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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、
時刻表から見る新幹線の影響、
時刻表は読み物だからな、の第15回です。
これまで時刻表の面白いところを色々な観点で話してきましたが、
実はほとんどが昔の時刻表をベースにした話でした。
復刻版時刻表を読んでいくのはとても面白いのですが、
現代の時刻表にももちろん興味深いところはあります。
2022年6月号を手に入れたので、読んでみることにします。
時刻表を読むときのセオリーは、作品地図から見ることです。
作品地図は、西日本から北日本の順番に並んでいます。
僕は北海道に住んでいるので、西の方は不安内で、
どうしても気づきが少なくなってしまいます。
ペラペラめくって東北の辺りに来たところで、
おや?と思いました。
青森から仙台方面に向かう路線の様子が、
僕が持っていた印象とは違っています。
東京・上野から青森までは、
東北本線という日本最長の営業機械を持つ路線でした。
かつてはこの路線をたくさんの花形列車が走っていたのです。
今は東北新幹線が青森まで開通しているのでした。
何を今さらと思われる方もいると思いますが、
北海道に住んでいると新幹線は全く身近なものではありません。
社会時になった40年弱前の頃には、
東京へのメインルートはすでに鉄道から飛行機に変わっていました。
北海道と東北の結びつきはあまり強いものではなく、
時間距離で見ると東京や大阪よりも遠いというイメージがあります。
新幹線が青森まで繋がった時に、
東北本線の青森側の一部が第三セクターに移行していたことは何となく知っていましたが、
あまりきちんと見ることはありませんでした。
今回改めて第三セクターに移行したところを見て、
森岡から目時がICR岩手銀河鉄道、
目時から青森までが青い森鉄道になっているのを確認しました。
目時というのは青森県と岩手県の県境の青森側にある駅で、
2つの会社の境界になっている駅なのですね。
なんだかややこしいことになっていますが、
これ新幹線がなかなか北に伸びなかった理由を物語っているのです。
ものすごく簡単に言うと東北以北は人口がとても少ないということです。
東北本線沿線の各県の人口密度を見てみましょう。
平均すると1平方キロメートルあたり289人です。
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東海道本線・山陽本線沿線の人口密度の平均は518人ですから、
比べ物にならないくらい人口が少ないことになります。
単純計算なので厳密さには欠けていますが、
イメージとはかけ離れていないと思います。
一定の長さの線路あたりの人口が少ないということは、
それだけ維持が大変ということになります。
新幹線は大都市だけを結ぶので営業的には有利ですが、
在来線は人口が希薄な場所をきめ細かく繋いでいるわけで、
これを維持するのは大企業であるJRであっても
民間企業である以上は難しいのです。
東北新幹線の森岡までは鉄道がある程度の力を持っていた時代に、
時の総理大臣を排出した政治の力で引っ張ったと言われていますが、
それより北は鉄道の社用化以降の整備となり、
新幹線ができた後に利用率が下がる在来線の挙収が問題になったのです。
新幹線の駅ができない地域にとって鉄道がなくなることは望ましくないですが、
JRとしては多額の費用をかけて新幹線を引き、
それを維持するだけでも大きな負担となることから、
並行する在来線は手放したいということになるわけですね。
在来線維持を掲げるのは地域になります。
地域の自治体の一番大きい単位は県ですから、
在来線を維持するなら各県の自治体が何とかせざるを得ないということで、
東北本線の森岡以北は岩手県と青森県がそれぞれ第三セクターの会社を設立して鉄道の運用を行っているのです。
鉄道というのは広域のネットワークですから、そもそも自治体管理というのは問題が多いのも確かなのです。
代表的な問題は貨物列車の運行です。
新幹線は貨物列車を走らせていませんから、貨物列車は在来線を走ることになります。
東北本線の北側は旅客数の面ではローカル線ですが、貨物列車にとっては相変わらずの幹線なのです。
JR貨物はもともと自分では線路を持たず、JR各社に利用料を払って列車を走らせているので、第三セクター会社にも利用料は支払われるわけですが、
その会社維持には自治体の税金が注ぎ込まれるだけではなく、利用料というのは算定するだけでもなかなか難しく、
随分いびつな形での経営を責められることになっているのです。
このような問題は、北へ行くほど困難なものになり、沿線人口がさらに気迫な北海道では、新幹線の札幌延伸をめぐって厳しい選択を迫られる形になっているのです。
時刻表の作品地図を眺めるだけでも、こんな社会の課題を考えるきっかけになったりします。
電車が走っているのは当たり前と思ってしまいがちですが、その裏にどんな構造があるのかを考えるための、可視化されたデータとして時刻表を見ることもできます。
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時刻表って面白いと思いませんか?
次回は料金表を読んでみたいと思います。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。ではまた。