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2024-12-23 09:56

heldio #156. なぜ send - sent - sent なの?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #不規則動詞 #3単現 #過去形
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、なぜ send-sent-sent なの、という疑問です。
これは、いわゆる不規則動詞のタイプの一つということで、NDを持つ単語ですね。
これがNTという過去形、過去分詞形になるというもので、この send-sent-sent のほかですね、
bend-bent-bent であるとか、lend-lent-lent であるとか、
Rで始まるlend-lent-lent というのもありますし、それから wend-went-went というのもあります。
この最後のものは実はですね、語の過去形の wend ということなんですが、
これはもともとですね、wend というのは、wend という、これも行くとか向かうというですね、語の類義語ですが、
そういった意味を表す動詞の過去形なんです。つまり send-sent-sent のタイプなんですが、
この wend だけが一人歩きしてですね、go の過去形の位置にスポットはまってしまったというケースなんですね。
広く言えば、これ send-sent-sent と同じタイプだということです。
他には LD で終わるタイプの build-built-built というのもありますね。
このように、終わりが D で終わっているわけなんですけれども、
過去形、過去分詞形では、これが無声音の T に化けるというのはいくつかありますよね。
ところがですね、これ英語詞的にもですね、よくわかっていないんです。
謎なんです。なぜ D であったものが T になるのかということですね。
先に言っておきますと、英語詞的にも未解決ということで、ここから示していくのはですね、
一つの説に過ぎないということで、必ずしも強い説得力を持つようなものではないので、
全体としてはまだよくわかっていないというのが正直なところなんですけれども、いくつか説を考えてみたいと思うんですね。
通常、過去形、過去分詞形の語尾っていうのは ED と綴られるように、この ED とか D という D の音ですね。
この有声音である D という音が基本で、T という無声バージョンの音というのは、
あったとしてもマイナーといいますか、あくまで発声して、D から発声して T ができたんだという考え方で、
デフォルトは D とか ED っていうことなんですね。今回問題になっている単語のように、
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もともとの語尾が D であるときに、過去形、過去分詞形が T になると。
Send、Sent、Sent の類いですが、これはなぜかということの一つのヒントは、他にも過去形、過去分詞形で T が現れる、
そういう動詞がいくつかあるっていうことです。
例えば Feel, Felt, Felt であるとか Keep, Kept, Kept の類ですね。
これらは、もともと最後に D を持っているわけではありませんので、Feel, Keep っていうのは。
なので、今回話題にしている Send, Bend, Lend, Rend, Wend, Build とはちょっと違うタイプなんですが、
少なくとも D ではなくて T で終わる過去形があるというのが、これが一つのモデルになって、
今回問題になっているこの Send みたいなものにも波及して、いわゆるこれを類推作用、アナロジーというんですが、
他に T で終わる過去形があるから、ここにも適用してみたんだと。
つまり Send, Sent, Set というふうに、こんな説明があったりするんですね。
ただ、どうも取って付けたような感じがしないでもありません。
ここで考えるべきは、問題になっている Send, Bend, Lend この類 N, D で典型的に終わるものですが、
これは実際にはもともと ED が付いたんですね、ちゃんと。
つまり Sended という形だったりするわけです。
これが使われていたのになぜ Sent になったのかということですね。
Bended という形で Ed という ED が付いてたんですが、
たとえこの E の部分ですね、母音部分が消えたとしても、
Send にさらに D が付いて Send というふうに、D が2回発音される Send っていう形で、
長く2回ですね、あるいは2回分の長さでといった方がいいですかね。
長く発音されるんだって言うのであればわかるんですが、このずずっと続いたやつがですね、
なぜ T という無声音に化けるかっていうのはうまく説明できないんですね。
なので Sended っていうのが前段階であったわけなんですが、
これをどうひねくってもですね Send という形は出てこないっていうのが、
英語詞的にはですね、結論なんです。
なので悩んでしまうっていうわけですね。
つまりどう考えてもですね、この T という無声音は出てこないというのが結論なんですね。
ここでいろいろ考えなきゃいけないっていうことで、
なぜ T が出るのかっていうことをいろいろと推測してですね、
こんな案を出してきた研究者がいるんですね。
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この T というのは、いわゆる三単元の形から来たんではないかっていうことなんですね。
動詞の三単元といえば、現在でもですね、あるように S をつけるわけですね。
あるいは ES をつけたりして Es って発音です。
ですがこれ古くはですね、中英語期ぐらいまでは、これ S ではなくて TH の語尾だったんですね。
さらにその前に母音もあって、典型的に ETH みたいな F F というような音だったんですね。
これが三単元の語尾だったんです。 ETH。
この TH の音も無声バージョンです。
つまり S S っていうことで、決して Es という有声バージョンではなく S だったって言うんですね。
そうすると、例えば send とか build で言いますと、これに三単元形を作ろうとするとですね、
ETH をつけるわけですから、 sendeth, buildeth というような形になるわけですよ。
さあここまではまあいいで。
その後、この ETH の E の部分ですね。
この E の母音で表される部分がだんだん省略されてきて、
send なり build なりのこの最後の D の部分と、この三単元語尾である TH が接続することになります。
そうすると sendeth っていうのが本来の形ですね。
あるいは buildeth という TH の形です。
D は有声音です。
TH は無声音です。
しかも舌を使う位置がちょっと違います。
D というのは歯茎に舌を載せるんですね。
一方、TH というのはよく知られている通り、歯の隙間と言いますかね、歯と歯の間に当てるって言うので微妙に違うんです。
この D の音と TH、そこそこ似てる音なんですが、ちょっと特徴が違うっていうことで、お互いに影響し合うんですね。
これは音の同化っていう、お互いに似てくると、そこそこ最初から近い音がさらに似てくるっていう現象なんですけれども、これによって TH がまず D に近い、T の音に化けると。
今度は DT となってしまいますので、この T がこの無声音であるよという特徴を D の方に影響を与えて、この D 自体も T という無声音になると。
そうすると、センツツみたいに T が2つ重なると。
T が長く読まれるっていうことになりますが、これも面倒なんで、最終的には1個の T になってしまうと。
つまり、センデスとかビルデスから始まったものが省略を経て、さらに音の同化によって、センツ、ビルツっていう風に T 音で終わるようになったって言うんです。
ただ、ここまでは音声学の理屈で、実はそこそこある現象なので、これは認められるということになっても、問題は三単元の S と言いますか、TH ですが、の話で始まったわけなんですが、
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今回の問題はあくまで過去形とか過去分子形の話で、三単元とは全く違うじゃないかっていうことなんですね。
このあたりが三単元でセントとなったから、過去形、過去分子形でもセントとなったんだっていうのは、ちょっと受け入れがたいということになりますね。
このような難しい問題がありまして、これぞ定説というような説明は、いまだになくて、なぜセント、セント、セントなのかという今回の問題は、まだ解かれぬままにお預けということになります。
それではまた。
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