地図出版販売秘話
にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回お話しするのは、地図出版販売秘話、国会図書館でみつけた面白い資料、というものです。
土曜日は地図の話をしています。
前回の配信で、地図は常に過去のものであるという話をしました。
地図を作るためには、それなりのリードタイムが必要ですから当たり前のことですが、
地図はある場所のリアルな状況を知りたいというニーズがあり、できるだけ本当の現状に近い方がいいという見方もできるわけで、
Googleマップのようなネット上の地図は、限りなく現状とのタイムラグを減らす努力をしている地図ということになるわけですね。
そういう地図を作るという観点で、ちょっと面白い資料を見つけました。
地図出版販売秘話、というものです。
昭和11年に西文堂書店から出版された本で、18ページほどのパンフレットのような冊子です。
とは言っても、現代の冊子入りのものとは違って文字ばかりです。
内容は、地図の出版に関する業界知識という感じでしょうか。
何が面白いと思ったのかというと、まず文章が話し言葉で砕けた感じになっていることです。
タイトルに秘話なんて付けていますから、地図を出版販売する自分たちの仕事の裏話を洒落た感じで紹介する本を作ってみたという感じに見えます。
出版と販売ですから、地図の用途、サイズ、印刷技法から始まって、
販売先の要望やそのための技術的な対応方法、マーケティングや出版に関する東京の優位性などが書かれていて、
当時の業界の様子が目に浮かぶような面白い読み物になっています。
地図に限りませんが、紙の出版物がどのように作られているのかをよく考えると、
ごく単純化すると、原版を作ってそれを印刷機で大量に紙に転写するわけですよね。
この印刷するというところは想像できるけれど、元になる原版を作るところはあまり考えたことがないような気がするのですね。
原版と紙を擦り合わせて印刷は進むのですから、原版は摩耗していくものですし、
よく考えてみれば、原版をずっと保管するというのも大変なわけで、出なくなったら原版を破棄するというのもまあ当たり前なのですよね。
絶版というのはそもそもそういう意味なわけですね。
国会図書館で見つけた面白い資料
一般の本と違って、地図というのは変化し続けるものを表現するものなので、原版もある程度の周期で作り直す必要があります。
それは販売数との兼ね合いになるので、頻繁にはできず、既にある版を流用して手を入れるということも行われるわけですね。
字が小さくて見にくいなんて要望が出てきたとしても、それを簡単には直せないので、写真製版で何とか拡大するとか、印刷技術を駆使して頑張った話なども書かれています。
そしてこれもよく考えてみると当たり前なのですが、地図をたくさん使っているのはお役所なわけですね。
いろいろなレベルのお役所のそれぞれのニーズに合わせて地図を作って販売するのですが、役所ごとにニーズも販売条件もバラバラなので、これに対応するのはなかなか大変なのだなということもわかります。
この辺りは技術が進んだ現代でもあまり変わらないのだろうなと想像しました。
この資料を見つけたのは国会図書館です。
国立国会図書館デジタルコレクションというサイトがあって、ごく一部ではありますがデジタル化された資料を直接見ることができるのです。
ここで地図に関する資料を検索していて見つけたのが今回お話した資料なんです。
検索結果を残したり、資料を取り寄せたりするのに便利そうなので、利用者登録して使ってみることにしました。
一般人には縁がなさそうな国会図書館ですが、案外身近に使うことができるのですね。
面白いものがあったらまたここで紹介したいと思います。
今回は地図出版販売秘話、国会図書館で見つけた面白い資料という話をしました。
今日はここまで。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。
ではまた。