ポッドキャストで3/16にアップしたMP3ファイルを削除しました。
[ポ] クリエイティブ・コモンズに対応した楽曲のポッドキャスト配信
本当は削除する必要はなかったのかもしれませんが、あえて削除してみました。
クリエイティブ・コモンズに対する理解が僕自身も、社会からも深まれば良いなあと思い、あえて行動し、考えを書きたいと思います。
最後に流した曲は、クリエイティブ・コモンズを設立したローレンス・レッシグ氏の講演をサンプリングした曲です。
set list:
- HOPE / BURNT SIENNA TRANCE
- Tuesday Beats(Splash Ver.) / YBR Track
- Kids Ride Free/ dj_beast
クリエイティブ・コモンズの楽曲
以前からクリエイティブ・コモンズについては知っていたし、このブログにもライセンスのバナーを貼り付けていた。しかし、ポッドキャストをやり始め、改めてちゃんと内容を読んでいくと、大して理解していなかったことを思い知らされた。
ライセンスを提供するということなので、提供する側にも責任とリスクが生じるわけだが、少し無防備だったかもしれない。ただ、理解して改めてライセンスの提供の重要さも分かってきた。
ポッドキャストの実態であるMP3ファイルの削除の経緯はこうだ。
まず、GarageBand Users Clubというサイトが、投稿作品をポッドキャスト形式で配信したことを知る。
投稿は毎日のようにあるのでほとんどがアマチュアといえど、ポッドキャスト用のソフトに登録しておけば、かなりの数の楽曲が自分のiTunesに流れ込んでくることになる。これだけでも素晴らしいことだ。
PodCastingに全面対応いたしました!!GarageBand Users Club : ニュース
しかも、サイトをよく見ると、投稿され、配信される作品がそれぞれにクリエイティブ・コモンズのライセンスを提供している。これは凄いことだと思った。かなりの数の楽曲が、使用許諾の条件の下で、自由に複製、頒布、展示、演奏などが行うことが出来るわけだ。
そのなかには、公衆送信というものも含まれていた。公衆送信とはサーバーにアップしてダウンロード可能な状態にすることで、ポッドキャストもこの公衆送信にあたると思われる。つまり、ポッドキャストの中で楽曲を使用できるということだ。もちろん、著作者を明らかにすることで。
そして、楽曲を聴いてみると、なかなかいい曲もある。ということで早速、ポッドキャストの中で紹介をした。
GarageBand Users Clubからメジャー・デビュー
GarageBand Users ClubからiTunesに送られてくる楽曲を聴き、気に入った曲を探し、ポッドキャストで紹介するというスタイルが定着しそうなそのとき、GarageBand Users Clubで1つのニュースを見つけた。
速報!!marsさんメジャーデビュー!!GarageBand Users Club : ニュース
marsさんの曲は、ポッドキャストで初めて紹介したGarageBand Users Clubからの曲。ここからメジャー・アーティストが出現したわけだ。それ自体は素晴らしいことで喜ばしいことだが、気になる文面が。
実は今日、レコード会社とのミーティングがあり、今年正式にCDを出すことが決まりました。
そこでレコード会社のほうから、ネット上にある私達の曲を削除してくださいとのことで、
さきほど私のヴォーカルものは削除させていただきました。GarageBand Users Club : ニュース
さて、僕はポッドキャストで曲を紹介しちゃっているが、どうなんだろう?
実際、このニュースを読んだのは偶然だ。もし、過去のクリエイティブ・コモンズのライセンスに基いて楽曲を使用して、途中でライセンスの条件などが変わった場合はどうするのだろう。そもそも僕がこのニュースに気づかなかったらどうするのだろう。
疑問を持ちつつも、marsさんに直接メールを送ってみた。どうしたら良いだろうかと。
返事はすぐにいただけた。レコード会社に確認をしていただけたのか、本人の判断かは定かではないが、曲をフルに聴ける状態は問題があるようだとのこと。
メールを送りながらも、僕もいろいろ調べていたので、疑問となるところもあったのだが、削除することにした。本当であれば削除する必要はないのだ。しかし、著作者本人の意思を尊重したわけだ。
ライセンスの期限は永久的
さて、過去にクリエイティブ・コモンズを提供した楽曲が、ライセンスの形態を変えた場合はどうなるのか。
クリエイティブ・コモンズのライセンス条件は途中で変更は自由である。ライセンスの提供を止めるのも自由だ。この場合、ライセンス提供自体を止めることとなる。
さて、提供を受けたものは、その変更を随時チェックする義務はあるのだろうか。答えは、ない。
それどころか、途中でライセンス条件に変更があっても、自分がライセンスを受けた、つまり使用した時点でのライセンス条件は永久のものである。
だから、本来はクリエイティブ・コモンズでライセンス提供をしていた楽曲を使用した僕のポッドキャストは削除する必要がないのだ。使用時点でのライセンスに基いているわけだから。
きっとメジャー契約の条件でウェブ上の楽曲の削除が盛り込まれていたのだろうと思う。僕もポッドキャストのMP3を作るのに手間はかかっている。簡単に削除するのも悲しいものはある。あえて知らない振りでアップし続けることも可能だ。そして、それはちゃんと合法でもある。
しかし、あるニュースを思い出した。
権利の世界というのはややこしいもので、アーティストの過去の音源が他人によって勝手に商品化され、それを止めることもできないということがある。今回、その「被害」を受けたのはYMOだった。YMO「過去の作品や音源は、ぼくたちの手を離れ、時にぼくたちの意図しない商品となって世に出ていくことがあります」 [絵文録ことのは]05-03/19
非商用だとしても僕がアップし続けることで、著作者であるmarsさんを煩わせるのもどうかと思った。
ただ、クリエイティブ・コモンズでライセンス提供をするということは、楽曲に対して「永久的な」使用を許可することになるということの認識が、提供者側に薄かったのかもしれない。レコード会社との話し合いで取り上げられるべき話題だ。
とはいえ、その点でmarsさんを責めるつもりはない。おそらく、このことをちゃんと理解している人は少数だ。僕も含めて。きっとレコード会社の人もだろう。
そして、レコード会社のほうとしても、ウェブ上の楽曲の削除を求めるのは、今の段階では普通のことだろう。
クリエイティブ・コモンズでのライセンス提供と、CD販売は十分に共存する可能性はある。それどころか、メジャー・アーティストならではのメリットもあると思うのだが、そこまで考える段階ではないのだろう。現状の音楽ビジネスでは。
取り合えず、今回は著作者の意思を尊重してみることにしました。
こんなこともあるんだなぁ、とポッドキャストの難しさも実感。でも、音楽の紹介をしづらいとも感じながらも、やめるのもどうかと思うので、続けるつもりではあります。