なんで生きてるかっていうのは、止まってないからなんですよ。
ポーンと偶然の神様が進化のプログラムをオンにして背中を押した、その勢いが富士山の上から転がる石のようにして、ずーっといって、その途中が生きてるんですよ。
さあ、今日は東京大学にお邪魔しまして、東京大学の定量生命科学研究所ゲノム再生研究分野教授で、理学博士の小林武彦先生にお話がございます。
小林さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。どうも小林でございます。
いくつもいろんな研究を抱えていると思うんですけど、もう一回分かりやすくもし言えることがあれば、どういう感じなんですか?
簡単に言ったら、老化の研究をしてるんですよ。老化というと、いろいろな研究があるんですけども、その中で私は生物学者なので、老化して死んでいくというよりは、老化するんだけども、生命っていうのは連続してるじゃないですか。
その一個一個の個体、人から見ると、老化して死ぬっていうのは、
終わりなんだけども、そしたら、生物っていうのは、とっくの昔に絶滅してますよね。
そうですね。
でも、38億年前から今まで続いてるってことは、ずっと連続している何かがあるわけですよ。
確かに。
一番最初にできた細胞は、たぶん38億年前に1個の細胞ですよ。
それがずっと長い間進化をしながらですね、今まで来たわけですね。
その間に1回も、私も早川さん。
はい。
途切れることなくですね、ご先祖様が。
途切れてたらいないわけですよね。
いないわけですよ。もちろんそういう方も、そういう生き物もいるんでしょうけども、我々は幸いにして途絶えることなく、
ずっととにかく私たちの祖先を遡っていったら、早朝同じ人になると。そんなに遠くないと思うんですよ。
ずっといったら、世界中の人も同じ祖先になる。もっとずっといったら、世界中の生き物は同じ細胞になると。
はい。
この生命の連続性を支えているものは何だろうか。
というようなことを研究してますね。
先生、この本出されたの、2021年の4月ぐらい。ちょうど1年ちょっと経ってますけど、本当にロングセラー、ベストセラーで多くのところにも取り上げられているので、
今日はちょっとひょっとしたら切り口が違うかもしれないんですけど、この本で先生いろんなこと書かれてますけど、せっかくなので、やっぱり読んだ方もかなりいらっしゃると思うんですけど、
改めて、今日この時点で、これもっと。
ここ伝えたかったんですけど、もし感じてることがあれば、この肉声でやっぱり伝える機会っていうのは、貴重なので、いただきたいなと。
本っていうのは、ある意味、読み物ですので、読んでいただくのが多分一番よく分かると思います。
私は研究者なので、ちょっとそこに新しい理論だとか、自分なりの見方が入ってます。
それは、ある意味、本のエッセンスみたいなもので、基本的には読み物ですよ。
楽しく、ああ、こんな考えもあるんだって言って、読んでいただきたい。
読んでいただければよくって、私がその本に書きたかったことは全部本に書いたい。
それがご理解いただければいいなと思います。
死ぬ意味について、生物学的にはこういう説明もあるんだよというようなことを皆さん方にお伝えして、
もしかしたらそういうことを考えると、ちょっと気が楽になるということに対してね。
あるいは自分の過去の人、昔の人に対する見方も、あるいはこれからの人に対する見方も、
ちょっと変わってくるかなと思ってね。
要するにそのプログラムの中で、今現時点で私たちは生きている。
そのためには過去にたくさんの死があった。
私たちはまだプログラムの中で生きているから、次にも新しい生があるだろうというところを現状認識というのをちゃんとしっかり持つということは、
今をしっかり生きることにつながってくるかなと思ったりもします。
ありがとうございます。
少しこの本を読んだ方、読んでいない方でちょっと受け取り方が変わるかもしれませんが、
生きる、死ぬ、プログラムの話ありましたけど、やはり今回ちょっと伺いたかったのが、
死っていうところで、ずばり人以外に自殺する生物はいるのか。
そしてこれも先生もお答え難しいかもしれませんけど、生物学的にはなぜ人が自殺するのかっていう、
この辺りは今日伺いたいなと思ったんですけど。
なかなか難しいですね。
早川さんとか自殺したりとか。
自殺したりとか思ったことあります?
