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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
犬と人の架け橋でありたい私が、犬に関する様々なお話、大好きな旅の話、時々歌などをマイペースにお届けしています。
日々専門的な犬のお話やお悩み相談、月一のオンラインセミナーへの無料ご招待は、メンバーシップの方に向けて行っています。
6月24日月曜日19時45分から21時、犬の吠えを本気で考える最終回、犬に吠えられるあなた理由はそれです、をテーマに行います。
私のオンラインセミナーでは動画の解説という時間が一番人気です。
これはセミナーの内容に沿った動画を私が皆さんに共有し、その動画をプロのドッグトレーナーの目線で細かくポイントを説明するという内容になっています。
同じような、例えばお散歩のシチュエーションでも、ここが褒めるポイントですよとか、ここは注意する、声をかけるポイントですよ、というようなことや、
このタイミングで飼い主さんが行動をこのように変えていきましょうとか、細かい例で言えばこっちを見てくださいとか、あっちを振り向いてくださいとか、体の向きをこう変えてみましょう、など改善アドバイスをさせていただいたり、
この動画の中でどこを変えたら良くなっていくでしょう、と皆さんと検討会をしたりすることで、より皆さんの中で自分ごととして捉えていただきやすいようです。
このシリーズ、犬の吠えを本気で考える、もとうとう最終回となりました。
昨年、オンラインセミナーを始めた頃から比べると、アーカイブ参加を含めご参加くださる方が3倍、時に4倍にも増えたということは本当にありがたいことだと思っています。
そして、来月7月、そして8月は皆さんにご要望が多かった、何でも答えます質疑応答座談会をオンラインで行います。
こちらは事前のご質問、ご自身の愛犬さんのこういう動画を解説してほしいという動画を送っていただいた方から、時間の許す限り丁寧にお答えをしていく予定です。
こちらの座談会、質疑応答会は参加は無料になりますが、アーカイブのみ有料公開となります。
残念ながら、スタイフでは動画の解説ができませんので、音声のみとなりますが、後日メンバーシップで公開とさせていただきます。
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さて、長々と前置きをお話しましたが、この犬吠えセミナーの中でも、ご参加の方の中で疑問の多かった犬の吠えに共通するシチュエーションと犬の行動、そしてその心理的作用についてのお話を2回にわたりしていきたいと思います。
皆さんは、「弱い犬ほどよく吠える」というような格言を聞いたことはありますか?
何なら、「弱いやつほどよく吠える」なんて対人にも使われたりする言葉、果たして本当なのでしょうか?どうしてそう言われるんでしょうか?
飼い主さんから寄せられる、「愛犬七不思議」にも入りそうな事柄の一つに、「うちの犬は車の中で見る犬や人には吠えまくるのに、車から下ろすと不思議と吠えないんです。」とか、
「家の敷地の前を歩く人には吠えるんだけど、家を一歩出た途端、同じ人に会っても全く吠えない。それどころかしっぽを振って近づいていくんです。」
ということがあります。
この、「弱い犬ほどよく吠える」という格言は、まさにこれらの事例をよく物語っているなぁと感じてしまうのですが、
定義として、「弱い犬」というのは、ここでは体が弱いという意味ではなく、気が弱い、ちょっと神経質なところがあるとか臆病であるという犬たちを指すことにしましょう。
この弱い犬たち、確かによく吠えます。
ただし、そのシチュエーションは意外と限定されているんです。
大きく2つの限定されたシチュエーションを挙げてみましょう。
1.自分の権利を命がけて主張するための吠え。これは時に攻撃を伴います。
2.自分が守られている範囲内でのみの虚勢を張った吠え。
この2種類が大きいかなと思います。
忘れていけないことですが、吠えるということは、自分の存在を周囲に知らせるための手段です。
ですので、どんなイトであれ、犬の吠えには、周囲に自分の存在が知られる可能性を秘めているんです。
ですから、本当に臆病で、一刻も早くこの場を逃げ出して隠れたい、どうか誰も自分に注意を払わないでほしいという犬は、
普段自分の家の庭から見える人や犬に吠えかかっているとしても、
人がわんさかいるフェス会場や駅前、商店街、見知らぬ犬が大量に集まっているドックランや動物病院などでは全く吠えない、ということは実はよくあるんです。
なぜなら、吠えることで自分の存在をアピールし、誰かが興味を持って自分に近づいてしまうのを避けたいから。
このようなワンコさんたちは、自分のキャパを超える相手が周囲にそれも複数現れたとき、また自分がアウェーである状況や場所にあるときは吠えることが少ないんです。
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ですが、自分が守らなければならない、逆に言うとそこにいさえすれば自分の身の安全が担保されている、つまり心理的安全自体においては非常によく吠えます。
それは虚勢を張る意味もありますが、自分の安全自体を守らなくてはならないという焦燥感と厳む感も大きいんですね。
また、その安全自体に仲間や後ろ盾があれば、より一層、吠えに力が入ります。
