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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を癒やしなっていただければと思います。
今回取り上げる話題は、ed の3つの発音、についてです。
ed という語尾、これを聞くと、規則動詞の過去形であり、過去分詞形である、この ed の語尾、これが頭に浮かぶと思うんですね。
綴りで書くと、すべて ed ということなんですけれども、実際の発音では、実は3つの表れ方をします。
つく単語ですね。動詞なわけですけれども、この動詞の最後の音、これに応じて、この ed の部分の発音が3種類に分かれるということなんですね。
これ、今まで意識したことがなかった場合には、これ聞いて、あ、そうだったのかと思うかもしれませんし、
すでにこの3つの発音、どういう時にそれぞれの発音となるかということについて、文法書なんかで学んだことがあるという人にとっても、発見の多い解説にしたいと思うんですね。
これ、英語詞的に見ると、非常に面白い現象なんです。
まずですね、d って発音があります。
d だけですね。ed と書いておきながら、実際には発音されるのは、d の部分だけ。
これは例えばですね、played とか moved というふうに、play, move の後に、そのまま d って音をですね、これを加えればいいんですね。
played, moved というような形ですね。
次にですね、この d の詩音がですね、無声化する、澄んだ音になる、つまり t の音を t っていう音になるんですね。
これがありますね。例えば looked, watched のように、look, watch という語の後に続く場合には、ed と書きますが、実際には t と書いた方がいいような発音。
looked, watched ということで、d ではなくて t の発音になるわけですね。
そして三つ目が ed まさに ed と書くわけですから、そのままに近いですね。
ed というふうに、母音があって、その後に d が来るという、つまり一音節だいたい増えるわけですけれども、こういう例がありますね。
例えば visited とか minded のような形です。
さあそれでは、d と t と、それから ed という、3種類の発音があるってことは分かったわけなんですが、
じゃあどれがどういう場合に使われるんだろうかということを、理屈でまず整理してみますね。
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これは文法書なんかでも必ず書いてあることなんですが、まずはですね、基本は d と考えた方が良いというふうに言われるんですね。
played, moved のように、基本は d ですよと。
ただし、この動詞の末尾ですね、これが無声音の場合ですね。
例えば look という音です。
これに対して有声音というのは g になりますね。
k に対する有声音は g ということです。
つまり k と g っていうのは、無声有声という違いなんですね。
同じように watched という場合の watched これは無声です。
これに対する有声音は g って音ですね。
このように無声音で終わる場合には t をつけてねと。
t っていうのも無声音なんですよ。
つまり無声音で終わる動詞ですね。
この後につく場合は ed もこれも無声音で t のように発音してねということなんですね。
一方そうじゃない場合、つまり単語の語尾、動詞の語尾が有声音で終わる場合、
例えば play みたいなこの i ですね。
母音はすべて有声音です。
だから move のように有声音の場合ですね。
これの無声バージョンは f なわけです。
だからこれは move なので有声音ですね。
なのでこういう場合には同じ有声音の d というのが続くのが相応しいということです。
つまりマツビが有声音であれば有声の発音 d ですね。
無声音であれば無声の発音語尾 t ですね。
この t っていう音。
これをつけるんだということである意味一貫しているわけです。
最後にこの3つ目 id って発音するのはどういう時かというと
visited とか minded のように語尾自体が語尾と言いますか、
この単語の動詞のマツビ自身が t とか d で終わる場合にはですね。
id という形で母音をはまみ込む。
その方が発音しやすくなるという理屈です。
そうじゃなかったら visited に t がつくことで
visited っていう風に t が2回続くことになりますね。
あるいは minded に d が続くだけだったら
minded となって d が2回続くことになって
これ1回なのか2回なのかっていうのは非常に微妙な発音の問題ですので
言ってしまえばこの動詞の現在形あるいは現形と過去形が
区別できないぐらいの状態になってしまうわけで
ここは id とすることで音が merge してしまうのを避けるっていうようなね。
こんな言い方で大体説明されると思うんですね。
なので基本は do だけども動詞のマツビが無声音の場合は
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語尾自体も無声音にして t にしてあげてください。
さらに動詞のマツビが t とか d で終わる場合には
かぶっちゃうので id をつけて to とか do とするとかぶっちゃうので
それを避けるために母音を挿入して ed とやってあげてください。
そうすると発音もしやすいですし聞き取った場合にも
ちゃんと ed の部分が過去形だなと響いてわかりやすい。
そういう理屈で説明されることが多いんですね。
基本的にこの理屈というのはちゃんと通用していますし
これで覚えておけば良いっていうのは間違いないんですけれども
英語詞的に見るとですね歴史的に見ると
全く違う風にこの3つの使い分けというのは見えてきます。
そもそも英語詞的には綴りを見ればわかるように ed なんですよ。
ed なのに大抵の場合この e の部分が発音されないわけですね。
do とか to だけで。
だけれどもスペリングにちゃんと ed とあるからには
これかつてはちゃんとこれ発音したんだ。
どんな場合にも ed のこの e は発音したんだということになります。
実際これはですね古英語中英語そして近代英語記までですね
ちゃんと発音されていたんです。
つまり looked ではなくて looked という風に発音されたし
watched ではなく watched という風に
二音節で発音されたっていうことなんですね。
もちろん played とか moved となっているのも ed がありますから
本当は played とか moved のように
二音節あるいは少なくとも二音節近い発音でですね
発音されてたんですもともとは。
そしてもちろん visited minded も二音節で発音されていた。
実際現代でもこれに関しては二音節で発音されるわけですよ。
visited minded
つまり歴史的に起こったことはどういうことかというと
すべて ed は ed という風に発音されていた。
つまり現在の visited や minded のように
id で発音されていたんです。
それが t で終わらない単語ですね。
t で終わらない動詞が使われて
その後に ed がつく場合にはある種の簡略化です。
これによって母音が消えて do になったんですね。
ed ではなくて do になったんです。
さらにその動詞の末尾が無声音の場合ですね。
無声シーンの場合にはこの do になったやつが
t にさらに化けて looked, watched のようになったということなんです。
つまりこの放送の前半で説明した
この解説の仕方ですね。
これはこれで間違いではないし
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ちゃんとですねこの3つの使い分けできるようになりますが
歴史的にはこう考えた方がいいです。
もともと ed だったんだと。
ところが語尾が t じゃない場合には
簡略化されて ed のこの e の母音部分が省略されて d だけになっちゃった。
さらに死音で終わる動詞につく場合には
これがさらに do が to になっちゃった。
ところが最後が t
動詞自体が t とか d で終わる場合には
ed のまま残しておいた方が
変化して縮約しない方が
発音もしやすいし聞き取りもしやすいということで
残ったってことなんです。
つまり visited や minded は今となってはですね
少数派で不規則というかね
第3の ed の発音なんですが
実はこれがオリジナルということなんですね。
驚いた。ではまた。