法律や契約の面倒なところは、書面にしたときの解釈によって捉え方が変わってくるところだ。
ポッドキャストの中で曲を流したり紹介したりとしているわけだが、これもクリエイティブ・コモンズのお陰である。
通常、ポッドキャストの中で楽曲を使おうとすると、著作権者なんかに許可を取ったりなどの煩雑な手続きが待っているわけだが、著作権者があらかじめ、利用許諾を示すというものだ。
そのとき、個々の作品において条件を設定して利用許諾を示すわけだが、この利用許諾の解釈だ。
ここで疑問なのが非営利目的利用と二次的著作物禁止なのだ。
追記:
ポッドキャストでの配信も付け加えてみました。
ライセンスの条件
いつも聴いているポッドキャストGoing My Wayで、楽曲の紹介がされていた。僕も前に紹介したサイトMusic 4 iPodsからの選曲である。
僕もMusic 4 iPodsから選曲を考えている。ちょっと先を越されたが、正直嬉しかったりした。ただ、ちょっと番組が長くて30分を超えていたのはどうかなとは思ったが。
さて、とはいえ好意的に聴いていたのだが、ポッドキャストの後にテキストでだがポッドキャストの中でクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの曲を使うことについての記事があった。
Creative Commonsのライセンスを適用した音楽を使う場合に懸念されるのがどんな風になら使っていいということでしょう。Going My Way: 音楽に使われているCreative Commons の考え方
とくに、Music 4 iPodsのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの条件は比較的厳しいもので、「Attribution-NonCommercial-NoDerivs 2.0」というものである。
「Attribution」というのは帰属。著作者名の表示だ。僕はウェブサイトでリンクとともに表示し、ポッドキャストファイルのID3タグの中にも表示している。
「NonCommercial」というのは非営利。商用目的じゃ使っていけないというもの。実はここも非常に疑問。
「NoDerivs」というのは派生禁止。この作品からの二次作品を作っちゃいけないわけだ。
バージョンが2.0と2.1で少し違うし、Music Sharing Licenseと一般のライセンスの違いがあるが、日本語訳されたもののほうが分かりやすいかもしれない。
(Attribution-NonCommercial-NoDerivs2.1日本語訳:Creative Commons Deed)
Going My Wayで取り上げられていたのは、このNoDerivs。派生禁止の部分。
派生禁止をどう解釈するか
問題と思われるのは、例えば10分のトークのBGMとしてずっと曲をボリューム下げて流しているような場合はライセンスを見て考えるに、this includes synching the music to a moving imageという部分に引っかかるような気がします。Going My Way: 音楽に使われているCreative Commons の考え方
この場合、僕のポッドキャストではまともに当てはまる。まさにそのような使い方をしているからではある。しかし、僕の解釈では派生禁止に当てはまるとは思わなかった。
以前にこの部分は考えたことがある。派生禁止の作品に声をかぶせることは、改変になって二次的作品になってしまうのか。
まず、ポッドキャストの放送が純粋に「作品」であるかどうかも疑問なのだが、クリエイティブ・コモンズの定義する二次的著作物にはあたるかもしれない。
しかし、はてさて、曲を流しながらその上で喋ることは改変なのかどうか。
イントロ部分で曲の紹介をしながらその後曲を流すという普通のラジオのような使い方であれば問題はないでしょう。Going My Way: 音楽に使われているCreative Commons の考え方
たしかに、普通にラジオでの紹介では多いパターンではあるが、イントロも楽曲の一部。アーティストの立場からすれば、イントロだって作品であり、かなり重要な部分でもある。歌が無いから声を重ねても良いという理論はおかしい。インストの曲なんかはどうだろう。
喋る内容が音楽を紹介するというものなら良いのだろうか。いや、どうなんだろう。
僕の出した結論はこうだった。
「オレの作品は人間の声なんか載っちゃったら作品が台無しだ」なんていうアーティストもいるかもしれないが、通常であればそこまでは言わない。たぶん、そんな人はクリエイティブ・コモンズで作品を提供しないだろう。
どんな場合に派生禁止を選ぶのだろう。
たぶん、自分の音楽作品はまずはこのままで聴いて欲しい。リミックスしたり、サンプリングしたり、映像を載せてビジュアル作品にしたりする場合は一度相談をして欲しい。そのかわり、著作者の意図のままの作品は自由にダウンロードしたり配布してもらってよい。そんな場合じゃないだろうか。
ポッドキャストで紹介しながら話のバックで流すという行為は、そこにアーティスティックな意図はない。あるとしたら編集者としての意図ぐらいだ。アーティスティックな創作物になっているとは考えられない。
著作者が発表した作品の意図を変えた創作物に作品を改変しているとは思えない。
もし、人の声が載ったら作品がダメになる、というのであれば、ビットレートを下げて配信している時点で作品の質を下げているが、元の作品と聴き比べて同じ意図で作られた作品の認識できるものであると思う。
こうした理由からは派生作品には当たらないのではないか、と思い使ったりしてきたわけだ。
はてさて、どうなんだろう。
もちろん、著作者に確認するのが一番なのだが、海外の方なら難しい。それにクリエイティブ・コモンズの意図から外れる。コモンズを読んでの解釈を含めて自分にOKを出したわけだ。
たとえば、映画のバックにある楽曲が使われた。さてさて、通常では権利問題のクリアに時間的にも金銭的にも大きなコストがかかる。下手したら許可が下りない。けど、ここは主人公の肉付けにこの楽曲じゃなきゃいけない。そんなときがある。
そんな制約はクリエイティブな文化を創る弊害にしかならない。著作権者の権利を守るのは重要だが、ある程度自由に使えるようにしようというものだ。それがクリエイティブ・コモンズだと思っている。
だから、曲も丸々全部流さなくても、一部だけでも良いんじゃないかとも思う。派生禁止の作品も。第3者が聴いて、「あ、違うバージョンかな」とか「違うアレンジだ」と思うようなものじゃなければ派生作品とは言わないんじゃないだろうか。