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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、
なぜ分散しているのか、集中させてはいけないのか、
DXの鍵の話、というものです。
そろそろ引っ越しの時期ですね。
引っ越しの際に市役所に転居届を出しますよね。
あれはもう少し細かく言うと、住民票を移す、という手続きなのです。
住民票は、そこの自治体で様々なサービスを受けるために大事なものです。
遠くに引っ越しして、その住んでいる場所のサービスを受けられないと困ったことがあるので、ちゃんと手続きをした方が良いです。
さて、この住民票というものですが、市や街などの自治体が管理するものです。
自治体ごとにサービスを決定していますから当たり前のようですが、管理することと情報をどこに置くか、ということはちょっと区別して考える必要があります。
今のように自治体管理になったわけは、情報をどこに置くのか、ということが関わっています。
コンピューターとネットワークが発達する以前、
実は今もまだそうだということもできてしまうわけですが、情報は紙で管理されていたわけです。
紙は物理的な体積と質量を持つものなのですから、これを大量に保管するにはそれなりの場所が必要です。
行政に関わる個人の情報を保管するとしたら、実際に住んでいる場所の役所にそのような紙を置くのが効率が良いというのは誰でも考えることです。
実際そのように運用されています。
転挙届を出すと、そういう情報を記した紙が自治体から自治体に送られます。
これを漏れなくやるためにたくさんの人手をかけています。
さて、いよいよコンピューターとネットワークが使える時代になりました。
これまで紙に記録していた情報をコンピューター上のデータとして表現することができます。
紙に書かれていることを調べるのは当たり前ですが、その紙を見る必要があります。
役所の中のどこかの部屋のとある書家にある書類を探し出して、その中を見る必要があるわけですよね。
何万人もの情報があるわけですから、これはなかなか大変だなぁと想像できると思います。
というわけで、これをコンピューターが扱える情報に変換して、事務処理をやっている人が手元の端末から検索できるようにすると、これは便利だなぁということになりますよね。
じゃあ、転居届をどう処理しようか。
引っ越し先の自治体が使っているコンピューター、こっちとは違うらしい。
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仕方ない、とりあえず今までの紙で送るやり方でやろう、ということになります。
この辺からちょっと話がおかしくなってきます。
データを送れば一瞬で済むはずじゃないかなぁと思いませんか?
いや、もう一歩進んで、そもそも国全体でデータを一元管理していたら、そのデータの住所欄を書き換えるくらいで済むんじゃない?
そうなったら情報のバックアップとかセキュリティ管理とか、情報自体の管理とは直接関係ないような面倒なことをまとめてやれるんじゃない?
ということになってくるわけです。
今までは紙でやっていたから大掛かりで大変なことになっていたけれど、一元管理だと大半の手続きはちょっと書き換えるだけで済むんじゃないか。
というのがITを使う人の問題意識として出てくるわけですね。
様々な制度上の問題があって簡単ではないのでしょうが、実はそんな風にできるはずなのです。
紙を使わなければならないという制約の下に作られた仕組みは、新しい情報管理の世界で絶対というわけではありません。
一般の人々からはあまり見えないこういう仕組みが、今はすごいコストをかけて動いています。
金額換算すると、行政の単純な事務処理だけで多分年間に何兆円も使っているのではないかと思います。
もちろんこれをすべてコンピューターの上に移すのはすぐにできることではありませんが、将来はそのような無駄を減らす必要があるのではないでしょうか。
DXを成功させるためには、このように昔の技術的制約ベースで作られた仕組みを見直す必要があります。
そもそも分散してあるべき情報なのだろうか、というのは一つのキーになるでしょう。
似たようなことは、銀行や病院や一般企業にもたくさんあるはずです。
たくさんの人がITリテラシーを身につけるということは、情報管理の仕方を見直すことで、より効率的でもっと良い社会を作っていくために大事なことなのです。
読書と編集では、ITを特別なものではなく常識的なリテラシーとして広める活動をしています。
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今日もワクワクする日でありますように。千葉直樹でした。
ではまた。