literallyの使用法の考察
おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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今回取り上げる話題は、文字通りの意味で用いられない literally、
という話です。 この literally という英単語、もちろん文字通りにという意味を表すわけなんですが、実はこれが文字通りにという文字通りの意味で用いられるっていうことは、実は非常に少なくて、むしろですね、反対の意味、文字通りの意味での反対っていうのは、例えば比喩的に、比喩的な意味でとかいうことなんですが、
実はこちらの方で用いられることの方が多いんじゃないか、という話題ですね。
例えば典型的な用例、例文を挙げてみたいと思うんですね。いきます。まず一つ目。
When I told him the news, he literally exploded. なんていう時、私が彼にそのニュースを教えてあげた時、彼は文字通り爆発したっていうことなんですね。
これ、体が物理的に爆発したと解釈する文字通りの読みっていうのは普通ありえなくて、この場合の exploded っていうのは比喩的に激行する、怒りくるっていうことですよね。
つまり literally と言っていながら、これは文字通りに爆発したんではなくて、むしろ比喩的に爆発した、つまり激行したという意味なんですね。
反対の意味であると。つまり辞書的には文字通りにということなんですが、実際に使われている例文では比喩的にと解釈した方が良い、そういう使い方になってますよね。
他の例文を挙げてみたいと思いますが、It literally rained cats and dogs.
比喩的な例文の紹介
この rain cats and dogs っていうのは、イディオムで土砂降りが降るっていうことですよね。
つまり文字通り土砂降りだったと言いたいわけなんですけれども、これ literally というのを文字通りに、本来の意味で取るんであれば、猫と犬が降ってきたというようなことになるので変なわけですよね。
むしろ、そもそもが比喩的に使われているイディオムの rain cats and dogs の意味を強めている。
つまり比喩的な意味を強めているっていう意味では、比喩的に言えばというぐらいの意味で、あるいは比喩を強調して言えばぐらいの意味の literally なわけですよね。
で、他に I literally jumped out of my skin.
Jump out of my skin っていう言い方ですが、これも喜びとか怒りで飛び上がるっていうことなんですが、これ、皮を脱ぎ捨てて飛び上がるっていうような、これが本当に文字通りだったら大変なことになってしまうので、当然文字通りに言ってるわけではないっていうことですね。
もう一つぐらいあげようと思うんですが、He missed that kick literally by miles.
ボールをキックしてミスしたんだけれども、それが何マイルも外した。文字通り何マイルも外したって言うんですが、例えばサッカーのゴールに向けてですね、何マイル外すってことは文字通りにはありえないわけで、何十センチとかせいぜい何メートルっていう意味ですよね。
これをliterally by miles なんて言ってるのは、もう非常に大げさに言ってるっていうことで、つまり文字通りじゃないっていうことが明らかな例文になってるわけですね。
つまり比喩的に言ってることを強めているので、決して文字通りではないっていう、こういう使い方、いくつかあげてみました。
このように文字通りにという辞書的な本来の意味とは全く異なる、むしろ逆の使い方で使われてるじゃないかっていうツッコミが通用するような例をたくさんあげましたが、もちろんですね、本当に文字通りにの意味で使われる例もあったりするからややこしいんですね。
例えば、こんなのどうでしょうね。
例えば、戦争の責任者を指してtheyという場合には、これ通用しますよね。文字通りに、つまり誇張ではなく、何百万人の死に責任があるというような言い方ですね。
それから例えば、
You'll lose marks if you translate too literally.
これ、例えば英文和訳の試験なんかで言うわけですよね。
あまりに直訳調に、本当に文字通りに一語一語を訳すようであったら、点数下げるよというような言い方ですよね。
これは本当に文字通りにという使い方です。
Contrary Nameの概念
つまり、literallyというのはですね、使い方によって本当の本当に文字通りにという場合と、そうじゃなく、むしろこっちの方が多いわけですが、比喩的にとか、あるいは比喩的なイディオムと一緒に用いられて、その比喩を強調するような用いられ方。
ある意味、本当に反対の意味を表すということなんですね。ちょっと困った単語ではあります。
これまで挙げてきたですね、その2つの意味ですね。これいずれも日本語に文字通りにと訳しても、やっぱり日本語としても通用するので、英語だけじゃなくてですね、日本語でもこの文字通りにという表現がありますよね。
これは2つの意味でやっぱり用いられているんだということがわかります。
この意味ではとても似ているというか、ほとんど同じ状況ですね。文字通りにが文字通りに使われることは、むしろ少ないということになります。
もう1つこの表現ですね、英語で言えばliterallyですが、日本語で言えば文字通りにという表現なんですが、これが面白いのは、今ラジオで喋っているわけなんで、すべて口頭の話し言葉の文なんですね。
だから1文字も出てきていないんですが、文字通りにという言い方をする、literallyという言い方をするのも、考えてみれば妙なものであるということになりますね。
この英語のliterallyというのは、リッテラルですね。この部分がラテン語のリッテラ、これは文字という意味です。英語に入ってきてletter、文字ですね。
ということで、まかき言葉にある意味属する単語と言っていいんですが、今までずっとこの放送で喋っているわけで、文字は1文字も出てきていないという、だけど使えるというところが、まかき言葉と話し言葉の連携ということを考えても、なかなか面白い話題ではあるんですね。
さて、このliterallyが文字通りに使われている語彙と、それから文字通りではなくて、実は比喩的に、そして比を強める意味で使われているその語彙、相反する2つの語彙があるということを話していたんですね。
どっちがよく使われるかというと、冒頭から述べているとおり、むしろ比喩的な意味の方がよく使われるということになります。
この辺り、どのA時点を引いても、両方の、ある意味相反する意味ですが、2つの語彙があるということを書いてあるんですが、第1語彙、一番先頭に挙げられているのは、どっちの語彙かというと、これ揺れてるんです、辞書によって。
これはなかなか面白い話ですね。もちろん文字通りの意味の方が歴史的には厳義なわけですが、よく使われるのはどっちかという意味では比喩的な方なので、これを第1に挙げる辞書もあれば、やはり厳義を大事にして、比喩的な意味は第2に挙げるという辞書もあったりして、この辺、なかなか揺れているようで、これまた面白いということですね。
このように、非常に奇妙なことなんですけれども、同じ1つの単語なんだけれども、意味が2つあって、しかもその2つの意味が、ある意味で反対である。
こういう言葉って、非常に使いにくいはずなんですが、実は結構あって、これを専門用語で、Contrary Nameと言います。つまり、反対のことを意味する言葉ということですね。
それが1つの単語の中に、2つの相反する意味が同居しているという例です。
例えば、非禁な例で言えば、Outなんてありますね。例えば、stars are out nightなんて言うと、星が出ている、外に出ているということは、現れているということなんですが、一方で、the lights are all outって言うと、これ、明かりがすべて消えているということで、つまり見えない状態にある。
これ、文脈次第ですが、outっていうのは出ている、つまり見える状態にあるっていうのと、逆に消えて見えない状態にあるっていう、相反する2つの意味が同居しているっていうような例ですね。実はこのタイプのContrary Nameっていうのは、探すとそこそこあるんですね。それではまた。