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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、
急坂を回避するための迂回ルートの話、
時刻表は読み物だからな、の28回目です。
鉄道って不思議だと思いませんか?
鉄でできたレールの上を、鉄でできた車輪が走るのです。
直感的に滑りそうだなと思いませんか?
実際には滑ることと摩擦の絶妙なバランスで走っていて、
比較的低コストで大量のものを運べるようになっているわけですが、
難しい話はとりあえず置くことにしましょう。
走るための力を得る方法と、それ自体の大きさ・重さと、
線路自体の形によっては、実際に滑って前に進めないということは起きます。
昔走っていた蒸気機関車は、その見た目のイメージからとてもパワフルに感じますよね。
でも、今割とスマートに走っているディーゼル機関車は、
1台で力持ちの名蒸気機関車D51の3台分の馬力があるそうです。
ということは、昔は坂を登るのに今よりずっと苦労したわけです。
鉄道は坂に弱いのです。
自動車と比べたらずっとなだらかな坂道じゃないと登れません。
でも考えてみてください。日本は山が多いですよね。
なので鉄道を引くために山でとても苦労したのです。
函館本線にちょっと面白いところがあります。
函館を出発してほどなく山にぶつかって、かなり険しい山岳地帯を乗り越えて、
いかめしで有名な森町に着く部分です。
作品地図でこの部分を見ると、路線がローマ数字の8の字のようになっています。
南側は七江から大沼の間、北側は大沼から森の間で2つの線路に分かれています。
どちらも西側にある方が元々の函館本線です。
大沼のあたりをピークとして、北側と南側に下る坂になっているのです。
北側は駒畑という火山の横を通ります。
西側の線路は距離は短いのですが、山の中の急な坂になります。
この区間に乗ってみると、駒畑が右側から見えたり左側から見えたりします。
勾配緩和のために線路が蛇行しているのですね。
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ここを蒸気機関車で登るのには苦労したようで、機関車を2台とか3台とか繋いだりする必要がありました。
1968年10月の時刻表を見ると面白いことがわかります。
急行列車が札幌行きは西の線路を通りますが、函館行きは東の線路を通るのです。
東の線路は海沿いの比較的なだらかな線路なのですね。
南側はもっと面白いです。
函館から大沼の間は屏風のような山です。
札幌方向には急な上り坂になります。
そこで東側に高架橋で徐々に山に登る線路を作ったのです。
特急や急行は上り坂を避けるために札幌方向に向かうときにはこの東側の線路を登ったのですね。
でも実は西の線路の方には駅があります。
特急や急行はその駅には止まらないので東側を通りましたが、普通列車は上り下り両方の列車が設定されていました。
特急列車は機関車が引くものからディーゼルエンジンを床下に配置した分散動力に変わり、
この区間の上り坂を難なく越えるようになったので、距離の短い本来の線路を通るようになりました。
急行も同じように変わっていきます。
それでも南側の上り坂は貨物列車の運行などで今でも使われています。
現在鉄道ファンの間で話題になっていることが一つあります。
この西側の本来の線路上に新幹線の函館新北斗駅ができたのです。
乗り換えに重要な駅になるので全ての列車が止まりそうなものですが、
なぜか普通列車の一部が東側の線路を通って大沼方面に向かっているのです。
時刻表上では駅を通過する場合はカタカナのレみたいな矢印が書かれます。
通過ではなく別の線路を通るときにはイコールを縦にしたような記号が書かれます。
問題の列車は函館新北斗駅のところがイコールを縦にした記号で書かれているので、
東側の線路を走っているのだとわかるのです。
このような列車が設定されている理由は、この区間がどちらも単線というか、
東西2本合わせて複線になっているからのようです。
この普通列車が走っている同じ時刻に函館行きの特急列車が設定されていて、
行き違いを避けるための措置のようですね。
ちょっと面白いでしょう?
古い鉄道にはこんな苦肉の柵みたいな線路があって、なかなか面白いのです。
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次回もそんな工夫の話をしたいと思います。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。ではまた。