あります。
ありますか。
自殺したりとか、厳密に言うとする人の気持ちが分かったみたいな時はありますか?
誰でも、僕ももちろんありますよ。
僕も死んじゃいたいなとか。
そういうふうに思ったり、心の中でいうことで、ちょっとそれを否定してみたいという感じだと思います。
通常は自殺はしないし、先ほどお尋ねになった他の生き物の中で自殺する生き物はいるのかと。
いないと思います。
基本的に生き物は生存本能というか、逆で生き残ろうとする本能を持っています。
そちらがあるから今いるんです。
自分から死ぬっていう生き物がいる場合は多分今はいないですね、すでに。
そういうような結果論なんですけども、そういうこともあると思います。
でも時々自殺に見える行為をする生き物、生き物の世界でまず話をしますといます。
でもそれは多分…
もしかしたら何か非常なストレスを感じていたり、異常な状態、要するに疾苦があったのかもしれないですね。
選択しているわけじゃない感じのですね。
ある意味ちょっと病的な状態になって、そういった生き物は死んでしまうのがいるのかもしれません。
でも通常の状態ではそれはないですね、生き物に関してはね。
問題は人間なんですけども、人間も基本的に同じだと思います。
そうです。
そういうのは、動物にもそういうのはいるんですけども、人は社会性の生き物なんですよね。
そうですね。はい。
で、それはそんなに重大なことだとは思わないんですけども、戦争となるとちょっと話は変わってきますね。
うん。
まず、人間っていうのは残念なことに、残念なことというか、
はい。
物質が発達しすぎてしまって、動物同士の戦いっていうのは、まあ、相手が逃げたらお終いなんです。
はい。
もう、殺し合いはしない。
うん。
脅かし合いです。
はい。
で、自分の方が強いんだぞって言って、戦っても無駄だぞって言って、無駄な殺し合いみたいなのは絶対しないですね。
うん。
でも、人の場合には、まあ、変な話。兵器を作っちゃうわけですよ。
うん。
した時に、すごい数の人が亡くなったりするわけですね。
はい。
はい。
戦争っていうのは、なんか生き物の戦いとはちょっと違って、相手を本当に絶滅まで、命を奪うっていう行為は、普通、生き物はしない。
ですよね。さっきの戦いともちょっと違いますもんね。
ええ。まあ、弱肉強食で、なんか食べるとか、
食べるという。
食べられるとかいう関係のものはありますけども、通常はないんです。それ以外はね。
はい。
ですので、まあ、戦争はちょっと特殊な感じですよね。
うん。
でも、その人の歴史を見ると、ずっとやってますんで。
ですよね。
うん。
だから、戦争っていかがなものかと思いますよ。
うん。
でも、世界中には賢い人がたくさんいて、政治家にも学者にもいるんですよ。
うん。
そういう人たくさんいて、なんか教育もすごくね、一生懸命いろんな国でやってて、みんな昔に比べたら本も読めるし、インターネットの情報も得られるじゃないですか。
はい。
それでもやっぱり、戦争するんですね。
うん。
不思議ですね。
本当そう思いますね。
ね。
うん。
だから、戦争は避けられないんだな、これはね。
変な話を。
うん。
だって、こんだけ、もうある意味成熟した国が多い中でもやってしまうんだから、避けれないんですよ。
だと思うんですけど、最後の最後でいきなり大テーマになっちゃうんで、一言で難しいかもしれませんが、
うん。
まあ、このタイトル、生物はなぜ死ぬのか。
うん。
ですけど、まあ、生としては裏返しだと思うんですけど、改めて、小林武彦先生に聞きたいんですけど、生物はなぜ生きるのか。
なぜ生きるのかか。
なぜ死ぬのかは簡単で、生きてるからなんです。
なぜ生きてるのかっていうのは、まあ、先ほど一番最初にお話しした、まあ、進化が生物を作った、なぜかわかんないんですけども、まあ、偶然ですよ。
はい。
偶然の神様ね。それが、進化のスイッチをこの地球上でオンにしちゃったんですね。
うん。
