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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に様々な話をしています。
今回のタイトルは、江戸から戻ってきた人、杉浦雛子というものです。
自宅の本棚にある本を語っていくシリーズです。
このシリーズを始めてから、あまりアクセスしていない本棚の奥を見ることが増えました。
最近お友達に、小学1年生に進めるとしたらどんな本がある?と聞かれて、どんな本があったかなと本棚を物色していたら、またまた懐かしい本が見つかりました。
この配信では、第82回と255回で話したことがあり、ノートの方でもたびたび書いている杉浦雛子さんに関する本です。
255回目は、2015年に出た文芸別冊のムックの杉浦雛子特集を題材に話しました。
その時に、なんだか別のエピソードが浮かんでくるなぁと思いながら話していたんです。
たぶん別の本だったと思いながら、どの本だったのか思い出せずにいたのですが、今回本棚を漁ったら出てきてくれました。
詩と批評、ユリイカという雑誌があります。ユリイカはエウレイカと言った方がわかりやすいかもしれません。
アルキメデスがアルキメデスの原理を発見したときに叫んだ言葉と言われています。
厳密にはアルキメデスの原理そのものではないみたいですが、それで、見つけたぞ、わかったぞと喜ぶときに使われる言葉になったそうです。
そこから取られたユリイカ。たまに面白い特集があるので買うことがあります。
本棚からまさに発見したのは、2008年10月臨時増刊号でした。
杉浦ひな子さんは2005年7月22日に亡くなっています。
最初の特集は兄の鈴木雅也さんの追悼文です。
僕が思い出そうとしていたエピソードは、階段都市江戸という特集にありました。
階段というのは怖い話の階段ですね。
中澤真一さんとの対談で、ひな子さんの百物語をキーにして、おばけを江戸の風俗とか現代の社会に移して語っているものなのですが、
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その中でひな子さんが小学校から帰る途中に悲しそうなモンペのおばさんをよく見かけて、それをお母さんに話したら、
そのあたりに埋めた井戸があって、供養していなかったから、じゃあ毎日お水とお線香をあげようねって言って、
それで供養したら、それから見なくなったという話でした。
その時に見たおばさんの何も見ていないような目線、百物語に表現されていたなと思ったんです。
このエピソードはひな子さんが言っていた、現代の東京に江戸が見えるっていうイメージときっちり結びついているなぁと感じたんですね。
きっと自由にあっちとこっちを行き来できる能力を持っていたのでしょう。
僕にはひな子さんのような才能はからっきしもないのですが、
どこにいても違う場所にいるような感覚になるところは少しあって、
家の近所を歩いていてもいろいろな発見があって楽しめてしまうという特技があるんです。
ひな子さんの感覚にちょっと似ているかもしれないと感じたのがこのエピソードだったんですね。
杉浦ひな子さんにずっと惹かれ続けているのは多分そういうところなんだじゃないかと思います。
本棚からは久しぶりに見るひな子さんの別の本も出てきました。
本棚発掘はまだまだ続きそうです。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。ではまた。