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2023-12-11 13:08

「自然派ノラジヲ」3回目(10/16放送) 有機水稲栽培

有機水稲栽培の概要と近代農業との関係などをお話します

サマリー

専門技術員の三木孝昭さんは、有機水稲栽培の話をしています。稲刈りは今年、通常より10日ほど早くなっており、暑さの影響も語っています。自然農法センターでは、有機栽培に取り組んでおり、有機農業と近代農業の技術がクロスする部分もあると話しています。有機農業は現在の状況では食料生産に責任を持てるほどの生産力はなく、近代農業の方が責任を持って供給しています。しかし、農薬削減やコスト削減の努力をして、安くて美味しい農産物を提供することは変わらない目標であり、共通の技術の発展も期待されています。

00:05
自然派のラジオ
このコーナーは、公益財団法人自然農法国際研究開発センターの提供でお送りします。
自然農法センターの専門技術員
さて、今日は第3回目ですが、前回までは岩堀さんに登場していただきましたが、
今日は自然農法センターの専門技術員、三木孝昭さんにお越しいただきました。
三木さん、お願いします。
よろしくお願いします。
三木さんはお米のプロフェッショナルということで、ですよね。
ちょっとドキドキしますね。そんな恐れ多いことは、なかなか自分では言えません。
稲作をずっとやってらっしゃいますよね。
そうですね。2003年から専属でずっとやらせてもらってます。
もう10月ですから、皆さん大体稲刈り終わったと思いますけど、
今年めちゃくちゃ異常に狂ったぐらい暑かったじゃないですか。
そうですね。
どうでした?稲。
そうですね。今年松本の人の話を聞いてますと、やはり気温が高かったので、
稲刈りが。
早くなってる。
ですよね。9月中にどんどん刈られちゃって。
そうですね。早く稲刈りたいのに、なかなか刈れないっていう人もちょっといたと聞いてます。
うちは平年と比べますと、多分10日ぐらい早かったですね、稲刈りが。
そうなんですか。
そのぐらいやっぱりちょっと暑さで生育早かったっていう状況ですね。
9月中に刈っちゃったんですか。
そうですね。9月に刈り終わったのは初めてです。
ですよね。
僕が研修生だった頃、10月だったよなと思って。
はい。平年は10月の5日が最後だっていう感覚なんですけど。
そうですよね。
有機農業と近代農業の結びつき
今年は28には刈り終わりましたね。
うん。はい。
へえ。でもこの暑い中でも、自然農法センターの稲は健康でした?
いや、なんとか稲の成長自体は健康でした。
例えば健康の目安としては稲穂があるんですけど、その稲穂にそれぞれもみに枝が付いてるわけなんですよね。
うん。
その枝が枯れないという事が健康の一つの指標だということと、あとは稲株の穂が付いている、葉っぱが3枚生きてる。
うんうん。
普通だとどんどん枯れ上がってしまうんですけど、そうやって葉っぱが生き残って、枝も枯れてないっていうふうになると、お米に最後まで栄養分が供給されるので、
一応健康には育っただろうというふうには見てます。
はい。
自然農法センターですから、当然有機で作ってるわけですよね。
そうですね。はい。
雑草されたりも農薬使わないんですけど、有機で稲作するのって難しそうに思います。
そういうふうに思っちゃうんですけど、どうですか?
はい。実際難しいと思います。
やっぱり有機栽培で一番問題になるのが、結論言うとやっぱり雑草なんですね。
ただ、僕は農業で生計を立てているわけではないし、サラリーマンとして研究をさせてもらってるので、いろんなチャレンジができるんですね。
失敗もすることができます。
それをいろいろ見ていると、
ポイントを押さえると実は簡単だと。
ただ、そのポイントを押さえることと、あとはその地域の環境、例えば水がいつまで使えるのかとか、そういうこともひっくるめて、整ってるかどうかっていうのも関係はしてくるかなと。
なるほど。
そこら辺が共有されると、意外と難しくないというのは私の考え方です。
そうなんですか。すごく難しいなって勝手に思っちゃってたんですけど、ポイントを押さえればちゃんとできると。