この安全自体、心理的安全自体も含め、この安全自体というのは何も家の敷地内や犬が普段よくいる部屋やサークル、ケージとは限らず、
例えば飼い主さんの腕の中、よく行く公園、ショッピングセンターの犬OKのカートの中、
中には飼い主さんご自身や兄弟犬の存在そのものも安全自体、心理的安全自体になり得てしまいます。
私の保育園でも、園に入ってきて飼い主さんが立ち去られるまでずっと吠えていても、
飼い主さんがまた夕方迎えに来るからねと立ち去り、他の犬たちと同じ空間に入ったことがわかった瞬間、
シーンと静かになってしまうという犬は結構います。
私自身はこれを壁の力と呼んでいます。
この壁の力というのは、壁1枚、フェンス1枚、リード1本、そこに加わることで、
犬の心理的安全自体が容易に生まれるということです。
それまでは犬を見ると狂ったように吠えるという子でも、嘘のように静かになってしまうので、
その様子を動画で撮って、後で報告リポートと一緒に飼い主さんに送れると、飼い主さんは驚かれることがあります。
ですがこれは、今お話しした壁の力と犬の心理的安全自体のからくりを知れば当然なことなんですね。
壁の力はどこにでも生ずる可能性があり、この壁を作りたい衝動、安全自体を守りたいという衝動は壁があるからこそ。
逆に言うと、壁を取り払うことで初めてその場にいる他者に興味を向けたり、冷静になって相手を見てみよう。
あれ?こいつ、よく見たら意外と怖くないじゃん。
あれ?自分、意外と他の犬と一緒にいれるじゃん。大丈夫じゃん。
と思ってくる犬もいるんですよね。
ここまで聞いて、あれ?これって人間も同じじゃない?と思ったあなた。
私も実は全く同じ感想です。
自分の周りに壁を作り、壁の内側では大口を叩く、吠える。
けれど絶対自分からは壁を突破してこない。
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これ、過去の私です。
人で言うこの壁は、いわゆるコンフォートゾーンとも言えるかもしれませんね。
心理的安全自体にいるからこそ偉そうに、尊大に吠えることができていた過去の自分を、私は反省しています。
その壁から外に出たら、私は何者でもなく、
最初は周りが怖くて不安で、こんなにおしゃべりな私でもひたすら黙って周囲の動きを観察するしかなかった。
そんな時期もありました。
けれど人も犬も、その壁の外側に出た時、不安や怖さを乗り越えて相手と同じ土俵に上がった時、
そこで何とかしなくてはならない時、
そこから見えてくるものや、壁を乗り越えられたという自信は、壁の内側、安全自体にいた過去の自分とは違うもの。
そう、犬も人も、弱い奴はよく吠える。
この言葉は弱いだけではなく、自分の安全自体から出てこない、
自分の安全自体だけを守ろうと、壁の中に引きこもっている奴だということを、私は思います。
ただし、人の場合は、自分で一年放棄して、壁の外に出ることもできますが、犬はそういうわけにはいきません。
そうして放っておけば、犬は内側に内側に何重にも壁を作って、たくさん安全自体を作って、
自分の仲間だけを増やし、守り、それ以外の他者を排除しようとしていくようになっても、それは本能的に正しい行動なんですね。
犬が吠えるから散歩に連れて行けません、という犬がどんどん、
対犬以外の小さな刺激、例えば、家の中で聞こえたちょっとした物音などに、過敏に吠えるようになってしまうのも、こうした背景が理由の一つに挙げられます。
ですから、壁の力、犬の心理的安全自体を守りたいという気持ちが強大になりすぎる前に、
私は飼い主さんに、どうか犬たちに壁の外にチャレンジをするチャンスを与えてあげてほしいなと思います。
特に若いワンちゃんたちですね。
今月24日月曜日のオンラインセミナーでは、これぞ壁の力ですよ、というのを象徴するような動画をご用意しています。
これがこの犬の壁、心理的安全を担保するものであり、犬の吠えを引き起こしている原因なんですよ、ということを詳しく解説するとともに、
どうしたらこの壁を犬が乗り越えられるかをご紹介しようと思っています。
今から皆さんと動画を共有することがとても楽しみです。
壁は心理的にも物理的にもすぐにできます。
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心理的安全自体もそれとともにすぐにできます。
これは人に置き換えてもわかることだと思います。
私は心理的安全自体である壁を作ることを悪いことだと思いません。
むしろ人にも犬にもそれはある程度必要なものだと思います。
大切なことは、心理的安全自体を守るために他者を攻撃したり排除しようとしなくてもいいということを知ること。
そして壁を乗り越える、壁の外側を見るチャンスを与えられること。
これは大人の人ならば、自分で乗り越えたり自分でチャンスをつかみに行くことができますが、
子どもや犬には自分で壁の外を見に行く、壁の外を体験しに行くということはなかなかできることではないので、
飼い主さんや親がやはり示してあげる必要があると思います。
次回は少しこの壁の力を有効活用する方法、そして壁を乗り越えるために方法などをお話ししようと思います。
基本的には犬の話ですが、人にも共通点は十分にあると思いますよ。
よかったらそちらも聞いてくださいね。
最後まで聞いていただきありがとうございました。
24日のセミナーについては今週末まで受付をしております。
もし興味のある方はぜひお問い合わせください。