そうすると、作っては壊し、作っては壊し、っていうサイクルを、ポーンと肩を叩いて。
はい。
まあ、RNAって言ってたんですけども。
はい。
ポーンとRNAの肩を叩いて、それを回しちゃったんですよ。
うん。
まあ、それは富士山の上からちっちゃな石ころを転がすようなものかもしれない。
はい。
で、その石ころがどんどんどんどん転がっていくときに、まあ、周りの石を巻き込んで、もっと大きな流れになるかもしれない。
はい。
止まっちゃうのもあるかもしれない。
はい。
でかい石ころになっちゃうのもあるかもしれない。途中で雪を絡めるのもあるかもしれない。
うん。
そんなような中での、途中の段階が、転がってる段階が、たぶん、私たちが生きてるということなんだと思います。
うん。
ですから、なんで生きてるかっていうのは、止まってないからなんですよ。
なるほど。
うん。
死んじゃないから、そのときにポーンと偶然の神様が、進化のプログラムをオンにして背中を押した、その勢いが、富士山の、まあ、私、静岡に住んでるから、富士山の例えで、もう引き押しなんですけども。
いえいえ。
富士山の上から転がる石のようにして、ずーっといって、その途中が生きてる状態。
まあ、ずーっときたら、そのうち止まっちゃったら、それは死ぬってことなんでしょうけどね。
はい。
うん。
小林武彦さんは、まあ、これしょってでもいいですし、個人でもいいですけども、まさに、あえて死ぬと言いますか、死ぬまでに、これだけは成し遂げたいことって、なんでしょう。
なあ、し遂げたいことっていうのは、まあ、基本的にないんですよ。
ない。
まあ、もちろん、自分の仕事は成し遂げたい。ただ、それは定年までだよね、変な話がね。
ああ。
ここで、ここで定年になっちゃうと、もうできないので、それまでに、その例えば、私は老化の研究をしてるんですけども、そのDNAっていうかね、ゲノムが壊れてくると、
はい。
まあ、昔から同じで、遺伝物質が壊れると死ぬんですよ。
はい。
それを、こう、繰り返してずっと進化してきたんだけど、今でも、やっぱりこう、歳をとってくると、ゲノムの情報っていうのは、だんだん壊れてきて、まあ、それで癌になったり、老化したりするんですけども、
そうですよね。
その壊れてきたときに、なんで、老化スイッチがオンになるのかなとか、いうのが、もう、それが自分の解きたいテーマで。
うん。
それを、日夜、先ほど、宇宙にどんどん行けばいいって話はしましたけど、私の宇宙は実験室の中にあって、
はい。
その老化シグナルが、いかにこう、生物を老化させて、細胞の場合には、古い細胞は殺して、新しい細胞と入れ替えさせるんですけども、
はい。
そういうことが起こっているのかっていうのが、解きたいですね。
うん。
どうしてもね。ただ、それは研究者としての自分の成し遂げたいことで、自分の生き物としての成し遂げたいことは、まあ、正直、特になくて、
はい。
まあ、だんだん深夜に近づいてくるので、
はい。
深夜の役割っていうのがあると思うんですよ。
はい。
それぞれの世代で、役割があると思うんですよ。
うん。
だから、若者は若者の役割。
はい。
で、中堅は中堅の役割。
うん。
深夜には深夜の役割。
はい。
で、私は、その、社会ってことを考えたときには、深夜の役割ってすごく大きいと思うの。
うん。
どうしてかっていうと、ガツガツしてないから。
うん。
本来はね。本来はね。
はい。
で、若い人はね、ガツガツしてていいの。
はい。
もう偉くなろう、好きな人と結婚しよう、もう金持ちになろうでいいんです。
はい。
ただ、そういう人全員だと、絶対社会っていうのはうまくいかない。
うん。
で、ある意味、そういう経験をして、自分はそんなに私欲がないぞというような人がバランス取らないと、社会ってうまくいかないんですよ。
うん。
だから、若い人には若い人、中堅には中堅の、深夜には深夜の役割があって、それで社会って結構バランス良くなってると思うね。
うん。