そう思ってます。
はい。
最近、化学肥料の高騰化なんか言われてるじゃないですか。
有機稲作、今ちょっとチャンスですよね。広がるチャンス。
そうですね。国の方でやっぱり緑の食料システム戦略っていうのも上がってますので、これから広げざるを得ないというのが状況だとは思います。
そういうとこで、この自然農法センターでお米の有機農法の研究をしているので、世の役に立ちそうなことをやってらっしゃいますよね。
そうですね。
有機稲作自体は、環境に優しいって言われるということと、安心安全だっていうことをよく取り上げられるんですけれども、やっぱり収量が安定しないというような問題があります。
一方で、今の近代農業においては、環境問題は昔あったにしても、今ずいぶん改善されていて。
そうですよね。
環境負荷を小さくしているっていうのは、やっぱりすごく努力されていると思うし、あとは食料を安定的に供給しているという面では、もう頭が上がらないっていうところなんですね。
ちょっと余計な話なんですけれども、有機農業技術っていうのは、もともと家でいうと土台がきちんとしっかりした上で、その上に上物を載せていくっていう形で、生育促進技術だったり、
それをどうやって抑えるかっていう技術がようやくうまくいくんですよ。
ところが、その基礎の部分が意外と共有されていない。
なんで脱線するような話をしているかっていうと、今の近代農業も、実はその基礎の部分においては、大規模化とか効率化で、ちょっと大事なのはわかってるけど、あまり手をつけない。
ないがしろにされがちなところなんですね。
ないがしろっていうところまでは、ちょっとなんか言いにくいんですけど。
でも、実はそういうことをきちんとやっていくと、実は農薬の量とか化学費用の量も減らせるわけなんですよ。
ってことは、実は有機栽培と今の近代農業の技術も、結構クロスする部分になって、そういう意味で僕は、今やってる研究を有機農業のためっていうよりは、農業のためになるようなことを発信していきたいなというふうには思っています。
すごい、そんな志を持って。
一応ね、綺麗言を言うと。
遊ぶの大好きなんですけど。
そうか、じゃあ重なるとこあるんですね。別に敵対するものではなくて。
全然ないですよ。結構共通するところがあって、やっぱり有機農業のことを江戸時代の農業に戻るんだっていうような発言をされる方がいるんですが。
たまにいますね。
実は全然そんなことないんですね。江戸時代は収穫量が10アールっていう1000平方メートルですね。
うん。
で、昔は150から180キロぐらい。
めっちゃ少なくないですか。
そうですね。で、今有機は少なくても300キロ。で、多いと600キロとかちゃんと取れてるわけですよ。それは何でかっていうと、やっぱり機械化された、圃場整備が進んだ。
あとは化学肥料を多投して土壌改良した後に我々が使わせてもらってたり。
じゃあもう窒素やら何やらが下にあると。
そういったいろんなものが蓄積してるっていうところでやりやすくなってる。あとはやっぱ品種改良大きいですよね。
そうですよね。
だからもう全然当時のレベルではないんですよね。
じゃあ昔に回帰するわけじゃなくて、化学的にも進んだ状態でやるからこそうまくいくと。
そうですね。で、それは実際のところを言うと有機農業も近代農業の実は恩恵を受けている。歴史的には恩恵を受けているっていうことは、
有機農業やる人たちも理解というか、共有する必要はやっぱあるだろうなというふうには思いますね。
なんか僕のイメージなんですけど、有機農業ってカウンターカルチャーから始まっているところもあるじゃないですか。
そうですね。
だから結構カタクナなタイプの人多いじゃないですか。
そういう方もいらっしゃいますね。
有機農業の回転を。わしのやり方みたいな。あとなんか近代からどうのこうのみたいな。
でもちゃんと恩恵を受けているっていうことを知った上でやると、
うまくいくし、柔らかい有機農業が広がっていきそうですね。
そうですね。で、今それこそ多様な世界っていうことを尊重するような世の中なので、僕はそれぞれ役割があると思います。
有機農業と近代農業の責任
やっぱり有機農業はどうしても今の状況では、食料生産に責任を持っている(持ち得る)立場には実はない。
