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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、たくさんのワンちゃんや飼い主さんと関わってきた私が、
日本の犬と飼い主さんのQOLをあげるおテーマに、犬のあれこれについて、私個人の見解からお話ししています。
時には子育てネタや、留学時代や旅行の思い出などのお話もお届けいたします。
先日、情報番組でも話題になっていたコロナ探知犬を皆さんご存知でしょうか?
私は恥ずかしながら初めて聞きました。
コロナ探知犬は、新型コロナウイルス感染者の匂いをかなりの高確率で嗅ぎ分けるというものでした。
これは日本ではまだまだ実例は少ないのですが、ヨーロッパやアメリカ、中東東南アジアなどの世界中で、
研究と臨床試験が繰り返されながら、試験的導入が始まっているというものだそうです。
もともと、犬の嗅覚は人間の数千倍から1億倍以上とも言われています。
この嗅覚は単に鼻が良いというよりは、特定の匂いを嗅ぎ分け、匂いから情報を結びつける能力が高いというものです。
また、この嗅覚の鋭さは集中力とともに発揮されていきます。
つまり、うちの犬は知っている人が見慣れない格好をしていると吠える、匂いでわかるだろうに、おかしいなぁということではなくて、
犬が特定の匂いから特定の情報を得ようと集中して匂いを嗅ぐことで、1億倍とも言われる嗅覚の鋭さが発揮されるわけです。
この犬の優れた嗅覚による情報収集能力、嗅覚情報処理能力は、犬が古くから人類の友として人と近くに暮らしていく上で、
人類が必要としていた、つまり犬を飼うという大きな意味、そして利点になっていました。
警備、狩猟、捜索など、特に人類が電気を使えるようになる以前は、犬たちは警報器、サイレン、AI、ロボットの代わりに大きな役目を担ってきたんです。
今や従来の犬の仕事に代わる機械やシステムが手軽に、訓練や教育の必要もなく、老化もなく、すぐに手に入る時間になってきました。
かつて犬たちが誇りを持って仕事としていたことの多くが、人間と暮らす上で不要とされるようにもなっていきました。
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その最たるものが、侵入者への警戒や吠えですが、これはまた別の機会にお話をさせていただきますね。
今でも人間社会の中で作業犬として活躍している犬たちの中で、一般的に日本でよく知られているものは、盲導犬、介助犬、警察犬、災害救助犬、麻薬探知犬などではないでしょうか。
そのうち災害救助犬、麻薬探知犬、警察犬は犬の嗅覚情報処理能力を生かして、人のお手伝いをしてもらうということです。
犬の優れた嗅覚情報処理能力が、今度はコロナ感染者の発見に役に立つということが、近年の研究で発見され、徐々に実証・臨床の場で活躍をし始めているということは、大きな発見ではないでしょうか。
コロナでなくても、特定の病気の患者を匂いで嗅ぎ分けるという研究結果は既に出ているので、コロナに対してもその能力が発揮されるということは、さもありなということなんですけれど、人間には全くできないすごい能力だなと改めて感じています。
実際にはどのように感染者を識別するのかというと、臨床段階では感染者と非感染者の汗、これは私の見た番組の中では脇に布を挟んで汗を染み込ませていました。
その汗を染み込ませた布を等間隔に部屋の壁に設置して、感染者の布の前に来たら犬が座るということを実験として、映像として流されていました。
この検査は何百回と繰り返されるわけですが、優秀な犬なら2ヶ月半から大体半年程度の訓練でこの作業を覚え、その整合性は90%にも達するということです。驚きですね。
また、感染者が無症状、つまり感染した本人が無自覚であっても反応することができ、さらには物に付着したウイルスも検知するとのことでした。
探知犬がコロナに感染することはないのか?という疑問が私の中にも浮上しましたが、情報番組によると、犬がコロナ陽性者をかぎ分けるのに要する時間は、なんと2、3秒。その時間で感染するリスクは極めて少ないということでした。
日本ではまだコロナ探査犬の導入事例はありませんが、特に小さな子どもたちや認知症患者の多い介護施設などでは、鼻や口に器具を入れることに抵抗がある人が多いので、痛みや苦労がなく検査ができる、そして結果が早く出るということは大いに助かるということでした。
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さらに、大きなイベントや空港など、多数の人たちが一度に訪れるような場所においては、瞬時の結果が出るということは大幅なコストと時間の削減になります。
犬たちはコロナウイルスそのものの匂いに反応しているのではなく、コロナに感染した人間が発する有機化合物の匂いに反応していると考えられています。
そのため、変異株にも対応が可能なのだそうです。
まだまだ、このコロナ探査圏、多くはないですし、人、犬ともにいろいろな課題やリスクもあるとは思います。賛否両論の意見もあることでしょう。
私はこのニュースを聞いて改めて、犬たちの嗅覚の能力の高さと、彼らと私たちが異なる世界、常識、価値判断で生きているのだということを実感しました。
犬は人間の近くで生きてきた歴史が最も長い動物です。
そして、今は一つ屋根の下で暮らす家族という役割も多くあります。
そのため、どうしても人と同じ価値観、世界観、常識の範疇で捉えてしまいがちですが、
彼らの情報収集、処理、伝達能力の最たるものはやはり、我々が感知できない嗅覚にあります。
コロナウイルスに罹患した人の有機化合物に反応することを、
座るということで人に受け取られやすいように示すことができる犬たちにとっては、
日常生活において人の様々な有機化合物の匂いの変化に反応しているんだと思われます。
落ち込んだり弱っているときに犬が寄り添ってくれる。
時間が読めるかのように飼い主さんの帰宅がわかる。
犬嫌いな人に対して吠えたり、避けたりするなど、
人間にとってはどうしてこういうことがわかるんだろうということは全て、
人とは違う情報処理能力の賜物だと言えるでしょう。
人間は情報処理の約80%を視覚から得ると言われているほど視覚に頼って生きている生き物です。
犬は嗅覚の世界に生きる生き物です。
その情報がどのようなプロセスを経て得られているのか、
それを伝達しているのか、それを処理しているのか、
私たち人間にはその仕組みは人間である以上、絶対にわかることはないのだと思います。
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嗅覚と視覚、違う世界に生きている人間と犬が互いに協力し、
補うことでお互いの生活を高め、人と犬との歴史は今まで成り立ってきました。
警備という分野では犬たちは親子ごめんになりつつある昨今ですが、
探知の分野では到底人間では立ち打ちできない嗅覚という得意分野を生かして活躍できる犬たちは、
やはり我々人類のパートナーと言えるのではないでしょうか。
その最良のパートナーたちにとって最良の生涯を与えてあげたいですよね。
それが人々の生活のために彼らの能力を十分に発揮してくれる犬たちに対して、
私たちができる恩返しだと私は思います。
いかがでしたか。今回はコロナ探知研についてお話をさせていただきました。
最後まで聞いていただきありがとうございました。