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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回お話しするのは、昭和の最長片道切符スタート場所の近所の話
時刻表は読み物だからな、の64回目です。
日曜日は時刻表を読んで話しています。
前回は、宮脇俊造さんの最長片道切符の旅という鉄道旅の本を見つけたので、
当時の時刻表と合わせて読んだら面白かろうということを思いついて、
まずは第1日目の話をしようと意気込んでいたんだけれど、
話し始めたらスタートするところまでに話したいことがありすぎて、全然進まなかった回でした。
今回は第1日目を終わらせられるように頑張っていきたいと思います。
最長片道切符のスタート地点
この本の旅が行われたのは1978年、昭和53年です。
この時点での最長片道切符のスタート地点は、北海道十勝の広泉・広駅でした。
広泉は帯広から南に伸びる行き止まり路線です。
最長片道切符は一筆書きで回らなければならないので、スタートはだいたい行き止まり路線の端っこということになります。
ただ、昭和の土産庫としてはあれ?と思うことがあります。
広泉は先ほども言ったように帯広から南に伸びていますが、北に伸びている線路もありました。
四方路線という、こちらも行き止まりの路線です。
で、僕の直感ではそっちの方が長いような気がしたのです。
大雪山の奥深くの飛峡に進んでいく長い路線というイメージがあったのですね。
何しろ終点の十勝三股の辺りは、早々とバス代行運転になったくらいです。
で、時刻表でそれぞれの営業キロを調べてみたら、広泉が終点・広まで84キロ、四方路線は終点の十勝三股まで78.3キロでした。
むちゃくちゃ奥まで入るから遠いと錯覚していただけで、実際には広泉の方が長かったのです。
だからスタートが広泉になったわけですね。
改めて時刻表をよく読んでみると、片道切符の旅が行われた1978年10月号の四方路線には何もコメントがついていないのです。
僕が持っている復刻版時刻表の一つ後の1982年11月号の四方路線を開いてみると、
時刻の横にぬかびら・十勝三股間はバスになりますというコメントがついているので、
バス代行になったのはいつなのだろうと調べてみたら、1978年12月25日からだということが分かりました。
宮脇さんの最長片道切符の旅は12月20日に終了していますから、その直後に四方路線の先端部分がバス代行になったことになります。
バス代行になったということは、乗る人が少なかったということですよね。
四方路線の廃止計画
こういういきさつであれば、代行になった区間の線路は廃止というのが定番ですが、この時点では廃止にならず、最終的に廃止になったのは9年後の四方路線全線廃止の時でした。
バス代行後は路線は廃止にならなかったけれど、設備は放置されていたようです。
なぜそうなっていたかというと、四方路線はさらに北に伸ばす予定があったからです。
大雪山系を超えて、赤北本線の上川までの線路が計画されていたのです。
計画があったといってもそれは大正時代のことで、昭和の終わりの頃には延伸の意味がないと考えられていましたが、
赤白線の廃止を含めて計画を抜本的に見直すまでは、建前的に線路は残すという形になっていたわけですね。
この上川までの鉄道計画を調べてみると、創運橋に駅が計画されていたりして、
もし実現していたらなかなか楽しい観光路線だったかも、なんて妄想できます。
大正時代に作られた計画は改正鉄道不設法という法律によるものですから、計画を見直すには法改正が必要で、
それ自体がかなり大変な仕事だったのだろうなぁと想像します。
四方路線の先端部分の時刻表は、そういう歴史の一コマを思い起こさせるものでした。
この改正鉄道不設法の別表には全国で150ものの計画線が載っていて、この表を見るだけでもずいぶん楽しめるものだったりします。
ああ、本当は今回第一日目を終えられるように話そうと思っていたのですが、
またしてもスタートから前に進まないことになってしまいました。
この調子だと北海道を出るまでにずいぶんかかりそうですね。
1回分を5、6分程度にしようと思っているので、どうしてもそうなってしまいます。
まあ、それだけ時刻表には行間を読む楽しみがあるということなのです。
今回は昭和の最長片道切符、スタート場所の近所の話、という話をしました。
今日はここまで。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。ではまた。