収量的にっていうことですか。
そうですね。収量的にも流通の量としても、どうしてもそれは難しい側面。
そういう側面を抱えているので、やっぱりそこは今の近代農業をやっている方たちが責任を持って供給していて、
我々の生活も成り立っているところから考えれば、それはあまりいろいろ言ってもしょうがないんじゃないかな。
やっぱり近代農業の方たちも努力されているんですよね。
そうですよね。
農薬削減量を考えるとか、化学肥料も今高騰していますから、
どうしても今度有機の肥料も使いつつ、コストを下げていく。
安くて美味しいものを皆さんに届けるってことは、これからもきっと変わらない。
そうですね。
とは思いますしね。だからお互いできることを、やっぱりより良い社会になるように、
それぞれがやっぱり努力して、認めて使える技術はお互い交換していきましょうっていうような。
共通技術も先ほど言ったようにあるわけなんで、そういうような発展の仕方があると、
いいなというふうには思ってますね。
いいですね。初めてそういう考え方を聞きました。
本当ですか。
近代農業、有機農業って結構溝がある気が僕(は)してたので、あんまりそこの交流って聞いたことないんですよね。
そうですね。ともすればそういうふうになりがちなんですけど、例えば自然農法を提唱した人が2人いて、
福岡正信さんと岡田茂吉さん。
はい。
そのセンターは岡田茂吉さんの流れを組むんですけど、彼は壁は作らないでほしいと。
要はやっぱり何か組織を作ったり、仲間を作って、それで壁を作ってしまうと、そこから外に出る人たちをどうしても敵対関係として見てしまう。
そういう嫌いがあるんだと思うんですね。仲間意識が強いからか、そう。
戦争が起こる理由も一部それがあるっていうようなこと。
ほんとそうですね。
ずいぶん前NHKでも特集で組んでましたけど。
それはあると思う。
でもそれはそれで、便宜上は組織を作ったり、こういうものをやっていこうってやるのはいいんですけど、それを持ち上げて対立をするっていうのは創始者というか、岡田茂吉さんは望んでいなかった。
っていうようなふうに私は彼の書物から理解しているので、ならそういうことを仕事として、研究として取り組むんであれば、そういう姿勢にならなきゃいけないなっていうふうには自分は思っていたっていうことですね。
壁を作らないでやるっていうことですね。
極力ね。どうしても作っちゃうんですよ。人間ですからね。
そうですね。うちに閉じこもる部分もなくはないけど、なるべくそれをなくしていってやるってことですね。
そうですね。
それってやっぱり善と悪ってあって、例えば先ほどのね、有機と慣行っていう、近代農業っていうふうに考えたときに、いや、近代農業は健康問題とか環境問題にすごく負荷かけてるじゃないか、危ないじゃないかっていうようなことがあったときに、有機農業はその立場から立つと、健康や安心安全環境保全やってますよね。
正義ができるわけですね。
有機農業と共通技術の発展
そうですね。一方で、食料生産って考えたときには、どうしたって今の近代農業の方が正義が立つわけですよ。
そうですね。
一面性を見て評価してしまうと、今みたいな対立軸って生まれるんですけど、二軸三軸っていうふうにものを見ていくと、あっちが立てばこっちが立たないんですよね。そこそこね。そこそこいいところもあるかも。中途半端なところもあるかもしれないけれども。
やっぱり一元的なものの見方で、いい悪いを議論しない方がいいなって。
偏っちゃだめってことですね。
と思いますね。それぞれの良さ、それぞれの苦手なところっていうのは必ずあると思いますんで。
そうですよね。右端と左端によるのは良くないですね。
バランス感覚はどうしてもいるかなって思います。
そうですね。
ということで、今週は深いお話を伺いました。
来週から有機農法の中身についてちょっと伺っていきたいと思います。
はい。
お願いします。
はい。ありがとうございました。
ありがとうございました。
このコーナーは、公益財団法人自然農法国際研究開発センターの提供でお送りしました。
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