかず、峠の前後で機関車を突きかえるような運用が必須になります。
その後アプト式はやめて一般的な列車と同じ粘着式になりましたが、一般的な区間を走る車両がそのまま走るのは無理で、
峠越えには電気機関車を2両、峠のふもと側につないで運転していました。
スピードは出ない上に機関車の付け外しが必要になるので、この区間は時間がかかっていたのです。
電車がそのまま乗り入れられるためには、くっつける機関車と制御を合わせる必要もあり、この区間を越える車両にはそのための特殊な機構も必要になっていました。
まあそんな風に特殊な運転を行っていたことから、鉄道ファンが当然のように注目する区間だったわけですね。
それが廃止されるのは輸送上のボトルネックを解消したということではあるのですが、やっぱり苦労を重ねて峠を越えてきた歴史に対するノスタルジーは強くて、赤別の写真集が出たということになるのでしょう。
一般的な特急車両に10連の電気機関車がくっついて走っている姿の写真は、現在の営業運転ではどこに行っても見ることができません。
峠のいろいろなところで撮られた写真はどれを見てもかっこいいものばかりです。
横川といえば峠の釜飯が有名です。
ホームで釜飯を販売するおじさんが帽子を脱いで列車に向かってお辞儀をする写真がなかなか味わい深くて胸が熱くなります。
飽きることなく眺めていられる写真集なのでした。
25年前に買っておいた自分にグッジョブと言いたいです。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。ではまた。
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